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イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

もうひとりの私が

2009-09-03 21:42:12 | 昼ドラマ

 中途離脱ではなく、放送開始からこんなに昼帯ドラマを多話数放置したのは久しぶりです。『嵐がくれたもの』はどんなことになっているのだろうか。ビデオは同時間帯予約で回っているんですけどね。

 開始前は、76年の山口百恵さん主演大映ドラマ『赤い運命』と通底する“伊勢湾台風モノ”(←被災者ご家族、ご遺族に失礼千万だな)ということで、地味ながら人生の数奇を、こちらは少女ではなく、既婚大人女性を主語に描く作になりそうと、静かに期待していたんですが、単純に、再生視聴している時間がない。

 昼帯は途中の経緯がわからなくなると人物や状況への興味が半減するので、観るならぶっ通しで観たいですからね。今日で4話。すでに通算2時間弱。うーむ。だんだん難儀になって行く。

 “天災で狂わされた人生・人間関係の変転、アイデンティティ喪失入れ替え取り違いモノ”って、戦争のない平和な時代を舞台にするならば、昼のみならず帯ドラマのスタンダードと言っていいでしょうね。

 いつか“阪神大震災”も、ドラマ上、そういうモチーフになる日が来るのでしょうか。

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月と狸

2009-08-29 21:27:16 | 昼ドラマ

『夏の秘密』最終話でいきなり護(谷田歩さん)が介護福祉士志願に転じていたのは、直接的には自分の身代わりに刺された加賀医師(五代高之さん)の退院後のお世話しているうちに、眠っていたホスピタリティ適性が目覚めたんでしょうな。納豆入り卵焼き。どうもこの町の人たちは、伊織(瀬川亮さん)を筆頭に、納豆に格別の思い入れがあるようで。田舎ではない、さらに西日本でもない、東京の下町の朝には、確かに納豆がよく似合います。

護のような絵に描いたようなコワモテ、好ガタイで、外見的にはもっと荒っぽい職業のほうが合ってそうな屈強男性が、笑顔や親切身上のサービス業やってると、逆に信頼性が高まるかもしれませんね。劇中世界としては、一攫千金の儲け話に釣られる虚しさ、アブク銭をかさに着て偉くなったつもりになる愚かさに気がつき、同時に姉と偽って自分を育て庇って来てくれた母・蔦子(姿晴香さん)の思いに報いたいと遅ればせながら考えるようになった護を“目標を持って学問している”姿で締めくくりたかったのでしょうね。

ドラマ公式サイトの金谷祐子さんのインタヴューでいろいろ興味深い話題が読めます。今作はセレブの匂いのする環境ではなく、あえて下町を舞台にするところから作品を作りはじめたというのがまず面白かったですね。かつて妾宅であった戦後浅い頃からの古アパート“夕顔荘”を中心に立ち上がった、“下町”という名のミクロコスモス。これがドラマの大きな魅力のひとつになりました。

劇中、下町を襲う経済不況や自営業の後継者難、再開発や地上げの話題も出ましたが、一応リアル世界の時事に即しているようで、そこはかとなくファンタジックで浮き世離れした、自己完結なお伽の国として成立していました。言い換えればフィクションとして純度がきわめて高かった。借金苦で家庭崩壊自殺未遂、就職難引きこもり、出資金詐欺商法、違法金利の街金などタイムリーに心ささくれるモチーフも盛り込まれていたけれど、“身につまされて、観てると落ち込む”と思った観客はいないはずです。

終盤、裏に羽村社長(篠田三郎さん)が糸を引いているとも知らず地上げの手先となる雄介(橋爪遼さん)は、一応“不動産屋の若社長として形に残る大きな仕事をしてフキ(小橋めぐみさん)の心を捉え伊織から奪いたい”という動機があっての暗躍なのですが、なんだか“悪い魔法使いの魔法で催眠術かけられてた”みたいでした。

現実世界と隣接しているようで、実はファンタジー世界として独立しているという絶妙な舞台装置には、限られた予算と時間の範囲内で細部に工夫を凝らした美術スタッフさんの頑張りも貢献しているし、ほぼ毎話、下町シーンへの“入り”に、運河の水路や河川敷の遊歩道、橋といった“廊下風景”“流水”遠景を配置した撮影編集のセンスもあずかって力大。あの水路の絵は、毎回ほとんど“ここを越えればファンタジー世界に入る、境界線のお濠”のような役割を果たしていたと思います。

登場するたびに天使のような笑顔と、妖精のような独特の透明感ある台詞発話(←“棒読み”なんて言うヤツは石になれ)を披露してくれた紅夏ちゃん(名波海紅さん)の存在も、ファンタジー世界へのこの上ない水先案内人となってくれた。0507年の“背徳三部作”で主舞台をなした富豪豪邸やセレブ隠れ家リゾートなどの密室的小宇宙感とはちょっと違う、複数の人々の生活や家庭を抱く“町”“国”としての虚構を立ち上がらせ、最終話まで呼吸させた、これはこのドラマに力があったからこそ。

何より、事件の被害者であり第一当事者である“吉川みのり”という女性の容姿を、叙述上一度も正面顔で画面に登場させなかったのみならず、誰も彼もがカメラつき携帯持って、何を見た誰と会ったとかしゃかしゃ撮りまくっている時代に、「みのりさんって、どんな人だったの、顔のわかる写真はある?」という言葉、疑問を、紀保(山田麻衣子さん)からも誰からも発せしめず、「これがみのりの、いついつ頃どこで撮った写真だよ」と伊織に言わせることもなく、遺影どころか近影スナップの一葉も部屋にもアルバムにも掲示しておかなかった。

あたかも“それはもうわかっていることだから、コッチにおいといて”という文脈で貫き通した。

これ一つで、ものすごい強力なファンタジー、スーパーリアル感です。

殺害と思われる事件、それもエリート弁護士が容疑者ということで週刊誌ダネにもなった事件の、若い独身女性被害者です。伊織からも(←兄妹発覚前まで)柏木(坂田俊さん)からも、異性として慕われ、フキからは「伊織さんの心はあのひとのもの」と嫉妬され、しかも加賀医師の証言では「顔を変えることに執着して、まずチャームポイントの泣きボクロを取った」というみのり。第2部からは「奪われた自分の人生を取り戻すべく、羽村令嬢たる紀保にならんと、服装や髪型、持ち物や行きつけの店、食べ物の好みまで調べ上げ真似ようとしていた」というみのり。“どんな外見の娘だったのか”に、まともな知性のある人間なら関心を掻きたてられて当然の契機がテンコ盛りなのに、少なくとも紀保が「みのりさんってもともとどんな容姿で、私になろうと努力してどう変わったのかしら」と知りたがらず、伊織や近隣住民や、検死したであろう警察に「みのりさんの顔かたちがわかる写真はない?」と訊き回らないのは“ファンタジー世界だから”以外の何ものでもありません。

以前にもここで書いたかもしれませんが、フィクションにおいて読者観客を虚構に乗せる、うまいウソのつき方にはふたつあって、ひとつは“ちょっと違うような気もするけど、まあアリか”という程度の些細な、砂粒石っころくらいの小っさいウソを丹念に積み重ねて行って、気かつけばゴシック教会建築の如き精緻なウソの構造に隙間なく取り囲まれている…という方法。

もうひとつは、「絶対あり得ねえーー!」と圧倒させる、岩のカタマリの様などでかいウソで出会いがしら頬っぺた一発二発往復ビンタ食らわして、草むらに押し倒しガツン昏倒させてしまい、正気を取り戻したらすっかりウソに洗脳されていてビンタも押し倒しも記憶がなく、絶対あり得ねえと思ったことすら忘却の彼方…というやり方。

両手法の併用がいちばん強力ですが、今作『夏の秘密』は、“最大当事者のルックスに誰も好奇心を持たず追及せず、提示せしめない”という、さり気なく大いなるウソを通奏低音のように、息継ぎなしにつき続けて、結果的に“静かにファンタジック”なミクロコスモスを成立させ切った。

登場人物でもう1人、井口不動産の現社長=雄介父にして和美(山口美也子さん)夫、彼女曰く「うちのタヌキ」を最終話までついに画面に登場させなかったのも、みのりの外見を伏せ通すという形でのファンタジーを“下支え”する策だったかも。

昨日の記事に書いた様に、謎解きゆえに相愛のヒロインカップルの仲が逆風に翻弄されるストーリーならば、65話にわたって“(或る時点まで)叙述マスキングした回想内で謎解きが完結する”のではない物語が見たかったという思いは、最終話再生から24時間を経過したいまも強いですが、その物語、及び物語の主語となる人物たちを丹念に彫琢し動かし、接点を持たせ情動を起こさせるという姿勢において、ここまでやりきったドラマはやはり稀有。

目を惹く派手な場面や、ユニークな台詞、突拍子もない人物単体をご披露してウケて事足れりではなく、物語を“考えてこしらえ切る”ぞ!というハラが据わっているんですね。

改めて自分はこの枠の昼帯の、このスタッフの作品が好きなんだなあと実感を新たにしました。

次作までまた一年。なんだか、七夕の織姫彦星の逢引のようだなあ。

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sかinか

2009-08-14 22:04:50 | 昼ドラマ

先日予約していた『夏の秘密』サウンドトラックCDを受け取りに立ち寄ったついでに、同じ店内のオーディオフロアで、念願のデジタル音楽プレイヤーを購入。トヨタのこども店長じゃないけど「今日の給食はカレーだ!と喜んでいたら、揚げパンもついてきた!」ぐらいの感じで浮き浮き帰宅。

iPodはビスタ専用、XPならSONY」と店員さんがアドバイス誘導してくれたので、まったく迷う余地なく決定。デジタルオーディオって、てっきりメモリーカードみたいなやつに“ふぁいるへんかん”とか“でぇたてんそう”とかして、機体に挿し込んでやらなきゃいけないもんだと思ったら、好みのCDPCに取り込ませれば、同梱のケーブルで直行、“中”の記憶装置にコピーできるんですね。こちとら80年代のカセットウォークマン時代で思考が止まっているので、曲の“持ち運び”にはテープなりディスクなり“媒体”が無くちゃできないと思い込んでいたのです。時代は変わった。

 早速まず『夏の秘密』CDPCに取り込んで転送を試みたら、うっかりAUTOPC内のミュージックをぜんぶごちゃっと転送してしまい(また速い速い!)いったんぜんぶ手で削除して、アルバム名・曲名から手入力して無事作業完了。

これは昨年の『白と黒』をも凌ぐ岩本正樹さんの傑作アルバムですよ。ドラマ劇中では概ねどの曲も、甘いムードや、緊迫感演出で使用されることが多い(←ドラマ劇伴の宿命)ため、「きれいなメロディーではあるけど、きれいなだけ」とスルーされがちなのではないでしょうか。それは惜しい、惜しすぎる。アルバム全曲通して聴くと、TV視聴の印象よりずっとドラマティックでダイナミックで、かつラージスケールです。まずはだまされたと思って1曲め『群青のシルエット』のうねる波濤に翻弄され、返す刀で2曲め『星屑と夜空』の哀切に身を切り刻まれてみたまえ。もう抜けられなくなるから。

月河がいちばん待望していたフォークダンス調の、明るい長調の曲も『午後の日差し』のタイトルで6曲めに収録されていました。決してシャンデリアの下のセレブなパーティーでも、銀橋つき歌劇の麗々しいステージでもなく、幼稚園のお遊戯会でママ友たちも談笑…のような、おシャマな中にも庶民的な空気感がいいんですよね。ドレスアップしたオトナ淑女ではなく、紅夏ちゃん(名波海紅さん)がヒロインのダンス。

今作は紀保(山田麻衣子さん)にしても伊織(瀬川亮さん)にしても、恋愛経験があまりなく、そもそも基本的に恋愛体質濃厚なほうとは思えない男女が主人公です。何もなければ周囲に勧められるまま、あるいは学生時代の交流の延長で、“なんとなく安心で無難そう”“信頼し合って堅実に暮らしていけそう”ぐらいの動機で、散文的な納得ずくの結婚をして、ほかの異性を意識することもなく人生を全うしていたであろう若者たちです。

それが心ならずも巻き込まれた状況の副産物として“惹かれても何の安心も安泰も得られないであろう人に、なぜか惹かれてしまう”という感覚に目覚めていく。この“心ならずも”の感覚がとても巧みに、上品に音楽化されていると思います。

『夏の秘密』の後、『白と黒』サウンドトラックも転送しましたが、『夏の秘密』の26曲めと『白と黒』の13曲めに、同じ『朝露』というタイトルの曲があるんですよね。偶然か遭えてか、これは面白い。

『白と黒』のそれが、夏緑の林の中を自転車で走るような、さわやかに浮き立つ動感を湛えているのに対し、『夏の秘密』での『朝露』はアットホームな“庭先感”とともに、初々しいカップルの後朝(きぬぎぬ)のような、ときめきと含羞を秘めた、静的な哀傷にさそわれる曲調です。“朝”で“露”という同じワードを冠されていても、喚起される感興、描出される情景はこんなに違う。改めて音楽の力の底知れなさを感じます。

ドラマ本体は55話、残り2週まで詰まりました。昨日54話での、加賀診療所の診察室着替えコーナーを見かけて杏子(松田沙紀さん)の魂胆を紀保に知らしめる策(←紀保をアトリエ更衣室に潜ませた上で杏子に本音を言わせる)を思いついた龍一(内浦純一さん)、やっと敏腕弁護士らしい機転が(ほとんど劇中初めて?)見られたと思ったら、途端に今日の55話で来ました“一事不再理”

ドラマの中で、浅い段階で、プロであれシロウトであれ法律に長けた人物が“無罪判決”ときたら、大体後半でコレが出てくるものです。ドラマにおける“司法判決”は、大詰めで出されるもの以外は、劇中何らかのクツガエリがあると見るのが自然。しかし加賀医師(五代高之さん)も、紀保の婚約者にしてみのり事件被告だった龍一が弁護士なのは、逮捕直後の週刊誌ネタにもなっていたぐらいなんだから、もうちょっと早く指摘してほしかったね。

あと、このところめっきり味出しキャラになった柏木(坂田俊さん)が、専門は理工学のはずなのに法律にも詳しい詳しい。企業技術者なら知的所有権関係法令などにはかなり精通している人は多いですけどね。伊織の回想内での柏木さん、すっかり仮想フィアンセにしている「…杏子さんが(アガサ・クリスティ『検察側の証人』を映画化した『情婦』でのマレーネ・ディートリッヒに)似てるんですよねぇ」とニヤけたとき、回想を示すソフトフォーカスが消えてまっさらになったりしたらおもしろかったのに。なんだか『みごろ!食べごろ!』時代の小松政夫さんの「悪りいね、わりいね、わりーねディートリッヒ」を思い出してしまいました。

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杏…は暑いですね

2009-08-06 23:49:30 | 昼ドラマ

有名人の薬物逮捕が続いたからというわけではないんですが、ときどき思うことがあるんです。

「なぜ覚せい剤や麻薬や幻覚剤は違法なのに、酒ならいいんだろうか」。

“服用量”や体質的個人差はあっても、用いた人の理性判断力を鈍らせ、昂奮させ攻撃性を増し、対人・社会規範を逸脱せしめ、時に自他の生命を危うくする犯罪をも誘発、連用するうちに断ちがたい習慣性、中毒のスパイラルにはまって、やがては心身の健康を、最終的には不可逆的に損なうという点では、ヤク・ハッパもアルコールも五十歩百歩、目糞鼻クソのような気がしないでもない。

月河も含めお酒の愛好者はこういう比較の段になると決まって「量を過ごせばそりゃ問題だけど、ほどほどの酒は気分を明るくして友達でも同僚でも親睦を深めるし、明日の仕事への活力にもなるんだからいいんだよ」とか何とかエクスキューズつけるけど、ヤクやハッパの愛好者だって「ほどほどタシナメば気分が明るくなるし、アイディアややる気がわいてくるし、売り手に買い手、仲間との絆も大いに深まるぜ」と思っているかもしれない。

 違法か合法かは、まぁ素人的直感で言えば、人格を損なうほどの中毒に陥る速度と習慣性の抜き難さで線引きがされているのでしょうね。

それでも、“泡の出るalc.4.5%350ml缶”なんてぇお茶の間仕様の、小市民そのものな、ふにゃらけたやつを飲むときでも、「コレだってとことん飲んだら急性中毒で死ぬんだよな」と、ほどほどの緊張感を味のスパイスにすべく“危険な匂い”を敢えて思い出してみることはあります。

「人間のカラダは害なものは拒否するようにできているから、死ぬ前に一応吐くけど」とか。

 もっとヒネクレた見方をすれば、ヤクハッパが非合法で、酒が合法なお茶の間商品とされたのは、結局“その製造取引販売を生業とする人の数の多さ”“その業者たちが持つ行政立法への影響力”の差ではないかなとも思います。ヤクハッパも医薬品としては大勢の業者さんの生業となっているでしょうけれど、嗜好品としての市場価値がどれだけの人間、及びそのご家族の生活や子弟の教育や老後を支えてきたか、現に支えているかという点では、“酒造業”“酒類卸販売業”の伝統と歴史には及ばないのではないでしょうか。

 タバコがこれだけ健康に害がある、重い病気のリスクを高める、寿命を縮める、環境を汚染する、まだ生まれてもいない胎児にも悪影響がある、といろんな媒体でクチを酸っぱくしてアナウンスされていても「そんなに百害あって一利ないなら、タバコの栽培製造取引をいっさい禁止し、地球上からタバコというものを根絶しましょう」という論調にはならないのは、何だかんだで“タバコに関わることで食っている人たち”の人数がすでに多すぎて、いきなり彼らを路頭に迷わせることはできないし、選挙における彼らの票も無視できないからだと思う。

結局人間社会において、人数が多く声の大きいものは、無くはならないし、大手を振ってまかり通り続けるのです。

 624日発売のTVブロス627日号巻頭特集「ああ気持ち悪い!他人のブログ」に、かつての(いまもか?)ネット界の寵児で、数々の“炎上”体験を持つホリエモンこと堀江貴文さんのインタヴューが載っており、堀江さん「いま“なぜ朝食には納豆なのか”という問題提起をしている」とのこと。

堀江さん「イソフラボンがどうとか栄養があるとか言うけど、カラダにいいものは他にもたくさんある」「歴史をたどって行くと、水戸の納豆業者が全国にマーケティングをしてね、どうやったら納豆が流行るのかってことを、バレンタインチョコ的に広めたんじゃないかと思うんですよ」とさすがは元・ネットコマースの雄だけあってそこそこ鋭く分析されていますよ。

日本は日本でも西日本の人はおしなべて食習慣に納豆がないし、九州は福岡生まれ、福岡育ちの堀江さん、媒体で「健康のため納豆推奨」の論調を見かけるたび“こんなに美味しくないものがなぜこんなにメジャーで良いぞ良いぞと喧伝され、みんなそれに乗って買って食べてるのだろう?”と疑問に思っておられた様子。堀江さんの思考としては自然に“マーケティング”の潜在暗躍に思い至ったのでしょう。

“炎上”体験豊富な堀江さん、「子供の頃は納豆なんて食えなかったけど、いまは明太子を混ぜるとうまいと思える(←さすが福岡人)程度には食べれる」とフォローしてますが、インタヴューを「もっと栄養のあるモノってあると思うんですよ!」で〆ておられますね。とにかく、世間的賛否や合法/非合法の区分根拠には、サイエンスや合理ではなくすぐれて人文的な、アナログなナニモノかがあるということです。

『夏の秘密』49話。このところ杏子(松田沙紀さん)の動きがますます半径を拡げ、アグレッシヴに闊達になってきましたね。ビジネスパートナーとして、修業時代をともにした戦友としても、表向き紀保(山田麻衣子さん)の信頼を得ているだけに、翻弄される龍一(内浦純一さん)は巻き込まれ被害者のよう。紀保と龍一を引き離そうとなぜか策動を繰り返していましたが、48話で「…死んだ女よりも もっと哀れなのは 忘れられた女です」というマリー・ローランサンの詩を紀保に引用して聞かせていました。ローランサンと言えば画家、詩人として、あるいはギヨーム・アポリネールとのそれこそ“同志”的関係でも文学史上有名ですが、結婚経験者でもあるにもかかわらず本質的に“女性が好き”な女性だったことでも有名です。やはり杏子は本質としてそっち系の人なのかな。

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絶対ヤだ

2009-08-05 00:14:07 | 昼ドラマ

昨夜1000頃、高齢家族からいきなり「“なんとかオガク”って俳優知っているか」と、彼らのトレードマークともなっている“雲を掴むようなクェスチョン”が久しぶりに飛び出しました。

情報を総合すると、「900過ぎ、片平なぎさのドラマを見ていたら、ニュース速報で“俳優○尾△”が麻薬で逮捕という字幕が入ったが、字が小さくて読めないうちに消えた」「速報テロップが入るくらいなら相当な大物の大ニュースではないかと思い、CMになってからNHKに変えてみたら何も詳報がない」「○尾△で俳優なら中尾彬ではないかと思うが、△は“学ぶ”という字に似ていたような気もする」とのこと。

…麻薬?“オガク”で“○尾△”で学ぶという字が付く俳優なら、月河がピンとくる人はひとりしかいません。PCを起こしてネットにつないでみたら、ホームページに一報が載っていました。

押尾学さん。失礼ながら何代目かの薬用ビューネくんのイメージで脳内止まっています。TVドラマ俳優でも、特撮か昼帯に出ててくれればもうちょっとシンパシーあったんですけどね。2時間ドラマなら高齢家族のシマでやはり引っかかったはず。0102年頃になるのか、ブレイクほやほやな頃でもビューネくんの他はあまりメジャーどころのCMで拝見した記憶がないので、人気ほどは広告代理店的好感度のない人だったのかもしれない。

ここずっとアメリカを拠点にして日本での出演もなかった様子。冷たいようですが押尾さんの芸能生活の今後にはさしたる興味もありません。

若干気になるのは嫁の矢田亜希子さんのほう。女優としてこれからが熟れ頃というときに結婚、妊娠休業されてしまい、惜しむ人は多かったのではないでしょうか。今年春季の連続ドラマでTVに復帰という噂も聞きましたが、目視確認しないうちに放送が終わっていました。あまり話題にならない程度の出番だったのかな。いろんな意味で“無難”な出来だったのでしょう。

今般の夫君の逮捕で復帰立ち消えになってしまうとしたらかなり個人的に残念です。『白い巨塔』では凛としたお嬢さまイメージで、ストーリー的にはあまり好感持てないポジションでしたが、その後夕方の再放送枠で見たデビュー間もない頃の『愛していると言ってくれ』、豊川悦司さんの血縁のない妹役の、お転婆で鼻っ柱も強い、でもどこか律義で情のこわい感じが大好きでした。あの栞ちゃんが成長したような役で、昼帯に出てほしいんですがねえ。“より華のある高橋かおりさん”“カッ飛んでない小沢真珠さん”て感じで。

その前に一度ぐらい、夜枠で汚れ役を演っておく必要があるかな。昼帯のキャスティングって、夜の“高価な”枠に比べると全然イージーだと思われやすいのですが、実は非常にデリケートで、主婦を主客層とする洗剤やバストイレタリー会社がスポンサーになっているため、劇中で不倫しても、暴行されても、“女性、とりわけ主婦から拒否されない、嫌悪感を持たれない”女優さんじゃないとヒロインに起用されにくいのです。

しかも、月~金毎日アップで見る顔になるわけだから、土台がある程度美しくないとこれまた受け入れられない。

結婚出産後のビジュアル、復帰作を観ていなかったので未確認ですが、矢田さんの場合土台にはまったく問題ないと思う。再放送で12話観ただけで言うのもなんだけど、『やまとなでしこ』や『スウィートシーズン』など、むしろヒロインより女性視聴者の共感を掬い上げられる役をこなされていたと思うし、問題は押尾さんとの結婚(と言うより、結婚相手が押尾さんだったということ)によるプラスマイナスだけです。

女優さんが出産して子持ちになったということは当節、直球でプラス要素です。ただ、“父親押尾”“しかも麻薬で逮捕”はどうだろう。同情票でプラスと出るか。キズもの感がついてネガくなるかしら。

…“若干気になる”程度だったはずなのに、こんなに矢田亜希子さんについて考える夜が訪れるとは思わなかった。別に、何が何でも矢田さんヒロインの昼帯を実現させたいわけじゃないんですけど。特撮でケガレシア様(@ゴーオンジャー)とかオーキッドアンデッド(@仮面ライダー剣)のポジションで顔出しでもいいのですが。

すべては速報テロップを横目で見た高齢家族の雲掴みクェスチョンのせいです。しかし“俳優○尾△”で中尾彬に行くか。ご本人は知るよしもないでしょうけれど、トバッチリとはまさにこのことでしょうな。

『夏の秘密』47話。増員した工場に立ち寄って「マンゴープリン食べない?奮発したんだからねー、食べましょー皆さん」と差し入れ広げるセリ(田野アサミさん)は、父親の死後工場が姉フキ(小橋めぐみさん)に託され自分の居場所がなくなったことを愚痴っていましたが、姉の温情で分割でも遺産は受け取れることになったし、「家を守るのは姉の役回り、自分は巣立って行くべき存在」とそれなりに折り合いをつけた模様。

恐るべきはやはり、新加入の工員諸君が寮代わりにしている夕顔荘に「お夕飯終わった?暑いときこそ熱いもの食べて元気つけなきゃねー」と揚げたてコロッケひとかかえ持ってくるフキですよ。伊織(瀬川亮さん)との結婚も軌道に乗せ“勝ち犬”までもう一歩のところまで漕ぎつけたいま、たまにしか帰ってこない妹を仮想敵に、従業員諸君の歓心を張り合う必要なんかまるでないのですが、“女としての自分の優秀さを自己確認するツールとして‘手料理’を繰り出す”のはまさにフキのアイデンティティそのもの。

ドラマ初盤、紀保(山田麻衣子さん)の潜入直後も、伊織の朝食にと焼き魚の切り身を差し入れたり、鬼のように納豆を掻き混ぜたりしていましたね。今話は褒められたいターゲットの伊織への攻撃ついでに、伊織をリスペクトする新入工員諸君も巻き込んで「できた奥さんだ」と思わせ味方につけようという魂胆、その魂胆が考え抜いた末の計算でなく、思いつきでも本能で射抜いてしまうのがフキ。

「こういう女性なら、こういう状況で、こういう局面で、こういう行動をとるだろうな」と思うその通りを、すがすがしいくらい劇中でやり切ってくれちゃう。なんかこのドラマ、最近“メインディッシュがフキウォッチング”化しつつありますな。

まずいまずい。紀保(山田麻衣子さん)がヒロインなんだから。でも41話の一線越え翌朝も、朝食に食べる食材は伊織が買いに出て、その間に紀保、去っているしね。心で結ばれるためには、甘いもの苦手な伊織にフレンチトーストってわけにもいかないだろうから、納豆のひとつも混ぜて…って、でも“料理作りの食べさせの”が男女の絆になるような表現は無性にイヤだなぁ。方法論としてはアリなんだけど、このドラマに限っては、それ使うと“安くなる”気がするんですよ。

凡庸な昼帯ドラマなら、“ヒロインへの嫉妬に狂った恋敵のトンデモ料理”が定石になるところ。対ヒロインで“女”戦線において劣勢になると“料理”で巻き返しアピール&男への釘刺しをはかる方向へ、フキがいまだ行かないだけ、ドラマとして節度とプライドがあると申し上げておきましょう。

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