本日付け日経新聞朝刊コラム「中外時評」より。
「アラブの春」と北朝鮮-池田元博論説委員の稿。
カダフィ大佐と金正日という二人の独裁者の類似性を指摘した上で…
2人の独裁者。その路線を分かつ転機は、2003年に訪れる。リビアは英米との秘密交渉の末、外交方針を大転換し、核兵器など大量破壊兵器の開発計画を放棄すると表明した。パンナム機爆破事件の責任も認め、遺族への補償にも応じた。
こうして米欧との関係改善を実現したカダフィ・リビア。
その選択は「リビア・モデル」としてもてはやされ、米国の対北朝鮮協議の場にも持ち出されるようになりました。
ところがその末路は、国連決議に基づく米欧による空爆などの軍事介入により最期を迎えようとしています。
これが北朝鮮にはどのように見えているか。
もちろん深刻な内戦を招いた非はカダフィ政権にあるが、北朝鮮の見方は全く異なる。
朝鮮通信(東京)が伝えた朝鮮中央通信の報道によると、北朝鮮の外務省報道官は3月、米英仏などが対リビア空爆を始めたことを「無差別な武力干渉」と激しく非難した。そのうえでリビア・モデルとは、「『安全保障』と『関係改善』という甘言で相手をだまして武装解除した後、軍事的に襲いかかる侵略方式」と決めつけている。
北朝鮮は今後、カダフィ大佐の選択を反面教師とし、核兵器の開発を放棄するどころか、「核」への執着を一段と強める懸念が大きい。
確かに金正日の目にはリビアの置かれている状況がこういうふうに映っているんだろうな…
リビアの情勢がどちらかというと好ましい方向に行っているように日本人には思われている印象だけど、こうした影響まで考え合わせると結構厄介なことになるのかもしれん。