さてさて、そうこうするうちに、9月期(9月5日~)の昼帯ドラマも発表になっているわけです。うっわー、ついこないだ4月期の『霧に棲む悪魔』が終わったと思ったら、もう秋クールの話題。指切ったり縫ったり、ニンニクとノドのクスリの成分組み合わせの研究(?)に夢中になっている間に、時間はどんどん過ぎ2011年もすっかり後半戦なのだなあ。
『毒姫(どくひめ)とわたし』。…ふうむ。『王様と私』を思い出す。ザ・キングアンドアイ。♪シャーウィーダン、チャッチャッチャー。ユル・ブリナー。デボラ母(かあ)さん。未視聴ですが韓国時代劇ドラマに『王と私』もある。NHK朝ドラの記念すべき第1作は獅子文六原作『娘と私』(昭和36年)。“○△と私”というタイトリングは据わりが良くて使いやすいのでしょう。“わたし”って重いですからね。ボトムに持って来ると安定感がある。
“毒姫”なんつうと今昔物語説話みたいですが、内容紹介を読むと“毒舌の姫”=黒川芽以さん扮する車椅子のキャバクラ嬢・美姫のことを指す様です。
んで、“わたし”が櫻井淳子さん扮するアラフォーシングル編集者・小麦。櫻井さんは2006年の『美しい罠』以来5年ぶり、黒川さんは07年『愛の迷宮』以来4年ぶりのこの枠参戦となりますね。
他キャスト名をざっと見ると、04年『愛のソレア』以来7年ぶりの荻野目慶子さん、02年『母の告白』以来9年ぶりの国広富之さん、さらには08年『愛讐のロメラ』以来3年ぶりの渋江譲二さんに、09年『非婚同盟』以来2年ぶりのいとうまい子さんと“ブリ”の大漁大特売に、昨年の『インディゴの夜』の記憶も新しい加藤和樹さんの名前も見え、要するに昼帯キャスティングチーム、昔のお付き合いで声かけまくって集めたような気がしないでもない。
『美しい罠』は忘れ難い、2006年でいちばん深く入り込めたTVドラマで、大枚はたいてDVD-BOXも全巻予約入手。本放送中の自前のVHS録画と合せ技で何度も再生視聴、同じ年の秋に始めたこのブログで、かねて贔屓にしていたこの枠のドラマについて、たびたび言及するきっかけともなった思い出深い作品です。
『愛の迷宮』は諸般の事情で本放送は中途下車しましたが、黒川芽以さんが運命の子・ゆりあ役で参戦した頃までは一応はまっていました。現在当地で、他局の地上波で再放送中で、100パー出先の待ち時間しかない時間帯にもかかわらず、空いていると結構チャンネルをアレして観返す気になります。「そうそう、このあとアレがああなるんだよ」「あれ?そっち行くんだったっけ?忘れてたなぁ」という“復習”視聴もまた楽し。
いまさらこんなこと蒸し返してもなんですが、櫻井さんにしても黒川さんにしても、『罠』『迷宮』それぞれのキャスト発表を見た時点では、好感を持っていた女優さんではありませんでした。少なくとも「この人がヒロインなら観ようか」という気に積極的にさせるお名前ではなかった。櫻井さんは、文句なく美しいけれどもちょっと蓮っ葉で賢そうじゃないイメージがありまして、何かハート、スピリットにずしんと来ないというか、物質的なレベルにとどまっている感じ。黒川さんは、女優さんと言うより、萌えニーズの美少女“タレント”。
それが、いざドラマが始まってみて、設定やストーリーや劇中人物のキャラにはまってくると、役者さん単体をどう思っていたか、好きだったか嫌いだったかなんてまったく何の問題にもならなくなってしまう。それどころか、終盤~最終回頃には、「見損なってて失礼しました」「こんなにデキる役者さんだったとは」と180°評価が反転さえするのです。チカラのあるドラマ、ドラマのチカラというのはそういうものだと思います。
しかしまぁ、今般、せっかくの櫻井さん黒川さんのダブルヒロイン起用ではありますが、“アラフォーシングルキャリア女性と”“ハンデキャップを持つ20代女性の”“女の友情”を通して“人生の本当の幸せとは何かを問う”“ヒューマンコメディ”と、月河にとって宇宙一興味のないテーマとモチーフをこれでもかと並べたようなキャッチなので、どうやらこの枠、9月からも“次々作情報待ち”内定。昨年の同時期は『天使の代理人』をやっていましたね。暑さから解放される季節は“女の生きかたタイム”ということで定着させたいのかもしれません。東海テレビ、いま何かと逆風ですから、10年来のこの枠ウォッチャーとしては応援したいですけれどね。