脇道にそれますが、韓国製茂樹……じゃなくて(←祝・復員生還)(@『おひさま』)史劇ドラマも、長かった『善徳女王』の後、無謀にも全81話の『朱蒙(チュモン)』にまで手を出してしまいまして、現行NHK総合とBSプレミアムで放送中の『イ・サン』と、『同伊(トンイ)』も合わせると、結構なタイトル数を、制覇したりかじったりしたことになります。
こんだけここのワールド渉猟したら、世のおばちゃん方並みに、韓流スターのご贔屓のひとりぐらいできたってよさそうなものなのですけれどね。主役クラスの二の線の諸君諸姉は、かなり顔面偏差値も高いですしね。
ドラマの内容が濃くて、引っかかりもツッコみどころも豊富なのに比べ、俳優さんたちにいまいち熱く興味を持ちきれないのは、芸名がカタカナばっかりというのも大きいと思う。欧米名ならわりと簡単に顔や役柄とセットで覚えられるのは、小学生坊主の頃から英米ミステリを読み慣れていたからかも。韓国の人名って、語呂がみんな似たようじゃないですか。姓なんか九つか十ぐらいしかないんじゃないかってぐらいだし。
漢字表記と併記ならもっと覚えやすいと思うんですけれどね。漢字には、字ごとに表意があるので、イメージがしやすいんですよ。それこそ太陽の陽子とか、金ヘンに定めると書いて錠とか、真実を知る子と書いて真知子とかさ。同じ漢字文化の国なんだから、漢字で交流しましょうよ。
それでも、韓国製ドラマは大体、OPで主要キャストの顔出し紹介が毎話毎話あるので、全62話の『善徳』ぐらい多話数の作品だと、カタカナでも、結構覚えます。毒婦女傑ミシル璽主(せじゅ)さま役のコ・ヒョンジョンさんという名前は、キャラがあまりに強烈だったのでさすがに早々と覚えた。にしても、“高賢廷”さんという漢字表記ならもっと早く覚えられたのに。ミシルさまのイメージそのものな字並びじゃないですか。
『善徳』ではクレジットトップのトンマン女王役イ・ヨウォンさんも覚えました。韓国で姓“イ”さんは近世の王朝名にもある“李”さんですね。漢字では“李瑤媛”さん。愛媛県の“媛”なのがトンマンっぽい。
この作品は女王が主人公で概ね女性上位の物語なので、男優陣は覚えるのに時間がかかり、それでも終盤までにクソまじめのカッタマリ・ユシンええと…最終的には大将軍(てじゃんぐん)役のオム・テウン“嚴泰雄”さんは覚えられました。カタブツにもほどがある役柄に合った、古風な端正さのあるお顔立ちなのですが、なんか、月河は終始、微妙に昭和40年代の演歌歌手の黒木憲さんを思い出して仕方がなかったな。霧にむせぶ夜。
中盤から最終話まで、とても重要かつカッコいい役なのになぜか顔出しOPに出てこないアルチョン侍衛府令(しいぶりょん)役のイ・スンヒョ“李承孝”さんは、逆に、出てこないから先に公式を調べて覚えました。漢字で書くと読売ジャイアンツの選手みたいだが。こちらは歴然と純コリアンの男クールビューティという感じ。いかにも史劇の若武者役向きなルックスのかたですが、俳優さんですから現代もののラブコメとかお仕事ドラマなんかにも出ているかもしれない。ちょっと見てみたいような。
贔屓とかファンという域ではないけれど、いまいちばん興味が沸いている韓国俳優さんはぺ・スビン“裵秀彬”さんでしょうか。『同伊』で「大きくなったら俺の嫁になれ」とトンイを可愛がってくれていた、心優しく勇敢なチョンス兄さん役でお顔だけ先に覚えましたが、『風の絵師』でいきなり王さま役で、若々しい中にも圧倒的なロイヤルオーラばっきんばっきん出しまくっていてびっくり。しかも『風の~』の王さまはただの王さま(ただのってことはないが)ではなく正祖(チョンジョ)大王ですから、『イ・サン』の世孫(せそん)さま即位後のお姿をだね、世孫のお祖父さまに当たる人(=英祖さま)を産むことになるトンイを可愛がるチョンス兄さんが演じておられるわけですわ。ああややこしい。
このぺ・スビン“裵秀彬”(“ひであき”さんと読みたくなりますね)さん、いま着々と視聴中の『朱蒙』ではヨン・タバル商団のサヨン行首(へんす)として、男であって心は女でもあり、知将かつ馬術武術も強くて、というなんともスーパーなキャラで活躍中です。こういう役どころは演技力に定評ある人だからこその起用だと思います。
そう言えば先週、午後の出先の待ち時間のTVで、タイトル未知の現代もの韓国ドラマを放送中で、いきなり現代姿のスビンさんが映ってびっくりしましたっけ。軽くリーゼント風オールバック頭、なにげにおヒゲの剃りあとが濃い。時代ヅラ無しだと、印象的な翳りのある大きな目より、顔の長さのほうが若干目立つかな。『天使の誘惑』というドラマと後でラテ欄見て知りました。若き御曹司が他人になりすまして自分の妻だった女性にどうこう…ってなんかめちゃめちゃどっかで聞いたようなストーリーみたい。どっかで聞いたけど、でも大好物。どうしよう。どうしようってことはないか。DVD探すか。こうしてずぶずぶと嵌まって行く自分が怖いが。
そう言えば『朱蒙』でスビンさん扮するサヨン行首に熱く見つめられている、タムル軍のミスター髭ヅラ・ヒョッポ大将役のイム・デホ“林代昊”さんも、当地で朝いちぐらいの早い時間帯に放送されている『ホジュン 宮廷医官への道』で見かけました。こちらは12年ぐらい前の作品らしく、怪力無双でがっしりしたヒョッポのイメージよりだいぶぶにぶにな、ドジな普通のデブキャラと見えます。『朱蒙』扶余(ぷよ)国クムワ王のチョン・グァンリョル“全光烈”さんがホジュン役。忙しい朝っぱらからかぶりつきで視聴してるわけには当然いかないわけですが、気になる気になる。
顔と名前と芸風が覚えられた俳優さんを、別の作品で見かけるとなんだか嬉しくなり、作品自体への興味も増して、共演の俳優さんの顔と名もひとりまたひとりと覚えていく。1980年代後半のレンタルビデオ隆盛の頃、学生時代以来ちょっと縁遠くなっていた洋画の世界に、改めて嵌まって行ったときがこういう気分でした。
洋画以上に玉石混交で、それゆえ八方破れなパワーも感じさせる韓国ドラマ。怖れず急がず焦らず、ゆっくりじわじわ踏み込んでいくとしますか。気がついたら耳まで浸かってそうで、怖いっちゃ怖いけど。