そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『やり抜く力 GRIT』 アンジェラ・ダックワース

2017-03-05 13:58:10 | Books
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
アンジェラ・ダックワース
ダイヤモンド社


Kindle版にて読了。
なんだか売れているみたいなので、試しに読んでみた。

向こうの人が書いた本だとよくあるパターンだが、いろんな実例を紹介してそれなりの分量があるけど、同じことが繰り返し主張されている。
言いたいことはシンプルで、結論としては大したことを言っているわけではない。

前半は、「成功した者としない者を分けるのは、才能の有無ではなく、努力次第なのだ」ということを示す事例が延々と紹介される。
この本で取り上げられる「成功した者」って、米国陸軍士官学校のエリートだとか、競泳の金メダリストだとか、NFLの名クォーターバックだとか、或いはAmazonのジェフ・ベゾスだとか、超ハイレベルの成功者ばかりで、おいおいどういう目線で読みゃいいいんだよ、とちょっと戸惑ってしまうが、エッセンスは共通なので常人レベルにも考え方はそのまま適用できるとは思う。

著者は「やり抜く力」を「情熱」と「粘り強さ」に分解する。
ここで言う情熱とは、高い目標に向かうモチベーションのようなニュアンス。
確かにいくら強いモチベーションを持っていても、それを実現するために粘り強く精進することができなければ成功できない。
逆に、コツコツ努力する粘り強さを持っていても、高みを目指す大志がなければ大成は望めない。

そう考えると、情熱の源泉となる究極の目標・目的を持つことが「やり抜く力」を身につけるための必須条件になってくる。
これに関連して紹介される、レンガ職人の挿話が印象に残った。

る人がレンガ職人に「なにをしているんですか?」とたずねた。
すると、三者三様の答えが返ってきた。1番目の職人は「レンガを積んでるんだよ」。
2番目の職人は「教会をつくっているんだ」。
3番目の職人は「歴史に残る大聖堂を造っているんだ」。
1番目のレンガ職人にとって、レンガ積みはたんなる「仕事」にすぎない。
2番目の職人にとって、レンガ積みは「キャリア」。
3番目の職人にとっては、レンガ積みは「天職」を意味する。
多くの人は 3番目の職人のようになりたいと思いつつ、実際のところ、自分は1番目か2番目だと思っている。


誰しも最初から「これが天職だ」とわかっているわけではない。
自分自身の興味の中から取組むべきことを発見し、同じ興味を持つ仲間を探していく営みの中で、やがて人の役に立つという「目的」を見出していく。

「やり抜く力」を伸ばすには、このように自分自身で「内側から」伸ばすやり方とともに、親・コーチ・友人などの力を得て「外側から」伸ばすことも重要。
子供が何かに打ち込むための意欲は、彼らのやったことに対するフィードバック次第で激変する。
一般的に、親は自分の子供に対して客観的な視点を持ち難く適切なフィードバックを与えることが難しい。
だからこそ、子供を課外活動に参加させ、コーチや教師に委ねることに効果がある。
コーチや教師にとっては、フィードバックを通じて「やり抜く力」を引き出すことこそが仕事なので。

この他、本書の後半では、子供の「やり抜く力」を伸ばすための子育て・教育にも多数言及されているが、親が子育てに対して賢明な態度で臨んでいたとしても、それだけでは子供に「やり抜く力」を持たせるためには十分ではない。
親自身が情熱と粘り強さを体現する生き方をしていないと、子供に「やり抜く力」は伝わらないのだと。
なるほど、おっしゃる通り。
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石原慎太郎って

2017-03-04 08:55:08 | Politcs
石原慎太郎って、「組織内の権限委任」の話と、「対外的なトップの責任」の話とを全く区別できてなくてびっくりする。
ずっと一匹狼で生きてくると、ああなっちゃうんだね。
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