イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

胃トツの子で絵トツ

2010-04-19 19:40:17 | 朝ドラマ

向井理(むかい・おさむ)さんという人、俳優さんとして演技しているのを、名前を一致させながらちゃんと見るのは『ゲゲゲの女房』が実質初めてでしたが、水木しげるさん役はこの人で本当によかったと思う今日この頃。

奥様布枝(ぬのえ)さんサイドの実体験に基づいているのでしょうが、不安いっぱいの嫁入りを身投げ覚悟で承知した布美枝(松下奈緒さん)から見ると、相当アチャーでがっかりな花婿ぶりですよ。

見合いの5日後のドタバタ挙式、貸し衣裳の打ち掛けは長身に丈短すぎ、「あんな(=式場入り前に大あくび、式直前まで館内で行方不明になってて母親にどやしつけられてるような)変わった人が婿さんで本当に大丈夫?」とささやく叔母さん(有森也実さん)。不安増幅、ヘコむ材料ばかりが増えて行くこんな寄る辺ない花嫁さんなら、どこかのプリンスみたいに「全力でお守りします」なんて根拠のない安請け合い(←本当に根拠がなかった)はノーサンキューだけど、ちらっとでも「心配ありません」「力を合わせていきましょう」「苦労かけると思うけどいい事もきっとあります」的なニュアンスのひと言がお婿さんから聞ければ、どれだけ気持ちが落ち着き明るくなるかと思うのに、クチきく暇も惜しい勢いでひたすら料理を頬張り、挙句に満座の前大音量で放屁。婿として嫁を気づかう素振り微塵もなし。アチャーの3乗。マリッジブルーどころかマリッジ暗黒ですよ、普通ならね。

最初に向井さんの“しげさん”を見たときは、設定39歳からの出会いスタートなのに若過ぎる(1982年生まれ28歳)し、小ぎれいで繊細で、顔の小さいいま風のイケメン過ぎるのでは…と思いましたが、あんまりリアルに「南方戦線サバイバルしてきました」っぽい、容貌魁偉なアラフォー俳優さんを持ってこられてたら、きっついし、朝から不快感を催したかも。大あくび、穴あき靴下、ムシャ食いで放屁ですからね。

長身の白無垢松下さんと写真に並んだ場面を見て「むっちゃくちゃな男だけど、お似合いでなくもないか」と思えるすれすれのところへ、涼しげな向井さんだから何とか着地しました。

両家が控室から出たとき、廊下越しに着付けお化粧のととのった布美枝を眺めたときの目の表情がよかったですね。白無垢で高島田に角隠し、さなきだにノッポの布美枝がアタマから足先まで真っ白ですから、ヤッコさんのこと、とっぱじめに「ますます一反木綿」と脳裏に浮かんだに違いないのですが、それをじんわり押しのけるように「…でも、きれいだなぁ」の感嘆も、我知らず静かに広がっていく。しげるさんも南方従軍中、食料を求めてコンタクトした現地民の人妻に親切にされ再会を約束したというエピソードもあり、“女性の美しさ”にまったくの木石ではないはず。

でも、感嘆を言葉や仕草で当の相手に伝えるということには滅法慣れていないし、するものだと思ってもいない。思うに、水木さんのように、画才に突出した人は、“表現したいことがあったら描けばいいし、描ける”という自負があるから、言葉で飾る、言葉で人をよろこばせるという観念がないのかもしれません。

言葉が出なくて、目にだけ宿って束の間横切った、それも分厚い黒縁眼鏡越しのひそやかな感嘆の色。感嘆プラス当惑やら照れやらメンドくささやらも綯い交ぜになって、なかなかナイスなしげるさん像を印象付けてくれたワンカットでした。

ところで、ネット上(の一部)ではすっかり読んで字のまんま“むかいり”の愛称(?)が定着している向井さんですが、Wordでもローマ字入力MUKAIRIで変換押すと、一発で“向井理”と出てくるのね。こりゃあ定着するわけだわ。

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