そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

企業の海外進出は日本を救うか

2011-01-27 23:54:04 | Economics

本日付け日経新聞朝刊「経済教室」は、小池和男・法政大名誉教授。
海外進出した日本企業で活動する人々が、今後の日本の雇用・成長を支えるとの論。

本主張に対して想定される反論が4点挙げられ、それに対する回答が呈示されています。

(1)海外の日本企業が伸びるのは、そもそも日本の成長や雇用にマイナスではないか?

⇒日本企業の海外直接投資残高は多くないが、収益率は国際的にみても悪くない。海外直接投資残高が伸びていけばそこからもたらされる所得は大きいものとなる。

(2)海外に出ていっても日本企業に国際競争力がないのでは?

⇒日本企業の職場における中堅人材の質は高く、収益力の源泉となっている。

(3)海外日本企業に日本の雇用を支えるほどの人数が必要とならないのではないか?

⇒(2)の中堅人材を進出先の庶民に形成するための”教え手”としての要員が発生する。

(4)海外で働くための外国語習得などのトレーニングは大多数の人には実行不可能ではないか?

⇒海外派遣要員にとって流暢に外国語をしゃべることは必ずしも必要ではない。物事の理解こそが肝要。「内向き志向」と言われているが、実際に海外で活躍する先輩の姿をみれば、意欲は生まれる。

実証的な根拠があるのかどうかは分かりませんが、なかなか興味深い主張ではあります。

特に(1)の海外直接投資で稼ぐという視点は結構重要と思う。
せっかくの円高ですし。

最後に一点、懸念が挙げられています。
ややポテンシャルの低い層の人たちの雇用をどうするか。
そう、結局のところそれが最大の課題なのですよね。

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”与謝野”

2011-01-25 20:36:21 | Politcs

溜池通信さん、「かんべえの不規則発言」で紹介されていた小ネタ。

●「与謝野さんという名前は、『与党にも野党にも謝る』と書くんです」

うーん傑作、というか、気づかなかったなあ。
「与」と「野」の間で謝ってる、ってのがまたイケてます。

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「池袋チャイナタウン」 山下清海

2011-01-21 21:49:36 | Books
個人的に池袋は非常に馴染み深い街であります。
が、馴染みがあるのは基本的には東口側中心で、西口側といえば、マルイとか立教大方面とかはわりとよく知ってるけど、北口周辺というと以前からちょっと近寄りがたい雰囲気の繁華街で、高校生の頃ロサ会館でビリヤードやボーリングやったり、大人になってからシネマロサで何回か映画観たりとか、その程度。

その北口界隈がいつの間にかチャイナタウン化しているという話を知ったのはかなり最近のことです。
自分は2003年くらいまでは池袋をよく訪れてたんですが、著者が自身のウェブサイトで「池袋チャイナタウン」という名称を使うようになったのがちょうどその頃のことだそうです。
著者の調査によれば現在では飲食店を中心に200軒を超える華僑経営の店が存在するとか。

池袋チャイナタウンは、基本的に在日中国人同士の商売をする店が自然に集まって形成された街であり、横浜中華街のように観光地化していないところが特徴。
そして池袋チャイナタウンを形成しているのは、「新華僑」と呼ばれる、1980年代中国の改革開放路線転換以降に日本に渡航してきた新しい世代の華僑。
横浜中華街などの「老華僑」がすっかり日本人化しているのと違って、池袋の新華僑は中国流をそのまま日本に持ち込んでいる面が強く、マナーやしきたりを守らない点で地元の住民や商店主との距離感が遠い。
「東京中華街」構想を巡っての地元住民・商店主との軋轢は大きく報道されました。

(なお、本書によれば、唐突な「東京中華街」構想への地元の反発は確かにあったものの、基本的にはお互い共生を深めていきたいという思いは双方持っており、むしろセンセーショナルな報道によって政治団体などが集まってきてしまったことで反発がエスカレートしてしまった面があるとのこと。)

本書では、池袋の若い新華僑経営者たちへのインタビューが掲載されています。
親戚に借金して日本に渡航し、言葉もできない中で皿洗いのアルバイトなどで寝る間を惜しんで働いて資金を作り、起業して短い間に商売を発展させてきた彼らのハングリーな生き様には、日本人には真似できないダイナミックさを感じます。

そんな池袋チャイナタウンも直近では一時期の勢いを失っているとのこと。
低価格を競う過当競争で苦境に陥る店が増えており、また、以前に比べて不法な出稼ぎ渡航者が減って”健全化”した分、活気が損なわれた面があるそうです。
不法出稼ぎ者が減ったのは一見するとよいことのように思えますが、見方を変えれば、リスクの高い不法渡航をするほどの魅力が日本という国になくなりつつあることの裏返しであることも指摘されています。
最近では、東南アジアや欧米に出ていく新華僑が増えているとか。

実際にその場で暮らしている人たちには苦労も多いのでしょうが、このようなダイバーシティ溢れる場が日本に存在することは長い目で見ればよいことなのではないかと思います。
著者も、そのような混沌とした池袋チャイナタウンのあり方を愛していることがよく伝わってきます。
池袋チャイナタウンが現在重要な岐路に立ち、次第に衰退していくことが予感されることを悲しんでいるような雰囲気で本著は結ばれています。
が、万物流転、時の流れに応じたそうした盛衰も含めたダイナミズムにこそ価値があるのではないか…個人的にはそう思います。

池袋チャイナタウン ~都内最大の新華僑街の実像に迫る
山下 清海
洋泉社
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新幹線全面停止(続き)

2011-01-18 22:18:29 | Society
新幹線トラブル、運行担当者の誤解原因 JR東が謝罪(朝日新聞) - goo ニュース

画面表示が600件を超えると「線が消える」のは仕様通り、運行担当者がそのことを知らずシステム障害と考えて念のため運行を止めた、という理解でよろしいか。
万が一システム障害だったら困るので慎重に裏取りしていたがために、「原因不明」で一日引っ張ったってところでしょうか。

どうもマスコミは、15年間仕様を変えてなかったことが問題ってオチをつけたがってるみたいだけど。
まあ、ユーザインタフェースが不親切だったって話ですかね。
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新幹線全面停止

2011-01-17 20:23:02 | Society
JR東の全新幹線1時間15分不通 影響8万1千人以上(朝日新聞) - goo ニュース

列車のダイヤを管理する画面がついたり消えたりして不安定になった」という、この記事を鵜呑みにするのであれば、一時的なハード障害、または、通信障害による間欠故障といったところでしょうか。
このCOSMOSというシステムは1995年稼動だそうで、老朽化を原因として疑うかのような憶測もあるようですが、さすがにハード更新は行われているだろうし、APや運用は枯れているだろうし。
当然、冗長化等信頼性対策は採られてるんでしょうが、それがうまく動かないことも…
まあそういうことも稀にはありますわな。

巻き込まれた方はお気の毒ですが。
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擬制を超越した実体としての「法人」という肌感覚

2011-01-15 23:55:07 | Politcs

本日付け日経新聞朝刊コラム「大機小機」より。
「法人税と消費税と企業社会」、分析は「盤側」氏。

法人税率下げに関する問題提起…

…法人優遇、個人冷遇という日本人の庶民感覚に根拠がないと一蹴できない何かがあるとしたら、それは何か。
それが企業社会がどこまでも個人を尊重する個人中心のものになっているか、にある。
欧米の企業において、株主とは個人であり、個人のために厳しい受託者責任を課せられた年金基金などの機関投資家である。したがって、法人税引き下げで企業収益が向上すれば、配当や株価で報われる株主も個人である。一方、消費税を負担するのも個人なので、法人税引き下げで株主としての個人が報われる代わりに、消費税率が上がることで負担が重くなっても、両者の釣り合いは取れる。
「個」に絶対の価値を置く市民社会構築のために多くの犠牲を払ってきた欧米における企業社会のあり方は、税のあり方にも直結する。

しかしながら日本では…と議論は続きます。

言い換えれば、欧米では「法人」とは単なる擬制であり、各種制度の利害も最終的に個人に還元して考えることができるのに対し、未だ欧米ほどの「個」の確立が実現していない日本社会においては個人と並び立つ形で「法人」が単なる擬制を超越した実体的なプレーヤーとして捉えられがちである、ということでしょう。
世論調査の結果でも、法人税引き下げについては賛否が真っ二つに分かれているのにも、そのあたりの肌感覚が表れているのかもしれません。

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紅組は負け続ける

2011-01-10 21:36:34 | Entertainment

「溜池通信」さんの「かんべえの不規則発言」1月7日付け記事で、紅白歌合戦での紅組6連敗を枕に日本経済について語られています。

論旨の中心は、「日本経済は本気で闘おうとしているのか?」という点であり、それについては自戒も含めてまったく同感なのですが、ここではあえて傍論である「紅白歌合戦で何ゆえ紅組は負け続けるのか?」という点について。

何ゆえ紅組は負け続けるのか、簡潔に云えば「AKB48に関心のある層(男性)は紅白など視ないが、嵐に関心のある層(女性)は紅白の視聴者の中心である」という点に尽きるのではないかと思います。
いくらAKBがアトラクションや他の歌手のサポートで画面に出まくったところで、視聴者の中心である主婦層には大して響かないため得点につながらない。
ましてや少女時代やKARAなんかが出た日にゃかえって主婦層の反感を買って逆効果であるのは間違いない。

紅組を勝たせようとするなら、白組のラインアップを落とすしかない。
具体的にはジャニーズを減らして、演歌歌手と中高生にしか人気ない若僧で固めるとか。
でもそんなことしても誰も得しないのでやるわけがない。

というわけで、たぶんこの先紅組が勝つことは永久にないように思います。
それこそ八百長でもしなければ。

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2011年の抱負

2011-01-02 11:13:19 | Diary
新年あけましておめでとうございます。
家族が帰省して一人静かなお正月を過ごしてます。

新年にあたって、今年やりたいことを3つほど。

1.家族旅行に行く
下のコドモも今年は3歳になりだいぶ落ち着いてきたので、実家関係以外に泊まりがけの旅行に連れて行きたい。
といっても予算の都合もあるので国内になっちゃいますが、できれば飛行機に乗せてやりたい。

2.減量する
去年の終盤は、脂質摂取を控えることを意識するだけで2kg減りました。
あと4kgくらい減らせば学生時代の体重に戻るので、それを目標に。
泳ぐのを復活させたので、何かもう一つくらい運動を増やしたい。
金かけずに歩くか走るか、金かけてフィットネスかテニスか…

3.英語を勉強する
基本的にドメスティックな仕事をしているんですが、それでもグローバル化の波は確実に感じます。
といいながらも、日常的に英語を使う場面など現状ほぼ皆無であり、こういう環境で英語を習得するのはなかなか難しいんですが、それでもなんとかやってみようと思っています。
具体策はぼちぼち考えますが。

何かを変えるためには何かを捨てなければならないというのは世の必定。
子育てが楽になるのと、スマートフォンにして情報アクセシビリティが上がることで効率化できる面はあると思いますが、それ以外にも何かをあきらめねばならんでしょうな。
今年は読書量をセーブしてみようかと思ってます。
最近やや乱読気味なのを感じるので、ただ量を読むよりも読んだものをしっかり消化することに注力しようかと。
映画観賞は、月5本(劇場1本、自宅4本)ペースを維持して年60本を想定。

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本年もよろしくお願いします。
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