そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『一言力』 川上徹也

2017-07-10 22:55:44 | Books
一言力 (幻冬舎新書)
川上 徹也
幻冬舎


Kindle版にて読了。

「短く本質をえぐる言葉で表現する能力」を向上させるメソッドを解説した一冊。
やっぱりセンスが必要な世界だとは思うが、少しでもヒントになるものが得られればと。

印象に残ったところだけを書き出しておく。

まずは「断言力」。
リスクを負って断言していくくらいの気持ちがないと、読む者、聴く者の心をつかむことはできない。

そして「発問力」。
言い換えると「問題をつくる力」。
人工知能が普及していくこれからの時代、問題解決力だけでは太刀打ちができない。
いかに「いい問いかけができるか」が問われる。

「短答力」と「比喩力」が、 この本のキモだろう。
いろんな事例が出てきて、読んだいるだけで楽しいが、実践するとなると難しい。
普段から意識して自ら鍛えなきゃなかなか向上しないな、と。
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『GE 変化の経営』 熊谷昭彦

2017-07-09 17:19:17 | Books
GE変化の経営
熊谷 昭彦
ダイヤモンド社


Kindle版にて読了。

著者は、現役のGEジャパン社長兼CEO。
GEといえば、直近で、稼ぎ頭だった金融事業を手放し、産業インフラ系の事業にリソース集中するともに、IoTの時代にデジタル・インダストリアル・カンパニーとしてITサービス事業に乗り出していることが広く知られている。
そのドラスティックな変革の要点を、事業経営の具体的な変化を紹介しながら解説していく。

その横展開を推進するために、「GEデジタル」というGEで初めて部門間に横串を通すための組織ができた。GEデジタル部門は、さまざまな事業・分野の専門家が混成した組織になっている。エンジン、電力 、ヘルスケアなどという事業ごとのバ ーティカル(垂直)な組織ではなく、どの部署とも関連をもつホリゾンタル(水平)な組織である。

このように、GEの既存製品を合わせて、もっと大きなビジネスにする狙いをもつのが GEストアだ。複数の部門を結びつけたプロジェクトチームをつくり、コーポレートがそれを率いるというスタイルを取っている。よく知られたことだが、GEには全社的な経営企画部門がなく、部門ごとに戦略を立てている。これまではそのメリットを享受してきたが、今後は部門横断的な付加価値を提供するGEストアが中心となって 、実務的には我々コーポレートがその拡大を担っていく。


デジタル・インダストリアル・カンパニーへの変身は、単なる事業ポートフォリオの組み替えとはレベルの違う変化であることがわかる。
事業部門ごとの自主独立性を弱めてでも、統一した横串を通して全社の体質・カルチャーを変える試みである、と。

GEストアが目指すところは、そうした考え方を会社のカルチャーに昇華させることにある。経営企画室などの硬直した部門をつくるのではなく、社員全員のカルチャーにすれば、全社員が自然に他部門との連携を頭に置きながら仕事をすることになるからだ。


と言うだけなら簡単だが、人間はもともと変化を好まない動物であり、このようなカルチャーの変化を短期間で徹底するのは至難の業だろう。
トップダウンの号令を通しやすい米系外資ならではと言えるのか?
事業の集中を図ってきた効果として、いまやGEのビジネスは、幅広いなかでもそれぞれ何らかの関連性をもつものばかりになり、部門同士が連携しやすくなった、と語られているが…

そして、デジタルビジネスへの事業シフトは、ビジネスモデル自体の変革を要求する。

単に既存の製品を販売するだけでなく、何をやれば顧客の成果につながるのかという考え方を広げていく。なかでもそれが最も必要とされるのが、デジタルのビジネスである。デジタルはソリューションをビジネスとしており、ハードウェアを販売するものではない。何もないところから顧客のニーズを掴み、そのニーズに対するソリューションを考えて提供し、またそれによって他の製品の販売にもつなげていくというように、ビジネスモデルそのものが従来のGEのそれとは違う。


製造業としてモノを売るのではなく、ソリューションを考えて提案する営みを行うと、顧客から既存のビジネスとは一見まったく関係のない悩みが出てくる機会が増える。
それを解決することで本当のパートナーシップを構築できるようになる、と。
これからは、コンサルティング会社やIT企業が競合になると言っているが、その通りだろう。

カルチャーを変えるために、行動基準を変え、社員の評価方法も改革されたという。

そこで、「ピープルレビュー」は年1回でも、リーダーと部下とのやり取りは毎日のように行うことになった。これまでは〝1年、半年を振り返って評価を決める〟ものであった人材管理プロセスを、年間通じて対話をもち、頻繁にフィードバックを繰り返し、〝これからどうキャリアを積むかを話し合って行動と成長を促進する〟プロセスへと変更したのである。


評価よりも成長を重視する仕組みに変えることで、スピードと自主性を促す、と理解した。

4月頃に読んだのだが、その後、ジェフ・イメルト退任のニュースが流れて驚かされた。
この本の中に「株式市場でも高まってきたイメルトの評価」という章があり、

IRの対応も、かなり変わってきた。GEのように成果が出るまでに時間のかかる足の長い事業をもつ企業は、四半期ごとだと整合性を取りづらいところがある。そのため、目標についても昔ほど四半期ごとには公表しなくなっており、基本的には1年単位である。また、短期的な戦略や数字について発表するときも、期間目標値に少々幅をもたせることが増えている。


と書かれていたのだが、株価低迷に対する責任を問う声に抗しきれなかったことが退任の背景にあるとも報道されている。
実際のところどうだったのだろうか…
それにしても、創業以来120年を超える歴史がありながら、イメルトが9人目のトップというのも凄い話だが。
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