から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

J・エドガー 【感想】

2012-02-03 23:10:23 | 映画
今月2月から4月にかけて、アカデミー賞は勿論のこと、
各前哨戦を賑わせた話題作が続々と日本公開される。
これは毎年の流れで、アカデミー賞を絡めたプロモーションという、
配給会社の思惑によるものと考えられる。
米国本土との長すぎる公開タイムラグは非常に不本意であるが、
この3ヵ月、一気に映画テンションが挙がる。

2/4人生はビギナーズ, 2/10ドラゴンタトゥーの女, 2/18ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
2/25 ヤングアダルト, 3/1ヒューゴの不思議な発明, 3/2戦火の馬, 3/10シェイム
3/16マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙, 3/24マリリン7日間の恋
3/31ヘルプ, 4/7アーティスト.....といったラインナップ。

そんな中、これまた今年(作年)の賞レースで賑わせた、
ディカプリオの新作であり、イーストウッドの新作でもある、
「J・エドガー」を観た。

本作は前情報通り、アメリカの初代FBI長官となった
実在の人物、ジョン・エドガー・フーヴァーの伝記映画であったが、
個人的には、男と男のラブストーリーという印象が強かった。

映画の世界で何かと聞く「FBI」という機関の名前。
それが起こった社会的背景。自由の国アメリカでかつてあった、赤(共産党)狩り、
ギャングとの抗争、犯罪捜査の転機となったリンドバーグの子供誘拐事件など、、、
イーストウッド特有の明暗のコントラストの強い画を通して鮮やかに描かれていく。

エドガーは権力にひたすら固執して。29歳から77歳の死に至るまで、FBI長官であり続けた。
相手の弱みを握る術に長けていて、最高の国家権者であるはずの大統領ですらも恐れる存在に。
また、あのキング牧師を糾弾するなど、極度の人種差別主義者でもあった。

まさにモンスターという表現が相応しいキャラクターを、
演技派ディカプリオの熱のこもった怪演で魅せてくれるのだが、
エドガーの若年期と、老齢期を交互に見せる構成から、彼を取り巻く、
人物関係、背景がとらえにくくて、イマイチ、その人物の求心力が弱く感じられた。
前日の夜ふかしから、睡魔に多々襲われたことがその要因だったかもしれないけど。。。

しかし、そんな中、途中、眠気を吹っ飛ばしてくれたのは、
エドガーの右腕となるクライド演じるアーミー・ハマーの存在。
彼の匂い立つような男色ぶりを見るだけでも本作は必見の価値ありだ。
愛するエドガーを見る眼差し、発せられる眩くて柔らかい色気。
これぞ演技派と言わんばかりの素晴らしい演技にすっかり魅了された。
お互い想い合いながらも、同性愛が市民権どころか差別の対象となっていた時代。
2人が休暇をとって泊まったホテルで、エドガーの悲しい告白に端を発したシーンは、
同性愛に全く興味がない私も思わず涙ぐむほど、切なくて、本作で一番好きなシーンだ。
クライドが去ったあと「愛してるよ」と涙ながらに呟いたディカプリオの表情が印象的。
彼が若い時に演じたロミオそのものだったな~

次世代のハリウッドを担う若き俳優たちが結集した昨年公開の「ソーシャルネットワーク」。
主人公マークを訴えるヨット部のイケメン兄弟(2役)を演じたアーミー・ハマーが本作でブレイク。
同作のアンドリュー・ガーフィールドは今年公開のスパイダーマンの新作で主役を張るし、
マークの元カノ演じたルーニー・マーラは、ドラゴンタトゥーで本年度のオスカーに堂々ノミネート。
監督フィンチャーのキャスティング能力、ホントすごいな。。。
オスカー候補となった主役のジェシーがパっとしないのが残念だけど。

本作、後半に差し掛かるほど、エドガーとクライドのプラトニックな関係に焦点が当たってくる。
いずれも味わい深いシーンが続くのだが、イーストウッド(映画)音楽のパターンである、
同じフレーズの音楽を何度もリピートして差し込む編集が、水を差す。

日本の映画ファンの大半が好きと思われるグラン・トリノも
「パララ~パララ~」の音楽の連呼で、自分は嫌になったし。

イーストウッドの映画が、やっぱりイマイチ好きになれない格好になったが、
同性愛モノ映画として抑えておきたい一本となった。

【65点】

























コメント
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