「9末」というと、クールビズの終了とともに夏の完全な終わり、そしてサラリーマンにとっては期末、と諸々「区切り」感があります。
そして、ここを越えると一気に年末が近づいてくる気になってくる。
早いものですな。
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本日付け日経新聞朝刊「経済教室」、湯元健治・日本総研理事の解説より、以下メモ。
高福祉国家として名高いスウェーデンは、一般的に抱かれるイメージと異なり、倒産も解雇も当たり前の厳しい資本主義競争社会である、とのこと。
・スウェーデンの企業は「原材料を調達するのと同じ感覚で」労働者を雇用し、仕事が無くなれば簡単に解雇している。
・「連帯賃金政策」と呼ばれる政策により、同一労働・同一賃金が実現しており、賃金格差は極めて小さく、生産性の低い企業は平均水準の賃金が支払えないので淘汰される一方、生産性が高い企業は超過利潤により競争力が高い。
・解雇された労働者に対しては、職業訓練など転職支援を行う「積極的労働市場政策」が採用されている。
・生産性の高い企業・業種への人的資本シフトが促されるため、高い国際競争力が実現されている。
・高い国際競争力に支えられた高成長が、税・社会保険料の高負担を可能にし、高福祉が実現可能となった。
・充実したセーフティネットにより、国民の将来不安が小さいため、内需振興が進むという好循環が生み出されている。
注目すべきは、税や社会保障の捉え方についての日本との相違です。
以下、引用。
同国の高福祉を支える大黒柱は、個人所得に平均31.4%で課される比例的な地方所得税と税率25%(原則)の付加価値税であり、この2つで国民負担の過半を占める。
この比例的な地方所得税と付加価値税は、日本の感覚では低所得者に重い極めて逆進的な税である。だが、スウェーデンでは「逆進性」の議論はまったく聞かれない。社会保障給付が所得比例となっており、働く意思を示して労働市場に積極的に参加しなければ最低限の給付しか受けられないためで、比例的いな負担は逆に労働者の勤労意欲を高めると認識されている。
その理由は、日本では税や社会保障は、所得再配分の仕組みととらえられているのに対し、スウェーデンでは、税はすべての国民が普遍的に受ける受益の対価、社会保障は人生の局面で誰もが直面する失業などのリスクに対する備えと位置づけられているからだ。リスクには、病気や高齢化だけでなく子育てや障害者になることも含まれる。一般国民の誰もが直面するリスクへの備えという考え化がベースにあるため、その受給に際しては低所得かどうかをチェックするミーンズテスト(資力調査)は行われない。
スウェーデンでも19世紀終わりから、急速な工業化に伴う少子化に遭遇し、その対策として上に引用した考え方を採用したとのこと。
厳しい競争により発生する失業者に、積極的労働市場政策で対応するとのやり方には、転職強要ではないかとの趣旨でかなり抵抗もあったとのことですが、国民の意識を改革して、高福祉・高成長社会を実現したとのこと。
社会が縮みゆこうとしている日本が学ぶ点はたくさんありそうですが、「市場原理主義がこの国をガタガタにした」などという某新大臣の発言を聞く限り、「変わる」ことへのハードルはまだまだ高いでしょうな。