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イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

締まっていこう

2008-06-09 16:56:04 | アニメ・コミック・ゲーム

「よく自殺しなかったなぁ」…不謹慎ですが夕方のニュースで知ったとき最初に頭に浮かんだ感想です。8日の秋葉原殺傷事件。警官による身柄確保直後の写真では、横顔で食い込み禿げ始まったコメカミ辺りが目についたせいか、30代前半かな?とも見えた容疑者、続報によると全然若い25歳。何に挫折し何に絶望したのか知らんがいくらでも、百万回でもやり直しがきく年だろうに。無関係な人たちの命を取り返しつかなくしてしまった。

銃社会のアメリカなら、サバイバルナイフでひとりずつ突いたり、抜いてまた刺したりなんて農耕民族的な手間かけませんね。当然銃乱射。撃ちながら360°回転。警官に狙撃される前に自分で銃口をクチにくわえて脳天に向けて最後の一発。昨日の事件の場合、10数人分の血糊で滑るナイフを握り直して、自分で自分の胸を一突きで死に切る握力、気力が残ってなかったのかもしれません。

心理学的には「どうしようもない自分を法の手で裁き処刑してほしい」という無意識の“叱られ・懲罰願望”もあるのかもしれないけれど、どこかで“自分が起こした騒ぎをなるべく長く見ていたい”“最後まで渦中の登場人物、できれば主役でいたい”という愉快犯的な心理も感じます。一気に自分を“無”にするには、25歳ロリアニメおたくでもあったらしい容疑者、まだいろんな生臭い欲も願望もあった感じ。

これまた不謹慎だけど「もったいないなぁ」と思ってしまいます。かりにもっと年齢が行っていたとしても、“自滅するにしてもこれこれこんな手段で、こういう状況を出来(しゅったい)させて、こういうカタチで滅びたい”といろいろ“希望条件”がつくということは、逆にまだまだ生きる、それもできれば真っ当に生きる意欲も、無きにしもあらずだったんじゃないかと思う。当日早朝から、犯行を予告し「こういうふうにしてやるつもりだ」「いまどこどこまで来た」など途中経過まで丹念なネットへの書き込みもしていたらしい。

これだけ「俺を見てくれ」「俺を構ってくれ」「思ってることを聞いてくれ」サインを出しまくっている人間を、結局、最悪の大暴発まで誰ひとり見ないし気に留めないし構わないというのが、いまの時代本当に怖いし悲しい。

しかしなぁ。もう7人からの通りすがりの人命が失われてしまってから、後付けで容疑者の生まれ育ちとか生活状況とか、動機とか分析・想像まじえて調べ上げても「これで同じような事件は二度と起きない、防げる」には絶対に行き着かないだろうなと、あらかじめわかってしまうのが情けない話ではあります。

いまこうしている間にも、ネットで情報収集して着々と準備すすめてる“模倣犯予備軍”が全国にどれだけいることか。

被害に遭った人たちにしても、危ない時間帯に危ない場所に出入りしていたわけでもなく、日曜のお昼どき、白昼の目抜き十字街のど真ん中。買い物や外出を控えるというわけにもいかないいち市民としては、これからは出かける前にネット掲示板を隅から隅までチェック“誰かが犯行予告書き込んでる街は避ける”ってのも必修になるのかも。嫌な渡世だなぁ。

さて、容疑者が拘置取調べされているということで何度か画面に出てきた万世橋警察署。もう何十年前になるか忘れましたが、ここから神田川・山手線を挟んで“神田側”にあった交通博物館に、博物館実習でかよったことがあります。都下・近隣からの社会見学や、もうちょっと遠出の修学旅行の小学生のガキども…じゃなくて小さいお友達を捌くほうが忙しくて、どこの展示場所でどんな実習したんだか忘れちゃいましたが、いまで言うところの“鉄ちゃん・鉄子”の聖地でもありました。先年、閉館が報じられたときはぜひその前に再訪し、何を見学したんだか思い出したいと思っていたのですがかなわないまま終了。

月河にとっては、交博もさることながら、近くの甘味処『竹むら』に実習の間じゅう通い詰めた記憶のほうが鮮明だったりします。美味しかったなあ御前汁粉。粟ぜんざい。05『仮面ライダー響鬼』の後方支援基地・喫茶“たちばな”として全景が登場したときは懐かしかった。交博なき後も盛業中だといいがな。

 ……何の話だっけ?そうだ、惨たらしいとしか言い様のない事件だったということでした。こういう形で被害に遭われたかたには、“ご冥福をお祈り”なんて言葉もちょっと出ないですね。日曜の昼前「行ってくるよ」「行ってらっしゃい」と見送った人が、それきり帰らなくなってしまった。どれだけ衝撃を受けておられるかわからないご遺族やお友達など親しい方々が、非常に難しいでしょうけれど、いつか何らかの形で気持ちに整理がつくことのほうを切にお祈りしたい心境です。

 この事件がなかったらニュースのトップだったであろう北島康介選手200平泳ぎ世界新記録。とうとう“世界”まで行っちゃった。あーあ。“あーあ”つっちゃいけないか。

 なんとなくこのSPEEDO社製“レーザー・レーサー”の話題を聞くたびに、ギリシア神話の英雄ヘラクレスの最期の話を思い出すんです。数々の猛獣を仕留め宝物を奪取したヘラクレスが命を落としたのは、危険な冒険の途上ではありませんでした。

英雄色を好むの喩え通り、彼は生涯に3人の妻を娶っていますが、最後の妻はカリュドンの王女で美人の誉れ高かったデイアネイラ。彼女がヘラクレスとの間にもうけた息子を連れて川を渡るとき、渡し守の半人半馬ケンタウロスに陵辱されそうになります(←ギリシャ神話によく出てくる“下半身が馬”のこのキャラは、オスのセクシュアリティそのものの象徴を演じることが多い)。

遠くから見咎めた夫ヘラクレスが、妻に一大事と自慢の弓矢でケンタウロスを射抜きますが、倒れたケンタウロスはデイアネイラに出来心からの無謀を詫び「私の血は媚薬ですからお持ちなさい、夫君の愛がさめたと感じられたら、この血に彼の衣服を浸して着せれば愛がよみがえります」と囁いて息絶えます。その時点では疑り深くも嫉妬深くもなかったデイアネイラは、さしたる考えもなくケンタウロスの言う通りにその血を小瓶に入れ持ち帰ります。

実はこの言葉には、ケンタウロス(=男、オス)の陰湿さを象徴する策謀が秘められていました。

しばしの月日が過ぎ、英雄ヘラクレスは色好みの血を騒がせ、イカリアの若く美しい王女イオレに浮気心を起こし逢瀬に向かうように。気づいたデイアネイラはケンタウロスのいまわの言葉を思い出し、もう一度夫の心をこちらに向けさせたい一心から、彼の肌着をあの血に浸して「これをお召しくださいませ」と着せます。

ヘラクレスが身につけると、なんとその肌着は火の肌着となり、英雄の肌を生きながら焼き溶かしはじめました。英雄は熱さにのたうちながら必死に脱ぎ捨てようとしましたが、火の衣は皮膚に貼りついて剥がれず、剥がそうとすると肉も一緒に剥け落ちたと言われます。

数々の冒険を生き延びてきた英雄はすさまじい苦痛のうちに最期を悟り、かつてケンタウロスを射抜いたあの弓を、盟友で弓の名手であるピロクテテスに託し、彼の放つ矢でとどめを刺されることを望み、盟友はその通りにしてやりました。

軽いジェラシーが招いたまさかの顛末に、妻デイアネイラはみずから首をくくって夫のあとを追ったと言われます。

神話物語の語法として、オスの欲望を滾らせたケンタウロスの“血”は精液の象徴とも言われ、“肌着”は上半身でなく下半身を覆う、所謂ブリーフやフンドシを現し、“生きながら激痛とともに焼かれる”は去勢を暗示しているとの説もあります。

しかし月河がレーザー・レーサー水着の話題でこの物語を思い出したのは、性的な暗喩がらみではまったくありません。

“豪腕すぐれみずからを恃む者が、華々しく輝ける膂力のために恨みを買い、その怨念が肌にまとうものに化生して痛めつけられる”という展開のほう。

生きながら焼かれるまではまさかなくても、何かの応報が必ず待っているのではと思うのは、「I am the swimmer 泳ぐのは僕だ」と精一杯のアピールをした北島さんら選手の能力と努力ではなく、“水中を泳ぐという行為限定での人間の身体能力なんか、最新鋭科学技術力をもってすればいくらでもコントロールできる(のではないか)”という思い上がり、過信のほうです。

そのうちどこかの競合メーカーが、レザ・レ以上の記録促発力を持つ超絶スペックの水着を開発し、着ればタイムは出るけれども身体のイロんなところがギューギュームチムチ締まって締まって、ついにはゴール直後にのたうち回って脱ぐに脱げずに心停止…なんてことにならないとも限りませんよ。

月河も日本人ですから、北島さんたち日本代表には、もちろんルールの範囲内でいちばんご自身の納得行く装備を選んでもらって、納得行く結果を出してもらいたいですが、心の奥底でいちばん望んでいるのは、実は“昔ながらの素朴な水着を着た、(できれば)小国の無名新進選手が、レザ・レの有名どころ選手たちを尻目に新記録で完勝”という結末なんですよね。

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ぜんぶ経費で落とす

2008-06-01 17:12:23 | アニメ・コミック・ゲーム

『爆笑オンエアバトル』5292440~)今週もなんだか低調な回でした。爆笑してこその番組でこれだけ笑い渋ると、なんだか観る自体疲れてしまいますね。「おもしろいかおもしろくないか考え判定しながらお笑い観る」って、本来客前のイタに載せる前に、ディレクターさんとか、舞台なら座長・興行主とかがやっとくべきことであって、シロウトの視聴者にゆだねてどうするよ、って気にもなってくる。

それ言っちゃうとこの番組の存在理由自体にもかかわってきますが、“イタ前”の興行主ディレクターと同じことを、観客のあなたがさせてもらってるんだよ、アナタがおもしろいと思ったお笑いに日の目を見せ、おもしろくないと思ったら切れるんだよ、そんな権利持たせてもらって贅沢と思わないかい?というところに、この番組の醍醐味は設定されているわけです。

実際問題、TVのこちら側の、玉を“持たざる”“視るだけ”の視聴者は、“おもしろくないのに上位5組に入っちゃったから、視ざるを得ない”組を結構、見せられてるわけですが。

ネタ披露順トップバッターのWエンジン417kb、二番手のなすなかにし413kbぐらいで「今日は玉が“重い”日になりそうだな」と客席もはずまなくなり、挑戦者たちも必要以上に警戒しちゃったんでしょうかね。

三番手ピース433kb(結果2位)は特にツッコミが、致命的にでない程度に無数に噛んでました。

と言っても、噛まなかったらもっと玉数伸びたかなという気もしなかった。“ムカシ話のバリエ”“第二ボタン”“図書館で手が触れ合って”と、ひとつひとつのチャプターの中身が繰り返しでくどいし、前回オンエアでおなじみになったかに思われた「現時点でそういう技術ないんで」のつなぎも、思いのほか客席が沸かず、かえって流れがつかえてしまった。こういう“ひとつボケてポン、ふたつボケてポンポン”式の構成なら、それこそ現時点ではやっぱりタカアンドトシのテンポ感と歯切れにかなわないのではないかな。

あと、ボケ又吉の売れ残りこけし風ヘアスタイル。ヴィジュアルに特徴出して顔と名前を覚えてもらいたいという意気やよし。しかし如何せん、意味がわからないんだよな。どういうキャラだからどういう風体はダメだとかって縛りがあるわけじゃないんですが、キャラがまだ全然薄いので、髪型ばかりが突出して目障りでしょうがない。これで、ある程度キャラが定着してしまってからでは髪型変えにくくなるのでしょうし、“中性的アナクロキモキャラメインでこれからは行きます”宣言なのかな。にしては中途半端。

噛んでたと言えばプラスマイナス413kb(なすなかにしと同点4位)も。待ち時間の長い演順ラストで無用に緊張したというよりも、やはりチャンピオン大会ファイナルの惨敗を引きずっているとみていいかも。むし返す様で気の毒だけど、アレはひどかったからねー。10位のえんにち562kb)にダブルスコア(246kb)の最下位11位という数字以上に、ほとんど10秒おきに客席凍ってたもの。あのファイナルのVTRリプレイするたびに、彼らの登場分だけ一旦停止して早送りしてしまうくらい。醜態と言うより、なんか、観客として見てはいけないものを見せられる気がするんですよね。演じとしてはしっかり演れているだけに、部分的には“シラフのおっさん同士のガチ罵り合い”にしか見えないあのネタを作った人、「このネタをファイナルに使ってよし」判断下した人に大半の責任がありますが。

今回も、特にボケ兼光が、噛むだけじゃなくのっけからマイクに拾われるくらい息が上がっていて、まともならあんなに動きの多さ比で燃費の悪いコンビではないはず。あの悪夢のファイナルのイメージ払拭には彼ら自身も、観客も少し時間がかかるかもしれない。その意味では今回、ギリでも合格オンエア成ったのは地力のなせるわざと捉えてあげるべきでしょう。

同点5位のなすなかにしは、今回オンエアの中ではいちばん自分たちの持ち味なりのデキで、妥当な点数だったように思います。「国民年金未納」「レッド・ブルー…プレシャスホワイト」の冒頭のボケ2つが意外に不発だったときはちょっと苦しいかなと思ったけど、その後のシゲどんおっさんキャラの濃さでどうにか踏ん張った感。

ボケ中西は、もうちょっと関西的毒のある反骨キャラが持ち味の人と思われ、ラストの“自虐~美脚”など、NHK的にはタワラに足のかかった状態での「残った」。どうにも微量エグい後味の残る笑いではあるものの、持ち味を活かしつつ『オンバト』向きの穏当さとのバランスを辛くも保ちきった。芸人さんが自己責任でハラくくったこういうパフォは、芸風やネタの好悪を超えて、ある意味観ていてすがすがしい。

宴人改めWエンジン417kb3位は、やっぱりトップ効果での400台という気がする。芸風としては5GAPや今回オフエア(217kb9位)のニッケルバックに近いドタバタコントなのですが、女子高生もメタボヒーローも、どちらも同じ程度にウザキャラなのでバランスが悪く、見ててダレてしまう。月河の観かたがすでに古いのかもしれないけど、やっぱりコンビで演るネタなら、どちらかはピンシャンまともでブレずにいてくれたほうが、お笑いとして質が高いと思う。後半深いところまでヒーロー役がマスクを外さず一種の“顔出しオチ”になっている構成ももうひとつ爆発力不足だった。大オチのブラックさは好みでしたが。

演順真ん中の5番手しずる481kb1位。今回オンエア5組の中ではいちばんジタバタしてなくてスマートに演りきった感じはありましたが、初挑戦のフレッシュさでだいぶゲタ履かせてもらってもいた。視力検査を部活スポーツに見立てての青春ドラマパロディコント、着眼はなかなかなんだけど、なんとなく笑いに“爆”がつかないのは(月河がこの手のスポーツ青春友情モノに、パロられて興がるほどシンパシーがないということを割り引いても)どう言うのか、いっぱいいっぱいで、ラバーガールジャルジャルがうまく演ったときの心地よいバカバカしさ”や“透明度の高いくだらなさ”が足りないんだと思う。初挑戦にしては声が出ていたし、動きもモソモソせず切れがあったので、今後の経験値アップに期待しましょう。

そろそろ新年度体制の『オンバト』のココにダメ出してもいいかな?と恐る恐る出してみますが、“オンバトヒーローズ”コーナー、あれ、要りますか?正味130秒あるんですが、オンエア組数5で割れば、各18秒、ネタ時間を長く取れる。18秒で何ができるかと思われるかもしれないけど、18秒あればボケ→ツッコミを2回は入れ込める。5組に割らずに130秒で考えれば、MC塚原アナ、神田アナ時代にあったネタ後トークも2組分くらい入れられるでしょう。

何がイヤだと言って、過去にオンバトで活躍した芸人たちが、何の根拠も許可もなく“卒業生”ポジションで「あなたにとってオンバトとは?」など“総括”“回顧”モードになっているのが納得行かない。

参戦したり、参戦をやめたりが何を基準に決められているのか、視聴者には何も明らかにされていません。チャンピオン経験者ならば視聴者の中でも文句なく「“卒業”→次のステップかな」と線が引けますが。

アンガールズドランクドラゴンパペットマペットペナルティ、なぜ挑戦しなくなった?オンバトで認知度アップして他局バラエティに声がかかり露出が増えれば、チャンピオンにならなくても、チャンピオン大会未出場でも、“目的達成”?結成デビュー後の年数に“暗黙の出場制限”でもあるの?そもそも『オンバト』挑戦自体、“事務所の調整”入りなの?

公表されていないうやむやないろんなことに疑問をつのらせるだけの“卒業”“回顧”コーナーを設けるくらいなら、ネタ後トークでも何でも“いま現在のナマ”をより多く伝えるほうに時間や人的エネルギーを集中させてもらいたいと思うのです。

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魂衣技衣

2008-05-27 21:47:28 | アニメ・コミック・ゲーム

『花衣夢衣』42話。真帆(吉田真希子さん)と将士(眞島秀和さん)が13年前の悲恋を再燃させずっぽり不倫関係になってから、“誰がどこまで知っているのか”“知った上で、あるいは知らないがゆえに、真帆・将士・澪(吉田真由子さん)の各当事者に、どうしてほしいと思っているのか”の整理がときどきつかなくなるのですが、その中では“サワキには友禅製作に専念してほしい”で一貫している安藤(長谷川朝晴さん)と、時宜に応じて愛想は振りまくものの、コロモの下に常に“とにかく将士に店をしっかり継いで、跡取りを作ってほしい”のヨロイを外さない将士母・いより(田岡美也子さん)の輝きが相対的に増しています。

澪の将士へのレスポンス「(どうしたら元に返れるんだろうな?と言われても)私たちにとって、どこが“元”なんですか?」は最高でした。そもそも将士が澪との結婚を決めたのは、瓜ふたつの真帆との恋と一方的に去られた別れがあったからこそ。澪が出発点と思っていたお見合い・結婚は、夫にとってはそうではなかった。13年経てわかった、この裏切られ感は澪には耐えがたいものでしょう。

このドラマ、第2部からの双子ヒロイン役・吉田真希子さん真由子さん姉妹、特に第1部少女期のきまじめなキャラとは打って変わって“オンナの性(さが)”全開を演じなければならない真帆役の真希子さんの演技力へのダメ出しの論調がネットでは目立ちますが、月河は不思議とそこはほとんど気にならないんです。

もともとこの枠の主人公役に、特筆するほど演技力に定評ある人=“きれい”“可愛い”“カッコいい”“色っぽい”などより真っ先に“演技力優秀”がイメージの人が来演した記憶はあまりありません。そこそこキャリアや知名度のある俳優さんでも、“単発2時間ドラマや映画・舞台では実績があるけど帯ドラマは初”“明朗な役が多く、ドロドロただれた役どころは初”など、概ね「東海昼ドラヒロイン、相手役、こなせるの?」と疑問符がついて回るのがつね。主人公役として、矢でも鉄砲でも持ってきやがれ級に、どこから切っても誰が見ても磐石の演技力だったのは、思い出せる範囲では荻野目慶子さんぐらいではないでしょうか。

ドラマの出来、品質を決めるのは一にも二にも脚本脚色、次いで演出、その次に脇役だと、月河は考えています。昼・夜、若者向け主婦向け中高年向けなどを問わぬ普遍です。

主役は、極端な話、画面に映ったとき視聴者を惹きつけ離さない(好きな言葉ではないけれど)“華”さえあればいい。主役の演技力の優秀さがドラマの輝きや深み増に貢献することは大いにありますが、主役ひとりが演技稚拙というだけの理由で、ドラマが根こそぎダメになることはまずないものです。

客=視聴者が「主役のヘタさが目障り耳障りゆえ、ドラマに引き込まれない」と訴えるならば、引き込む力のあるドラマを作れていない脚本演出におおかたの責任はあります。上手でないその役者さんが主役をつとめることは製作端緒で決まっていたはずなのですから。

比較材料として適切かどうかはわかりませんが、日曜朝の『戦隊○○レンジャー』『仮面ライダー☆☆』をはじめ、特撮番組のほとんどは、オーディションでほとんど演技経験のない新人さんを主役に抜擢します。当然彼らの演技は特に放送スタート当初は稚拙そのものですが、そのこと単体で番組がつまらなくなったり、視聴に耐えなくなったりはまずありません。

なぜか。圧倒的なキャラクターやツール設定・ヴィジュアル造形への興味が(特にメイン客層たる小さいお友達においては)生身の演技への注目に優先しがちということもあるけれど、何より、新人が扮するヒーローたちに“正義感や使命感はあるが、変身戦闘能力をもって強力な敵と戦わなければならないという状況には不慣れか、初体験”“日々の戦いこれでいいのか?自分は正しいのだろうか、もうバトルは止めたいが止められない逡巡、葛藤、疑問”という地合いを、脚本上でしっかり作ってあるからです。

ヒーロー新人くんたちの演技への不安や自問自答、出発点が低かったからこその達成感を画面を通じ共有できる仕掛けがストーリー・脚本に仕込んであるからこそ、視聴者は1年間彼らと伴走せずにいられないのです。

『花衣~』の吉田さん姉妹の演技力や経験がじゅうぶんでないのは、最初からわかっていたこと。もし視聴者の感想が芳しくないならば、問われるべきは彼女たちのいっぱいいっぱいな佇まい、表情、台詞回しを“思いがけぬ運命の変転に戸惑いつつも、愛と誠意と、ともに幸福をと望む不屈の魂をもって立ち向かう女性”の物語として活かせていない脚本のほうだと思います。

押しも押されもせぬ大スターや大御所、旬のアイドルを予算にまかせて招集し取り揃えた劇場版豪華映画などとは違って、小粒な手駒、手狭なハコで客を逃さないよう作らなければならないTVドラマの制作は難儀なことではあるでしょう。しかしその高いハードル、険しい難路を如何にして越えるか、越えてなおかつ花を咲かせるかのプロ仕事を見せてもらえる、それこそがドラマ鑑賞の醍醐味でもあるのです。

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コピーワンスかダビング10か

2008-05-26 23:05:29 | アニメ・コミック・ゲーム

 Windows XPをお使いの方なら周知(なのか?)の通り、コントロールパネルから入れるスクリーンセーバーに“3Dパイプ”ってありますよね。

在宅PCユーザーになってからずっと、実質キーボード触れるのもディスプレイ見るのも自分ひとりだし、スクリーンセーバーは面倒くさいので設定しなかったのですが、モニターして見てるとちょっとしたガイアーク(@『炎神戦隊ゴーオンジャー』)気分ですよ。

特に純色設定にすると、“純”という、ケガレシア様が「侮辱!」と怒りそうな字句とは裏腹に、黄土色鉛灰色錆朱色など、微妙にヨゴでキタでケガなカラーコーディネーションでニュルニュルニョキニョキする(3大臣の名前がすべて“汚”の字の読みから派生していることもここで思い出しておくべきでしょう)。

最近は作業行き詰まり中のディスプレイにわざとこのパイプニュルニュルセーバーかけて、蛮機獣作戦が一瞬うまくいきかけたときの3大臣の気の早い酒宴(グラスの中身が飲尿療法?風)よろしくビールでビックリウムエナジー注入(?)するのが恒例になりつつあります。

ちなみにこの3Dパイプスクリーンセーバー、純色ではなくテクスチュア設定にすると、一転、(キタ様の造形の一部分を想起させつつも)“”画面になります。

さて、昨日、次クール630日(月)からの東海テレビ制作昼ドラ『白と黒』、音楽も楽しみと昨日の記事で触れたところ、今年もこのクールの作品のメイン監督をつとめられる奥村正彦監督から、ご自身のブログ(福井県勝山市のコミュニティスペース“かっちゃまねっと”内にゲストエッセイページをお持ちです)コメント欄で嬉しいレスをいただきました。

……万歳!『美しい罠』『金色の翼』(サントラCDは左←←←柱)この夏も岩本正樹さんの音が聴けます。奥村監督によると、テーマ曲のスケッチはすでに出来上がっていて、監督はそれを聴きながら絵コンテのプランを練る日々とのこと。監督の言葉を借りれば「今年も素晴らしく、美しく官能的」だそうですよ。さあタイヘンだ。

何が大変って、出費が(爆)。あと、時間も。監督からのこのレスを読んだ瞬間に、今年はデジタル録画可能な環境になったことでもあるし、“通常作”ならこの枠VTRで録画して、再生視聴後は適宜保存したり消去上書きしたりしていたところ、HDDDVDに落として保存すると決めたのです。決めたっつったら決めたのだ(何をリキんでおるのだ)。

DVD1枚にまあまあの画質なら正味25分×4話入れられるとして、全64話(814日は休止だそうです)で16枚。まぁ安売りを利用すれば198円程度で入手できるから…って、コレ、出費なんかより保存スペース捻出のほうがよっぽど大変か。VHSで残してた時代を思えば格段に楽になっているはずなのだが、依然、“大変感”が先行するということは、ようするに部屋がいっこうに片づいておらず、いよよますます片づかなくなりまさっているだけ、ということではあるまいか。ナチュラル・ガイアーク化か。ヨゴ・キタ・ケガか。来たるべき曲は「素晴らしく美しく官能的」なのに。

もちろんサウンドトラックCDのリリースも、ジャケ写、盤面デザインともども楽しみです。岩本さんのSTは、個々の曲タイトルも美しく、色彩感、肌触り感に富んでいるので、タイトルを手がかりに連想ゲーム式にイメージを描きつつ聴けば、音楽だけで一篇の物語を読むような気にさせてもらえるのです。

思えばこの枠のドラマを“定点観測”するようになったきっかけも01年の『女優・杏子』で、音楽が岩本さん、メイン監督は奥村さんでした。これも不思議な縁。

以前にもここで書いたかもしれませんが、いつか岩本さんのドラマ劇伴お仕事全集がDVDBOX化されないものか?とひそかに期待したりもしているのです。

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ヒラメ好きです

2008-05-25 18:29:28 | アニメ・コミック・ゲーム

7月期の昼ドラ(『白と黒』)でもうひとつ楽しみ、というか公式発表まで期待と不安なのが、音楽担当です06年『美しい罠』、07年『金色の翼』と、ドラマサウンドトラックの醍醐味を堪能させてくれた岩本正樹さんの音に、また会えるかどうか。

FMなどを通じて長年接してきた“○○(←アーティスト名)の「☆☆」(←曲名)という曲”式の認識と消費になんだか疲れてしまった(簡単に言えば、好きな曲ジャンルも贔屓のアーティストもあまりなくなった)時期と、ちょうど合致していたのもある意味ナイスタイミングでした。

ドラマという劇中世界と一体で楽曲を味わう楽しみ。劇中では23小節しかフィーチャーされなくても、実はキャッチーなフレーズだけではなくて、しっかり起承転結、2分ぐらいの独立した曲に織り上げられているものなんだなぁと、“音楽家の懐(ふところ)”という未知の扉を開いて新世界を垣間見た思いがしたものです。

この枠の音楽は充実していて、岩本さんの手がけた2作品をきっかけに、在宅時間のBGMとして、最近はFMラジオよりもCD愛聴時間が長くなりました。

今年はどんな音楽とドラマのコンビネーションとなるか。夏ですし岩本さんだったらもちろん第一希望なのですが、昨日の記事でも先週の新聞発表からちょっとさらって見たように、今作『白と黒』は20歳の西原亜希さんが扮する若いヒロインのお話と思われるので、あるいはこの枠初担当の、未知の作曲家さんと初お目(耳?)見えの機会があるかもしれません。それもまた一興。

『炎神戦隊ゴーオンジャー』GP15、害地副大臣ヒラメキメデス登場。造形は『電王』のデネブをちょっと思い出しました。似てないか。『電王』最終話しか見てないからかな。白基調の非ザラザラ質感だと、一気にプラスティックっぽく玩具っぽくなりますな。ゴーオンジャーたちに名前をなかなか正しく呼んでもらえなくて、最初は「…おバカたち」と余裕だったのが、だんだん本気でうなだれてくみたいになっているのが森の石松みたいで楽しかった。

5552話の巧のバッグの中身を思い出す走輔(古原靖久さん)の真っ赤プリントパンツ、マシンワールドの“天国”は“エンジェルワールド”らしいなど、今GPも、1秒も間延び退屈させないぎっしりメニューでしたが、死んだと思っていた副官帰還でルンルン、ヘビー級タップダンス始めそうなヨゴシュタイン様、なんだかなぁムードのケガレシア様(及川奈央さん)とキタネイダス様がやっぱりいちばんキュートでおもしろい。上官にも無断で行方をくらましていたということは、ヒラメキメデス、下剋上の野望を温めている曲者かもしれませんよ。

 空中戦のスペシャリスト炎神・トリプターとジェットラスも参戦して、絵柄が『エアーウルフ』みたいになってきました。GP16の予告映像では、中にの戦士が搭乗している様子。当然人間体もあるんでしょうね。この番組について書いた記事で何回このフレーズ使ったかわかりませんが、いやもう、ますます目が離せません。

 もうひとつ。ヒラメキメデスが搭乗機を操縦するシーンで、アクセル?を踏むブーツの足元、操縦桿を動かす手もとの各アップ、あのスティーヴン・スピルバーグ監督の実質デビュー作『激突!』のタンクローリー運転手を思い出しましたよ。あちらは最後まで顔かたち、正体わからないままでしたが、ヒラメキメデスも測量・計測器モチーフの造形の下に、いまは見えない“本当の姿”があるという暗示かな。

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