そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「老人と海」 アーネスト・ヘミングウェイ

2008-06-22 23:20:01 | Books
老人と海 (新潮文庫)
福田 恒存,ヘミングウェイ
新潮社

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ここのところノンフィクションばかりで全く小説を読んでなかったので久方ぶりに。
単なる思いつきですが、これまでほとんど読んだことのない外国文学のスタンダードものをまとめて読んでみようかと。
まず手に取ったのがヘミングウェイの「老人と海」。

読んでいて、とにかく「息苦しさ」を感じる小説でした。
その息苦しさとは、主人公の老人が置かれている境遇や状況から来るものでももちろんあるんだけれど、それよりもむしろこの小説の「特異な構成」によりもたらされたものであるように思えました。

「特異な構成」とは、この小説が全編1シーンノーカット、映画で云えば「切り返し無し」で構成されている、ということを言っています。
厳密にいえば、文庫本150頁のうち、最初の30頁および最後の10頁(港町での場面)には場面展開が存在します。
が、中間の100頁以上は船の上での老人のモノローグのみ、完全に”1シーンノーカット”になっています。
なので、読む手を休めるのが非常に難しい。
要は、”切れ目”がないのです。
だから読んでいて息苦しい。
読んでるだけでこうなのだから、この小説を生み出したヘミングウェイが、これを書くためにどれだけの精力をつぎ込んだのか、想像を絶するものがあったのだろうなと思います。
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アルシャビンの衝撃

2008-06-22 23:02:03 | Sports
ロシアが4強、延長でオランダを破る…サッカー欧州選手権(読売新聞) - goo ニュース

ゼニト・サンクトペテルブルクが今年のUEFAカップを制したとのニュースで、その名は聞いたような気はするんですが、今日はアンドレイ・アルシャビンという選手の名前が、世界中の多くのサッカーファンの記憶に刻まれた記念すべき日になることでしょう。
とにかく衝撃的でした。
例によって、ビッグクラブからのオファーが殺到するのは間違いない…と姦しくなってきましたが、幼さの残る容貌に反して1981年生まれの27歳なんですね、彼。
けっして若くはない。
遅咲きのスター、というか、単にロシアサッカー界がこれまで西欧のビッグクラブの眼中に入ってなかった、ということか。
アルシャビンと2トップを組んで、しなやかなプレーを見せていたセンターフォワードのパブリチェンコも同じ1981年生まれだそうで。
90年代にマンチェスター・ユナイテッドで活躍したカンチェルスキスというロシア人選手がいましたが、それ以来の世界的ビッグネームになるかもしれませんね。

今回のユーロは殆ど試合を観ておらず、グループリーグのオランダ-フランス戦以来の観戦2試合目。
オランダは何だか別のチームになってしまったかの如く精彩がなく、切り札ロッベンを使わず終いで敗退というのもどうにも残念でした。

それにしてもヒディンクはやっぱり凄いね。
必ず結果を残してる。
日本協会も、この際過去の因縁など忘れて、代表監督として迎えることを真剣にプランニングしてみてはどうでしょう。
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温暖化対策原理主義

2008-06-22 00:04:14 | Society
深夜営業自粛に反論 コンビニ業界「CO2減少ない」(朝日新聞) - goo ニュース

突如として環境対策名目でのコンビニの深夜営業規制が話題に上がっています。
個人的に深夜営業が無くなったとしても別に困るわけではないけど、レジ袋削減と同様、これも分かりやすく叩きやすいところから叩いているという印象を受ける。
ここでも「温暖化対策原理主義」が働いているように感じられます。

この燃料価格高騰の折、仮に深夜営業を行なうより止めたほうがコスト的に有利になり経済合理性があるのだとしたら、別に規制などしなくてもコンビニ業界のほうからすすんで止めるはず。
何らかの理由で経済合理性が働かない事情があるというのなら、こんな業界狙いうちの規制ではなく、公平に環境税などをかけて市場メカニズムで解決できる状況生み出す方向を目指すべきではないか。
何でもかんでも規制で解決しようとするのはいい加減やめたらどうでしょうか。
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「日中の経済関係はこう変わった」 関山 健

2008-06-18 23:19:31 | Books
日中の経済関係はこう変わった―対中国円借款30年の軌跡
関山 健
高文研

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著者は外務省経済政策専門家。
財務省に入省した後退職、北京大学や香港大学への大学院留学経歴もあるとのことですが、なんと1975年生まれ。若い!
かなり優秀なのでしょうねぇ。

今年、北京五輪開催を契機に30年の歴史に終止符を打つ対中円借款。
その円借款の歴史を切り口に、1970年代から現在に至る日中関係の推移を紐解いていきます。
円借款終了が論議され決定に至ったのは2004年から2005年にかけて、小泉政権で町村外相だった頃でした。
当時はサッカーアジア杯中国大会でのブーイング問題や、領事館や日本料理店への投石事件など、日本国民の対中感情が急速に悪化したタイミング。
一方で中国は経済成長により急速に「大国化」し、大規模資金援助の必要性も相対的に小さくなってきた状況にあり、広い意味で円借款継続の「費用対効果」が低下した、と分析されます。
ただし、それは21世紀に入った現時点での日中双方の位置関係を前提にした見方であり、中国が事実上の鎖国状態から改革開放路線に歩み出したばかりの状況だった70年代から80年代にかけて、日中の経済関係あるいは政治関係において円借款が果たした役割は大きかった、と著者は評価します。

確かに中国ほど近年急速にその実態とイメージを変貌させた国はない。
自分は中国本土には未だに訪れたことがありませんが、大学生の頃に返還前の香港には行ったことがあります。
その当時、たかだか15年ほど前のことですが、日本や香港に比べて中国本土といえばまだまだ後進の国という印象が強かった。
我々は何かと現時点でのイメージを前提に物事を考えてしまいがちですが、前提となる状況自体が可変で相対的なものであるという視点を忘れてはなりませんね。

事実ベースで非常に丁寧に論説が重ねられた本です。
ちょっと丁寧過ぎて冗長に感じられるところがあるくらいですが。
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緊急地震速報

2008-06-14 23:06:19 | Society
岩手・宮城内陸地震 気象庁地震速報 震源地近くでは間に合わず(産経新聞) - goo ニュース

今朝、コドモがNHK教育の「おかあさんといっしょ」をみていたら突如画面の真ん中に「緊急地震速報」の表示とアナウンスが。
地域をみると東京ではなかったので「おお、これが噂の…」などと吞気に珍しがってみていたらしばらくして揺れが来ました。
東京でこれだけ揺れるということは東北地方ではけっこう大きな地震なのかも…と思っていたら「おかあさんといっしょ」は中断になって地震速報のニュースに切り替わり…。

震源地近くでは間に合わなかったということですが、確かに「緊急地震速報」という形で知らされるのと知らされないのでは、たとえそれが数秒前だとしてもけっこう違うのではないか、というように思いました。
一瞬の判断ができるかどうかは普段からの心構えによると思うので、そういう点では今回「緊急地震速報」を実際に経験できたのは個人的には得るものがあった、と。

だいぶ被害が出ているようです。
被災者の方にはお見舞い申し上げます。
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新生活一週間

2008-06-14 22:54:08 | Diary
先週末にヨメの実家に妻子を迎えに行き、ついに家族4人での生活が始まり、一週間を過ごしました。
静かな単身生活を3ヶ月続けた後だとギャップが大きい。
あれだけすっきりと片付いていた家の中が散らかり放題荒れ放題。
2~3日に一回くらいのペースだった洗濯も、一日に何度もフル回転。
しばらく低減していた電気代も水道代もまた上がってしまう…
子供二人いるとちょっとした買い物で外出するのも一苦労。
下の子が比較的手がかからないのでまだ助かってるけど、それでも夜中に何度かは目が覚めるので睡眠で疲労回復、というわけにもいかず。
ちょうど梅雨時でこれから暑くなるし、ヨメともども体力的にはキツイなあという感じです。
まあこれにもそのうち慣れてしまうのだろうけど。

というわけでブログの更新もおざなりになっていきそう…
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「世界史とヨーロッパ」 岡崎勝世

2008-06-13 23:48:00 | Books
世界史とヨーロッパ (講談社現代新書)
岡崎 勝世
講談社

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ここのところ、アメリカについての本アラブについての本ユダヤについての本、と読んでいると、世界史について改めて知識を整理したくなる衝動に駆られます。
もともと大学受験時に世界史を選択しなかったので、世界史について体系的な知識を持ち合わせておらず、機会があればぜひ勉強しなおしたいという気持ちがもともとあったこともあり、手に取った一冊です。

といっても、本著は一般的な世界史の解説書ではなく、「歴史学の歴史」ともいうべきもので、ヨーロッパ世界における各時代においてどのような歴史観が支配的であったのかについて時代を追いながら検証していく内容となっています。
我々が「歴史」というものを考える場合、ついつい現在を起点として過去を振り返るという態度に終始してしまいがちですが、その起点たる「現在」も数十年、数百年経てば「歴史」の一部になっていくわけです。
そんなこと考えてみれば当たり前なことなんだけど、けっこう見失いがちな視点でもあります。
例えば21世紀初頭に生きる我々の目から見た「古代ギリシャ時代」の捉え方と、古代、中世、近代に生きた人々の目から見た「古代ギリシャ時代」の見え方は各々まったく違ったものであったはず。
各々の時代における「歴史観の世界観的基礎」および「歴史学・世界史象の特質」が紐解かれていきます。

かつて「普遍史」が支配的だった時代、歴史は聖書の世界と同一のものでした。
アダムとイブやノアの方舟は、歴史上の事実として捉えられていたわけです。
ところが、次第に中国やエジプトには聖書の時代よりも古い文明が存在した事実が分かるようになるに従って、近代以前のヨーロッパの歴史家たちは、それらの事実を「普遍史」との間で如何に整合性をとって組み込むかについて一方ならぬ苦心をしたということです。
今から考えると滑稽なことですが、現代の我々が常識だと考えている科学的歴史観がけっして普遍的なものではなかったことを示すいい例だと思います。
世界観・歴史観というものを客観的な観点で見直すよい機会を与えてくれる一冊です。
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スピード社の水着の件

2008-06-11 23:26:06 | Sports
スピード社水着GOサイン/水泳(サンケイスポーツ) - goo ニュース

世の中がどうしてこの件にここまで大騒ぎしてるのか、自分には全く理解できません。
五輪でメダル獲るのがそこまで国民的に大事なことなのか?
どの水着を着るかで取れるかどうかが決まってしまうようなメダルにそんなに価値があるんだろうか?
個人的には、この水着の話で世間が盛り上がれば盛り上がるほど、五輪に対する関心がますます薄れていきます。
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「さらば財務省!」 高橋洋一

2008-06-05 22:37:19 | Books
さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白
高橋 洋一
講談社

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池田信夫ブログなどで取り上げられることも多い高橋洋一氏の著作。
高橋氏は元・財務官僚ですが、小泉政権時代、竹中平蔵大臣の懐刀として郵政民営化、道路公団民営化、政府系金融機関改革などの「構造改革」路線のシナリオを書き、竹中氏が政界を去った後も安倍政権において内閣審議官として公務員制度改革などに取り組み、昨今話題の国の特別会計における「埋蔵金」を暴露した人物としても知られています。

この本のサブタイトルは「官僚すべてを敵にした男の告白」となっていますが、既存の官僚秩序の頂点にあった大蔵省・財務省に身を置きながら、その秩序をぶっ壊す改革の「コンテンツ・クリエーター」として暗躍したわけですから、総スカンを食うのも当然。
小泉-竹中の構造改革路線といえば、弱肉強食の格差社会をもたらした、といった主旨で非難されることも多いわけですが、この本を読むとそのような新自由主義的なイデオロギーがまずあったわけではなく、このまま国を官僚に任せていたら日本が本当に沈没してしまうという深刻な危機感がプリミティブな動機として存在していたことがよくわかります(結果的にはそれが「小さな政府」を目指すことにつながっていくわけですが)。
実際、この本の中で紹介されている、官僚が省益・官益を守るために繰り出す数々の手段の姑息なことと云ったら、唖然とするのを通り越して感心してしまうほど。

高橋氏は、もともと理系で、東大理学部数学科を出た後就職に失敗して、東大経済学部に学士入学・卒業した後大蔵省に入省したという異色の経歴の持ち主。
大蔵省には話題作りのために二年に一人くらいの割合で変わった経歴の人物を採用する「変人枠」というものがあり、自分はそれで採用されたのではないかと振り返っています。
大学の数学科では年金数理を学び、会計や金融工学にも明るく、理財局時代には財投にALM(資産・負債の総合管理)システムを自ら開発して導入、プリンストン大学留学時にはバーナンキ現FRB議長をはじめとする一流経済学者と親交を深めるなど、幅広い分野への博識を有する人物。
もしこういう人が役人の世界に存在していなかったら、日本の公制度改革はずっと遅れたのは間違いないでしょう。
財務省にとってみれば、「変人枠」で採った飼い犬に手を噛まれたようなもので皮肉な感じがしますが、逆にいえばそういった異分子を自ら取り込む懐の深さがあったとも言えるのかもしれません。

この本は「暴露」的な要素も含めて一般向けの内容になっていますが、著者には「財投改革の経済学」という専門的な著作もあり、自分の手に負えるレベルのものかどうかはわかりませんが、機会があればぜひそちらも読んでみたいと思っています。
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山形新幹線

2008-06-04 23:09:36 | Diary
今日は山形へ日帰り出張。

初めて山形新幹線に乗りました。
福島で東北新幹線から分岐した途端、世界が変わります。
いきなり山ん中に突入して、線路のすぐ横まで木や建物が迫る中をクネクネと。
とても「新幹線」というイメージではなく、フツーの特急乗ってる気分でした。
しかしまあ往復で6時間はさすがにキツイですな。
しばらくは日帰り出張は御免蒙りたい感じです。

丁度さくらんぼが出始める季節。
山形駅の構内でも販売してましたが。
佐藤錦1パックでン千円…とても手が出ませんわ。
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