今日の日経朝刊スポーツ面に掲載されていた野田朱美・日テレベレーザ監督によるコラム、地に足が着いた良記事だったので、以下メモ。
さて、アルガルベを見ながら頭をよぎったことがある。女子サッカーが大きな岐路に立っているような気がしたのだ。先人の努力でW杯を開催し五輪種目にもなった。そこに達成感がある一方、全世界的に見て次にどうステップアップしていくべきか方向性が霧の中にあるようにも感じた。
例えば上位10チームの顔ぶれは多少の変動はあってもいつも同じ。よって組まれるカードに変化は乏しい。分母が増えていないから女子サッカー全体が細長いピラミッドみたいに見えてしまう。
試合の中身もビルドアップとかポゼッションとがどうとかスタイル先行の話が多いけれど、もっと基本に立ち返らないといけないのではないか。アルガルベでも日本に限らずイージーミスを重ねた上、ということが多かった。ボールを止めてける、という基本動作がもっとスムーズにやれたら女子サッカー全体がワンランク上に行けると思うのだが。
昨年、W杯を制したことで女子サッカーは急速に日本で認知された。認知の次に来るのは評価という物差しだろう。その中には「男子に比べて」という最も厳しい評価軸もあるはずで、そんな目線で見られたら女子のサッカーはまだまだと認めざるを得ない。
今は手放しでほめられることが多いなでしこだが、しっかり評価されることが成長には必要。それが一過性のブームから本当にコアなファンをつくっていくことにもつながるのだと思う。
「なでしこ」ブームを眺めながら、自分が常々感じていたことを言語化してくれた、という点で感服しました。
アルガルベの決勝ドイツ戦にしても、試合終了間際に双方相手のミスから得点を取り合うバタバタの展開。
観てる分にはドラマチックで面白いといえば面白いんだけど、(男子の)サッカーを見慣れている身からすると、試合の終わらせ方という点で双方洗練度の低さのほうが気になってしまいました。
上位国の顔ぶれがいつも同じ、というのもその通りで、しかも強豪国である米国やドイツにしても、体格や体力で勝負している感じで、あまりサッカーの質の高さは感じられない。
質という点では「なでしこ」のサッカーは一段上を行っているんですよね。
ぜひともその質をますます向上させて、他の強豪国に刺激を与えることで全体のレベルアップに寄与してもらいたい。
それに加えて、女子サッカーに力を入れる国の裾野をもっと広げること。
そうやって女子サッカー全体が真のレベルアップを遂げたときに、日本の女子が強豪で居続けられるかが次の勝負ですね。
女子バレーや女子マラソンのように、その地位をずるずると下げていくことなく。
なんとなく、今の「なでしこ」の選手たちのメディアにおける扱いがかつての女子バレーのそれと重なるところに嫌な予感がしたりするのですが。