イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ときめきを運ぶよ

2008-09-14 00:05:47 | 朝ドラマ

NHK『瞳』はどうやら母・百子(飯島直子さん)と離婚した長瀬(勝村政信さん)との復縁ムードですね。

自宅にいると音声だけつまみ聴き視聴が多いので、いままで何となく、広告代理店勤務から脱サラで起業し資金が必要になった長瀬が、百子に「勝太郎お父さん(西田敏行さん)から融通してもらえないか」と頼み、反対を押し切って結婚した手前いまさら父に無心はできないと、百子さんが断って離婚に至ったのかと思っていたのですが、そうではなく、どうも長瀬は百子さんに隠して借金を重ね、返済に窮して百子さんを飛び越して勝太郎さんに借金を申し込み、そんなカネはないと拒否されると「この家を売れば」と提案したのが勝太郎さんの逆鱗にふれたらしい。「この家売れってことは、月島を出てけってことだろオマエ」と。

そりゃ、(いまは亡き)節子さんとご夫婦で洋品店を守り里子さんたちを育ててきた勝太郎さんが怒るのも当然。瞳(榮倉奈々さん)と再会後は人の良さや気弱さが目立つ長瀬ですが、17年前当時は独立を焦って高飛車だったのかもしれない。百子にしても「なぜお父さんに直行する前に、妻の私に相談してくれなかったの」とむなしく思ったことでしょう。「キミは成功しているボクが好きだったんだと思ってた」と長瀬。釦の掛け違い末広がり。

最近の朝ドラ、よりリアル視聴者層に近い年代なのは“親世代”なのが定例ですが、それにしてもヒロイン両親が飯島さんと勝村さんとは若い。実年齢は飯島さん40歳、勝村さん45歳で、20代前半~半ばでなした子が21歳になっている、40代真っ盛りの役を演じても不都合はないのですが、お2人とも『スーパーJOCKEY』『元気が出るテレビ』の頃のヴィジュアル・イメージともにほとんど変わっていない(しかも奇しくも“ビートたけし組”)ので、なんかやたら若いお父さんお母さんに見えます。

以前ここにも『熟年離婚』再放送を観ていたときに書きましたが、役柄設定年齢・俳優さんの実年齢・イメージ年齢・主張年齢(「役者誰某、このくらいの年齢に見えるでしょ?見てくださいね?」と訴える年齢)が二重三重にからみ合って、公式サイトかTV誌の“アンチョコ”を当たってみないと、誰が誰の何に当たるのか、絵ヅラがものすごくわかりにくくなっているドラマはたまさかあります。

『瞳』では長瀬の登場以前に、月河はたとえば鰹節屋の前田吟さんと安田顕さんが実の父と息子というのがなかなか呑み込めなかった。あと年齢問題のほか、“似てない兄弟二組(もんじゃ焼きと森本食堂)”の“ガタイ身長問題”もありますな。

まぁなんだかんだで、5月の連休明け頃から月河の高齢家族たちがこの『瞳』リピーターになっていった頃を振り返ると、連続ドラマに嵌まる、嵌める過程の教科書のように思えます。

確か瞳がダンスレッスンとアルバイトと里親業の三本立て生活で倒れてしまった頃で、ストーリー的にも見せ場があまりない時期でした。しかしNHK朝ドラの恐るべき底力、見逃しても昼の再放送のほか、夜730BSで再放送があり、土曜の朝930からは、一週分まるごとおさらいがある。早出の日は、BSハイビジョンで朝745~の放送もある。

天網恢恢、疎にして漏らさずじゃありませんが、見逃したことで体温が低下して客が脱落しないように、国営放送の複数チャンネルの強みをフルに活かしてアミをはってある。

つくづく思ったのですが、連続ものは「とにかく続けて見せる、多話数見せる」ことが最大最強の必勝策ですね。NHK朝の週6回放送なら、最低でも週3話は見せる、見てもらうように押し込むこと。脚本や演出の妙がものを言うのは、その次の、もひとつ次くらいの段階です。いくら巧妙に伏線を張ったところで、張り口を見ていてもらわなければ、スマートに回収しても無駄骨です。

月河贔屓の平日昼の東海枠は週5回ですが、こちらも録画なしのリアルタイム視聴なら概ね週3話が味読のための“ノルマ”でしょうね。週2話では状況の波、心理変転追尾が難しいし、キャラの顔も疎遠になり、結局離れます。

続けて見てさえいれば、多少話が無茶でも、設定に矛盾があっても、“毎回見るあの顔、この顔”にそれなりの愛着がわいてきて、駄目出ししながらもそれすら楽しみになり見続けるようになります。そこんとこを見透かすように朝ドラは、どんな年代の客でも「あぁあの人見たことある」が12人は必ずいるように、大河その他で実績ある大物俳優さんやアイドル出身若手、特撮イケメン、小劇場系、お笑い、時には演歌歌手など、老若男女とりまぜて脇に張りつけてもある。

1話見て次も見てみようということになったきっかけ、ウチの高齢組における『瞳』の場合は、セリフの切れ味やロケシーンの魅力ではなく、耳が遠めですから音楽でもなく、もちろんヒップホップへの興味でもなく、なんと「ヒロイン役の子(=榮倉さん)がとにかくデカい(=長身)」というところでした。曰く「あんなにデカい女の子見たことがない」。

高齢組の中でも昭和から TVドラマに親しいほうのメンバーは、70年代に石井ふく子さんプロデュースのホームコメディ『家族』で草刈正雄さんを見たときの印象を引き合いに出しました。「セットの端から端までひと跨ぎ半ぐらいだった」(←なんぼなんでもまさかね)「あの頃より茶の間のセットはリアルになっているけど、今度のコはアレよりおっきい」。

ネット上の資料によると草刈さん185センチ、榮倉さん1704センチで、あまり根拠はなくその時々の印象でしょうけどね。でも榮倉さんには失礼ながら、ウチの高齢組には、結局、瞳ちゃんがびっくりするほど長身だということが、「何せデカいから。いっぺん見てみな」、一度見ると「昨日のあの後どうなったかな」続きを見ると「やっぱりおっきいなあのコ」と、とにかくドラマへの興味をつなぐ決め手になった模様。

そのうち「おっきいけどモデルさんのようではなく、顔は庶民的」「美人じゃないけど、ときどきとてもいい表情をする」「『篤姫』のコ(=宮崎あおいさん)を野性的にしたような感じ」と解釈の幅が広がるとともに好感度もじりじり上昇、里親制度やヒップホップについてもかなり咀嚼して、いまは朝815~の定時放送をフル見た日も昼の再放送で再度字幕つき復習(食卓のTVはいまだ地デジ対応ではないので)し、エンド画面でのヒップホップステップ紹介から100のニュースに移ったときの、モニター目線からカメラ目線になる登坂淳一アナの微妙な微笑み顔を見るのが楽しみになっているようです。

そのうちネタで一度、登坂アナが、画面切り変わったときアナ椅子から下りて上着脱いでステップ真似てて、キュー見て「…あ!わわ」とやおら椅子に戻って釦留めてネクタイ直して「…100になりましたニュースです。」ってやってくれたら、ウチの高齢組、喜びのあまり頓死するかもしれません。

月河は、音声のみ流れ聴きつまみ聴きでなく、映像ごと随伴視聴できた範囲内で、EXILE眞木大輔さんの“使え幅”の広さにいちばん驚いていますね。石田商店の前垂れかけてタオル鉢巻きの似合うのなんの。本業がミュージシャン、ダンサーですから台詞が若干硬いなど、ベーシックな問題もあらかたふっ飛ばしました。劇中のカリスマダンサーが心機一転、鰹節屋で接客バイトしてるんだから硬くて当たり前という、設定の恩典もあるのですが、どうしてなかなか、鰹節屋になってからのほうがカリスマ時代より演技が闊達だという摩訶不思議。

12日放送分では実家が川崎の豆腐屋で、高校時代「オレも豆腐屋やりたい」「豆腐屋は長兄が継ぐんだ」で親と仲違い、高校中退して荒れた挙げ句「こないだ10何年ぶりに帰ったら“おぉ”って何も言われずに、皆ですき焼き食べた」なんて話も瞳にしていました。あんなに真っ黒な顔して豆腐屋ってのもおもしろい。なんだか今後、音楽番組でEXILEを見かけても、なんでMAKIDAIさん前垂れ鉢巻きじゃないの?と思ってしまいそうです。

そんな『瞳』随伴視聴組月河も、エンディングの度重なる“まゆげネコ”はいい加減にしてほしいと思うな。楽しんでる人、多いんでしょうかね。なんか「親しんでください、お子さんと一緒に踊ってください」“好感度乞食”って感じで、いじましくて嫌だなぁ。

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