文化庁が行っている調査に「国語に関する世論調査」があります。
この調査は、政府の文化庁が国語(日本語)施策の参考とするため、「現代の社会状況の変化に伴う、日本人の国語意識の現状」について、平成7年(1995年)度から毎年実施している世論調査です。
この中では慣用句の意味についての調査がありますが、平成24年度のこの世論調査で、「流れに掉さす」という慣用句について、その意味を尋ねる項目がありました。
調査での質問、
「その発言は流れに棹(さお)さすものだ」という慣用句を、あなたは(ア)と(イ)のどちらの意味で使っていますか?
と尋ねたところ、 平成24年度 平成18年 平成14年
(ア)傾向に逆らって,ある事柄の勢いを失わせるような行為をする・・59.4% 62.2% 63.6%
(イ)傾向に乗って,ある事柄の勢いを増すような行為をする・・・・・・・・23.4% 17.5% 12.4%(本来の意味)
(ア)と(イ)の両方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.6% 1.5% 1.1%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.4% 0.3% 1.5%
分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.2% 1 8.5% 21.4%
本来の意味は(イ)です。
「流れに棹さす」とは、流れを下る舟に棹さすことで、勢いの付いたところへ更に助力が増えることで、物事が調子よく進むことの例えに使われる慣用句です。
調査の結果は、全ての年代で,本来の意味ではない(ア)を選んだ人の割合が,本来の意味である(イ)を大きく上回っています。
「誤用の要因」
この要因としては、
・まず日常生活で慣用句を使わなくなっているということがあります。。
この「国語に関する世論調査」では、「流れに棹さす」を使うかどうかも尋ねており、その結果を見ると、使うと答えた人の割合は9.4%で、「流れに棹さす」は、現代ではほとんど使われていないこと。
・また、「流れに棹さす」は、船を操るための棹を水底にさして、船を進めていく様子に由来するものですが、現在ではそのような光景を目にする機会がほとんどないこと。
等が考えられるという事です。
「辞書では」
辞書では、物事を時流に乗せて順調に進行させる。と説明しており、「棹」は水の底を突いて舟を進ませる長い棒。それを操って流れのままに舟を進めることを「流れに掉さす」と言う。
誤用として、「棹を突き立てて流れをせき止める、流れに逆らう」と解し時流や大勢に逆らう意で使うのは誤り。と説明しています。
最近では、本来とは異なる意味での理解が定着しつつあるようですが、本来の意味をよく理解したうえで、誤用しないように心掛けたいですね。
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