「オレと優花と一緒に、佐賀に来てくれないか」という真瀬(宅間孝行さん)の、つばさ(多部未華子さん)へのプロポーズは、プロポーズではなく“自分は本当はどうしたいのか、どこで何をしていたいのか”を、つばさに自己再確認させてあげたいという“イモ心”ならぬ“親心”だったのでしょうね。
最終話ひとつ前の、母から娘へのブーケトス、ラジオマン(イッセー尾形さん)とのお別れ(03年の浅野温子さん三上博史さん『共犯者』のラストを思い出しました)、「子供を持つだけが夫婦の意義ではない」と気づいた紀菜子さん(斉藤由貴さん)、みんな素敵でした。
「つばさが一緒じゃなきゃやだーー!」とゴネ通していた優花ちゃんが、ラスト「みちるだーー!」とあっさりみちる(山本未来さん)になついていたのと、斉藤(西城秀樹さん)とこえど麻子女将(井上和香さん)がいきなり異常にいいムードになっていたのには爆笑でしたな。
ロナウ二郎(脇知弘さん)とベッカム一郎(川島明さん)のコンビ復活芸がもう一度見られなかったのだけはちょっと残念。あの寒さがクセになるんですよ。出始めは『蒲田行進曲』のヘタなパロディみたいだったベッカムも、終盤、写真誌お騒がせで事務所をクビになり、やさぐれた途端妙にカッコよくなったりして。
昨年5月、『瞳』の途中から、思い出せないくらい久しぶりに復活したNHK朝ドラ視聴。『つばさ』は誰が何と言おうと(誰か何か言ってるのか)月河の中ではベスト作でした。
最終話が終わった後でも、“あの人物、あの店、あの場所、今頃どうなって、どうしているかしら”と、すべてがゆかしく懐かしい。庖丁研ぎ名人・谷村さん(及川いぞうさん)も、麻子の元・極道父(石橋蓮司さん)も、なんなら葛城さん(山本學さん)も頭に輪っかつけてサンバに加わればよかったのにね。