イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

最後の花ざかり

2011-09-17 01:19:02 | 昼ドラマ

『おひさま』後半戦に入ってからの、これはめでたいニュースと言っていい、のでしょうな。劇中では、海軍医として搭乗した潜水艦で太平洋の藻屑と消えてしまった春樹兄さん役・田中圭さんが結婚。それも出来婚というか授かり婚というかオメデタ婚というか後先婚というか、早まり婚と言うか、いや言わないか。要するに“2倍めでたい”パターンだそうで。

一応、劇中では真知子さん(マイコさん)への想いを胸に秘めたまま逝った役回りなので、出演回の放送が完全に終了するまで発表を控えていたのかも。妊娠5ヶ月。微妙だ。いろいろと想像を掻きたてられますが回り回ってめでたいんだからまぁいいか。

 5ヶ月といっても、当然ながら田中さん本人がではありません。だったらニュースヴァリュー一億倍だが。お相手はさくらさん。“上原”も“横峯”も、“まや”も付かない、ただのさくら。アルファベットでもカタカナでもない、平仮名のさくら。

 名字レス芸名なところをみると、世界のコレクションを転戦するショーモデルさん?と思ったら、なーんだ、2005年秋のTBS系昼帯『貞操問答』の“女郎蜘蛛”新子ちゃんじゃありませんか。うわぁ、なんだか懐かしい。放送当時は、“野良猫”いとうあいこさんとあまりに顔かたちもヘアメイクも酷似していたために、出ずっぱりヒロインにもかかわらずさくらさん単体の印象があまりなかったのですが、『貞操』の少し前、『瑠璃の島』で金子昇さんの妹役だったのを思い出すと、少し印象が補強されました。モデル系というほど派手じゃなく、もう少し日本風で控えめなルックスの、美しいかたです。

 それにしても、話が変わりますがあの2005年の秋は、振り返れば実にえらいことになっておりました。1300からTBS系でこの、文豪・菊池寛原作『貞操問答』、1330からは昭和―平成を跨ぐ少女漫画の巨星・一条ゆかり原作『デザイナー』。同枠真ウラのフジテレビ系ではフランスのキリスト教文学の巨匠アンドレ・ジッド作『田園交響楽』を原案とする『緋の十字架』。昼帯に、純日本製の、新作のドラマ枠が3枠というだけでいま思えば夢のような話ですが、“(一見)デカくて、(テーマより仕立てが)重くて、(そこはかとなく)クサいお話”をこそ昼帯に待望する月河にとっては、盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たようなクールでした。

 『貞操』はヒロインさくらさんに軽く恋敵ポジションのいとうさん、ほか大浦龍宇一さん、山下容莉枝さん、筒井真理子さん、原田篤さん窪寺昭さんの特撮OB。『デザ』は国生さゆりさんを花芯に、松本莉緒さんを花弁に、塩谷瞬さん天野浩成さんとこちらも特撮ヒーローOB、それも“赤組”。

 『緋の』に至っては、主人公がヒロインではなくいきなり特撮ヒーロー西村和彦さん。その息子役がこれまた特撮出身竹財輝之助さん。取り巻く女性陣が喜多嶋舞さん越智静香さんつぐみさん橘実里さん……もう、こうして、豪華なんだか多彩なんだか、単純に時間帯相応なだけなんだかよくわからないキャスティングを回想列挙していくだけで、当時の高揚感がよみがえります。

高揚感。そう、たとえば湖面にうつる富士山の全景とか雲海とか、そういう広壮でセイクリッドなものを見晴らす高揚感ではなくて、押入れで見つけた、かつて誰かの愛蔵品だったらしい中古のミニチュア玩具箱の中身をひとつひとつためつすがめつするときのような、ある種秘密めいた、インドア的高揚感です。

当時の月河家のTV環境は当然純アナログですから、ビデオデッキ2台を週5日フル回転させて、録るのも再生するのも大忙しで、よく体力も、ヒマも続いたものだと思います。

いや、趣味とか道楽とか言われるものは何でもそうですが、はまってる最中の、はまってる本人にとっては、「しんどい」「メンドくさい」というワードが、ある期間辞書からきれいに消失するんですよね。

残念なことですが、この2005年秋をもって、そういうシーズンは二度と来なくなりました。来ても“盆”、あるいは“クリスマス”単独で、しかも“きっちり盆の期間だけ”“クリスマスイヴと当日だけ”で、名残りを惜しむでもなくそそくさと去っていく。

あまり考えたくないけれども、存分に“デカ重クサ”で、かつ“後をひく”連続モノは、もう韓国製にしか期待できないのかもしれません。

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