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イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

お捨てヶ淵

2009-08-02 17:23:23 | 昼ドラマ

『夏の秘密』7月最終週、第945話まで進みました。2425話でひとまず自殺として終息していたみのりの死の謎再燃。

しかも、一年後の下町を再び訪れた紀保(山田麻衣子さん)に「あんたも気に病んでいるんじゃないかと思ってね」と電話で水を向けた加賀医師(五代高之さん)が、紀保が診療所を訪ねた途端、貸し金業雉牟田(四方堂亘さん)の手先にドサクサで刺され、「みのりには口止め料として、まとまったカネが入ることになっていた、カネを渡す役だった俺が言うんだから間違いない、自殺なんかするわけはない、みのりは何者かが…」とまで言ったところで意識不明に。

そもそも“みのり=自殺”の根拠は、自筆の遺書があったということだけで状況には不審な点が多すぎ、『相棒』の右京さんなら、気になってしょうがない“細かいこと”が山積しすぎて、顔面プルプル震え死ぬんじゃないかってぐらいだったのですが、物語上はそこはひとまず突き詰めず、自棄になりかけた伊織(瀬川亮さん)と、後ろ髪を引かれる思いながらもどうにかもとの自分の世界に戻って行こうとする紀保とがどれだけ距離を詰められるか、あるいはその過程で明らかになった伊織父と紀保母との不幸な恋、及びその件以来精神に異常をきたした伊織母・みずえ(岡まゆみさん)の存在で受けた紀保の衝撃など、主役ふたりの純粋ながらも痛ましい感情の衝突交流に集中するように語られていました。

“一年後”に時制が移ったここへ来て、再びみのり事件にフォーカスが。しかもまるっきりのまたぞろ蒸し返しというわけではなく、①:みのりは伊織の妹で、伊織同様紀保母に対し、父・伊久馬を不倫心中に巻き込んだ仇として恨みを抱いていて、その娘である紀保のことを雑誌切り抜きなどで調べ、紀保婚約者たる龍一を狙って出張先ホテルで待ち伏せ、薬物を使い関係を持った(らしい)②:みのりが伊織の妹であることは、現時点で龍一しか知らない…という条件が加わってのフォーカスです。

“そもそも”の話をすれば、みのりの死が殺害事件であると断定されたのも、龍一がただひとりの容疑者として逮捕訴追されたのも、アリバイがないことと浮舟の蔦子(姿晴香さん)の雨中を走り去る男の目撃情報を除けば、現場のみのりの部屋から発見された腕時計だけがほとんど唯一の証拠で、それも状況証拠。たったこれだけの材料で、札つきでもない真っ当な社会的信用ある弁護士を逮捕起訴よくできたもので、リアル世界なら世紀の冤罪事件です。

それでもこのドラマ、1話のツカみが“結婚式最中の新郎逮捕でヒロイン悲劇のどん底”であるならば、多少根拠が薄弱でも万難を排して龍一に手錠をかけ、花嫁紀保を疾走させてしまうし、“拘置所のガラス越しに確かめる信頼の絆”を強調せんとすれば、どう考えても無理があるのに龍一を勾留させ続ける。龍一が自由になり、紀保が伊織に対し芽生えた思いとの板挟みになる状況が必要であれば、唐突でも後出しでも遮二無二遺書が存在したことにして自殺に落ちつける。自殺と結論が出たことで伊織の心に吹く嵐と、気遣う紀保との接近をフィーチャーする段では、「自殺にしてはヘン、こんな所もこんな点も」という疑問や割り切れなさはスマートにマスキングして、キスシーンや月の海辺での抱擁に美しくスポットを当てる。

「いまはこういう趣旨の、こういうストーリーをやっていますからね」という眼目に、きわめて忠実にシンクロし通している。“美しきご都合主義”…と言って語弊があれば、“方円の器に随う水のような”ストーリーテリングと呼んでさしあげたい。安直と呼ばば呼べ、「そんなことどうでもいいのに、いつまでこだわってんだよ」というぐらい、とかく1ネタ1モチーフ何週も費やして引っ張り粘着が続くドラマの多い帯枠において、『夏の秘密』の話法、叙述法の流麗さ澱みなさは褒めてあげていいと思います。

視聴しててイライラしないドラマとでも言いましょうか。“イライラしない”なんて、作品としてはえらく低いハードルのように思えますが、どっこい、連続ものにおいて、人物にであれストーリーにであれ、気持ちを乗せて観るためには何としても必要な条件なのです。

残り1ヶ月4週、これからは“拡げつつ畳み、走りつつゴールに向かう”局面になってきますが、自殺であれ他殺であれ死んだみのりは、単純に伊織の妹なだけではなく、みずえが伊久馬以外の男との間にもうけた不義の子かもしれませんね。それも羽村社長(篠田三郎さん)との子な可能性も。伊織が見舞いにきたときは「あなたに妹ができたのよ、今度はきっと女の子よ」と過去を思い出してか微笑んでいたのに、紀保の訪問(みずえは紀保と、紀保母=紀佐とをたびたび混じって認識する)後、赤ん坊に見立ててお腹に入れていたラグビーボールを殴打し昂奮して自傷するなど、“この子を身ごもったことを恨み嫌悪する”ような行動も見せました。

みのりが加賀の言うように「顔を別人に作り変えることに執着していた」のも、伊織と同じ父ではなく、母の不倫相手の面影をうつす自分の容姿を恥じ嫌っていたからと考えれば符合します。

だいぶ前ここで、みのりは“ジェンダーの問題”を抱えていたのでは?と暴論考察したことがありますが、“子を身ごもる”ということをめぐる、あまりにもいびつな行動が、なんとなくそっち方向への連想につながってしまったのです。女に生まれた以上母になりたい、お腹をいためて産んだ我が子を抱きたいという平凡な願いも、みずからが不倫の子や妾腹の子で戸籍が複雑、あるいは親たちがそのためにごたついた等のトラウマを持って成人した場合、どうしても歪みがち。“ジェンダー問題?”に似た匂いは、みのりが自分の出生を呪っていたがゆえに発したものだったかも。

みのりが加賀の診療所から薬物を横流ししてまでつかんだ金で、真っ先に直した顔のパーツが“泣きボクロ除去”…というところで、みのりの実の父親は泣きボクロ持ちの可能性が高いですが、この先、紀保が羽村社長の若い頃の写真を見て…なんてことになったりして。

さて、NHK『つばさ』の、腹違い叔母さん紀菜子さん(斉藤由貴さん)も、夫(山下真司さん)に切望されながら子供をもうけることを躊躇していたのですが、つばさ(多部未華子さん)知秋(冨浦智嗣さん)姉弟の訪問をきっかけに夫婦の行き違いも解消して、どうやらめでたく子作りの秋になりそう。川下り船頭さんのトミー、自宅での私服はやっぱりラガーシャツで、『スクール・ウォーズ』意識しまくりでしたな。「船頭は足だ!」「県観光局上層部の皆さまも大変心配しておられる!」とかもやってほしかった(他局無理)。

『夏の秘密』が透明度の高い水だとしたら、『つばさ』はごてっと粘度の高い、ぐっちゃぐちゃ煮込んだ豚汁みたいなドラマですな。方円のウツワどころか、いちいちガチャガチャ引っかかったりウズまいたり、乱切りの具がノドにつかえたりしてイライラさせまくりなんだけど、朝からこんだけ“爽やかさ”と対極だと、逆に月河みたいなヘソ曲がりはおもしろくてしょうがない。次週予告では、Jリーガー生命を事実上断たれた翔太(小柳友さん)が鷲津組構成員(@『任侠ヘルパー』)みたいになってたなあ。

欲を言えば、千代お祖母ちゃん(吉行和子さん)が、華やかだけどこすっからい同級生の城之内会長(冨士眞奈美さん)にどうつばさ復帰を承諾させたのかもっと見たかったですね。冨士さんスタジオパークにゲストインしないかな。

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月が運んだレモン

2009-07-29 00:26:09 | 昼ドラマ

昨日(28日)の記事で、KIRINコクの時間の味を「バックスクリーン直撃満塁弾ほどではないけど、走者一・二塁で右中間抜いて打点1なお一・三塁ぐらいのカタルシス」と書いたら、知人から「右中間抜けたらバッターランナー二塁まで行けるだろう」と、まことにもって空気読まないご指摘をいただきました。

最終的に一・三塁にとどまる程度の味だと言いたいなら、“右中間”じゃなく“ライト前”とすべきではないか、ならば一塁に止まっても正解だ」とのこと。

ちなみにこの知人はコクの時間を飲んだことがありません。飲んでもいないそのクチで言うわけですよ。空気読まないにもほどがあるでしょう。

流れで喩えたまでだから別にいいじゃないか。右中間だって捕ったライトの体勢と肩がよくて、打者走者の足が並み以下で、一塁コーチが弱気だったら一塁に止まることだってあるだろうによ。しかも“一・三塁”に落ち着けたことによってだ、「“一塁走者が本塁欲張って3アウトになったような”味ではない」という含みも持たせてるじゃないかよ。だから野球好きはケツの穴が小っさ…じゃなくて、えーと、臀部の開口部がスモールでござりまするなと申し上げたてまつるのでござりますよ。

…マンドラ坊や(@マジレンジャー)か。

あと、昨日“復刻してほしいビール系飲料”に、KIRIN良質素材を入れようか迷ったのですが、魅力だった点のうち少なくとも“清冽さ”に関しては、コクの時間に十二分に引き継がれているので、ノドから血が出る勢いで復刻を切望するほどでもないかと思い、入れませんでした。飲む人によっては、コクの時間が売りにする“コク”を、“不要な酸味”と感受し、「これなら良質素材のほうがましだった」と思うかもしれない。月河も、味に関しては良質素材の“甘寄り”な、リキュールっぽい軽快さも憎からぬものだったと思いますが。

いちばん魅力だったのは、“夏向け商品なのに敢えて赤”をチョイスした缶パッケージデザインですね。このラベルが棚から消えて一年以上経ちますが、いまだメインカラー赤の装いでデビューする新ラベルは出てきていませんね。春~夏季リリースの商品はやはり冷凛感のある金・銀色が主調のようですが、良質素材のような、地色いきなりの“赤ベタ”はかなり目立つはずです。どこか試しませんか。もちろん中身も美味しければなお良し。

『夏の秘密』は昨日41話で峰ひとつ上り終えて、見える風景が変わったようです。死を選ぼうとした寸前を伊織(瀬川亮さん)に抱き止められた紀保(山田麻衣子さん)が、自身を運命に捧げるように静かに一線を越える成り行きもさることながら、事後の朝、先に目覚めた伊織が、まだ眠っている(ふりの?)紀保のハイヒールを揃えてやる場面がよかったですね。悪い男なら、あそこで靴は隠すものです。紀保が“自分と結ばれたこの地点”にとどまっているとは、伊織ははなから思っていない。

まあその舌の根もかわかないうちに、42話の“一年後”に再会しているわけですが。“最後に顔を見たのが、一線を越えた夜の月の光の下”という男女の、お天道様の光での再会はぐっとくるものがあります。それにしてもあの階段上を通りかかった男性、あんなに大量のレモンを抱えていたのは、週刊ザ・テレビジョンの表紙の撮りだめか。妻も愛人も妊娠中ってことか。

おもしろいなと思ったのは、紀保と伊織のひそかな惹かれ合いを早い段階で察していたと思しき、浮舟女主人の蔦子(姿晴香さん)の言動ですね。元芸者で、駆け出しの頃良家の御曹司との許されない恋を経験している女性でもあり、“婚約者がいても、他の異性に告られていても、一度点火した男と女の思いは止められない”とばかり、紀保・伊織それぞれにそれとなく、特に紀保には、赤裸々に焚き付けるような発言も一度ならずありました。

月の船が水平線に去った早朝、伊織から連絡を受けて(ここでいちばん最初に、職場である柴山工作所のフキではなく蔦子に連絡する伊織の心理も切実なものがありますが)「(昂奮して変調をきたしたという)お母さまの具合はどう?心配してたのよ…紀保さんも一緒なの?なぁんだ、そうだったの」と“事成れり”を読んだような応対で、電話が切れた後「紀保さんのこと、もう離すんじゃないのよ」と独り言を言っていたにもかかわらず、“一年後”の42話では「かれこれ一年になるかしら」と紀保のアトリエを訪れ、「龍一さん(内浦純一さん)はお元気?結婚なさったんでしょあれから」とシレッと訊き、紀保が「勉強(と冷却期間)を兼ねていまニューヨークに」と答えると「そうだったの?てっきり結婚なさったとばかり」と、紀保の浮かない様子を窺うような素振り。

元・花街の女性だからというわけではなく、この人の恋愛観・男女関係観は不思議に自由で、“離さない”イコール“他の男と結婚させない”ではないし、もちろん“相思相愛の幸福な成就”イコール“結婚”でもないようなのです。「伊織さんとはもう会わない」という紀保の“誓い”には否定的だったにもかかわらず、思う相手と事を果たした後、もともとの婚約者との婚約を破棄するでもなく、さりとて秘め事は秘め事のまま嫁ぐでもなくいる状態は、蔦子さんとしては“想定内”のよう。

婚約もしくは結婚していても、“心まで売り渡すわけではない”というのが信条なら、「牢につながれた囚人であっても魂は自由であり得る」と言ったマルクス=アウレリウスのようではありませんか。これでは牢につなぐ=結婚する側はたまったものじゃないですね。でも、演じる姿晴香さんのほどのよい浮き世離れ感(プーの弟・護を「人様の物に手を出した」と伝法にも庖丁持って追いかけた、祭りの夜の場面が効いていました)のせいで、蔦子さんにはあまり海千山千の性悪感がありません。嘘偽りや二枚舌腹芸を習い覚えずに育った令嬢・紀保に“余計なことを吹き込んでこのババア”と観ていて舌打ちしたくなる苛立たしさもほとんど感じないのです。

この一年、紀保とは会っていなくても、伊織はずっと柴山工作所で働き、夕顔荘に寝起きし、浮舟のお隣さんのままだっただろうに、「せっかくつかまえたのに、紀保さんから離れてはダメじゃない」と煽った様子もなさそう。でも、たぶんフキ(小橋めぐみさん)から頼まれたのであろう白無垢のドレスへのリフォームを紀保に依頼しに行くということは、もう一度紀保をこの下町に呼び戻し伊織と接点を作るためなのは明白です。

柴山工作所の街金対策で龍一が来訪したときの表情や会話からして、蔦子は龍一についても、紀保たちが知らない情報を持っているのかもしれない。伊織母(岡まゆみさん)の現況ぐらいは小耳挟みで凡そ察しているとしても、紀保母と伊織父との顛末など詳細かつ正確に聴取理解している描写はないにもかかわらず、確信をもって紀保・伊織のカップリングを押そうとする姿勢は、“何か知ってて魂胆がある”というより、もっと自由で透明(無色ではないにせよ)、そして不思議にふわっと低重力です。

昼帯の長尺さ、狭い人間関係の中での濃密な情念世界に、黒沢映画『乱』の狂阿弥のような、こういうカスミを食ってる的自由人キャラはひとりは是非必要ですね。たとえば昨年の『白と黒』などは、こうした人物がいなかったから、ただでさえ狭い物語世界がなお息苦しく広がりを欠いた。それらしい予感をまとって登場、動き出した人物は複数いたのですが、いずれも早めに退場したり、存在感を“地上的”にシフトしていきましたから。蔦子さんには最後まで透明感を保ち続けてもらいたいものです。

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あなたの真実は

2009-07-24 00:16:55 | 昼ドラマ

必要に迫られて買うわけではない、同類多種の中から随意に選べる趣味・嗜好系の商品って、“ネーミング”の力はやはりあなどり難いと思うのです。

自宅晩酌時ビール系を選択する際、SAPPORO生搾りが定番として定着するに至ったのは、まぁサッポロビールが地元メーカーのため営業力が強く、酒類販売店どこへ行っても他社製品より買いやすいということも大きいですが、“ナマシボリ”という名称の、音の響きのなんとも言えないB級感、催笑感が、友人を招くでもなく座持ちに気を遣うでもなく、はたまた旨い料理や酒肴に凝るでもなく“アタマ空っぽにして、普段着一丁で緊張感ゼロでくつろぐ”シーンに、非常にナイスマッチングだったんですよね。

スガシカオさんがライヴ会場で「生搾りを友達にすすめよう!」と、彼らしく“中~低体温”なエールを送るCMTVでオンエアされていた02年初夏頃からウチで定番化したのではなかったかな。

当時は自宅で棚板の移動取り付けや、季節もの寝具収納入れ替え、通販で買ったグッズの組み立て試運転などの“肉体労働”が一段落すると、おもに非高齢家族が「よっし、生搾りでも飲むかっ!」と(たとえ日の高い真っ昼間でも冗談として)口走るのがお約束になっており、それを見聞して嘲笑モードの高齢家族が、たとえば月河が出がけ珍しく気合い入れて、息を詰めて上下にマスカラ塗ったりなんかして、無事塗り終えて「ふー、塗れた」と溜め息ついたりすると後ろから「“ナマシボリでも飲むか!”かい?」と(朝の出勤時間帯にもかかわらず!)チャチャ入れる…といった地合いになっていたものです。

たとえばAsahi“クールドラフト”KIRIN“淡麗〈生〉”“円熟”の語感ではこうはいかない。“中途半端にコジャレ過ぎ”なんですな。発泡酒や新ジャンル、娯楽嗜好性はありつつも徹底的に“普段着”の消費ですから、ネーミングにもほどのよい“高級でなさ”とでも言いますか、B級感、もっと言えば“おマヌケ感”って必要だと思う。SAPPORO“生搾り”はここがフィットして、ウチでは他類似商品の猛追をかわし生き残りました。

 その代わりと言っては何ですが、生搾り“みがき麦”としてリニューアルされた07年秋ぐらいからはちょっと影が薄くなったかな。行きつけの酒類取り扱い店でも前面展開が減ったような。味自体も発泡酒ジャンル内なりの高級感志向(“高級志向”ではなくあくまで高級“感”志向)になり、それ自体は悪いことではなく、飲みものとしてはむしろ好ましいのですけれど、ネーミングにも喚起されるイメージにも、いい意味での、愛すべきB級感が薄れてしまいました。

最近、かつての“ナマシボリ”と似た地合いで内輪ウケしているのがKIRIN“コクの時間”です。これまた、同種のSUNTORY“金麦(きんむぎ)”クリアアサヒKIRINで言えばスパークリングホップなどにはない、ぶっちゃけたB級感あるネーミング。夜、深い時刻まで作業が終わらないときなんかに「んーもう、とっととコクの時間にしちゃえ!」とか面白がって言ってますね。

積極的な店頭展開ぶりを見る限り好評らしい、コクの時間の成功に気をよくして?KIRIN9月にまたまた新ジャンルの、これまた名づけも名づけたり“ホップの真実”をリリースするようです。

逆に「ウソだろ!」とツッコみたくなる、B級感を通り越して、ふざけてんじゃないかみたいな命名ではありませんか。雑誌『噂の眞相』(休刊したけど)か、『行列のできる法律相談所』での島田紳助さんのフリかというね。内容(=味)ともども、ネーミングに弱い月河家で定着なるかどうか。同社従来品に比べてホップ使用量2倍をウリに、CMキャラには昼帯タイムのSKⅡでおなじみ桃井かおりさんを起用、99日発売とのことです。夏バテしていられませんぞ。

…て言うか、当地、本当に夏、暑いの、来るのかなあ。日に日に心配になってきます。

“真実”と“ウソ”の話と言えば、『夏の秘密』は本日第39話。

視聴打ち切るか切らないか、たぶん今週が、と言うよりこの一両日がヤマと言っていいでしょう。伊織(瀬川亮さん)の亡き父と、紀保(山田麻衣子さん)の亡き母=自分の妻との関係を語る羽村社長(篠田三郎さん)の台詞の長いこと長いこと。そんだけで昼ドラ一本、凡庸なやつなら作れるよ、ってぐらいの内容を、モノクロ回想カットもほとんど無しに一気に語り尽くしてしまいました。

篠田さんが基本的に声量控えめで、淡々とクセなく語れる俳優さんだからなんとなくひととおり通聞できてしまいましたが、“高温粘っこい”タイプの人がこの役を演じていたらトゥーマッチで速攻打ち切っていたかも。結局“親の代でのすったもんだ”が現役世代ヒロインと相手役との関係に、嫉妬だ復讐だと影を落とす話か。

金谷祐子さんを脚本に据えた製作チームのこの枠作品、それだけで終始するわけではないだろうことは、05年『危険な関係』で証明済みではあるのですけれどね。この人の脚本作は「なんだそれかよ!」「早く言えや!」とストンと一度視聴意欲が落ちる、その先に真価が必ずあるのです。

篠田三郎さんと言えば、現代劇のドラマでも数々のキャリアがありますが、『鬼平犯科帳』の鬼平(中村吉右衛門さん)率いる火盗改(かとうあらため)の中間リーダー・酒井祐助役が忘れられませんね。のちに柴俊夫さん、勝野洋さんと演じ継がれて現在に至っていますが、“まじめ”“堅物”に尽きる酒井というキャラ、篠田さんはプラス“廉潔インテリゆえに繊細で、武士道や役人としての職分について悩みがち”という要素を付加しました。

細おもてで白皙、あまり“ヤットウが強い”イメージはない篠田さんですが、『ウルトラマンタロウ』でヒーローとしてデビューされているし、火盗改と言えばお頭(かしら)=鬼平自身を筆頭に、選りすぐりの使い手揃いという設定でもあります。勝野洋さんが酒井に扮した頃の放送分から鬼平ワールドに参入し、レンタルビデオで遡って“篠田版”酒井を知った月河は、「同じ原作シリーズの同じ人物を演じるのに、こういうアプローチもあったか」と驚嘆したものです。もちろんエピソードごとの演出や脚本に拠るところも大きいでしょうけれどね。

「この俳優さんが、東海制作の昼帯に来演するとは思わなかった」と思える人を、主役であれ脇であれどれだけ連れて来られるかに、あらかじめかなり勝負がかかっている最近のこの枠です。最終的な出来栄えが、「篠田さんがヒロイン父に扮しただけのことはあった」と思えるものにきっとなる筈です。なってもらわなければ困る。

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それはありません

2009-07-22 00:06:21 | 昼ドラマ

ビールらしいと言えば、先日出先で招ばれたAsahiザ・マスター。これは本当にコクがありますね。

香りや飲みくちがどうこうより、いきなり“舌触り”が濃厚。なんとなく、学生時代無理クリ勧められて初めてビールっちゅうもんを飲んだときの記憶がよみがえりました。冷たい飲み物と言えば甘みのジュース系か麦茶、さもなきゃ牛乳しか知らなかった舌に、決して「飲みやすい」とは感じられないのだけれど、妙に引っかかりがあって後を引く感じ。「オトナの階段のぼる」感触とでも言いますか。

商品サイトにもある通り、“麦芽とホップと水だけ”しか原材料に使っていないという高純度のたまものか(普通のビールだって麦芽とホップと水じゃん、と思いきや、たとえば同じAsahiで言えばスーパードライにしてもプレミアム熟撰(じゅくせん)にしても、麦芽&ホップのほかにスターチ(澱粉)やコーンや米が使われています)。

その麦芽も一部はドイツ産を使用しているそう。ま、原材料に関しては、何をどれだけ使ったことによってどんな味になるのか、シロウトには判断も論評もしかねますが、“軽快”とか“さっぱり”といった要素よりも“古典的なビールの飲みごたえ”に集中した骨太な作りは、なかなか好感が持てます。

マットゴールドの配色の中間にの環を入れた缶デザイン、AサヒBールのイニシャルをホップの実(?)に配したエンブレムも、ビール本場ドイッチュラントなエキゾティシズムがあります。

自宅で安上がりにお手軽に“セルフ乾杯”するのに、甘めで軽めな新ジャンルを飲み慣れている月河みたいな向きは、たまにはこういうゴリッとしたやつ行ってみて、ビール伝統の味を思い出す必要がありますね。

ひとつ残念だったのは、ご馳走してくれた知人が、泡がきれいに出てぬるくなりにくいという、内側が素焼きになった肉厚な陶製カップに注いでくれたので、製品色がわからなかったこと。ドイツ伝来のピルスタイプビールですから、先日のSAPPORO焙煎生とは対照的な淡色黄金色だったと思うのですが、この次はやはり透明なグラスでいってみませんと。

…さて、そのザ・マスターのCMで葉加瀬太郎さん小野リサさん松下奈緒さんらとともに『乾杯の歌』を披露しているブラザートムさんのジュニア・小柳友さん演じる『つばさ』翔太は、右足の骨折が治った途端今度は左膝靭帯断裂でつらいことになっています。宮崎ポロラティーヴォ?コロラティーノ?ロスインディオス?クールファイブ?だかの監督からも「オマエのポジション無いから」と実質戦力外通告、しかも電話一本という冷たさ。こんなときつばさ(多部未華子さん)の「もう一度一緒にがんばろう」「ワタシにできることなら何でもするから」式の励ましはきっついなぁ。

今日(21日)は地元有力財界人の役で冨士眞奈美さんも登場。年齢不詳派手ハデファッションとヘアメイクが、まんま『ハゲタカ』のサンデートイズなのね。でも社員に草むしりさせたりはなくて、おもしろくていい人そうですよ。冨士さん、収録の合い間に仲良しの吉行和子さんと、亡き岸田今日子さんの思い出話なんかされているかしら。

「イモはお好き?」のひと言に過剰反応する真瀬(宅間孝行さん)、「…あ、なんかこう、ものすごく弾力のある床ですね!」には腹抱えて笑ったな。つばさまで「ほんとだー!」って調子合わせてやんの。もうね、天下のNHKが毎度受信料使って、大の大人つかまえてどんだけバカバカしいことやってんだよっていう『つばさ』ですが、このバカバカしさがたまらなく好きなんだなぁ。『サラリーマンNEOのようなスマートな、小ジャレたバカバカしさではなく、隅から隅までダサいバカバカしさ。

…好きなドラマなのにこんなに“バカ”の2文字をリフレインさせていいのか。とりあえず真瀬頑張れ。恋愛対象になり得ない(by空気読めないのカッタマリ=加乃子)けど。「うちの玉木と“恋仲”でして」というもろ昭和おっさんなボキャブラチョイスといい、応援せずにはいられません。

『夏の秘密』は第37話、予告の段階で思ったのですがフキ(小橋めぐみさん)ちょっとズルいぞ。紀保(山田麻衣子さん)と比べると、フキが圧勝で似合うと断言できる数少ないファッションアイテム=喪服(もちろん和服)で勝負。そりゃ伊織(瀬川亮さん)もギュッてしちゃいますね。紀保には第1話のウェディングドレスがあったんだし、フキも得意衣装での見せ場がなくっちゃ。

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ねじの皆伝

2009-07-21 00:02:47 | 昼ドラマ

先日来のSAPPORO焙煎生ビール、ここのところ湿気っぽく雨っぽく気温も低く、あんまり夏らしくない、ビール向きでない気候が続いているのですが、昨日は土用丑の日。むしろ暑くないのを天の配剤と受け取っていまのうちに精をつけときましょうよってんで、乾杯しちゃいましたよ。

お味は…焙煎麦芽使用ってことで、通常の淡色ピルスナータイプのビールと黒ビールの中間ぐらいの風味を想像していた月河は、微量拍子抜けチックな軽さでした。もうちょっと香りが強いかなと思っていたのでね。1992年リリース当時“焙煎”を愛好していたという非高齢家族も「こんなんだったかなぁ」「“いま風”に軽くしてあるんじゃないか」とか半信半疑でしたね。

「よく冷えて、グラスも冷えてれば何でもいい」派の高齢組も含め、「せっかく復刻して期間限定、コンビニ限定(←通販や安売り専門店でまとめ買いできない)で売るなら、も少しいい意味での“クセ”があってもよかったね」という結論。まぁ非高齢家族にしても、92年当時とは味覚も嗜好も変わっているかもしれませんしね。月河本人は、SAPPORO CLASSICと遜色ない“ビールらしさ”だと思うけど、“それ以上でもそれ以下でもない”感じ。

このラベルで一番の魅力は、気持ち柑橘味を帯びた琥珀色の色でしょうね。ワインってほど気取った場面ではないけど、特別な日だから“自分をおもてなし”したい…ってときにぴったりのお色です。

さて、『夏の秘密』は第8週に入り本日(20日)36話。夜景が増えると、やはりアナログVTR録画では、特に人物の表情がさっぱりわかりませんね。今日はまるっと劇中花火大会。白眉の紀保(山田麻衣子さん)と伊織(瀬川亮さん)の橋上・橋下遭遇シーンはもちろん、龍一(内浦純一さん)と紀保の車中シーンなどもやはり無理。居間の地デジHDD録画を早くDVDに移さないと。

室内の照明で鮮明に見えたシーンなら、柴山工作所の親父さん(江藤漢斉さん)の最期がよかったですね。

麻痺の残る身体を、「二人で行って来い、オレはここ(=作業場)がいい」と本人に勧められたとは言えフキ(小橋めぐみさん)と伊織が残して行ったこともやはり若干の責があるけれど、そのフキが「飲まないでよ」とせっかく釘を刺して行った御神酒に気を取られて、ネジ型を取り落としたことが結局は最後の発作の引き金になったのだから、医者に止められても懲りないお酒好きの自業自得とも言える。

拾ったネジ型を握りしめ“最期まで職人”な死に様に号泣する伊織が哀しい。車椅子でもやはり花火を見せに連れ出していればよかったと、フキとともに後悔が残るかも。

でもたぶん、先に逝った奥さんが、花火とともに迎えに来た、それだけのことだと思います。娘2人にはフキ、セリと素朴な野草の名をつけたけれど、親父さんにとっては“牡丹”のような奥さんだったのでしょうね。

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