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イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

酷の時間

2009-07-27 06:51:41 | CM

812日(水)発売の岩本正樹さんによる『夏の秘密』オリジナル・サウンドトラック、本やCDDVDはできるだけ長い付き合いの地元の本屋さん、レコード屋さんを利用したいと思い6月に予約済みですが、ネットの通販サイトではもう収録曲数・タイトルも告知されているようですね。

“群青のシルエット”

“星屑の夜空”

“わき上がる雲”

“ガラス越しの空”

“湧き水”

…と、いつもながらにイメージ喚起力豊かなタイトル揃いです。

サウンドトラックCDで“誰某(←劇中役名)のテーマ”“○○ ~バージョンⅠ”“同 ~バージョンⅡ”“同 ~TV size”なんていう企画書まんまみたいなタイトルが並んでいて、ドラマオンエア時惹きつけられた旋律でも改めて聴く気が失せることがたまさかありますが、岩本正樹さんのこの昼帯枠劇伴は、じっくり聴ける時間がないときにジャケ裏のタイトルだけ読んでいても心が潤います。

35話冒頭、街金と成功裡に交渉し終え笑顔のフキ(小橋めぐみさん)と伊織(瀬川亮さん)を囲んで下町ご近所さんがささやかな祝宴を持った場面で流れた、メインテーマのカントリー風味なヴァージョンが、少女たちのフォークダンスのようでとても好きだったのですが、収録されているかしら。

ドラマ本編は24日(金)放送の40話で紀保(山田麻衣子さん)が伊織と訣別、龍一(内浦純一さん)によって伊織と自殺したみのりの本当の関係も明らかになった、ここからが物語の正念場でしょうね。

“ドラマが始まる現在時制以前に、既に起こってしまっていた(かつ、起こっていたという事実自体が叙述上伏せられていた)ことが、物語の現在進行を左右する”構成、特に昼帯で毎度毎度あるけど、どうにも視聴していて白ける話だ…と以前ここで書いた記憶がありますが、今作、伊織とみのりが周囲の他人たちからは“親密な相愛の恋人同士”と見られていたものの、実は事情あって生別した兄妹だったという真相に関しては、IORIMINORIのファーストネーム相似から観客にも早い段階で知れるだろうと製作側も“想定内”だったはず。こんなに名前の響きが似た他人同士のカップルなんて、“名前の響きが似ている”こと自体が作中でなんらかのネタになるラブコメでもない限りあるもんじゃありません。

えーーッ兄妹だったんだって!というだけでは、観客そんなに驚かないだろうことはじゅうぶん織り込み済みで、この先の展開は用意されているはずです。

 伊織みのりは兄妹、紀保の母は伊織の父の仇、伊織の母は紀保の父の何か(何だ)。…そんな事どもなんかに、ドラマの幕が開く前から観客に何の了解取りつけもなく裏でごそごそ決まっていて「実はこうでした」なんて後出しジャンケンみたいに提示された既定事実なんかに、人物の情念のベクトルが拘束されることなく、次の地平に突き抜けるストーリーが待っていなくては、ここまでの石垣の積み上げが何の意味もなくなります。さぁハードル上がった。

さてとっ、最近三日にあげず消費中のKIRIN“コクの時間”の新ヴァージョンTVCM、今日(26日)は昼間も酒類のCMオッケーな日曜、TVで初めて見ましたが、暑さ本番を迎えて“インドア篇”なのはいいとして、内田恭子さんの睫毛とマスカラが、ますますもって“どげんかせんといかん”レベルになっていますな(古いな)。

昔、「睫毛の上に煙草が乗る」を売りにしていた女性歌手がいて、バラエティでやって見せたりしていたものですが、そのうち、「コクの時間の缶が乗る!」ぐらいやりそうな勢いです。

そう言えば、「額のシワにハガキが挟まる」ってやってたのは誰だっけ。たけし軍団の松尾伴内さんだったかな。「パフェのチェリーのヘタに舌で結び目を作れる」ってのは…西村知美さんでしたっけ。河合奈保子さんでしたっけ。…つまんないことばっかり次々に思い出すな。

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ときめき☆お洗濯

2009-07-18 01:28:42 | CM

昼帯ドラマの恒例CM群、ふと気がつくと「これ見て好感覚える人がどこかにいるのか?」と首をかしげるシロモノに出会うことがあります。

P&G“ボールド香り長続きジェル”のCM、昼間の路線バスに乗った細身のイケメン若手サラリーマンが、最奥座席窓際に座った真っ白なブラウスの美しい女性を見かけ隣席に腰かけると、女性のブラウスからかぐわしいフローラルの香りが…ついうっとりして、青空バックの洗濯物の前で女性とさし向かい見つめあうファンタジーにひたって、「ワタシこの香りだーいしゅき」の声に思わず「…ボクも!」と唱和してしまい、我に返ると女性の背後から幼い女の子が顔を覗かせ、子連れのママだった美しい女性は微笑んでいる…というストーリー。

同じ停留所で下車後、女の子と手をつなぎ白ブラウスママが立ち去る背後で、イケメンリーマンくんがうっとりの余韻を引きずりつつ見送っている場面で終わるのですが、どうにもなんかムズガユイCMです。

白ブラウスママはいまだ妖精的な雰囲気の大塚寧々さん、リーマンくんはいまや石を投げれば当たるぐらいにTV界にあふれている若手イケメンの中でも“清潔感&知的担当”の平岡祐太さんが扮し、子役の女の子のはにかむ表情もそこそこ可愛いし、絵ヅラ的には何も不快な箇所はなくきれいにまとまっているんですが。

どうも“子連れママであることが、香り(と女性本人の美しさ)にうっとりした、その後から判明する”というところにムズガユサの原因がありそう。家庭用洗濯洗剤の客は圧倒的に女性、特に主婦なので、「ボールドで洗うと、白さと香りで若いイケメンくんもいちコロですよ」とでもアピールしたいのかな。そんなインチキに引っかかってボールドを選ぶ主婦がどんだけいると踏んでるのか知りませんが、子供を“後出し”するこたぁないだろうと。

基本に“美しい女性でも、ブラウスからいい香りがしても、パッと見あらかじめ子連れとわかったらイケメンうっとりしないだろう”という失礼きわまりない先入観がありはしないか。

いや、それ以前に“子持ちでも、若いイケメンにうっとりされたら、思わずニカッとしてしまう、近頃の子持ちオンナってそういうもんさ”という、これまた侮蔑に満ちた値踏みがありはしないか。

…なんか、ヒネクレて読もうとすればいくらでもヒネクレられるCMなんだな。「女の子1人だからうっとり見送ったけど、両手に連れて背中にもおぶって都合3人だったら、イケメン背向けて歩き出すんじゃないか」とか。少なくとも、いま未婚で結婚願望の女性ならともかく、かりに月河が幼い子供を、特に2人以上抱えて髪振り乱して育てている主婦だったら、えらく人をコケにしたCMに感じると思います。

いや、花嫁予備軍の未婚組でも、“通りすがりの、夫以外の男性にうっとり見つめられて嬉しげ”というところにもやもやを覚えるかもしれない。

何でもかんでも若イケメン出しときゃ女性客が釣れると思ったら大間違いだよ、というのがムズガユサの主成分かも。こういう“家事ずぶずぶ”の商品のCMって、ずぶずぶのまんま提示したらうんざりされるだけだし、甘美にきれいにくるんで見せたら見せたで斯くの如くムズガユくなるし、実際難しいですね。若い人たちが“結婚”とりわけ“子作り子育て”から腰が引けていくのが少しわかる気がする。特に女性にとっては、結婚イコール家事ずぶずぶですからね。

まぁ、ヒネクレ読み回路を断ち切って、「祐太くんカッコいい、萌え~」とアタマ空っぽにしてやり過ごすのがいちばんいいのかもしれない。近頃のCM、この手の“アタマ空っぽ推奨”がやたら目立つのは気になりますけど。

『夏の秘密』は第35話、7週を終了しました。俳優さんたちの役読み込みが深まってきたこともあり、観ていて釘付けになったり「うんうん、こう来たら、この人物ならそうなるよね」と思わず頷いたりの演技がそこここに観られて嬉しい限り。

街金の違法取り立てが龍一(内浦純一さん)の手腕で収束、ご近所さんからの祝福に「これからも伊織さんと2人で頑張ります」といつの間にか夫婦気取りのフキ(小橋めぐみさん)、祭りの夜の捨て身の裸求愛は玉砕したけど、“一緒に苦境を乗り越えた”という彼女なりの実感がエクスキューズになって、哀しくも滑稽な勘違いが根付いてしまった感。

あのときは精一杯きっぱり、でもリスペクトフルに斥けたつもりの伊織(瀬川亮さん)はフキの後ろでどぎまぎ、雄介(橋爪遼さん)はおっとりなりに心穏やかならぬ表情。

フキは借金問題以降、スレンダーな身体を心持ちクネッとさせて伊織にあからさまな、むしろ自信たっぷりな媚態に近いものを見せるようにもなってきていますね。気の進まない伊織を引きずって行っての紀保アトリエ挨拶訪問で「それにしても素敵なアトリエね、ウチの工場なんかとは大違い、やっぱり紀保さんはワタシタチとは住む世界が違うんだわ…そう思うでしょッ!伊織さんッ!」の語尾の勢いと向き直る速度には思わず笑っちゃいましたよ。伊織、牛乳飲んでる途中だったら絶対鼻から噴いたぞって顔。

フキを見ていると、女の子ってやっぱり幼い時から、満足に食べさせ学校に通わせてるだけじゃ“育てた”ことにならないんだなと改めて思います。きれいな洋服とかキラキラ光る装身具とか、髪を結って鏡の前でくるりとか、とにかく“お姫さまちやほや”的なものにあんまりひもじいままで大人になると、知性や社会生活能力に不足はなくてもどこか、特に同性から見ると痛い。たぶんフキの場合、母親が早世せず工場も左前にならず、信金OLとして無事に適齢期を迎えていたとしても、結局「私はつまらない女だから」とつぶやいては妹の奔放さにカリカリする20代で終わった気がする。

こういう想像をつらつらさせるのも、本当に小橋めぐみさんの演技のたまものだと思います。劇中ポジションはウザがられキャラだけど、見ていて興趣つきないんですよ、フキって。

一方伊織は、いつもよりちょっぴり着飾り髪も上げて紀保の前で若妻見せつけ気分のフキの隣で、おメメぐるぐるキョドる様子が、ちょっとステレオタイプだけどキュート。ブライダルサロンに恋人に連れられて来た男性は、たいていああいう表情をしますね。たとえ“彼女が一方的にその気”なわけではなく、男性本人も望んで結婚が本決まりだとしても、ウェディングドレスという、女性のものすごい渇望、幻想妄想エネルギーを集約具現化したアイテムがそこらじゅうにこれでもかとショーアップされている空間に入ると、男は窒息しそうになり、リアクションがとれないものです。

いいところにセリ(田野アサミさん)が乱入してフキを連れ出してくれ、紀保(山田麻衣子さん)とネジの話ができて、紀保が自分の名を伏せて仕事の口をきいてくれたことには負い目を感じつつもちょっとほっとしている、この高低差の表現がいいですね。

花火大会に紅夏ちゃん(名波海紅さん)を連れて行く約束を果たしたら夕顔荘を撤収すると紀保が言うと「自殺の真相を探っても死んだみのりが戻るわけじゃない、過去は振り返らないことにした」と伊織も乗って事実上の訣別宣言しましたが、帰りしな羽村社長(篠田三郎さん)と偶然出くわしたことで別のハラをかためた模様。みのりの部屋にあった赤い表紙のスクラップブックには、紀保と社長の2ショット写真もしっかりありましたからね。伊織母・みずえ(岡まゆみさん)の痛ましい現況に、羽村社長は関わっているのでしょう。「セタ?」「セタです」の硬い挨拶からして、お互いになんらかの認識があるのは確か。

紀保は、たぶん杏子(松田沙紀さん)から伊織フキ来訪を知らされて、応接室兼会議室に駆け込んでくるときの、はやる気持ちに足取りが追いつかないみたいな所作が可愛かった。伊織ひとりでの訪問ならともかく、フキがついて来てるのにそんなに嬉しいか?と初見では思ったのですが、伊織ひとりと聞いたら逆にいまの紀保なら足取りが重くなったでしょう。

とにかく顔面における“目”と“唇”という2大“心の窓”の面積比率の大きさで表情表現ではだいぶトクしてるなぁと思う山田さん、最近は首の傾け方や手の仕草でも感情が伝わるようになって来て頼もしいところです。

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ありがとう、君と

2009-07-08 22:11:12 | CM

たぶん日本全国で一千万人ぐらいの人が同じことを考えていると思いますが、オンエア始まったのは先週からかな?復帰した草彅剛さんがスーツ姿でカート引いてビジホの部屋に入ってホッと溜め息をつくP&G“アリエール”CM

「どこにいても、君が洗った真っ白なシャツが、ボクを包んでくれる。」

……よろしいですか?さぁ、皆さんご一緒に、

「 だ っ た ら 脱 ぐ な よ ! ! ! 」

………まぁ、まじめに、ポジティヴに考えれば、P&Gはイメキャラとしてよほど草彅さんを気に入っているんでしょうね。“衣類の汚れをきれいに落とします”“ウチので洗った衣類は気持ちよく着られますよ”というアピールをTVでするのに、こともあろうに“衣類何もかもぜんぶ脱いじゃった”人、「かねてから、お酒が回ると脱ぎたがる傾向はあった」、つまり、“着てるより脱いでるほうを快に感じているらしい”と世間に知れ渡ってしまった人を起用し続けるんですからね。

この洗剤CMシリーズ、一貫して「妻が~」「妻の~」と、草彅さんヴォイスのナレーションが入るので、耳にとまり始めた頃は、主婦層に人気の既婚男性タレントさんはいくらでもいるだろうに、なぜ未婚の草彅さんに「妻云々」言わせるのかなと不思議に思ったものです。それほど草彅さん個人、もしくはSMAP、ジャニーズブランドの市場的訴求力が高く買われているのかなと。

でも最近気がつきました。未婚のタレントを“幸せな既婚者”キャラで使ってる限り、「離婚・不仲・不倫スキャンダルで降板させるゴタゴタが無くて済む」

結婚絡みのトラブルから自由なことにおいて、“結婚していない”は最強無敵です。

実生活でのご夫婦芸能人による夫婦役CMが、いつの間にか流れなくなったなと思ったら、案の定間もなく別居、離婚が報じられた、なんてよくある話。ご夫婦出演じゃなく単独出演でも、既婚タレントさんは既婚じゃなくなるとかなり商品価値が下がるらしい。洗剤や柔軟剤や入浴剤を店頭で選ぶほうは、「CMしているタレントさんが実生活でもちゃんとしてるかどうか」なんて全然考えちゃいませんけどね。

それに比べると先般の草彅さんの“全裸事件”なんかは全然軽微なほうだと、スポンサーサイドは考えているのかもしれない。草彅さんが本当に誰かと結婚して「妻が~」のナレがリアル必然になったら、逆に「リスクが高まった」と考えて、イメキャラ交代となるのかも。

さて、P&GのこのCMがレギュラーで耳にとまる番組と言えば『夏の秘密』

こんなんでかりにも逮捕、裁判立件、本当に成立したのか?ってぐらいあっさり、みのり殺害事件が自殺認定にひるがえり、龍一(内浦純一さん)は無罪放免となったにもかかわらず、いまだ夕顔荘に借りた部屋を撤収できず立ち寄り続ける紀保(山田麻衣子さん)。彼女の中では、みのりが自殺に追い込まれた理由がわかるまで、事件が終わった気がしないのでしょう。

と言うより、“幸せにしてやりたかったみのりの、死の真相がわからないと、肩の荷が下りない”伊織(瀬川亮さん)の苦悩を、自分も共有したいという気持ちが紀保にすでに芽生えている。

単純に、「優しくて賢くて完璧だったフィアンセが、嵌められたとは言え他の女性と肉体関係を持って子をなし、要求されてカネまで渡しながら自分には隠していたとわかり、事件前に比べて薄汚れて見えてきた」「そこへ、自分のいままで知らなかった(貧乏で影があり無愛想な)タイプのイケメンが視野に入ってきて、時間や行動をともにするうちに心が傾いてきた」というだけの話ではない。紀保にとって、1819話で遭遇した、家賃滞納失業男の自殺の件と、それに関連しての伊織の言葉が重要だったと思う。「命に別状なくてよかった」と何げなく口にした紀保に、「“よかった”じゃ済まされない、あの人が本当に苦しいのはこれからだ、あんたは本当の貧しさってものがどういうことかわかっていない」「貧しいってことは食べるものや住む場所がなくなるだけじゃない、希望や夢を見る力も奪われる、そういうことなんだ」と硬い表情で断じる伊織。

紀保はこの後アトリエに帰りますが、自分の本業で得意分野である高価なオーダーメイドのドレス、海外出張帰りの父からの土産のスイーツ、王族から馬を購わないかとプレゼンされた話、興じる若い女性スタッフたち。いままで何の疑いも懸念も持たなかったホームグラウンドの世界が、不意に絵空事に思えて、会話に入って行けません。

紀保が伊織に心惹かれる動機は、斜陽町工場の長女フキ(小橋めぐみさん)が伊織に夢中になる動機と、対極なようで相似していると思う。

衰退する村と老親の家業に縛りつけられたカントリーガールが、どこからともなく馬に乗って現れた放浪の凄腕ガンマンに恋をするように、フキは伊織に“土着でないがゆえに、自分の人生を上り坂に転じさせてくれる可能性”を見て必死に「ずっとここにいて、私と生きて」と縋っていますが、紀保は伊織に暗に「あんたの住んでる世界は、(必死に生きてきた)俺から見ると甘っちょろくて薄っぺらだね」と指摘されたような気がしている。どちらも伊織が“自分の知らない、外の世界から来た(どこに去って行くかわからない)エトランゼ”だからこそ惹かれているのです。

紀保にとって、みのりが死に至った経緯と真相を究明したいと思うことは、伊織という男の内面、人となりを知りたいと願うことにほかならない。誇らかに輝いていた自分の世界を、一瞬のうちに安っぽい書き割りに変えた魔法使い=伊織の心が、紀保にはワンダーランドになった。

潔白が法的に立証された龍一が、再び“ふさわしい理想の婚約者”に返り咲いても、客観的に潔白で瑕疵がなければないほど、彼との結婚のレールに戻ることはすでに“色あせて見えはじめた日常”に過ぎなくなった。

カッコいいから好きになる、秘密ありそげだから興味を持つ、ふとしたとき優しくしてくれたからほだされる、そういうレベルの話ではない。紀保にとって、あるいはシャドウ・キャビネットならぬシャドウヒロインのフキにとって、伊織と、あるいは伊織への自分の思いと、向き合い対処することは、20代後半にして遅れて訪れた“世界との出会い”そのものなのです。

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青インクで恋文

2009-06-29 23:02:15 | CM

先週KIRIN“コクの時間”を試飲した話を書いたとき、TVCMにウッチーこと内田恭子さんとは、人選がちょっと微妙では…と触れました。

あの時点では、自宅の21インチのアナログTVでしか当該CM、見てなかったんですが、先日、出先の推定46インチフルハイビジョン液晶TVで偶然見たら、微妙どころじゃなかった。人選っちゅうか、演出間違ってるだろう。ナニユエあんなに化粧が濃いんだ。

濃くの時間”というシャレか(盛大倒爆)。

内田さん、若干顔が長めのため、新人アナ時代からやや実年齢より上に見えて好悪が分かれる惜しさはありましたが、普通にじゅうぶん美人さんなのにもったいない。

ビールに何が似合わないって、厚化粧の女ぐらい似合わないものはありません。仕事流れで何人かとお店で飲むときも、ちょっとコテコテ系の、みのもんたさんが“オジョウさん”と呼びそうな年代のママさんがカウンターで注いでくれる類いのお店入っちゃったら、勧められてもビールは飲みません。焼酎の泡の出ないもの割りか何かにします。

あれかな、素肌“地”の部分はそんなにコテ塗りじゃないのに、あの壮大な極太アイラインと、ミクロなオブジェのように立体感ありありのマスカラが醸し出す厚化粧感なのかな。「♪ぱんぱかぱーん」とか、ヒダヒダの透け物ミニスカでジャンプとか、「まいりました。」とか演出イメージ全体に内田さんの“任”とは違う気がします。

この商品で、タレント女子アナを起用という縛りがあるなら、現役になるけどNHKの神田愛花アナなんかいいと思うなぁ。ここで「要らない」ってさんざん駄目出させてもらった「今週のオンエアー!」(@『爆笑オンエアバトル』)のコーナーでやってた萌えメガネ顔に白シャツブラウスの女教師ルックとかも、ビール系飲料に合うと思いますよ。文字通りすごい“天然”感がある。

フジテレビ出身なら、だいぶ先輩になるけど西山喜久恵さんも好きだったな。最近見かけませんがまだ現役かしら。ちょっと腹黒そうだけど“なっちゃん”小島奈津子さんとか。やはり化粧は濃いめな気もしますが、なっちゃんの場合「化粧濃いね」と正々堂々ネタにできそうなキャラなんだな。

………それにしても、年齢が上すぎますかね。自主却下。

とにかく夏のビールシーズンだからって、なんでも、誰でも、青空の下、露出多い服で走ったりクルクルしたりさせればいいってもんじゃない。広告代理店さん、顔洗ってビール飲んで出直し。

『夏の秘密』は第5週、21話へ。柏木さん(坂田聡さん)の振幅が大きくなってきました。いまや謎の引きこもり博士じゃなく、ちゃかちゃか顔出しまくりで普通に挙動不審の小心者と化してますな。容疑者龍一(内浦純一さん)の初公判が近づき、みのり殺害現場を再訪した刑事たちにわかりやすくビクついている様子からいって、プロの覆面潜入捜査官のセンは消えたようです。

「あの男(=伊織)には気をつけたほうがいい」「あなたのことが心配で」と、味方する素振りも見せていた紀保(山田麻衣子さん)が、刑事たちから「羽村紀保さんですね」と話しかけられるのを見かけたときの反応が半端なかったので、いっそ事件に自身が思いっきり関わっていて、その自己防衛のために警戒してドタドタ逃げたり嗅ぎ回ったりしてたのかも。

「捕まった犯人、やはり罰を受けるんでしょうか?」は地味に爆笑しましたね。罰を受けるから犯人っつうんだっての。博士号とか研究の真偽はともかく、おっそろしく世間常識無いことだけは本当らしい。

このドラマ、“謎”は多くて、真相は何か?いつ明らかになるのか?の引きは強いのですけれど、ドキドキはらはら綱渡りの“サスペンス”は思いのほか少ないのです。紀保が“前職カーテン縫製業、上司と不倫して失業中の諏訪杏子”ではなく、“吉川みのり殺害事件容疑者の婚約者で、彼氏の無罪証明のため現場に潜入した羽村紀保”であることは、伊織(瀬川亮さん)にあらかじめ知られていただけでなく、みのりの行動解明の過程で加賀医師(五代高之さん)にも蔦子姐さん(姿晴香さん)にもあっさり自己カミングアウト、部分的にせよ味方についてもらえました。

紀保に恩を売ってアトリエ専属モデルにしてもらった代償に、杏子(松田沙紀さん)の羽村社長(篠田三郎さん)との結託をスパイしていたセリ(田野アサミさん)も、21話で赤子の手を捻るように杏子にバレ、「紀保さんが早くアトリエに戻ってくるように、私に手を貸さない?」とまるめ込まれてしまいました。

バレるか、バレないか、あぁバレるバレる…よしうまくいった!ホッ…と思ったら次の危機!という、サスペンス王道の引きはあまりありません。バレる/バレない、うまくいく/いかないで引っ張りそうに思えたポイントは、結構早めに片がついています。これはドラマ全体のためには良いことなんだか残念なんだか。

目下のいちばんの拮抗戦線は、実は相愛のフィアンセ同士なはずの紀保と龍一です。

“ボランティアのハシダタモツと名乗る男は、殺された吉川みのりの恋人だった男で、しかも紀保はそれを承知”と、杏子に告げられた龍一。「怖い顔で近づいてくれば誰でも警戒するけど、本当に怖いのは笑顔で、善人そうに言葉巧みに近づいて来る悪意」「ボクはいま囚われの身だけれど、キミを目に見えない悪意から守りたい」と暗に“伊織は疑ってかかれ”と拘置所のガラス越しに紀保に強調しますが、すでに「違うわ、彼は…」と、最愛の婚約者に抗ってでも伊織のための弁明をしたい気持ちになっている紀保。

しかも夕顔荘に帰って伊織と顔を合わせるや、「善意の顔で近づいてくる悪意には気をつけろと龍一さんに言われたわ、あなたが被害者の恋人と気がついて疑ってるんじゃないかしら」と速攻打ち明け相談、完全に“龍一を仮想敵に、伊織と示し合わせている”構図になっている。

客観的に見れば、紀保は逮捕前から、遡れば高校時代から家庭教師として勉強を見てくれた信頼できる龍一、拘留の身で外から断片でもたらされる情報に内心気が気でないにもかかわらず、懸命に精神の平衡を保ち正しい判断をくだそうとしている知的な婚約者のほうにこそ全幅の信頼を置き従うべきなのに、昨日今日偶然行動をともにすることになった、素性も知れなければどこまで本音を言ってるかも定かでない伊織のほうに軸足を傾けかけているわけです。

本当に、冷静に醒めた目で見れば、紀保がなぜ長く交際してきた龍一の真摯な諌めに従って、得体の知れない伊織を遠ざけ、公判傍聴も避けないのかわからないのだけれど、ここまでの物語が紀保視点で進んでいるために、観ているほうも70パーセントぐらい“伊織に気を許し、信をおいても当然”みたいな気持ちになっているから不思議。「龍一さんに、私たちが何をしようとしているか、何もかも話したほうがいいかしら」と紀保が問えば、「よしたほうがいい、話したところで俺への疑いが消えるわけじゃない、余計心配するだけだ」と伊織ははねつける。“この人、怪しい”“用心しなければ”と思うべきなのは火を見るより明らかなのだけれど、どっちを取るかの局面で伊織を信じるほうを取る紀保の気持ちも非常によくわかる。

何度もここで引き合いに出してきたダフネ・デュ=モーリアの『レイチェル』に、このドラマも結構がよく似ています。惹かれるべきでない、信じるべきでない人にどんどん惹かれ、味方だった人をいつのまにか仮想敵に回していく主人公。信頼できるはずだった人の、地に足のついた真っ当な諌言にも、実は純粋な善意と良識だけでなく“嫉妬”“私欲”が混じっていたりするから、ことはかなり厄介です。

“誰を信じていいのかわからない”“わからないということの厄介さに、本人も気がついていない”……追いつ追われつの綱渡りとはちょっと違った、これがこのドラマのいちばんのサスペンスどころかもしれません。

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整列!

2009-06-26 00:35:51 | CM

さてお待たせしました。…って誰も待ってないか。24日リリースのKIRIN“コクの時間”を試飲。

近所のコンビニに並んでるかどうかが、飲んでみる/みないの分かれ道だったのですが、24日深夜、並んでましたよ。350ml141円也。これはスーパーや安売りドラッグストアで今後どうにでもなるでしょうね。

 飲んでみた感じ…………これは良くも悪しくもSUNTORY‘金麦’のKIRIN

キャッチで謳っている“清冽さ”という名のクチあたりの好さを、KIRIN流に追求したらこうなりましたという感じでしょうか。

元祖純ビールの持つ峻厳さと言うか、男っぽいカドカドしさを極限まで取っ払って、クチあたりよさに特化したのが“金麦”で、この“コクの時間”はそれに、KIRIN的な“おじさん好み”“リーマン味”を残してみましたというところですかね。後味に微量、ほんの心もち、シュッと苦味がある。例の“デコクション製法”ってやつ由来でしょうか、濁りみや粘りみの、イヤな苦味ではなく、キャッチ通りの清冽と言ってもいい、澄明感はあります。

お値段がお値段ですから、SUNTORY金麦や、Asahiクリアアサヒ、あるいはSAPPORO“麦とホップ”でも、別にいいんだけど、なーんかひとつ物足りない、あるいはひとつ過剰な気がする、という向きには騙されたと思って一度お薦めします。お薦めしますが、「必ずや、前飲んでたのより美味しいですよ!」と保証はできません。ここまで来ると純粋に“好み”“嗜好”の微調整レベルですからね。

もちろん、「金麦大満足」「クリアアサヒ最高」「麦とホップ以外考えられない」という、各社のマワシモノ…ではなくて、えーと、何だ、熱烈なファンの方々にははなから何も申しません。無理言って方向転換していただくほどの何ものでもありませんから。

ツヤありベタ金色地に麦穂の輪っかというパッケージも、いまやさほど新鮮というわけでもありませんが、クレリックシャツを思わせるオレンジのピンストライプが、ちょっとトラッド風味です。ここらも、若めのホワイトカラーリーマンを意識しているのかな。

差別化されにくいこの新ジャンル分野で、SUNTORY金麦がやや先んじたのは一昨年、第三のビール各ブランドが一斉に値上げしたときに同年9月一杯までお値段据え置き、「最需要期の78月に“安いならこちらを”と価格で選んでいただいて、味を覚えてもらう」という、同分野後発であることを自覚した上での戦略のたまものでした。これぐらいやらないとアタマひとつ抜け出るのはむずかしいかもしれません。

そんなことを考えていたら、待ちうけていたようにTVCMにも遭遇。あのストローハットのちょっと面長な女優さんは誰?と思って調べたら、元フジテレビアナウンサーの内田恭子さんでした。わはは、『ジャンクSPORTS』ではまだダウンタウン浜ちゃんと共演してるのかしら。あちらはクリアアサヒですが。

やや微妙な人選ですね。フジ局アナ時代は“ウッチー”と渾名され女子アナファンの人気を支えたようですが、もう既婚者ですしね。“金麦”の檀れいさんのような“嫁にしたい系”戦線からは降りているし、いま同系統の商品のCMキャラをつとめている菅野美穂さんや相武紗季さん、香椎由宇さんのような“ナチュラル系”“庶民派”でもない(香椎さんはむしろ対極の、浮き世離れキッツめお嬢イメージでしたが、オダギリジョーさんと結婚されてからちょっと動きました)。

慶大卒の帰国子女、月河が男ならむしろ“カネのかかる女”と、敬して遠ざけたいくらいのタイプです。

同性から見ても、ひとりでもお子さんを産んで、子育て露出でもされない限り、ママタレとして親近感を手探りできるタイプでもない。

結局この商品、どこ層向けに発信されてるんでしょうかね。考えながらもう1缶いってみるか。

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