イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

フリーズフリーズテルミーナウ

2012-05-01 00:33:56 | 昼ドラマ

昨夜はPCを前にして凍りつきました。怒りというか脱力というか。2月に突然電源が入らなくなったときもかなり焦りましたが、23日前からACアダプタ接触不良らしき画面のチラつきが兆してきていましたので、凍りつくと言うよりは、やっぱりこうなってしまったかという、予測の範囲内での落胆でした。

昨夜はねぇ。なにしろこのブログの、インターバルをおいてまる1日がかりで書いた記事が、いつものように“保存(=投稿)”クリックした途端、“****(←意味不な文字列)無効なセッションです。”の表示とともに、一瞬で消えてログイン前の画面に戻ってしまったのです。力作の記事は亜空間へ転送されてしまった。ゴーバスターズ出動。んなわけにはいかない。

1ヶ月弱、気を失っていた間に、わがブログの大家さん・ブログ人のシステムも微妙に変わったか。通常なら月河、このブログの記事はまずWordの白地画面に好きなように落書き的にざくざく書いて行き、読み返してなんぼなんでもネットにゃ不向きだと思う箇所を自主削除して、それをブログ人の作成画面にさくっとコピペして字体や字色をちょこちょこ編集し、TV番組タイトルなどは判明する限りリンクをはって、いざ“保存”とするのですが、昨日はすぐ書き終わるだろうと思いいきなり作成画面に直書きし出したものの、書いている間に予想外に何度も何度も邪魔が入り、その都度PCをスタンバイ状態にしては、数十分後、数時間後、また戻って書き続け…を繰り返し夜中までやって、“保存”のときには日付が変わっていたため、ひょっとしたら大家さんのほうで「こんなログインはもう無効」のジャッジを下したのかもしれない。公共機関のコインロッカーが、業務終了時刻を過ぎると有無言わせず閉鎖になるようなものかも。“保存”クリックする前に、逆に記事のほうをWordにコピペしてファイル保存しておくべきだったか。

それにしてもつれない大家さんです。“無効なセッションです。”って。亜空間に転送する前にひとことエンターからメサイア様のお言葉伝達ぐらいあってもよかったのに。

…………………………

あまり激烈に凍りついたため、何を投稿しようとしていたんだかほとんど忘れてしまいました。「まるごと震災復興応援励ましソフトとわかったので、ドラマとして取扱い論評するのはもうやめる」と一刀両断にした『梅ちゃん先生』ですが、梅子(堀北真希さん)が所属するC班メンバーのひとり=瀬川典子として、4年前=2008年の昼帯ドラマ『白と黒』で出ずっぱりヒロインをつとめてくれた西原亜希さんの顔が見えるので、メンバー中唯一の既婚者(でも戦争未亡人)子供ありという境遇設定にとどまらない強力キャラになってほしい、元・昼帯ウォッチャーとしては…というようなことを書きたかったんだと思います。

『白と黒』撮影当時西原さん19歳。彼女扮する理系知性派ヒロインが、仮面ライダーヘラクス(@『劇場版仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE)と婚約中の身にもかかわらず仮面ライダーガタック(@TVシリーズ)にも心引かれ、そのあいだに、或る時は江戸深川・地蔵湯の女将(@『陽炎の辻』)、また或る時は安来大塚は田村醫院の看護師(@『ゲゲゲの女房』)がはさまって、さらには同じく安来大塚は飯田酒店の長男の嫁(@同)も暗躍して、三角四角五角関係を繰り広げるという、華麗なのかマイナーなのかわからん混迷した世界を演じ抜いてくれました。

あれから4年、それでもまだ23歳。梅子役の堀北さんとは3ヶ月差しかないのに、しっかり年上感があるのがすごい。

←←←左柱に載せてある『白と黒』のオリジナル・サウンドトラック曲たちが似合う季節感にもなってきたことですし。

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僕だってサ

2012-02-12 01:06:34 | 昼ドラマ

長女・優子(新山千春さん)の彼氏・梶山悟役の内田滋(しげ)さんは、昭和30年代後半から40年頃にかけて、和泉雅子さんと日活青春映画の名コンビだった故・山内賢さんによく似ておられますな。斜め横顔が特にね。スッと直線的に角度のついた鼻筋、若武者風にととのったお顔立ち。そう言えば優子役の新山さんも、くりりんとくっきりした容貌で、当時の和泉雅子さんを、スレンダーモデル系にしたような感じでなくもない。

「うちはもうあきません~」の軍国小芝居少女・優子ちゃんも東京の洋裁学校を卒業して、御成婚ミッチーブームに沸く昭和34年にドラマは進んだわけですが、アイビールックの悟と、サンローラン風ストレートラインワンピの優子の2ショットはさりげなく高度経済成長時代の銀座四丁目辺りが似合いそう。

内田さんをドラマで拝見するのは2008年の昼帯ドラマ『安宅家の人々』以来な気がするのですが、当時は内田さん、心やさしきピュアな知的障害青年を演じるために、「可愛く見えるように」とかなり増量して撮影に臨まれたと聞いています。その甲斐あって?撮影時29歳の内田さんが、場面によって10代の少年にも、育ちきらない30代にも見えたから大したもの。今般の『カーネーション』で普通のシュッとした体型で登場すると、これ以上ないってくらいの正統派“ハンサム”さんでしたな。

写真を一見した千代さん(麻生祐未さん)ほか、小原家集合ご近所おばちゃんズは「オトコマエや~」と感嘆ユニゾンでしたが、「男前」とか「イケメン」とかより、「ハンサム」がぴったし。そこはかとなーくオールドファッションド、よく言えばトラッドで、いまどきの二の線男優さんにしては高身長でない(公称172.5㌢)のも高“ハンサム”ポイントです。全身より、顔がバーンと来る感じがね。

登場の108話=10日(金)では、「婿に入ってもいいかナ、って」「大阪をよく知らないので仕事はお義母さんのツテで」と人生設計のスイートっぷり全開、糸子(尾野真千子さん)に事実上“顔を洗って出直して来い”と一蹴された悟さん、翌日の109話では一度も顔を見せませんでしたが、あっさり撤退したんじゃ優子が不憫すぎるし、ホテルで言われた通り顔洗って態勢立て直し中なのかな。

最近の『カーネーション』はエピソードとエピソードとが有機的につながらないので、ひとつの話題がドラマの中心にくると、前週~同週前半辺りでかなり中心だった話題でもあっさり“無かったこと”みたいになることが、残念ながら多いのです。奈津(栗山千明さん)の中年紳士・桜井(ラサール石井さん)との結婚後も、安岡美容室に飾られた花嫁衣装写真以外気配がないし、奈津への想いを秘めていたらしい安岡家長男・太郎はその後顔を出すこともなくいつの間にか子持ちになっていました。

まぁ、そこらへんは視聴しながら想像でつなげる余地ができるわけだから楽しみはあるのですけれど、ドラマとしてゆるくなった感は否めない。やはり、子供たち3人が“ヒロインの子”にとどまらず、独立人物として活動し出すと、それぞれ粒揃いにユニークなエピソードひとつずつを追って映像化していくのに忙しくなってしまうようです。

30分枠、全5065話程度の容量の昼帯ドラマでも、ヒロインの子世代に話の重心が移った途端、目に見えて求心力が落ちる。やはり心情として、いたいけな幼子から少女期、青春期の葛藤~自立出世と恋愛模様、結婚して子をなすまでのすったもんだをつぶさに見せてもらってきたヒロインが「今度は自分の子供たちを輝かせるために脇役に引く」ムードになると、見るほうも幕引き態勢に入ってしまう。

我らが糸ちゃんは、サンローランのサックドレスやアイビーの流行をさっぱり魅力的と思えない自分に苛立ち、フランス渡来の上物生地にときめき、自信を持って売り出したデザインのコケを悔しがるなど、まだまだ現役洋裁師・服作り職人としての気概も闘争心も失っていないのはさすがで、頼もしいですけどね。大正2年生まれ、昭和34年ならまだ46歳。娘たち役の皆さんが揃っていいカラダをして大人っぽいので、そのお母ちゃん、ついついすごい年いってるように思いがちですが、どっこい糸子だって全然若いのでした。

まぁ、でも、まだ完走まで7週も残してはいるものの、月河にとってのこのドラマのピークは第10週の「嫌いたかったら嫌ろたらええ」「なんぼでも嫌ろてくれ」に尽きます。あぁ自分はこういうヒロイン、いや“女ヒーロー”に会いたくて、数々のドラマを見てきたんだな…と心から思え、糸ちゃんにとっても、応援モードで見守ってきたいち観客としてもつらいエピだったにもかかわらず、あの56話の放送日は一日中、そこはかとなく充実気分だったものです。前週から引き継いだ幼なじみ勘助(尾上寛之さん)への、友情でもあり親心ならぬ“姉貴分心”でもある、幼時から一貫する糸子の心情を“地”に織り詰めつつ、“勝者及び、勝者たらんとする者”の光と影を染め上げて見せた、素晴らしい場面、超絶の台詞でした。

あれだけの高純度、超鋭角で斬りつけて来るテンションをこの作品中でもう一度味わえるとしたら、あとは最終週ぐらいしか無いかもしれません。でもその頃は、糸子は尾野真千子さんではないんですよねぇ。

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倒壊せず

2011-11-14 00:04:08 | 昼ドラマ

巻き返し著しいNHK朝ドラに負けじと、個人的には『霧に棲む悪魔』以降放置まんまになっている月~金昼帯枠も、例の東海テレビ赤っ恥放送事故以降の大逆風でハラをくくったらしく、来たる2012年、年明けからのクールはいままでにない渋い企画をぶつけてきました。

『鈴子の恋』…って風俗嬢モノ?とタイトルだけだと思ってしまいますがさにあらず。“鈴子”とは昭和の偉大な女芸人・故ミヤコ蝶々さんの本名=日向鈴子のことで、旅芝居座頭の娘として生まれ、厳しい稽古を積んで、恋に生き芸に生きの波乱の一代記だそうです。

くはー、そう来たか。ついにこの枠も。

NHK朝ドラでも、成功しているのはたいてい昭和の女性一代記、それも実在人物の実話ベースだし、帯で多話数となるとやはり昼も“これ系”しかないという結論になったか。蝶々さんの人生ですから、妻子ある男性との許されぬ恋あり、パートナーの浮気あり離婚あり事実婚ありと、“芸のことはコッチにおいといて”の男女関係絡みだけでも“無い要素が無い”くらいのてんこ盛りになるはず。NHK朝ではいろいろ内部コードに抵触するエピも、何でもありの昼帯ならほぼ全セーフだろうし、ネタ切れの心配だけはまずないでしょう。

蝶々さんは芸能史上大きな物件でしょうが、失礼ながら個人的にはさしたる思い出も思い入れもありません。『太陽にほえろ!』のボン=田口刑事(宮内淳さん)のオカンとしてちらっと出てべらぼうに味を出していた記憶程度。あれは見事だった。どこがボンボン刑事?と思えた浅黒長身の宮内さんが、蝶々さんとからむと本当に浪花のぼんぼんに見えましたからね。

個人的にはまったく興味のない人物伝でも、ドラマとしておもしろい出来なら虜になり得ることは現行『カーネーション』で日々実体験中です。

主演の、蝶々さん=本名鈴子役に映美くららさん。宝塚歌劇団の娘役トップOGさんですね。かなり浅い学年でのトップ抜擢で当時話題になっていました。BSの番組で何作か拝見しましたが、相手の当時のトップ男役さんがカリスマ感カンロクたっぷりのダンス名手・紫吹淳さんで学年差も大きく、“可憐に添っているだけ”であまり印象がなかった。卒業後は『相棒』の2008年元日SPと、昨季season 9、右京さんがオーベルジュに客として入り込むエピ(『招かれざる客』)でお見かけしました。ヅカの優等生姫役らしく、清楚系のきれいなかたですが、卒業後のTV界での活躍は、本数結構出てるわりに浸透がいまいちなのか、媒体で“映見”と表記されてることがたまさかある。下の名前がコレの女優さんが長くご活躍ですから、emiで変換打つと出てきちゃいますからね。もう少しアピールがんばってほしいところ。

新聞発表のスチールだと、映美さん32歳で横一直線前髪に三つ編みお下げ姿の鈴子はかなり厳しいですが、『カーネーション』でも撮影時29歳の尾野真千子さんがお下げの14歳女学生役を好演したばかりだし、演技力と演出スタッフの腕の見せどころ。鈴子幼少時役は、ちょっと前までアイドル子役の代表格だった美山加恋さんだそうで、どうにかうまいことつないでもらいましょう。『僕と彼女と彼女の生きる道』の凛ちゃんから7年、実写版ちびまる子ちゃんからでも5年半。子役さんに流れる時間は早回しなので、どんなヴィジュアルのローティーンになっているのかちょっとドキドキものですが。

ただ、最大の問題は、このドラマ、脚本が大石静さん。残念なことに、2011年現在、作品タイトルや概要を知る前から「無理」ときっぱり言える数少ない脚本家さんのひとりが大石さんなのです。90年代の『おとなの選択』『ヴァンサンカン・結婚』『長男の嫁』『私の運命』など、最初から無視だったわけではなくチラチラ試し見はしているけれど、初回でも途中でも、どこか1話見て続きが見たくなった、あるいは最終回を見とどけたいと思った作品がひとつもない。1996年の朝ドラ『ふたりっ子』は当時の家族が結構熱心に見ていましたが、三倉マナカナちゃんが本当にそっくり双子さんだなぁという以外、どこに興味持てばいいのかさっぱりわかりませんでした。

何で「無理」と思うのか、分析する気にもなれない。たぶん、ストーリー、設定、人物像、何がおもしろくて、何がおもしろくないかという座標がこっちのそれと噛み合わないのでしょう。大石さんは4年ほど前に、久本雅美さん主演で2時間枠単発の『ミヤコ蝶々ものがたり』を書いておられるので、そのへんを買われての登板と思われます。

父親役が片岡鶴太郎さんでタイトル題字も書き、育ての母役が浅野ゆう子さんで、主題歌が松任谷由実さんで…と読み進むと、あまりの“中高年感”というかフレッシュ感のなさにどんどん気持ちが下向きになって行きますが、かつて個人的に“積極的に勘弁してほしい俳優さん”の代表選手だった水谷豊さんを主演に据えた『相棒』がいつの間にか贔屓シリーズになったように、ドラマ本体さえおもしろければキャストの好悪、得手不得手は比較的簡単にクリアできるものです。

しかし、脚本となると。限りなく“ドラマ本体そのもの”に近いだけに。20年近く「無理」なまんまの脚本家さんが、一作で、食いつける方向にひっくり返り得るものかどうか。

“昭和実在女性の一代記”“恋あり情けありの芸道ビルドゥングスロマン”という、帯ドラマならではの原点食材に、この枠もついに回帰したという一点は評価したいし注目もしたいけれど、実視聴はどうするかいまだ二の足三の足。これ系なら、他の、月河よりもっと適性の向いてるお客さんがかなりいそうなので、そちらにウォッチングお任せしたほうがいいような気もしますし。

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最後の花ざかり

2011-09-17 01:19:02 | 昼ドラマ

『おひさま』後半戦に入ってからの、これはめでたいニュースと言っていい、のでしょうな。劇中では、海軍医として搭乗した潜水艦で太平洋の藻屑と消えてしまった春樹兄さん役・田中圭さんが結婚。それも出来婚というか授かり婚というかオメデタ婚というか後先婚というか、早まり婚と言うか、いや言わないか。要するに“2倍めでたい”パターンだそうで。

一応、劇中では真知子さん(マイコさん)への想いを胸に秘めたまま逝った役回りなので、出演回の放送が完全に終了するまで発表を控えていたのかも。妊娠5ヶ月。微妙だ。いろいろと想像を掻きたてられますが回り回ってめでたいんだからまぁいいか。

 5ヶ月といっても、当然ながら田中さん本人がではありません。だったらニュースヴァリュー一億倍だが。お相手はさくらさん。“上原”も“横峯”も、“まや”も付かない、ただのさくら。アルファベットでもカタカナでもない、平仮名のさくら。

 名字レス芸名なところをみると、世界のコレクションを転戦するショーモデルさん?と思ったら、なーんだ、2005年秋のTBS系昼帯『貞操問答』の“女郎蜘蛛”新子ちゃんじゃありませんか。うわぁ、なんだか懐かしい。放送当時は、“野良猫”いとうあいこさんとあまりに顔かたちもヘアメイクも酷似していたために、出ずっぱりヒロインにもかかわらずさくらさん単体の印象があまりなかったのですが、『貞操』の少し前、『瑠璃の島』で金子昇さんの妹役だったのを思い出すと、少し印象が補強されました。モデル系というほど派手じゃなく、もう少し日本風で控えめなルックスの、美しいかたです。

 それにしても、話が変わりますがあの2005年の秋は、振り返れば実にえらいことになっておりました。1300からTBS系でこの、文豪・菊池寛原作『貞操問答』、1330からは昭和―平成を跨ぐ少女漫画の巨星・一条ゆかり原作『デザイナー』。同枠真ウラのフジテレビ系ではフランスのキリスト教文学の巨匠アンドレ・ジッド作『田園交響楽』を原案とする『緋の十字架』。昼帯に、純日本製の、新作のドラマ枠が3枠というだけでいま思えば夢のような話ですが、“(一見)デカくて、(テーマより仕立てが)重くて、(そこはかとなく)クサいお話”をこそ昼帯に待望する月河にとっては、盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たようなクールでした。

 『貞操』はヒロインさくらさんに軽く恋敵ポジションのいとうさん、ほか大浦龍宇一さん、山下容莉枝さん、筒井真理子さん、原田篤さん窪寺昭さんの特撮OB。『デザ』は国生さゆりさんを花芯に、松本莉緒さんを花弁に、塩谷瞬さん天野浩成さんとこちらも特撮ヒーローOB、それも“赤組”。

 『緋の』に至っては、主人公がヒロインではなくいきなり特撮ヒーロー西村和彦さん。その息子役がこれまた特撮出身竹財輝之助さん。取り巻く女性陣が喜多嶋舞さん越智静香さんつぐみさん橘実里さん……もう、こうして、豪華なんだか多彩なんだか、単純に時間帯相応なだけなんだかよくわからないキャスティングを回想列挙していくだけで、当時の高揚感がよみがえります。

高揚感。そう、たとえば湖面にうつる富士山の全景とか雲海とか、そういう広壮でセイクリッドなものを見晴らす高揚感ではなくて、押入れで見つけた、かつて誰かの愛蔵品だったらしい中古のミニチュア玩具箱の中身をひとつひとつためつすがめつするときのような、ある種秘密めいた、インドア的高揚感です。

当時の月河家のTV環境は当然純アナログですから、ビデオデッキ2台を週5日フル回転させて、録るのも再生するのも大忙しで、よく体力も、ヒマも続いたものだと思います。

いや、趣味とか道楽とか言われるものは何でもそうですが、はまってる最中の、はまってる本人にとっては、「しんどい」「メンドくさい」というワードが、ある期間辞書からきれいに消失するんですよね。

残念なことですが、この2005年秋をもって、そういうシーズンは二度と来なくなりました。来ても“盆”、あるいは“クリスマス”単独で、しかも“きっちり盆の期間だけ”“クリスマスイヴと当日だけ”で、名残りを惜しむでもなくそそくさと去っていく。

あまり考えたくないけれども、存分に“デカ重クサ”で、かつ“後をひく”連続モノは、もう韓国製にしか期待できないのかもしれません。

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赤心腹黒

2011-09-07 00:43:26 | 昼ドラマ

23年ほど前まで、フジテレビ系昼帯ドラマの番組公式掲示板は、何かしら書き込むとアンケートページが出て、「ドラマ化してほしい小説、漫画、映画などはありますか?」という質問がトップにあったものです。

月河がここを訪れて書き込みをするたびにこの質問に対し挙げていたのがスタンダールの『赤と黒』とモーパッサンの『ベラミ』

その時々、放送されている作品への体温によって、掲示板訪問の頻度は違うのですが、通算すると都合5回か6回はこの2タイトルを書き込んだと思います。

要するに、オスのフェロモンを武器に女をたらす男が主人公の話を考えていたのです。

この枠のドラマは概ねほとんどの作が女性主人公で、男性人物の筆頭はその相手役です。白馬の王子さま役であったり心広く温かいサポート役であったり、頼れる兄貴風であったり、時にはツンデレ好敵手役であったり、“ヒロインとくっつけばいいのに、早くくっつけ、がんばれ”と視聴者がつい応援したくなるような立ち位置と人物像に設定されていることが多い。つまり、どこまでもヒロインあっての相手役です。

とは言え観客は大半女性ですから、“相手役のカッコよさがいきなり目当て”で視聴する客だって多いわけです。だったら“戦略的に異性に向かってカッコよくする男”を主人公にしたっていいじゃないか。

普通の作品の“ヒロインがひたすら全方向キラキラ→男性人物は全員ヒロインにくらくら”構図を逆矢印にして、なおかつ全体像をネガポジ反転させる。男主人公がただ直球キラキラしているのではなく、“ブラックキラキラ”、つまり善意や純粋さ誠実さで、自然と、無意識に異性を魅了するのではなく、とことん意識的に、打算腹芸二枚舌上等でたらし込んで行く。“カッコよさ”と“許せない”の狭間の男キャラを、普通ならヒロインを翻弄する側に配置するところ、“主語”側、人物相関図の中心にドカンと据えて台風の目にしてしまってはどうかと考えたわけです。なんと斬新なアイディアだろう(どこがっ)。

…まぁ典型的昼帯の、ウザ薄幸でイライラさせるめんどくさいヒロインと、誠実バカのどんずべり王子との話を34本も付き合ったら、シロウトでも思いつき一度は待望します『赤と黒』と『ベラミ』。

読まないので知らないけど、きっと現代の日本の小説やコミックにも似た系がごまんとあるはず。月河と同じようなことを考えて似た系をアンケートに書いた昼帯ウォッチャーは、多いとは言えないまでも結構いたのではないかと思うのですが、そういう(たぶん)一部の声を取り入れてめでたく……………にぎやかホスト集団癒しモノ『インディゴの夜』2010年)に結実したかと思うと非常に脱力、その後アンケートページも出なくなって、昼帯に関しては完全に“小粒化・薄味化・やっつけ化の急坂を転がり落ちるに任せる”状態が続いて今日に至っています。

月河のそんな昨今の意気消沈(てほどでもないが)を励ますかのように、あるいは嘲笑うかのように、タイトルそのものずばり『赤と黒』というドラマが今週からNHKBSプレミアムで始まりました。

11時間フル枠で全17話。おぉ豪快。食べ応えありげ。

聴覚障害の父を持つ貧しい家庭から、財閥グループ会長の血を継ぐ庶子として迎えられながら、DNA鑑定による本物庶子が見つかって要らない子になりあっさり放逐された少年。育ての両親は放逐された彼を迎えに行く雨の夜道で自動車事故死。成長した少年は映画界の影武者=スタントマンとなり、自分を奈落の底に突き落とした財閥一家に復讐を誓って接近。誘惑の標的はうぶな女子大生の妹娘、そして人妻となった姉娘。一方本物庶子にセレブ婚狙いで近づこうとする成り上がりのキャリアガール、そして本物庶子の別れた恋人は謎の転落死……

……あれれ、本家スタンダールの影もカタチもないような設定と展開になってるような気もしますが、とりあえず“カッコいい”と“許せない”の狭間に危うく浮遊するブラックヒーロー、という、積年の待望フォーマット実現。

…しかしちょっと待った。この『赤と黒』、実は韓国製ドラマなのでした。一応ロケ協力もあって、日韓共同制作というカンムリはついているけれど、ストーリーも韓国舞台なら、キャストも一部を除き全員韓国俳優の皆さん。

「こんな連続ドラマを作ってほしい」と長年思っていた設定案を掬いとってくれるのは、もはや韓流しかないのか。それがいちばんショック。

ブラックなヒーロー役はどこかで見た…と思ったら、『善徳女王』でミシル璽主さまの“要らなくなった子”ピダムを熱演した俳優さんです。女系ドラマ『善徳』で全体的に影が薄かった男性キャラ陣の中でも、ピダムだけは“最初っから最後まで萌やしに行ってる”“萌やすだけが使命”という感じで奥行きも深読みのし甲斐もなく、個人的にまったく、全話通じて一度も、琴線にふれることなく終わった人物でした。せっかく待望の脳内企画実写化なのに、よりにもよって主役がこの人とは、嬉しさも中ぐらいなり。

他にも、既視聴の史劇で見覚えのある俳優さんの顔が準主役級でちらほら。皆さん、時代ヅラなし現代メイクだとだいぶお顔が違いますね。一応今週放送分の前半9話までは録画して挑戦してみますが、どうかな、月河もいよいよ韓国製の現代モノデビューとなるかどうか。第1話を観た限りでは、“堕天使”という主調イメージをスカイダイビングや折鶴や、千切った映画台本の紙吹雪などでリフレイン変奏して、少なくとも絵づくりだけはなかなか洗練されています。よしっ来週からの後半も録画継続決定!とどこかでなればデビュー完了ですが、ピダム役のあの俳優さんに興味が持てない観客には苦しい作りになっているようで、どうなることか。

……蛇足ですが、前述の昼帯掲示板アンケート、上記のフランス文学古典2作のほか、「90年代後半にチャートを席捲したアノ音楽プロデューサーさんの半生をドラマ化しては」と書いたことが一度あります。もちろん実現していないことは言うまでもありません。

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