映画「八日目の蝉」を観た。
間違いなく2010年を代表する邦画の一本。
映画館で観なかったことを悔いた。
今年(昨年)のキネ旬ベストで高く評価されていた本作。
邦画は個人的にハズレ率が多いので、園子温や、西川美和、山下敦弘など、
好みの監督意外は特段アンテナを張っていないものの、一応抑えておかなければ、と、
DVDレンタルで既に準新作扱いなった本作を今更ながら観た。
本作はNHKのドラマでもやっていたので、ある程度内容はかじっていたが、
映画という枠をきちんと抑えた、繊細かつ重厚な人間ドラマに仕上がっていた。
この映画は、母性愛という普遍的テーマを通して、
明日へ人が生きるための「魂の解放」を描いたものだった。
演者が素晴らしい。
メインキャストの永作博美、井上真央、小池栄子
そして井上真央の幼少期を演じた渡邉このみ。
キネ旬の女優賞を受賞した永作博美と小池栄子に大納得。
多くを語ることが野暮なほど、永作博美の演技は神がかっていて、
ブラックスワンでナタリー・ポートマンを観た時と似た凄みを感じた。
小池栄子が演じた千草はとても難しい役ドコロだ。
一見遠目で見ると、井上真央演じる恵理菜にただ付きまとうだけのしつこい女だ。
しかし、その千草にも意思ときちんとした目的(魂の解放)があって、
そのために千草には恵理菜が必要であって、同じく恵理菜にも千草が必要だった。
それが不思議な因果で結ばれていたよう。彼女の通る声も役柄にベストマッチ。
本作に一層の深みと広がりを与えた、小池栄子の素晴らしい助演ぶりに拍手だ。
井上真央もこれまでのイメージを払拭するような熱演。
恵理菜の幼少期で起きた事件が、彼女の成長にどのような影響を及ばしたか、
成長した彼女の表情から、その生き様が透けて見えるようだった。
劇団ひとりとの濡れ場ではもっと大胆に脱いでほしかったけど。。。無理か。
女優として本作の出演が、彼女にとって大きな転機となることは間違いなさそう。
そして、恵理菜の幼少期を演じた渡邉このみ。
芦田愛菜のようなあざとさがない自然で子どもらしい演技。もう抱きしめたくなるような可愛さ。
「泣く」のではなく、感情を押し殺し「涙ぐむ」姿に、希和子との絆の深さを知る。
2人の逃避行の最期。物語の結末が見えていても、おかげでこっちは涙をこらえることができない。
演出が素晴らしい。
監督成島出の手腕によるものと思われるが、現在と過去の交錯させ、
安堵と緊張といった相反する状況を対比させながらも、軸が全くブレずに突き進む。
散りばめられる伏線が、キャラクターの感情の終着点にスッとつながるような脚本にも唸った。
脚本家を調べたら、私の大好きな「サマー・ウォーズ」を手がけた奥寺佐渡子という人。
余計な説明を加えず、絶妙な間をとって、観る人の想像とセンスに委ねる端的なセリフ回しである。
原作は実際どうかわからないが、過去と現在の人物を交わらせず、
「写真館」での再会の一本に絞った判断も潔く、「魂の解放」に見事結実した。
希和子が恵理菜に誓った「美しいモノをこれからたくさん見せる」
希和子と恵理菜が流れ着いた小豆島の美しい風景が一層、心に染み入った。
興行的には、さほど振るわなかった本作だが、
リピーターが多かったという記事を見て、納得だ。
映画館でも基本エンドロールを無視する自分だが、
その余韻のあまり、DVDであったものの最後まで見送った。
さっそくBDを買いたい。でも極端に高い。どうするか。。。
あと、邦画の食わず嫌いはダメだな。
今年は昨年より邦画多めで見ることにしよう。
【90点】
間違いなく2010年を代表する邦画の一本。
映画館で観なかったことを悔いた。
今年(昨年)のキネ旬ベストで高く評価されていた本作。
邦画は個人的にハズレ率が多いので、園子温や、西川美和、山下敦弘など、
好みの監督意外は特段アンテナを張っていないものの、一応抑えておかなければ、と、
DVDレンタルで既に準新作扱いなった本作を今更ながら観た。
本作はNHKのドラマでもやっていたので、ある程度内容はかじっていたが、
映画という枠をきちんと抑えた、繊細かつ重厚な人間ドラマに仕上がっていた。
この映画は、母性愛という普遍的テーマを通して、
明日へ人が生きるための「魂の解放」を描いたものだった。
演者が素晴らしい。
メインキャストの永作博美、井上真央、小池栄子
そして井上真央の幼少期を演じた渡邉このみ。
キネ旬の女優賞を受賞した永作博美と小池栄子に大納得。
多くを語ることが野暮なほど、永作博美の演技は神がかっていて、
ブラックスワンでナタリー・ポートマンを観た時と似た凄みを感じた。
小池栄子が演じた千草はとても難しい役ドコロだ。
一見遠目で見ると、井上真央演じる恵理菜にただ付きまとうだけのしつこい女だ。
しかし、その千草にも意思ときちんとした目的(魂の解放)があって、
そのために千草には恵理菜が必要であって、同じく恵理菜にも千草が必要だった。
それが不思議な因果で結ばれていたよう。彼女の通る声も役柄にベストマッチ。
本作に一層の深みと広がりを与えた、小池栄子の素晴らしい助演ぶりに拍手だ。
井上真央もこれまでのイメージを払拭するような熱演。
恵理菜の幼少期で起きた事件が、彼女の成長にどのような影響を及ばしたか、
成長した彼女の表情から、その生き様が透けて見えるようだった。
劇団ひとりとの濡れ場ではもっと大胆に脱いでほしかったけど。。。無理か。
女優として本作の出演が、彼女にとって大きな転機となることは間違いなさそう。
そして、恵理菜の幼少期を演じた渡邉このみ。
芦田愛菜のようなあざとさがない自然で子どもらしい演技。もう抱きしめたくなるような可愛さ。
「泣く」のではなく、感情を押し殺し「涙ぐむ」姿に、希和子との絆の深さを知る。
2人の逃避行の最期。物語の結末が見えていても、おかげでこっちは涙をこらえることができない。
演出が素晴らしい。
監督成島出の手腕によるものと思われるが、現在と過去の交錯させ、
安堵と緊張といった相反する状況を対比させながらも、軸が全くブレずに突き進む。
散りばめられる伏線が、キャラクターの感情の終着点にスッとつながるような脚本にも唸った。
脚本家を調べたら、私の大好きな「サマー・ウォーズ」を手がけた奥寺佐渡子という人。
余計な説明を加えず、絶妙な間をとって、観る人の想像とセンスに委ねる端的なセリフ回しである。
原作は実際どうかわからないが、過去と現在の人物を交わらせず、
「写真館」での再会の一本に絞った判断も潔く、「魂の解放」に見事結実した。
希和子が恵理菜に誓った「美しいモノをこれからたくさん見せる」
希和子と恵理菜が流れ着いた小豆島の美しい風景が一層、心に染み入った。
興行的には、さほど振るわなかった本作だが、
リピーターが多かったという記事を見て、納得だ。
映画館でも基本エンドロールを無視する自分だが、
その余韻のあまり、DVDであったものの最後まで見送った。
さっそくBDを買いたい。でも極端に高い。どうするか。。。
あと、邦画の食わず嫌いはダメだな。
今年は昨年より邦画多めで見ることにしよう。
【90点】