そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「昭和の日」と映画の話

2008-04-29 19:04:02 | Diary
一昨日、イッセー尾形が昭和天皇を演じて話題になった、アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画「太陽」をレンタルしてきて鑑賞しました。
今朝、またもや早く目が覚めてしまったのでCinemaScapeにレビューをアップした後、新聞を広げたときにふと気づく。
おお、今日は昭和天皇の誕生日「昭和の日」ではないか、と。
正直まったく意識してませんでした。
何だか世間でもゴールデンウィークの休日のうちの一日としか意識されなくなっている気がしますが…。
昭和天皇が亡くなって20年、少しずつ「歴史」になっていきます。

昼間は日比谷シャンテシネにダニエル・デイ・ルイスがオスカーを獲った「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を観に行ってきました。
満員の大盛況。
そのうちCinemaScapeに感想書きますが、P・T・アンダーソン監督のサディスティックなまでの苛烈な演出、それに応えるデイ・ルイスの凄みのある演技で、過剰な映画が大好きな自分としては満足できる作品でした。
しかし、最近映画館といえば六本木ヒルズと新文芸座しか行ってなかったので、シャンテのシートはえらく狭く感じたなあ…

最近久々の映画な日々を過ごしてまして、昨日もディカプリオ主演の「ブラッド・ダイヤモンド」をレンタルしてきて観ました。
コンフリクト・ダイヤモンドという題材の新鮮さと、しっかりした登場人物の造形でこちらもなかなかの傑作でした。

太陽

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「大相撲の経済学」 中島隆信

2008-04-27 15:31:29 | Books
大相撲の経済学 (ちくま文庫 な 37-1)
中島 隆信
筑摩書房

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大相撲という特殊な世界を経済学の観点から理解することを試みようという一冊。
年寄株、部屋、番付、横綱審議委員会…等々、一般人にはなかなか理解しづらい相撲界の特殊な仕組みを経済学の概念を用いて読み解くとともに、そういった独特の仕組みの中で個々の力士や親方はどのような行動をとることに合理性があるのか、またそれゆえにどのような問題が起こり、どのような対応策が採られているのか、について論じられています。
もともとは2003年に単行本として発刊された本で、今回、朝青龍問題や時津風部屋問題などの直近の話題を捕捉した最終章を追加して新たに文庫化されたもの。

個人的に経済学の観点で様々なものを見てみるということが大好きで、しかも、なぜか幼稚園児の頃から相撲に興味を持ち、元理事長の北の湖が全盛期だった頃から相撲を見続けてきた者としては、非常に興味深く読むことができました。
年寄株についてなど、これまで通り一遍の知識しかなかった話題についても理解を深めることができたし、特に一代年寄にはその栄誉と裏腹にデメリットも少なくないということを知ることができたのはなかなか新鮮でした。

昨今様々な問題が噴出する相撲界に対して、その閉鎖性を批判する論調が高まりを見せています。
著者は相撲界という閉鎖社会が世の中の変化についていけずに綻びを見せ始めていることを認めた上で、大相撲が純粋な「スポーツ」ではなく古来の「伝統」を継承するという目的をもっていることを重視する立場をとっています。
すなわち、単にグローバル・スタンダードの観点で相撲界に批判を加えるだけでは、伝統の継承という相撲界の存在意義を無視することになってしまう、という意見です。
例えば八百長問題にしても、それをモラルの低下として単純に批判・断罪するだけでは解決に近づくことはない。
実際に八百長が行われているか否かとは切り離して、力士が八百長を行うことへのインセンティブは昔から存在しており、また、純粋な「スポーツ」ではない大相撲においては八百長が「伝統の継承」という組織目標の観点からは合理的となるケースもありうるという構造を理解する必要がある、といったことです(だからといって著者が八百長を肯定しているというわけではありません)。

相撲界のような特殊世界が、どこまで一般社会の常識を取り入れるか、どこまでその特殊性を維持するか、その線引きは非常に難しい問題ですが、マスコミの浅薄なバッシングに踊らされずに、変えるべきところは変え、変えるべきでないところは変えないという見極めを心がけながら眺めてみようという気になりました。

著者には、本書の他「お寺の経済学」「障害者の経済学」「オバサンの経済学」といった一連の著作もあるようなので機会があればぜひ読んでみたいと思います。
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騒然リレー

2008-04-26 12:48:22 | Society
長野聖火リレー 沿道から乱入、男3人を逮捕(朝日新聞) - goo ニュース

二度寝してる間に長野では聖火リレーが行われてました。
さっきお昼のニュースで様子を見ましたが、負傷者などはほとんど出てないものの、かなり騒然とした雰囲気でしたね。
本来とは別の意味で「イベント」化している感じです。

せっかくの平和と友好の祭典なのにこんな物々しい警備が付かざるを得ず残念だ…などと眉をひそめる意見もあるでしょうが、個人的には、こういう物騒な雰囲気を身近に感じる機会があるのは悪いことではないと思います。
平和な日本で幸せに暮らしているとなかなか実感する機会がないけど、中国では、或いは世界ではこういうシリアスな対立が現在進行形で起こっているということの一端にでも直に触れることの意義はあるんじゃないでしょうか。
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疲労困憊

2008-04-26 12:38:24 | Diary
先週の徹夜ドライブが尾を引いていて疲れ切ってます。
仕事も忙しい上に、年度初めで立食パーティーみたいのが続いてさらに疲労蓄積。
昨日はダメ押しの日帰り出張で、家に着いた頃にはフラフラ。
今週は後半になるにつれ夜帰宅すると何もする気にならず、11時過ぎには就寝する有り様で。
それでも体内時計が正確にセットされてしまったのか、5時半か6時くらいになると自然に目が覚めちゃう。
今朝もせっかくの休みなのに早朝に目が醒めてしまって…
でも、二度寝して昼前まで寝られたので、ようやく身体が楽になった感じですが。

誕生日を迎えて36歳になっちまいました。
36歳…プロスポーツ選手なら引退する年齢ですな。
体力の低下は年々実感しております。
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聚楽台が閉店

2008-04-21 22:08:10 | Society
<聚楽台>上野駅前のレストラン、半世紀の歴史に幕--21日閉店 /東京(毎日jp)

上野駅前の聚楽台が閉店しまったそうです。
京浜東北線沿線に育ち、ある程度の年齢になるまでは身近な盛り場といえば上野、という境遇で過ごした身からすると、感慨深いものがあります。
電車の中や駅のホームから必ず目に入ってくる、あの何処かいかがわしい雰囲気を漂わす独特の外観には不思議な魅力がありました。

記憶にある限りでは店で食事をしたことはないと思うんだけど…
こうして閉店のニュースを聞くと行っておけばよかったという気持ちになる。
もはや叶わぬ話になってしまったわけですが。
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第二子誕生

2008-04-20 13:40:54 | Diary
4月17日木曜日、明け方に第二子となる長女が誕生しました。

まさに出産予定日当日に生まれたわけですが、16日の夜にヨメと電話で話したときには「まだ兆候ない。週末くらいに生まれるかな~」といった感じ。
電話の後、このブログに一本エントリしたりして、0時過ぎに就寝。
ちょうど寝付いたくらいのタイミングで、「お腹が痛くなってきた」との携帯メールが。
これですっかり眠れなくなって待機していたところ、1時を過ぎて「破水したみたいなので病院に行く」との連絡。
始発の新幹線まで待っていられるはずもなく、車で向かうことにしました。
深夜の環八は嘘みたいにガラ空き(←当たり前)で、関越道もたまに長距離トラックが走ってるくらいでほとんど車もなし。
さすがに徹夜ドライブなので、あまり馬鹿みたいなスピードは出さないように気をつけながら走ったけど、それでも普段に比べるとかなり速いペース。
途中、トイレ休憩の度にヨメに電話を入れると、少しずつ陣痛の間隔は狭まっている模様。
LDR(分娩室)には、義母が長男を連れて一緒に入っているとのこと。

午前4時半、長岡に近づいたあたりから空は白み始め、5時過ぎには「痛い。分娩始まりそう。」との最後のメールが届く。
ちょうど5時半に病院に到着、ナースステーションで場所をきいてLDRに駆け込むと産声が!
仰向けに寝たヨメの胸の上には、まだへその緒が繋がっている赤ちゃんがおり、義母と助産師さんから、つい数分前に生まれたことを教えてもらう。
長男も「赤ちゃん、赤ちゃん」と興味深そうに楽しく声を上げている。
聞けばずっと義母の膝の上に座って大人しくヨメの様子を見ていて、赤ちゃんが出てきた瞬間トコトコとヨメに近づいて行って誕生の瞬間を見届けたとのこと。
タッチの差で間に合わなかった自分の代わりに、長男が出産立ち会いしてくれた、という感じです。

4月17日5時28分、3195gの元気な女の子誕生。
予定日当日に日替わりした瞬間産気づくとは、なんと律儀な子なんだろう…

そのまま木金は会社に休みをもらい、病院とヨメの実家を行ったり来たりしながら過ごし、昨晩帰京。
赤ちゃんは母乳をよく飲み、順調。
2歳になった今まで母親と離れて寝たことがなく、一番心配だった長男も、状況をよく理解しているようでいい子にしててくれるのが何より。
それでも時々「ママといっしょに帰る!」と泣き叫ぶこともあり、やはり彼は彼なりに寂しいのをよく我慢してるのだな、と。

これから大変な日々が始まりますが、まずは無事に生まれてきてくれてよかった。
コメント (4)
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「雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉」 伊集院丈

2008-04-16 23:36:43 | Books
雲を掴め―富士通・IBM秘密交渉
伊集院 丈
日本経済新聞出版社

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いわゆる「IBM産業スパイ事件」が起こったのは1982年。
当時、自分は小学四年生だったので、この事件がどのようなものだったのかをほとんど理解できてはいませんでしたが、「産業スパイ」という言葉が妙に印象に残ったことはよく憶えています。
富士通は、その産業スパイ事件で逮捕者は出さなかったわけですが、引き続いて発生したIBM(日本IBMではなく米国のIBM本体です。念のため。)からのクレームを端緒に行われた実在の「秘密交渉」を題材にした小説です。
小説という形はとられていますが、著者の伊集院氏(ペンネーム)は当時富士通の海外事業部に所属し、実際にその秘密交渉にあたった当事者。
フィクションであると断られてはいるものの、登場人物は実在の人物をモデルにしており、小説中の日時・場所、登場人物の言動なども事実に即して書かれているとのこと。

交渉について簡単にまとめると…
コンピュータ産業の黎明期から世界のコンピュータ市場を席巻していたIBM。
一方、富士通・日立などの国内メーカーは通産省主導の補助金政策により、IBMのOSを徹底的に分析・研究してIBMユーザーが作成したアプリケーションプログラムがそのまま動く「IBM互換OS」を開発し、低廉なプライスで世界市場に打って出たわけです。
これに対して危機感を抱くとともに烈火のごとく怒ったIBMが、違法な盗作をしたんだから金を払え、これ以上OSを売るな、お前のところなんか潰してやる!と猛クレームをつけ、富士通が必死に防衛することになった、といったような経緯。

マイクロソフトの事例に代表されるように、覇権OSをめぐって、知的財産保護か独占排除かというトレードオフは、現代でも存続する古くて新しい問題なわけですが、この秘密交渉が行われた時代にはソフトウェアを知的財産権として保護する法制度がまだ整備途上だったこともあり、こういった秘密交渉という形での激しいせめぎ合いが繰り広げられたわけですね。
ちなみに、この本は秘密交渉が決着して契約締結がされるところまでで終わっていますが、実際にはその後も係争が完全に終わらず、米国の仲裁機関に持ち込まれて最終的には1997年まで15年に亘って続くことになります。
巻末の「解説」にもある通り、これだけ身を削るようなタイトな折衝を行いながら、結局最終決着を迎える頃にはコンピュータシステムのオープン化、ダウンサイジングが進んで大型汎用機のOSが前時代の遺物になってしまったという事実は、いかにも皮肉な感じがします。

本を読んでの印象を一言で云うと、やはり一世代前のビジネスマンたちの話だなあという感じ。
たとえばこの頃の企業の幹部ってみんな戦争を経験した世代なんですよね。
だからか、軍隊調というか、精神主義的な香りがどこか漂っているような気がしました(もしかしたら富士通という会社の体質もあるのかもしれませんが)。
著者たちが秘密交渉を通して死に物狂いで頑張ったのは、互換OSを開発したソフトウェア事業部の血のにじむような努力を無にすることはできないという想いから来ていたり、海外展開をあきらめる代わりに日本市場だけは死守しようと取引を仕掛けたりするあたり、グローバル経済下に生きる現代ビジネスマンである自分にはちょっと解らない感覚だったりもします。
現在のビジネス社会では何かといえばコンプライアンス、コンプライアンスとうるさいわけですが、この時代はだいぶ様相も違っていて、そういった面でも前時代性を感じてしまうんですよね。
若干突き放し気味に云えば、高度成長期を生きたモーレツ社員世代の鎮魂歌(悪く言えばマスターベーション)といった感じでしょうか。

一応小説という形態が採られているのであえて申し上げれば、小説としてはかなりお粗末な出来です。
たとえば、全体が著者であり主人公でもある伊集院氏の一人称で書かれていながら、一か所だけ伊集院氏が場面から消えて他の登場人物が三人称で伊集院氏について語るところがあったりします。
初歩的な人称のコントロールさえままならないわけで、これくらい編集がチェックしろよという気もしますが、著者は難病に冒された病床でこれを書き上げたということなので致し方ない事情があったのかもしれません。
いずれにしてもこれを「小説」として読むことにあまり意味はないと思うので、構わないといえば構わないのですが。
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兆候なし?

2008-04-14 22:38:21 | Diary
週末はヨメの実家へ。
出産予定日まで一週間を切り、妊婦検診では「いつ出てきてもいいよ~」と先生に言われながらも兆候なし。
まだまだお腹の中にいたいんだろうか。

…と思ったら、今日はヨメから「下がってきた」とのメールが。
ちょうど予定日くらいに落ち着くか?

最近仕事も忙しく、家事もあるのでやや疲れ気味のところ、金曜の業後、夜の新幹線で行ったのでけっこうキツかった。
おかげで食っちゃ寝生活で週末で2キロも肥えてしまいました…

でも久々に家族3人そろって、長男がご満悦だったのはよかった。
彼にとってももしかしたら最後の両親ひとりじめになるかもしれないわけだし…。
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「市場社会の思想史」 間宮陽介

2008-04-10 23:11:31 | Books
市場社会の思想史―「自由」をどう解釈するか (中公新書)
間宮 陽介
中央公論新社

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コンパクトによくまとまった経済思想の通史。
どこかのブログで推薦されていたので読んでみました。

もともとは1991年に著者が放送大学で担当した「経済思想」講義のテキストで、加筆訂正されて1999年に新書として発刊されたもの。
メモ代わりに書き連ねれば…

アダム・スミスの古典派経済思想~歴史学派(リスト)・社会主義(マルクス)による反動~新古典派(メンガー、ジェヴォンズ、ワルラス)による限界革命~ヴェブレンによる消費の分析~ポラニーの「大転換」論による市場社会の相対化~バーリとミーンズによる法人企業の変容研究~ケインズ革命(有効需要、期待理論、貨幣論)~ハイエクによる計画経済批判~フリードマンらシカゴ学派のマネタリズム反革命

…という一連の流れを概観することができます。
まさに教科書的な一冊なので、常に手元に置いておけば有用だと思います(自分は図書館で借りたので返さなきゃいけませんが)。

面白いなと思ったのは、古典派に対するアンチテーゼとしての歴史学派・社会主義者の登場。
これって、現代の新自由主義・グローバル金融資本主義に対する反市場主義・反グローバリズムによる批判、という構図と完全に重なってみえます。
右(歴史学派)左(社会主義者)双方からの批判である点も含めて。
歴史って進歩しているようでぐるぐると周回しているようなものなのですかね。
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幼稚な討論

2008-04-10 18:47:24 | Politcs
酷すぎる!かくも論争下手な「党首討論」に意味はあるのか【週刊・上杉隆】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース

昨日の党首討論、ニュースでその様子を一部見ただけですが、何とも暗澹たる気分になるような醜悪な光景でした。
哀れなほどムキになって感情的な言葉を投げかけるばかりの福田総理、それをニヤニヤいやらしい笑みを浮かべながら受け流す小沢代表。
あのおぞましくも幼稚な光景をみて、いったい有権者はどのような印象を受けるのだろうか。
民主党を支持する人は子供じみた爺さんが逆上している姿に呆れ、自民党を支持する人は不遜な態度の悪人面のおっさんの傲慢さに怒る。
そんなところでしょうか。

ところでネット上のニュースへのユーザーコメントなどをみてると、完全に民主優勢ですね。
それだけ守旧自民党の利権政治、官僚政治に対する憎悪が強いということか。
それとも単に民主党のネット工作員が跋扈しているだけなんですかね。
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