弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事】計画的陳腐化

2018年01月09日 08時19分38秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
雨上がりの湘南地方です。
子供たちも今日から新学期。
大人もなんとなく今日から実質スタート?なひとも多いのかな。

さて、今日は気になったこんな記事

(AFP=時事より引用)
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iPhoneに「計画的陳腐化」の疑い 仏検察が調査開始

仏パリの検察当局は、米IT大手アップル(Apple)のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の一部機種で「計画的陳腐化」が行われた疑いについての調査を開始した。司法筋が8日、AFPの取材に明らかにした。

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(引用終わり)

「計画的陳腐化」=製品の寿命を人為的に短縮する仕組みを製造段階で組み込んだり、新製品を市場に投入するにあたって、旧製品が陳腐化するように計画することで、新製品の購買意欲を上げるマーケティング手法のこと。
(Wikipediaより)

こちらのサイトによれば、「計画的陳腐化」には3つのカテゴリがあるとのこと。
(1)「機能的陳腐化」=新しい機能を持った製品を時間をおいてリリースしていく方法
(2)「心理的陳腐化」=性能そのものは大きな変化はなくてもモデルチェンジを定期的に行うことでより新しいものを欲しいという気持ちを促す方法
(3)「材料的陳腐化」=品物の耐久度を製造段階から弱く作っておき定期的に破損を起こさせて買い替えを促す方法

技術の進展の裏返しとして、また新製品のプロモーションという光の“影”として
結果的に陳腐化が生じること自体は避けられない。

問題とされるのは「計画的」=予め意図されて生じる、という点。
もちろんすべての「計画的陳腐化」が咎められるべきものではない。
とりわけ(1)(2)については、まあ“最後は作り手側の美学の問題”という面もある。
いきなり飛躍的に機能が向上しても需要者はその価値を見極められないことが多いし
定期的にモデルチェンジを行うことで自社製品のコンセプトを伝えるためのアプローチを都度再検証するという側面もある。
そのことで需要者とのコミュニケーションがより密になることもある。

ただ、昨年末あたりからモソモソ話題になっていたけど、
通信機器において“新モデルを売らんがために旧モデルの通信スピードを意図的に下げる”といった行為は、
自社ブランド棄損でしかない。
耐久性の低いストッキング何かと違って見た目や口コミで事前に察知できない分、ある意味(3)よりもタチが悪い。
それを事前に明らかにしていなかったとすれば顧客ロイヤルティを下げるだけ。


一方別の側面からみると、
技術の進展により通信機器も現実的な耐用年数が伸びている。良いものをつくったがために買い替え需要が減る。
現実にユーザが使える年数丸々使い続けるようになったら、単純に売り上げはその分下がる。
単純化しすぎかもしれないが、買い替え期間が倍になれば売り上げは半減する。
それが判っていて、「意図的に」陳腐化を促さないことは、株主に対しての不義理になるだろう。
或いはそれで事業そのものが傾いてしまったら、結局不利益を被るのはユーザーだ。

意図せずとも陳腐化するほどテクノロジーが進めば良いのだけれど、
まあ一般ユーザ的には機能的にはもはや飽和している気がするし、ねぇ。
そういう意味では、適度なスピードで陳腐化してもらって、新モデルを時々楽しめる状況の方が健全なのかもしれない。
或いは、通信機器も「クラフト」化=使えば使うほど味が出るような仕様、
にしてくれれば面白くなるのだけれど。

コメント
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