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イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

杏も応もなく

2013-10-10 01:42:36 | 朝ドラマ

 『あまちゃん』がめでたく完結して、樹液が結晶して琥珀になるように“固体”になり、さぁこれで心ゆくまで掘り下げたり引っ掻いたりできるぞとワクワクしているところですが、その前に早くも次作『ごちそうさん』930日からスタートしていて、否応なく目に飛び込んでくるわけです。 

7日から第2週に入り、いままでのところ手堅い作りはしていると思いますが、見逃せないと思わせる求心力はもうひとつ。
 

大正11年の仲良し女学生3人組が並ぶと、前田亜季さんと宮嶋麻衣さんは一応「“女優さん”が“ドラマの芝居”をしている」ように見えるけれども、ヒロイン=杏さんだけはどう考えても「“モデルさん”の“コスプレコント”」に見えてしまう件、これはもう予測されたことなのでよしとしましょう。あれだけプロポーションが日本人離れしていると、どんな衣装でどんな舞台装置に放り込んでも突出してしまう。杏さん本人には何の落ち度もなく、ひたすらキャスティングした側の責任。オファーした以上覚悟はあるはずです。
 

1週の6歳め以子(豊嶋花さん)のイチゴを求めて大冒険譚といい、2週の「ヤな奴転じて気になるあの人」といい、シロウトでも先の見通せるわかりきった展開に尺を割きすぎで、意外性が皆無に近いことも、まだ咎め立てするのは早急に過ぎるかもしれない。
 

2週から登場の帝大生悠太郎(東出昌大さん)とめ以子の会話シーンも大いに問題含みです。二人とも、演技の危なっかしさが同じ程度なので、見ててハラハラし通しで萌える暇がない。前代未聞の朝ドラ2作連続出演となった東出さんは、『あまちゃん』の80年代大吉っつぁん役のほうが何倍も輝いていたと思う。こういう、棒立ち系の大根くんには、バカとハサミ同様に使いようがありまして、キャラで押し切れる役に充ててやれば驚くほど精彩を発揮することがあるのに、押し切れるキャラに役が造形されてないから辛いのです。
 

関西出身で帝大建築科に学ぶ悠太郎は“小理屈天然”くんですから、こういうキャラを輝かせるには、そばに直球さわやかくんか熱血くんを置くのがいちばんいいのに、それが不在。

 スーパー戦隊がなぜ何十年もレッドとブルーで、去年も一昨年も今年もレッドとブルーでいろんな設定の物語を回せて来られたのか、考えればすぐわかることなのに。朝ドラにありがちな“ヒロインありき、何がさておきヒロインありき”で人物を配置するからこうなる見本。

 

まぁお話本体に駄目出すのはもう少し見守ってからでいいと思っていますが、いちばん気になるのは台詞のはしばしに時代感が稀薄なことです。

 
1週め、お寺の供物のイチゴをめ以子の一計でまんまと手に入れた源太(屋島昴太さん)たち男子悪ガキ「これそもそも食いもんなのかって話になってよ」は、ガキの背伸びっぽくてまだ微笑ましい部類でしたが、2週め女学生め以子が教科書の『枕草子』の一節に食いつき「そういう事(=平安時代の“イチゴ”は木苺のことだと)は清少納言さんちゃんと書いとけ、って話よね」はいただけない。め以子は健康的で天真爛漫だけれども女らしい慎ましさに乏しい、という描写の一環であるにしてもです。
 

「食いもんじゃねぇかもって、○○が言い出してよ」と言わず、あるいは「ちゃんと書いといてほしいわよね」と言わず「~って話」とあたかも一般論であるかのようなひとクッションを置く語法は、誰が何をどうしたのズバリ断定・きっちり限定を避ける日本流の婉曲表現のひとつですが、たとえば『あま』で上京デビューの夢が途切れ俄かヤンキー化したユイ(橋本愛さん)が「ハタチまでにデビューできんのかって話じゃないですか」と春子(小泉今日子さん)に自嘲ギレするナポリタンシーンならまったく違和感がない(「デビューもできずにハタチ過ぎちゃったらどうしようって、私、すごく焦ってるんです!」とユイ本当は言いたい)けれど、設定大正ロマン時代の高等女学校生が発すると一気に嘘くさく、物語世界が軽薄になり、いやがうえにも“コスプレコント”感が増してしまう。

 ドラマは台詞で大半造形され、受信されていくのだから、台詞の細部から設定の時代の空気感を立ちのぼらせていくことはいくらでもできるし、いやしくもドラマならばやらなければならない。お茶の間視聴に心地よい非日常感、別世界感をプレゼントするのが、報道にはできない、バラエティにもできないドラマの役割のひとつだと思うのですが。
 

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来てよ その日を飛び越えて

2013-10-06 02:06:09 | 朝ドラマ

  遅ればせにもほどがありますがいまさらながら盛り上がりましたですねぇ『あまちゃん』最終回。 

わくわく、ドキドキという点では925日(水)の、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子さん)ついに禁断のナマ歌ライヴ披露!急遽駆けつける影武者春子(小泉今日子さん)!袖ヶ浜ならぬステージ袖へ、走る春子がいつか80年代春子(有村架純さん)になり太巻(古田新太さん)がバトンタッチしたワイヤレスマイクの電池が吹っ飛んで!・・のシークエンスがピークだったかもしれませんが、土壇場になってどさくさばたばたと何かが決着し大団円づいてしまう結末ではなく、半年走って、行きつ戻りつして、それでも走り続けて「第1話の出発点に戻った」という終わり方は、本当に潮風の吹きゆく窓を開け放ったような解放感に満ちていました。
 

ただキツネに化かされたみたいにぐるっと回って元に戻ったわけではありません。

 地理上は同じ地点でも、望む風景、肌に触れる空気は大きく変わった。
1985年、地方の時代を喧伝されかりそめの興奮に沸く北鉄開通式の日、18歳の春子が母に背き東京を目指して去った北三陸駅は、2012年、地元アイドルとして震災復興の旗手となったアキ(能年玲奈さん)&ユイ(橋本愛さん)=潮騒のメモリーズが東京から、各地から多くのファンと復興サポーターを招び込む駅に生まれ変わったのです。
 

海開きの71日、3年ぶりのお座敷列車でのパフォーマンスを終えたアキとユイが、未復旧の区間の線路に下りて走り出す。翌年の全線復旧を待つホームに「この先へ!」の手書き横断幕が見えたときには大げさでなく胸が震えました。思えばこの約半年、アキちゃんだけでなく劇中の北三陸の人たちのなりわい、喜怒哀楽をTVのこちらで見守るとき、通奏低音のように2011311日になると・・」の思いが横たわっており、神様でもない自分がそれを知っていて、劇中の人たちにそれを告げてあげるすべがないことをずっと申し訳なく思っていた。あと2年で、1年何か月で、“その日”が来る・・と、間然するところのない小ネタやギャグやスベり芸にウケながらも、原罪のように胸のどこかに疼くものがあったのです。
 

アキちゃんユイちゃんが「この先へ!」の横断幕を突き抜けて走り出したとき、やっと心の底から、「もっと前へおいで、ここへおいで、いま君たちが走っているそこより明るく、希望の多いここへ」と笑って手を振ることができた。20127月にいるアキちゃんたちはアベノミクスを知りません。当然消費税率上げも知らない。そんなこたぁ知らなくていいのですが、東京五輪招致や、ウィリアム王子に長男誕生や、東北楽天マー君23連勝も知らない。「今でしょ」も、倍返しも知らないし、9か月後に始まる朝ドラがそれはそれは面白いことも知らない。

少しだけ過去にいる若者たちに「知らないことを知りにおいで」「見においで」と、未来から胸を張って言える幸せ。
 

遠い昔、母・春子が青春ツッパリの日々に、あてどない苛立ちをこめて「海死ね/ウニ死ね」と書いた堤防の白線を、軽々と踏み切って、いつかの夜その母と並んで歩いた灯台の道からユイとともに潮風の彼方を仰ぐアキ。鉄路にも、海にも、故郷にも人生にも「この先」がある。無限に未来はある。
 

アキたちが立つ海と、TVのこちら側のせせこましい空間が、ひととき“開通”して地続きになったような、彼女たち彼たちと同じ空気を吸い同じ風の匂いを感じることができたような、至福の最終回視聴体験でした。ありがとうアキちゃん、ユイちゃん、ありがとう北三陸。ありがとう鈴鹿さん、ありがとうハートフル。 

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でぃーえーえすえーDASA

2013-09-22 15:37:41 | 朝ドラマ

 今頃はネットの中、これ系のツイートやらなにやら花ざかりに違いないのですが、あと1週を残して一度はいっときましょう。

 題して“独断と偏見で選ぶ『あまちゃん』名セリフBEST 5

 

 ・・・いや、ベスト5どころかベスト10でも50でも、その気になればいくらでも選べるんですけれど、キリが無いのでね。最終週、怒涛に違いないので、忘れないうちにまずは5本。

 

 ? 「美味しいものは、どんな状況でも、食べようと思えば食べられる」

 アキがユイちゃんの家に初めてお招ばれして、高級レストランのような分厚いステーキを出されたはいいけれど、人も羨むセレブファミリーなはずの足立家の、洒落にならない親子喧嘩と家庭不和が眼前に展開。ドン引きしたアキちゃんでしたが帰りの北鉄車内では満腹のおなかをさすって溜め息。アキヴォイスではなく夏ばっぱナレでの独白だったので名セリフというより“格言”感が強くなりましたが、「食べようと思えば」と但し書きが入っているところがミソ。アキの中で「ドン引き」と「食べよう」が一瞬(知らないけど)せめぎ合って、結局「食べよう」が勝ったわけです。同じ洒落にならない状況で、「ドン引き」が勝つ人も当然居ると思う。アキは苦しいとき、辛いときでもまずは「食べよう」の人なのです。この資質はかなり芸能界に向いている。

  ついでに言えばこのエピソードはのちに家庭崩壊寸前になる足立家のイビツさも過不足なく表現していて、娘の同級生とはいえお客の前で揉め事曝しながら悪びれるでもなく「デザートにする?」と押してくるユイ母よしえさん(八木亜希子さん)はこの時点でかなり危なかった。月河は何より、足立家の無駄に広い庭で、火事でも消せそうな水圧で噴いている小便小僧像に爆笑しました。あれだけで十分普通じゃない。

 

 ? 「向いてなくても続ける、それも才能よ」

 

 初ドラマの端役で40回の記録的NG数を誇り「女優は無理。向いてない」と鈴鹿さん(薬師丸ひろ子さん)にばっさり行かれたアキも、リメイク映画『潮騒のメモリー』で母娘役のダブルヒロインとして晴れて堂々の再共演。「“天野アキ”を演じたら日本一」とお褒めの言葉をいただきました。これよりだいぶ前、デビュー前のGMTメンバーとして谷中のボロ寮にいたとき、水口(松田龍平さん)が「世の中を動かしているのは、一番才能のある人や一番頭のいい人じゃなくて、二番めの人じゃないかと思う」とアキに語っていましたが、これと同率?位でもいい。

 

台詞としてはちょっと後付けの理屈くさくて生煮え感もありますが、鈴鹿さんでなくてもミズタクでなくても、こういう事が頭に浮かんだら、生煮えでも理屈臭いなと思っても、言葉にして語ってみたくなると思う。

 

そもそも、何かの分野で抜群の適性を発揮し一等賞になって、そこでずっと活躍し続ける人のほうが稀だと思うのです。どこの分野へ行っても、アノ分野この分野転々と挑戦しても、生涯一度も一等賞になれない人のほうが圧倒的に多いのだし、二等賞三等賞どころか、四十五等賞ぐらいしかとれない分野に身を置かされて、いつの間にかそこが天職になってしまう人も至る所にいっぱいいる。世の中、“本当はコレ得意じゃない、やりたくもない”人たちを主力に回っていると言っても過言ではありません。その結果、どれだけストレスの多い、不機嫌で効率の悪い世の中になっているかと思ったら、アラ不思議、結構円滑に、楽しく笑ったりしながら世の中ちゃんと回っているではありませんか。

 

向いてないことをやってるからこそ人間、勉強しなきゃ努力しなきゃという姿勢になるし、何より万一失敗しても「向いてないから失敗しただけで、本当の自分はこんなもんじゃないんだ」と逃げ場を持てる。世のすべての人が隙間なく適材適所に嵌まっていたら、効率はいいかもしれませんが伸びしろがありません。「世が世ならもっとアレもコレも」という夢を見る余地もありません。向いてない、一等賞とれない、第一志望でない人たちが、それでもそこにいるということを受け入れて回しているからこそ、世界は試練をやり過ごす耐久力があり、落ち込んでも戻す復元力もある。
 

『あまちゃん』というドラマ自体「こんな子が生き馬の目を抜く芸能界ってちょっと違うんじゃないの」「あんな母親あり得ないんじゃないの」「あんな夫婦おかしいんじゃないの」「あんな大人たち常識ないんじゃないの」・・という“しっくりしなさ”で保っている、しっくりしないからこそ前に進める物語世界でした。鈴鹿さんと水口のこの生煮え名言は、生煮えゆえにいちだんとこのドラマをいい具合に括ってくれたと思います。

 

? 「うばっ」

 

初お座敷列車での“潮騒のメモリーズ”お披露目のための、ユイちゃんデザインのオリジナル衣装をよしえさんが実作して持ってきてくれたのに感激したアキちゃん号泣。これは、『あさイチ』での宮藤官九郎さんのトークで、現場演出やアドリブでなく、ちゃんと台本に台詞として載っていたことがわかって、是非ランクインさせたいと思っていました。「うばっなんて普通言えないですよ。どんな顔してどんなふうに言うのかと思ったら、ちゃんとうばっの気持ちを作ってきてくれた。女優さん(=能年玲奈さん)ってすごい」と宮藤さんも絶賛されていましたが、しかしね、「普通言えない」以前に、普通書かないだろう、感涙のシーンに「うばっ」て。絶賛すりゃオーライってもんじゃないってば。クドカン無双過ぎ。少しは遠慮しろって。
 

まあ、しなくてもいいんですけどね、ヒッ(巻かれて強くなる)。
 

おかげでと言うか終盤、震災復興中の北三陸に帰り、梨明日でユイとストーブさん(小池徹平さん)が「元イケメン枠」「元ヤンキー」と言い争うのを見たアキは再び「うばっ」で帰郷の幸せを表現しました。

 

 ? 「ダサいくらい何だよ、我慢しろよ!」
 

 これはもう、圧勝の1位と言うより、オールタイムノンジャンル名セリフランキングに入れ続けたい永遠の名セリフ。いまだにあまりに感動が鮮明なので、GMT真奈ちゃんの出身地、ゴホンゴホン「佐賀だろ!」が生んだはなわ♪えすえーじーえーSAGA~ の節でタイトルつけてみました。

 アメ女&GMT国民投票落選も繰り上げセーフという屈辱的結果に失意のアキが、年を越すはずだった寮を抜け出し北三陸へ帰ると、アキをアイドルへの道に導いた立役者であり、アキにとって最高にしてオンリーワンのアイドルであるユイちゃんは、上京の夢潰えてキラキラお嬢さんキャラを捨て、やさぐれヤンキーになっていました。 


 2008
年、高26月終わりに北三陸に来るまでの東京在住時代は自己表現がヘタと言うか無理で、向上心も協調性も個性も・・その他もろもろまったく無い、芸能界やアイドルとは対極にある超地味なキャラだったアキが、北三陸で海女さん「かっけー」と覚醒してから、大吉駅長(杉本哲太さん)以下の町おこし大人たちに頼み込まれて地元アイドルを買って出、水口のスカウトに乗って上京、と言うか帰京を決める原動力は、もともとアキの内なるものではなく、ユイの「東京へ行ってアイドルになりたぁーーい!」という熱いベクトルへの伴走がほとんどすべてでした。北三陸でできた、ただひとりの親友であるユイが東京東京、アイドルアイドルと燃えていなければ、アキは春子ママ(小泉今日子さん)の部屋で1980年代のレコードやグッズにときめく場面はあっても、「自分がアイドル目指す」実行動は起こさなかったはずです。
 

そのユイが、アイドルのもひとつ対極な、鼻つまみヤンキーメイクとファッションに変身しただけでなく、「諦めたんじゃない、醒めたんだよ」「アイドルなんてダサいじゃん、キャラ作って、男に媚び売って、超ダサいじゃん」と全否定。これには梯子段ぜんぶ外された思いのアキが絶望ギレしました。
 

「ダサいくらい何だよ!」・・平成っ子のアキちゃんは典型的にそうでしょうが、いまの日本で“ダサい”は言わば最終兵器でして、どんなに理屈つけても、有難がらせてくれても、ダサかったらぜんぶダメなのです。出発点も手法も過程も、結果が「ダサい」と決まった時点で終了。「かっけー」「かっけー」で進んできたアキちゃんにとって、「ダサい」ときめつけられて「ダサいくらい何だよ!」と開き直ることは、喩えとしてどうかとは思いますが戦前の日本の国民学校とかで軍事教練の士官が「貴様ら、大日本帝国と天皇陛下の御為を思えば、敵弾に当たって死ぬくらい何だ!」と嘯くくらいのコペルニクス的価値転換です。
 

アキとて、ユイが憧れてやまない“華やかで”“お洒落で”雑誌やTVで持ち上げられている今っぽい東京生活は、その中心にはいなかったしさして良いものだとも思わなかったけれどもだいたいわかっている。東京に一度も足を踏み入れたことないユイがひたすら脳内美化するほどには東京は「かっけー」ではないのだから、ユイの東京熱、アイドル熱をひそかに「ダサい」と思わなかったはずはありません。それでもアイドル志向に乗って、きっと追っかけ上京して合流してくれるはずのユイを待って下積みアイドル予備軍戦線を耐えてきたのは、「ダサい」という最強否定辞を取り返してお釣りの来る“何か”を信じていたからです。
 

それは普通に親友と希望を共有したいという思いであるかもしれないし、自分を目覚めさせてくれた美しい北三陸の海、温かい北三陸の人たちへの報恩であるかもしれない。そもそも人が強烈に「何かをやりたい」「何かになりたい」と熱望するとき、熱望の熱が高温であればあるほど、対象が眩くキラキラしていればいるほど、あらかじめ「ダサい」ものなのです。
 

アイドルが10代少女にとって「容姿の綺麗さ」「キャラの好ましさ」「ファッションセンス」等、いちばん評価されたいポイントで評価されてチヤホヤされるから憧れの職業だというなら、アイドルに憧れる自分は、あの子はこの子は、「そういうポイントにがっついてチヤホヤされたがってるなんて“ダサい”」とひっくり返して見られる。ユイも、本当はデビューしたくてたまらないのに、地元ミスコンやローカルTV局からのレポーターのオファーには気乗りのしない素振りをし、「デビューしたいんです!」となりふり構わず訴えるためには、水口が人目のない琥珀の坑道にいる必要があった。
 

あるいは普通の大人に人気の就職先、社会的地位の高い職業も同じこと。医師やパイロットやCAやデザイナー、オリンピックメダリストなどを目指すにしても、どんな純粋な動機の裏にも「尊敬されたがっている自分」「合コンでモテたがっている自分」「豪邸建てて親や親戚に誇りたい自分」が透けて見えた途端「ダサい」が首をもたげます。

 「ダサいくらい何だよ、我慢しろよ!」・・アキちゃんのこの捨て身の一喝は、何かを熱望し、何かを目指す、一抹の含羞と逡巡を抱えながらいまより眩い何処かに向かって自分を奮い立てているすべての人々に贈る、荒っぽいエールでもあるのです。ダサくたっていいんですよ、我慢できれば。自分のダサさを照れ笑いや自虐とともに受け入れている世の大多数の人たちのエネルギーこそが、ノーベル賞の発見も生みオリンピック記録も生み、ときに戦争を起こしたりもするけど、その都度鎮めてもきたのですからね。 

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もっと来いよ

2013-09-04 01:18:55 | 朝ドラマ

 あまちゃん 歌のアルバム』を入手。 

 NHK発の音楽CDには珍しい遊び心というべきか、今作、異常なまでに付録が充実しています。
 

まずはいきなりアメ女(じょ)ことアメ横女学園(が劇中でリリースしたことになっている)シングル4タイトルのジャケ写。チアリーダー風『涙目セプテンバー』・たれぱんだ風『空回りオクトーバー』・迷彩服風『暦の上ではディセンバー』に続き、センターのまめリンこと有馬めぐ(足立梨花さん)ソロプロジェクトらしき『宇宙船リメンバー』まで。劇中で歌と振付けが披露されたのは『ディセンバー』だけですが、こうなると全曲、振り付きで聴かせてもらおうじゃないかって気になりますな。
 

 続いてはその『ディセンバー』の振付け連続写真ガイド。わはは、70年代、ピンクレディーの全盛時代に、新曲のたびに明星とかに載ってたなあこういうの。写真モデルはGMTリーダー、海はないけど夢はある~入間しおり役・松岡茉優さんです。写真と解説そのものはNHKドラマガイドPart 2にカラーで載っていたやつのモノクロ圧縮版ですが、写真の流れがガイド掲載のそれと逆に左→右だし、写真のコマ送りスペースも圧縮されていて一枚にまとまっているので、実際首っ引きで全身鏡に向かって練習するならこちらのほうが実用的かも。クリスマス・忘年会シーズン、あっという間に来ますからね。いやマジで。
 

 この振付けガイドの裏はまるごと脚本宮藤官九郎さん×音楽大友良英さんの対談がびっしり掲載されています。基本的にはこちらもドラマガイドPart 2内所収の対談の抜粋再構成ですが、おふたりそれぞれに「この件はよほど印象深かったんだろうな」と思う強調言及項目(?)があって、ドラマとドラマ音楽、どちらか一方でも強烈に気に入った人なら併せ読むべきでしょう(このCDを買うということは、“両方”の人が多いと思いますが)。
 

 さらにはGMTの“推しメンカラー”ロゴステッカー:リーダー、:ベロニカ(←当初は青はアキちゃんの予定だったのですが、ああいった事情でクビになっちゃいましたからね)、ピンク:小野寺ちゃん、:真奈ちゃん、:喜屋武ちゃんのどれか一枚のランダム封入で、月河はちょこっとドキドキしながら開封したらリーダーの赤でした。うはは。なぜかリーダーはしおりちゃんでもしおりんでもイルマンでもなく「リーダー」。一歩間違えばダチョウ倶楽部かという。せめてTOKIOと言っておこうか。
 

同じCDをあと4枚買ったら全メン分揃うかもしれない。揃わないかもしれない。揃うまで買い続ける剛の者はいるかな。何百枚かに一枚、デビュー前に脱退したアユミちゃんのも入ってたりしないかな。
 

国民投票ですべって一時はGMTに入る予定だったもののお泊り愛すっぱ抜かれて卒業させられちゃったまめリンが、ってことでまた何百何十枚かに一枚入ってないかな。
 

追加戦士として幻のセンター候補ユイちゃんの金色が何千枚に一枚・・・ってどんだけスーパー戦隊化したいんだ月河は。
 

CD自体、スーパー戦隊の音楽で言えば、放送期間最終コーナー頃にリリースされる『ソングコレクション』相当の構成になっているし、この狂い咲き的付録群といい、“キャラ萌え親和性”の高い層に惜しげなく照準を合わせているドラマだなあと思います。アーティストが歌う、俳優さんが歌うのではなく“劇中の人物が歌ってる”と思って聴く。キャラソン大好きの月河はご想像の通りピンポイントで照準ロックオンされたクチで、一枚で何度でも美味しい、麻薬的に魅惑の好盤となりました。

 アメ女シングルジャケ写の下にもう一枚ペラがあって「大友良英&あまちゃんスペシャルビッグバンドライブコンサートツアー」日程表とチケット先行抽選予約のご案内(専用URLとQコード付き)(←当地が公演予定に入ってなくて良かった。入ってたら絶対万難なぎ倒して行く月河が見える)、「速報!あまちゃんオリジナルサウンドトラック2 2013年9月18日発売決定jjj」。抜かりない。商売うまいです『あまちゃん』。
 

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もっと言えば合成だ

2013-08-27 01:07:01 | 朝ドラマ

 ぶはは、太巻組の日の出待ちまたも空振り(@『あまちゃん』)。 

気象庁発表のリアル日の出時刻から逆算してすべてスタンバるなら、なぎ倒してガツガツ進めちゃえばいいのにね。ダブルヒロイン年長組・鈴鹿ひろ美さん(薬師丸ひろ子さん)の就任演説もぶった切って、なんならぶった切ってる前でカメラ回して“ぶった切られてアワアワしてるひろ美”のシーンに変更しちゃうとかさ。

 あき(天野アキ=能年玲奈さん)が「お母さんお帰りなさーい」の代わりに「かっけー」って言っちゃったぐらい、アフレコで当てれば済むでしょうに。太巻得意の“機械でどうにでもする”戦法ですわ。純然たるアイドル映画なんだし。アイドルおたくしか観ないんだし。ここは巻きで行きましょうよ。巻かれて巻かれて太くなる。
 

・・・とはいえ、どうも太巻(古田新太さん)、アイドル映画と言いつつ初メガホンで舞い上がって、すっかり本格的に行きたいみたいですよ。本格映画。或る時間帯の空の雲を撮るためだけにスタッフを朝の5時だか4時だかにスタンバイさせておいて、自分は10時頃来て空を見上げて「・・今日はダメだな」と一言で撤収させてしまうという、某・国際派大監督(故人)のような、スイートでセルフィッシュなスケジュール管理っぷりです。そんなのがシーンのたびに23日続いたら、制作予算なんか幾らあっても足りないだろって話。

小説家さんやミュージシャンなど、印税的に成功した別分野のクリエイターのかたが長年の夢を果たすべく映画製作に乗り出した例も少なからず聞きますが(アーティストの若い貧乏時代はたいがい暇にまかせて映画を見まくっていますから、映画ってやつは“売れてカネが入ったらやりたい”憧れのジャンルなのです)、ほとんどが借金の山だけ残すイメージ。

 太巻もこれで身上潰さないといいけどな。ミュージシャンなら返済のため向こう何年か地方ライブなど小金稼ぎ詰め詰めで働くという手もありますが、フトマッキーの場合いまさらバックダンサー詰め詰めというわけにはいかないので、得意の振り先(せん)で返済ツアーでしょうね。まずはあれだ、スーパー戦隊の
EDだ。♪めっちゃ踊りたくなるなるなるDEダ~ンス!(@『獣電戦隊キョウリュウジャー』)みたいのをTVサイズと劇場版とドームシティヴァージョン、最低3パターン。あと悪の大幹部役として顔出しレギュラー出演も(ぶははははははは、そっちが見たいメインだったりする)。 

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