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オザークへようこそ シーズン1 【感想】

2018-09-20 23:00:00 | 海外ドラマ


海外でのレビューがイマイチなので後回しにしていた海外ドラマ「オザークへようこそ」。
シーズン2がリリースされたので、追っかけでシーズン1から見ることにした。

全10話。
う~ん、及第点。

ネット検索すると「ブレイキング・バッド」と比較するサイトがあったけれど、作品の完成度は雲泥の差かな。。。

表の顔は一般人を相手にする金融アドバイザー、裏の顔はメキシコの麻薬カルテルから資金洗浄を請け負う男と、その一家の物語。

主人公のビジネスパートナーだった男が、カルテルの金をちょろまかしたことで、主人公が巻き添えを食うことになる。疑わしきは罰し、見せしめに人殺しも厭わないカルテルにとって、主人公が無実であるかなんて関係なし。カルテルに殺されるすんでで、ギリギリ生き永らえる。すべてはカルテルと組んだことが運の尽きだ。

主人公の武器は、高い専門性をもった金融知識とビジネススキル。彼が殺されるのを逃れたのは、その能力をカルテルのボスに買われているからだ。カルテルのボスに対して、理不尽な「貸し」を作ることになり、命と引き換えに課せられた膨大な資金洗浄をこなすため、ミズーリ州にある「オザーク」という場所に引っ越すことになる。

「オザークへようこそ」という意味深なタイトルのとおり、オザークで待ち受ける「生態系」が主人公の資金洗浄活動に多大な影響を与える。何もない人工湖に面した田舎町は産業らしい産業はなく、夏場の観光客で賑わうくらいの場所。資金洗浄の隠れみのにするため「会社」探しに奔走、地元の小悪党一家に絡まれながらも一段落したと思ったら、今度は土着のギャングに目を付けられる。資金洗浄だけでも大変な仕事なのに、様々な障害が立ちはだかる。

シカゴで何不自由なく暮らしていた家族がいきなり、何の縁もない田舎に引っ越すわけだ。思春期の女の子と、小学生くらいの男の子がいる4人家族。主人公の奥さんは、資金洗浄の仕事を当初から知っている。子どもたちには当然隠していたものの、オザークへの引越しを理解してもらうために、仕方なくその事実を明かすことになる。資金洗浄とカルテルとの繋がりは家族全員の周知となっていて、この設定が本作のユニークなポイントだ。「一家の力で難局を乗り切ろう!」、そんなドラマのスローガンだろうか。人手が足りないため、子どもたちを巻き込み、札束の山をラッピングする画がとても可笑しい。

脚本や演出云々の前に、本作を見て物足りないと思うのは、主人公が常に「受け身」であるということ。カルテルに追われる立場上、ある程度仕方のないことだが、カルテルやギャングとの絡みだけでなく、降りかかってくるあらゆる難題に対して、あの手この手で切り抜けることに終始する。その都度、彼のビジネスマンとしての能力が発揮されるわけだが、変化のないドラマの構図がつまらない。10話中7話目までは課せられたノルマを達成することに費やすのもやや退屈。神ドラ「ブレイキング・バッド」のなかでも一番つまらないシーズン1ですら、最後に主人公が己の力を誇示して「帝国」の始まりを予感させた。

主人公を演じるのは、近年、映画界での活躍が目覚ましいジェイソン・ベイトマン。周りに振り回されるノーマル人間が本作でも似合う。凄腕の金融マンだけではなく、子ども想いの良き父親を好演。確か、第1話と第10話でこのドラマの監督もしていたと思う。奥さんを演じるのは、これまた映画でのイメージが強いローラ・リニー。演技派の彼女は本作で主人公に「ビッチ!ビッチ!」と言われまくる。2人の夫婦関係は歪んでいて、子どもを育てるパートナーとして割り切る。この2人の関係性も面白い。他のキャラクターは正直魅力不足。ドラマのなかで需要な役割を果たす地元小悪党一家の「ルース」演じるジュリア・ガーナーは、小娘感が強すぎて不良な役があまり似合わない。この前見たばかりの「ジ・アメリカンズ」にも出演していた彼女、演技はとても巧いんだけれど、もっと適役の俳優がいたと思う。あと、「第三」の敵として脅威になるべきFBIだが、一家に接近する捜査官の存在感が薄い。ドSのゲイという変わった個性を持たせているが、普通に地味だ。

冒頭のタイトルクレジットで表示される4つのイラストが、エピソードで登場するアイテムを暗示していて、この答え合わせは毎回もれなく面白かった。全編、青みがかった冷淡な色調も好みだ。

第8話で、10年前にさかのぼり主人公と奥さんがカルテルと付き合う経緯が描かれるが、時系列がごちゃごちゃでわかりづらく、せっかくの面白い話が勿体ない。クライマックスとなる最終話は、展開が雑すぎて、次シーズンへの期待よりも不安が先立つ。

つまらなくはなく、見ていて普通に面白いレベルだけれど、数あるNETFLIXコンテンツの中では優先順位は低くなった。シーズン2の視聴までは少し足踏みしそうだ。

【65点】



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