そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『日本人の英語』 マーク・ピーターセン

2014-01-26 17:33:13 | Books
日本人の英語 (岩波新書)
マーク・ピーターセン
岩波書店


初版は1988年とのことなので、もはや古典ですね。
日本人には掴みづらいネイティヴならではの英語的発想の解説書。
先日読んだ『英会話イメージリンク習得法』のネタ本の一つ。

前半に紙幅を割いて解説される「冠詞と数、a、the、単数、複数などの意識の問題」はなかなか実践的です。
日本人が無造作に選択する冠詞や単数形・複数形の使い方が、ネイティヴに対して如何に違和感を抱かせるのかが、よく理解できます。
冷凍庫は各家庭に普及しているから「the freezer」でよいけど、電子レンジは各家庭にあるとは限らないから「her micrwave」と言うように使い分ける、という話はなるほどな~という感じでした。
(電子レンジが普及途上というのは本著が書かれた時代の話であって、現代では「the microwave」でよさそうですね…)

その後は、これまた日本人が迷いがちな前置詞の選択についてで、ネイティヴの感覚では前置詞の使い分けには一貫した論理がある、ということが様々な事例をもって説明されます。
そう言われるとわかるんだけど、やっぱり難しいなーというのが正直なところ。
on と in くらいなら解るんだけど、acrossの比喩的表現とかになっちゃうとなかなかイメージしにくい。

で、それから先では関係詞や副詞などをこうして使えば英語らしい表現になるよ、ということが解説されますが、このあたりはそれなりに高いレベルでの英語力を身につけようとしている人には参考になるのかな、と。
自分のレベルでは、そんなもんか、という感じ。
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『英会話イメージリンク習得法』 遠藤雅義

2014-01-19 17:24:01 | Books
英会話イメージリンク習得法―英会話教室に行く前に身につけておきたいネイティブ発想
遠藤 雅義,Victoria Bloyer
英会話エクスプレス出版


Kindle版にて読了。

英会話をスキルやテクニックとして習得するよりも前に、ネイティヴはどのような発想やイメージをもって英語を喋っているのか、その背後にある思考への理解を深めることで英会話習得の成果が上がりやすくすることを目的に書かれた本。
著者自身は、ネイティヴでもなければ英語についての専門の研究者でもありません。
本著の内容は、著者自らが英会話を上達させるために学習を行う中で文献を調べたりして立てた仮説に過ぎない、と断り書きしているところが面白いところです。

この本を読むと、我々が中学や高校で学んできた英語の勉強と云うのは「どのようにすれば英語の文章を日本語に訳すことができるか」についての学習に過ぎなかったのだ、ということを痛感させられます。
英語の文を日本語に翻訳する場合、基本的に「後ろから前に」訳していくことが多くなります。
が、考えてみれば当たり前のことですが、ネイティヴが英語で話す場合には「後ろから前に」なんて順番で文を組み立てているわけがない。
普通に「前から後ろに」単語を並べて英語の文を組み立てながら喋っている。
その時に、どのような発想やイメージで単語を選択しながら並べているのか、その感覚を想像するつもりでいないと英会話は上達しないわけですね。

例を挙げると、学校の授業で習う「形式主語のit」というのがあります。

It is hard to write off Japanese luxury cars.

我々は学校で「it = to write off Japanese luxury cars」である、と習いますが、ネイティヴはそんなイメージは持っていない。
ネイティヴは「it = hard」と捉えているだけだ、と。
これって大切な視点だと思いました。

それから時制について。
日本人がなかなか習得しづらいものとして「現在完了形」というのがあります。
著者は、「have + 過去分詞」を理解する上で重要なのは、haveは現在形であるということだと云います。
現在形なので、あくまで「presentのことを述べている」という感覚であり、現在に焦点が合っている表現であると説明されます。
これまで数多の現在完了形についての説明を聴いてきましたが、初めてしっくりと腹に落ちる理解が出来た気がします。

あと、冠詞についても、日本人の英語学習では「名詞に a や the を付ける」と教わりますが、語順からしてこれもおかしい。
ネイティヴは、まず冠詞によって外枠や輪郭を述べてから、中身である名詞を表現しているのだ、と。
「なるほど」という感じでしたが、このあたりは岩波新書の「日本人の英語」の孫引きですね(この本の次に読みました)。

これ一冊で英会話が上達するというわけにはいかないでしょうが、本著に解説されているイメージを持っているのと持っていないのとでは、英会話への取り組みは全然違うだろうなとは思いました。
ただ、度々出てくる、ジェスチャーでネイティヴの感覚をイメージする手法はよくわかりませんでしたが(却ってわかりにくいような…)
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『歴史を考えるヒント』 網野善彦

2014-01-04 15:07:16 | Books
歴史を考えるヒント (新潮文庫)
網野 善彦
新潮社


網野さんの本を初めて読みました。
2001年に発刊された新潮選書が2012年に文庫化されたもの。
網野さんは2004年に亡くなっています。

歴史上「日本」という国名はいつから使われるようになったのか、という問いから話は始まります。
多くの日本人がその問いに答えることができないのは驚くべきことではないか、と。

そして、日本国の範囲の話、「関西」と「関東」の話。
我々が現代の感覚で捉えている日本という国の概念がけっして歴史上絶対のものではなかったという、考えてみれば当たり前のことが改めて思い知らされます。

本著のメインは「百姓=農民」という捉え方が誤解であることの解説。
江戸・明治以降に形作られた農本主義的な史観が、現代の歴史教育に根深い影響を与えている、と。

その他、被差別民に関する考察など、なかなか一般にはタブー視されてお目に懸らない論考にも触れることができるのが興味深いところ。

一般の人にとって歴史観というのは学校教育を通じてしか身につかないものなので、思い込みに基づいていても気がつかないもの。
もちろん、この本に書かれているのも史観の一つにしか過ぎないけど、相対的な視点を持つことは重要と思います。
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『経営センスの論理』 楠木 建

2014-01-03 14:51:09 | Books
経営センスの論理(新潮新書)
楠木 建
新潮社


『ストーリーとしての競争戦略』の楠木さん、3年ぶりの著作。
Kindle版にて読了しました。

もともとWebに連載されたものを書籍化したものということで、一冊を通しての論考というよりもエッセイ風の趣きがあります。
そのことを以てAmazonのレビューなどでは低評価を下す向きもあるようですが、楠木さんに云わせれば、こういう著作から糧になるものを読み取ることこそ「センス」の成せる業なのだ、ということになりそうな…

自分にセンスがあるなどと云うつもりは毛頭ないけど、個人的には十分に面白くて刺激的な要素がいっぱい詰まっている一冊であるように思いました。
名言の宝庫というか。

・「イノベーション」は「進歩」ではない。イノベーションの本質は「非連続性」にある。そして、イノベーションとは供給よりも需要(「いまそこにある」ニーズ)に関わる問題である。イノベーションは「できるかできないか」よりも「思いつくか思いつかないか」の問題であることが多い。

・企業の競争力を評価する際、「森を見て木を見ず」「葉を見て木を見ず」「土を見て木を見ず」になりがち。
 森:景気や業界構造、木:個別企業の戦略、葉:目につく個別の施策、土:国の土壌

・「攻撃は最大の防御」の前提は、すでに「防御」の必要が生じていること。ネガティブな状況に追い込まれている時に防御一辺倒になるとやたらとコストがかかる。「攻撃は最大の防御」の妙味はコストよりもベネフィットがやたらと大きいこと。

・多様性(ダイバーシティ)それ自体からは何も生まれない。多様な人々や活動をひとつの目的や成果に向けてまとめ上げる「統合」にこそ経営の本領がある。

・グローバル化の本質は単に言語や法律が違う国に出ていくことではなく、それまでのロジックが通用しない未知の状況でビジネスをやるという「非連続性」にこそある。

・国が抱える問題は「複雑性」と「不確実性」に分けられる。日本の場合、複雑性が高い。社会を統治する仕組み(ガバナンス・メカニズム)には「市場」と「組織(政治)」がある。市場は不確実性への対応、組織(政治)は複雑性への対応に力を発揮する。

・日本企業には「専業」で成果を上げているところが多い。逆に「ポートフォリオを最適化する」ことでうまくやっている企業は多くない。ポートフォリオ経営で求められるセンスは金融業のそれである。金融(投資)という仕事には終わりがある。ポートフォリオ経営の本質は過去を忘れる力。一方、事業経営に終わりは無い。一意専心の経営は時間軸を長く取ればむしろ変化対応力をおもたらす。

・戦略の本質は競争相手との「違い」を作ること。「違い」を作る考え方には「ポジショニング」と「能力」の2つがある。相対的に資源制約が強くかかっていればポジショニングで勝負することが多い。成熟とともにポジショニングから能力へと戦略の軸足がシフトする傾向にある。資源制約がなければ戦略は必要ない。

・抽象と具体を行ったり来たりする振れ幅の大きさと往復運動の頻度の高さとスピード。これが「地アタマの良さ」。

・情報をインプットする目的は2つ。1つはインプットそれ自体のため(趣味:自分のため)、もう1つはアウトプットを生むため(仕事:他人のため)。

・勉強の面白さは、知識の質に関係している。上質な知識とは「論理」である。

…などなど。

いろんな場面で使えそうなヒントに溢れていると思います。
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2014年のテーマ(個人的)

2014-01-01 23:14:47 | Diary
新年明けましておめでとうございます。

昨日(大晦日)の続き。
今年は以下をテーマにしようと思っています。

1.変化を先読みする(世の中についても、プライベートも)。
2.その変化を楽しむ。
3.そして、チャレンジする。

こういう個人的なことをブログに書かなくても、とは思うけど、書き記しておくと後から振り返ることができて重宝なんだよね…

本年もよろしくお願いします。
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