から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 【感想】

2012-02-25 16:24:31 | 映画
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」を観た。

なかなか覚えにくタイトルだ。。。

明後日に迫った第84回アカデミー賞。
先月発表されたノミネーションの会場で驚きの声が挙がったのが本作だ。
アカデミー賞の前哨戦ではほとんどスルーされていたので「意外」だったからだ。

本作は9.11で父を亡くした少年が、父の遺した鍵の秘密を探るべく、
その手掛かりとなるニューヨーク中の「ブラックさん」を訪ね回る話だ。

9.11でのアメリカの喪失と、アメリカの国民性ともいえる人々の強い絆が、
感受性の強い少年の眼を通して鮮やかに描かれている傑作といえそうだ。

主役の少年オスカーを演じたトーマス・ホーンがめちゃくちゃ可愛い。

華奢な体格と、端正で柔和な顔立ちは、
女の子っぽい男の子というより、ボーイッシュな女の子だ。
自らを鼓舞するために持ち歩くタンバリンを鳴らしながら
ニューヨーク中を懸命に駆け回る姿が愛おしく、
終始シカメッ面で生意気ぶっこいているにもかかわらず、
力の限りハグしたい衝動に駆られる。(趣味ではない)

彼はアメリカのクイズ番組で優勝した経験のある天才キッズらしい。
演じたオスカーも自らを冷静に客観視できるほどの天才ぶりで、天才が天才を演じた格好だ。

言うまでもなく演技初挑戦とは思えぬほど、彼の演技は自然で素晴らしいのだが、
今回の映画出演に味をしめることなく、「よい思い出が出来た」とあっさり、
普段の一般人に戻ったほうが、彼らしくてよいんじゃないかと思った。

あと、彼の母親役のサンドラ・ブロックには、完全に泣かされた。
後半の彼女の活躍ぶりは個人的には強引な印象があって、あまり好きではないが、
一人の妻として、母として、純粋に家族を想う気持ちがストーレートに伝わる好演だった。
プライベートでも人格者として俳優仲間からも尊敬されている彼女、
ますます女優としても磨きがかかっている模様。

他にも本作で助演賞にノミネートされているマックス・フォン・シドーを初めとして、
ヴィオラ・デイヴィス、ジェフリー・ライト、ジョン・グッドマンなどの馴染みの実力派俳優たちも、
オスカーが紡ぐ物語に花を添える。

本作で監督した映画すべてが
アカデミー賞にノミネートされるという快挙を成したダルドリー。

アカデミー賞会員に強烈なコネがあったのでは?と勝手な疑惑を持っていたが
なかなか手堅い感想作だった。

【65点】


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする