そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「iPS細胞ができた!」 山中伸弥、畑中正一

2009-02-26 23:56:33 | Books
iPS細胞ができた!―ひろがる人類の夢
山中 伸弥,畑中 正一
集英社

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人類史上に残る大発見と言われた京大の山中伸弥教授研究室によるiPS細胞発見について、元・京大ウイルス研究所所長でシオノギ製薬副社長も務めた畑中氏との対談インタビュー形式で紹介した本です。
まったくの門外漢で、iPS細胞といわれても何のことやらさっぱりわからなかった自分にも、どんな発見で将来的にどのように役立つ可能性があるのか理解することができました。
ただ、初歩的なことがわかると、次はもう少し詳しい話が知りたくなるのが人情ってもので、例えば「レトロウイルス」だとか「転写因子」だとか、この本だと簡単な注釈で済まされてしまっている内容について、より踏み込んだ解説があればよかったのになどと思ってしまいます。
というのは、この本、やたらと活字が大きくて、しかも代り映えのしない二人の対談風景を写した写真が多用されてたりして、ページ数の割に内容が薄いんですね。
それならもうちょっと内容充実させてくれてもいいのに、とついつい思ってしまいます。

対談の中で印象に残ったのは、山中氏のアメリカでの体験談。
学会で渡米したときに、たまたま乗ったタクシーで、運転手に「何の研究をしているのか?」と訊かれて、「幹細胞だ」と答えたらその話題で盛り上がったというエピソード。
日本じゃあり得ない話で、米国の一般人レベルでの医科学に対する関心は日本とは比べ物にならず、それが科学に関する彼我の層の厚さの違いにつながっているのでは、という話です。
何となく、数理系については一般には日本のほうが上をいってるようなイメージを持っていたけど、そのへん認識を改めなきゃならないようです。
そんなこともあって、iPS細胞についても、応用研究については日本はかなり劣勢に立たされるのでは、というような悲観的な見方も述べられています。

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