イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

類々は友を呼ぶ

2009-06-24 00:28:45 | 朝ドラマ

先週のNHK『つばさ』のど自慢篇(61520日)はもうひとつでした。『爆笑オンエアバトル』でも、いまだに常連の一部の組がしばしばやるんですけど、本スジではなく“地合い”の温度上昇のために、“歌”を使うっていう方法、いい加減考え直さないかな。

BGMとしてでなく、登場人物が芝居の一環として歌うというのは、「これは、そうでもしないとテンションが上がらない寒いドラマですよ」とわざわざアナウンスしているようで、どうにも白けます。

音楽を生業にしているわけでもなければ、ママさんコーラスのメンバーでもなく、死ぬほどカラオケ好きなわけでもない普通の一般庶民が“声出して人の前で歌を歌う”なんて状況、リアルにそうはありませんからね。

そこにエクスキューズを与えるために“ラジオぽてと協賛のど自慢大会”という枠組みを作ったんでしょうけれど。

しかも、各キャラの皆さん、“日頃歌が得意なわけではない商店街のシロウト庶民が、今日だけ特別にノリノリで、恥ずかしいけど歌っちゃいました”という設定なので、演技的わざとなのか、はたまたナチュラルになのか、朝食や出かけ支度の時間帯に聴くには、全員歌唱力があまりに微妙。騒音一歩手前。

なぜかアフロかつらにサイケつなぎ、“見せエレキ”まで持っての甘玉堂夫妻(中村梅雀さん高畑淳子さん)の『恋人よ』ぐらいは、“劇中的にも気合いの入ったおふざけ”として微苦笑で観られましたが、本来ならもっと歌唱力あるはずの松本明子さんが、一生懸命シロウトっぽく歌う『あなた』はかなりつらいものがありました。

前作『だんだん』での『赤いスイートピー』といい、どうもNHKのこの枠のスタッフとは音楽に関して趣味が合わないようで、“流行ってた記憶はあるけど、リアルタイム当時から好きになれなかった”曲ばかりが特にフィーチャーされる感じ。

先週おもしろかったのは、ソロバン丸山伸子さん(松本さん)・隼人くん(本山葵さん)親子が川越キネマに住むようになった経緯や、丸山の前夫(太川陽介さん)が借金苦からの最後の一発逆転をかけアマゾンの奥地に行くという話をつばさ(多部未華子さん)に語る斎藤興業社長(西城秀樹さん)の隣の、ステージの譜面台?に、どう見ても『ヤY.M.C.A.に見えるモノがずっと掛かっていた場面でしょうかね。体調最悪だった頃に比べると西城さんも体型がだいぶ持ち直しているので、着て見せて歌ってくれるってのは逆にあんまり芸がなさ過ぎるから、「広げたら本物の普通の星条旗だった」なんてオチはつかないかなと思ったら、放置プレイでした。

西城さん(デビュー72年)、太川さん(同76年)、松本さん(同83年)と、各年代の鳴り物入りアイドルの、中年になってからの身過ぎ世過ぎ…じゃなくて、それなりの不撓不屈ぶりを鑑賞するウィークだったかな。

西城さんは今週に入ってからも、「やめろ!…っと言われても、いまでは遅すぎた。」のセリフに合わせて丸山とロナウ二郎(脇知弘さん)があの“フタ開けアクション”をやってくれたり、結構製作側に手厚く遇されていると思います。たぶん西城さんのアイドル時代のファン層、『あこがれ共同隊』や『寺内貫太郎一家』『花吹雪はしご一家』などを食い入るように見ていた層がいちばんいま朝ドラにとって“欲しい”お客様なのでしょう。

今週はつばさ幼なじみ兼彼氏の翔太(小柳友さん)の、川越キネマ下宿が引き起こす騒動メインになる模様。麻子女将(井上和香さん)と父(石橋蓮司さん)の週辺りから興味深いのは、翔太というキャラの“触媒化”ですね。

ヒロインの本命ロマンティック王子さまというより、「コイツに何かあると、新しいドタバタが巻き起こりますよ」という“サイン”みたいなのよ、翔太って。“まじめで不器用で純情で、母親思いで義理堅い”性格自体が、何かあったらとにかく外へ向かってハジける!タイプ揃いの物語世界においては、一種の台風の目になっている。

何かの職業を志して、故郷の初恋の人と別れ、あるいは努力する過程で運命の人と出会い、艱難辛苦、刻苦勉励、波乱万丈の末結局結ばれて家庭を築き、最終話でハッピーエンド…という、“頑張る女性の半生記”式の朝ドラとは90°ぐらい様変わっています。

昼ドラにおけるヒロイン相手役男性の、“女性キャラの強力磁場に翻弄され、善意で状況ややこしくする担当”に近いようでやはり違う。

いずれにせよ視聴者目線に立った場合「ヒロインがあの人と連れ添い幸せになれますように」と、時には涙とともに願いつつ観る必要はまったくないようです。いま風の若者らしからぬ高見山系のモミアゲなど、「王子さまではなくおもしろ方向への、指差しサインキャラですよ」という暗黙の自己申告だったのかも。

朝ドラにおける恋愛要素の、これだけはっきりした“相対化”は、賛否あるでしょうが月河は大歓迎ですね。人生、特に妙齢女性の人生において「ドラマティックなことは“恋愛”と“家族”以外には無い」という、戦後平和期以降舞台の朝ドラで底流をなしてきた世界観はもう通用しないと思う。通用するかもしれないけど、個人的に興味ないし。

家族もおもしろい、彼氏もおもしろい、同性友達もご近所さんも、職場仲間もみんな等距離で“おもしろくてヘンな人”という、『つばさ』の世界、かなり好きです。

そうは言っても短大卒業したばかりの、お年頃可愛い子ちゃんヒロイン。誰かとくっつかなきゃオサマリが悪いという向きは、鈴本スーパー跡取りの俊輔(三浦アキフミさん)か?元ストーカーロッカー・正太郎(ROLLYさん)が野望達成か?はたまたやもめの真瀬ラジぽて社長(宅間孝行さん)と子持ち年の差ゴォォルか?いやいっそ斎藤興業秀樹社長が、加乃子で果たせなかった青春の夢を娘の代でゲットか!……何とでも想像が可能。

ロスタイム大逆転で、つばさにグルメレポーターの才能を見出してもらったロナウ二郎と、なんてことはないかな。

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