イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

さようならTVBros. ~いつか居たthe future~

2018-04-01 16:37:41 | 本と雑誌

 4月からの年度替わりで区切りが訪れたものがもうひとつ。雑誌“TVBros.”が月一回刊にリニューアルとのことで、先々週発売の3月24日号に同封されてA4二つ折り4頁の「定期購読者各位」という文書が入ってきました。

 スーパーの雑誌コーナーでパラパラ読みの後、買ってきたりラックに戻したり・・という薄っすい付き合いから始まってもう20年以上になります。隔週毎号買うようになってからは、表紙のヴィジュアルが号ごとに違い過ぎ、ある号がアニメキャラかと思えば次の号は洋画、次の号はミュージシャンそのまた次の号は変身ヒーロー・・と千変万化するので店頭で捜しにくいし見つけにくいなアと思ったこともありましたが、考えてみればその頃が自分の中での“Bros.黄金時代”だったような気がします。

 雑誌コーナーのあるスーパーの近くを通らない通勤コースになり、自宅直近のコンビニも交差点の向こうに移転して、「冬場月2回買いに行くのは面倒いから」と前払いの定期購読に切り替えたのが2010年、バンクーバー冬季オリンピックの頃だったと思います。茶封筒に入ってポストに配達された最初の号の表紙は、中学生で彗星のように五輪代表に選出されたスピスケ高木美帆選手でした。彼女がその後しばしの足踏みを経て、堂々金・銀・銅メダリストになった平昌オリンピック終了後にBros.がこうなるというのも何かのめぐりあわせかなと思います。

 “TV”雑誌なのに直接テレビと関係ない連載コラムや映画、音楽などの特集に山ほどページを割く独自の編集方針は月一回刊になっても変えないようで、テレビ番組解説記事だけでなくラジオや映画や音楽、アニメ、コミック、書籍その他“いま話題のもの”“Bros.読者が知りたいポップカルチャー”を幅広く取り上げていくようです。

 「これ本当にTV雑誌だっけ?」とときどきわけわからなくなるのが良くも悪しくも魅力になっている雑誌で、月河もそこが好きで20年来欠かさず頁を繰ってきたのですが、文書の冒頭で“テレビ番組表の掲載廃止”をはっきり打ち出されてみると、「あぁ、じゃあ要らないや」と、驚くほどきっぱり決められる自分がいました。

 デジタル放送になって8日後までの番組表はテレビでボタン一つで直に見られるようになったし、スマホユーザーならいちいちテレビのスイッチをつけなくてももっと詳しく見られるのかもしれませんが、高齢家族に「来週の〇曜日の何時からどこチャンネルでホラ・・」と開いてマーカーつけて見せられる紙媒体の、しかも二週間分の番組表はやはり便利で心強いものでした。それが載らなくて、ポップカルチャーや解説てんこ盛りなだけのホンが月一回届いてもあまり嬉しくないし、結局めくって見ないだろうなというかなり確実な予感がありました。

 結局、雑誌そのものが見ている方角というか射程の中に、月河が入らなくなってきたのだろうと思います。それ以上でもそれ以下でもない。先に書いた“黄金時代”と思える自分内Bros.盛(ざか)りの頃は、平成仮面ライダーにスーパー戦隊に東海テレビ制作昼帯ドラマ、深夜アニメMONSTERやウルヴズレインと、「別に巷間大ブームになっているわけじゃないけど自分内でブーム」な事と、Bros.でフォーカスされる分野とが恐ろしいほどシンクロしていました。当時は巻末プレゼントコーナー『こんな私でよかったら』の当選率も結構、高かったような。賞品が届くより、応募はがきに当該号の感想と次号以降への希望をねっちり書き込むのが楽しみでした。遅れてきた“はがき職人”時代ですな。

 自分が面白がっていることをBros.も面白がっているわというシンクロの楽しさ、誌面を開いて感じるワクワク感が味わえた最後は2013年春と秋の『あまちゃん』特集だったと思います。

 単なる皮膚感覚ですが、いつからだったかアーティスト星野源さんを繰り返し熱く表紙や特集で起用するようになった頃から、月河のBros.体温は右肩下がりになっていった気がします(星野さんはどちらかというと好きな俳優さんなんですけどね。いまだに『ゲゲゲの女房』で岩海苔採りに行って帰らぬ人となった貴史さん、『紅白が生まれた日』のGHQ通訳も)。

 気がつけば『鎧武(がいむ)』を最後に仮面ライダーからは離れ、昨年の年度途中に放送時間帯も変わり、東海テレビ昼帯ドラマはどんどん予算が縮小されて作品に勢いが無くなり、2016年度末で枠自体廃止されました。自分の中での、テレビ、テレビの番組、テレビに出ている人たち・・等に対する興味関心が薄まってくる、というより興味関心高かったエリアが下火になってくるのと、Bros.購読への体温低下とは(いくらテレビ以外のコラムや特集が満載でも)意外なほどに同時進行だったようです。

 これだけ長く欠かさず座右に、あるいは枕頭に置き続けてきた紙媒体は、高齢家族がいまだに宅配購読している全国紙新聞を除けば、自腹ではTVBros.だけでした。ひょっとすると紙媒体“全般”との付き合いも、これを機会に見直すべき時期にきているのかもしれません。

 TVBros.の毎号の表紙の誌名ロゴの傍に“the TV magazine of the future”というキャッチフレーズが、月河が店頭でパラパラするようになってからずっと現在に至るまであり、隔週刊最終号となった3月24日号では表紙下部のPerfumeと広瀬すずさんの写真の下に黒太ゴシック体ででかでかと印刷されています。

 月一回刊になってもこのキャッチは引き継がれるのかもしれないし、引き継がれてほしいとも思いますが、そのfutureの中に、月河は居ません。いつか戻ることがあったとしても、そのときは全然違うBros.になっているのでしょうね。それもまた良し。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする