そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

認知症治療の進歩

2010-10-31 23:33:49 | Society
NHKスペシャル「認知症を治せ!」を視ました。

認知症=アルツハイマー病だと思いがちだけど、実はアルツハイマーは認知症の約半分の割合でしかなく、原因の異なる様々な種類の認知症があるとのこと。
そして、認知症の種類を的確に診断できれば、それぞれに適切な治療が可能になり、症状の改善や患者・家族の負担を軽減することもできるようです。

そして、アルツハイマーは高血圧や糖尿病などの生活習慣病との関連が強いことが最近の研究で分かってきており、生活習慣病の予防がそのままアルツハイマーの予防につながるという話。

確かに認知症って、誰しもなる可能性があり、いったん発症してしまうと不可逆、というイメージがあったけど、かなり状況は変わってきてるようです。

特に、患者本人だけでなく、介護する周囲の身体的・心理的負担は相当なものだと思うので、研究が進めば社会全体のコストも下がりそうです。
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ミスしたときのためのATS

2010-10-28 23:52:09 | Society
宝塚線脱線現場で速度超過、ATS作動 JR西公表せず(朝日新聞) - goo ニュース

こういう報道のされ方を見ると、日本人は合理的にものを考えることを放棄してしまったのか、と思ってしまいます。

過度なスピードが出てしまうことを防ぐためのATSなのであって、それが作動して事故を未然に防いだのなら、それは「いいこと」なんじゃないでしょうか。
何故JR西を非難するような論調になるのかが理解できない。

運転士も人間、人間なら必ずミスを起こす。
そういうミスを大参事につなげないための「仕組み」が必要なわけで。

人間に、あまりに無誤謬性を求めると世の中が窮屈になる。
世の中が窮屈だから、日本では自殺が多いのではないでしょうか。
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「ストーリーとしての競争戦略」 楠木 建

2010-10-27 23:24:32 | Books
すぐれた戦略は「ストーリー」になっている。
それが著者の伝えたいことです。

ここでいう戦略とは、特定の事業領域における競争戦略のこと。
会社全体を経営するための事業戦略ではない。
ライバルに差をつけ、持続的な利益創出を如何にして実現するか。

戦略とは、マーケティング・ツールやフレームワークではない。
目標数値でもない。
組織体制を組み替えることでもない。
そのような静止画的なものではなく、論理と因果関係でつながった「動画」である。

練り上げられたストーリーは例外なく、聞いていて面白い。
語っている本人も楽しそうに話す。
事業を推進するメンバー全員が共有し、同じ方向を目指して進むことができる。

すぐれたストーリーの起点になるのは「コンセプト」である。
本当のところ「誰に」「何を」提供しているのか。
ブックオフは「捨てない人のためのインフラ」を、スターバックスは「第三の場所」を、サウスウエスト航空は「空飛ぶバス」を提供し、アスクルは中小企業の事務職の女性の悩みを解決してあげている。
いつでも立ち返ることのできるコンセプトがはっきりしているからこそ、キレのあるストーリーを構築することができる。

そして、すぐれたストーリーには例外なく「キラーパス」が仕込まれている。
ガリバーの「買取専門/本部一括査定」、マブチモーターの「標準化」、スターバックスの「店舗直営」、サウスウエスト航空の「ハブ空港を使わない」、Amazonの「物流センターへの投資」、デルの「自社工場での組み立て」、アスクルの「既存文具店の代理店化」…
いずれも業界の「常識」に反する、一見すると不合理な要素である。
が、部分では不合理であっても、ストーリー全体の中で他の要素と組み合わされることで合理的なものとなる。
部分だけみると不合理であるがゆえに競合他社は真似することを躊躇う。
「キラーパス」を避けて他の部分を場あたり的に真似しようとして、競合他社は「自滅」に陥る。
それゆえ持続的な競争優位が実現できる。

…と、ここまでこの本の要旨をすらすらと書くことができました。
というのは、この本自体がすぐれた「ストーリー」になっている証左だと思います。
特に、わかりやすくて面白いストーリーは共有しやすいので組織力を高める、という点にはたいへん感銘を受けました。

500ページの大著ですが、とにかく読み物として面白い。
よいストーリーは「長い話」になる。
だからこそ、この本も「長い話」なのだ、と著者は最初に断り書きをしています。

ただし、この本を読んだからといって、すぐに簡単にすぐれたストーリーを発想できるようになるわけでは勿論ない。
この本に紹介されている、上に挙げた事例は世界/日本で有数の「ベスト・ストーリー」ばかり。
ベストプラクティスに場あたり的に喰いついても成功しない、というこの本の教えからすれば自明なことなのですが。

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
楠木 建
東洋経済新報社
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3位が日本シリーズに出たっていいんじゃない

2010-10-19 22:55:59 | Sports
ロッテ、日本シリーズへ…リーグ3位で進出は初(読売新聞) - goo ニュース

このクライマックスシリーズは、ファーストステージもファイナルステージも何試合かテレビ観戦してました(今日は観られなかったけど)。
レギュラーシーズン再終盤での日本ハムとの3位争いに勝ち抜いて以降、千葉ロッテの勝負強さは大したもの。
勝負師の雰囲気がある選手が多くていいよね。
あと、あの黒のビジターにユニフォームは選手がカッコよく見える。

レギュラーシーズン3位のチームが日本シリーズに進出するのは初めてとのこと。
アンチ・クライマックシリーズ派からは、またぞろ「変だ」「おかしい」との声が上がりそうです。
自分など、いいかげん慣れたら?と思ってしまうんですが。
あらゆるゲームは、ルールという名の擬制のもとに行われるのであって、ルールが変われば戦い方も自ずと変わる。
シーズンが始まる前からルールは決まっていたのだから、そのルールにおいて勝ち進んだチームが勝者になることは別におかしなことではない。
「レギュラーシーズン1位のチームが日本シリーズに出る」というのも、多くの選択肢の中における一つのルールであって、絶対命題ではないわけです。

ただ、今のクライマックシリーズに、日程面含めてまだまだ制度的な改善の余地があることには自分も同意するけど。

ロッテvs巨人というレギュラーシーズン3位同士の日本シリーズも十分あり得そうですね。
それで全然構わないと思います。
この際ついでに、日本シリーズ勝者を「日本一」と呼ぶ慣行も止めませんか?
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反日デモ騒動雑感

2010-10-18 22:42:51 | Politcs
中国 反日デモ 保守派主導の可能性(産経新聞) - goo ニュース

このタイミングで反日デモが唐突に盛り上がるのは違和感あるな、とか、デモが起きているのは内陸部ばかりだな、とか、ちょうど自分も感じていたところなので、上にリンクした産経新聞の記事は腹に落ちるものがあります。

ところで、イトーヨーカドーやパナソニックが襲撃された、などと聞くと、直感的に日本人が暴徒に襲われている図が思い浮かびますが、当然のことながらそこで働いたり買い物したりしているのは殆どが現地の中国人なんですよね。
なので、普通の中国人にとっても、騒いでる奴らは迷惑千万な存在なんでしょうな。

しかしまあこの愚かな輩たち、どうにかなりませんかね。
まともに対抗するのもアホらしいし、国際的に恥をかかせる方向にどんどん持っていくという戦略が賢明なように思います。
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「サッカーの見方は1日で変えられる」 木崎伸也

2010-10-16 15:18:56 | Books
スポーツライターである著者が、欧州を始めとするサッカー名指導者たちから得たヒントを基に、端的なチェックポイントによって、よいチーム、選手、監督の見極める方法を示そうとした試み。

いきなりですが、本書で挙げられているチェックポイントをメモ代わりに列挙してしまいましょう。

【いいチーム、悪いチームの見分け方】
・ボール保持者の周りで、アクションを起こしている選手がいるか?
・クロスに対して、飛び込む選手が何人いるか?
・DFからFWまでをコンパクトに保てているか(守備のスタートラインが決まっているか)?
・ゴール前中央を空けていないか?
・攻撃の布石として、ボールの後ろに素早く戻れているか?
・「守備は狭く、攻撃は広く」が実践できているか?
・各選手が2秒以内にプレーしているか?
・ボールを使った休憩(攻撃の緩急)ができているか?
・縦パスが入っているか?
・DFを下がらせながら攻撃できているか?

【いいFWの見分け方】
・「背中を取る動き」ができるか?
・反転してシュートが打てるか?

【いいMFの見分け方】
・走っている選手の足元にパスを合わせられるか?
・「止める」「運ぶ」「蹴る」がひとつの動作でできるか?
・ニアゾーンを使えているか(フリーランニング)?
・相手からボールを奪えるか?

【いいDFの見分け方】
<DFライン>
・DF同士が適切な距離を保っているか?
・DFラインの上げ下げの基本(相手がバックパスしたらラインを上げる、相手が前を向いてボールを持ったらラインを下げる準備をする。ロングボールにはCBの一人が競りにいき残りの三人は下がりながら中央に絞る。)ができているか?
・クロスの対応の基本(DFラインが弧を描く)ができているか?
<センターバック>
・シュートのブロックがうまいか(球際に強いか)?
・インターセプトができるか?
<サイドバック>
・虚を突いたロングパスが出せるか?
・斜めに切り込む動きをしているか?

【いいGKの見分け方】
・至近距離のシュートに対する反応(反射神経)
・クロスなどの高いボールの処理
・DFラインの裏に来たボールへの飛び出し(リベロとしての役割)

この他、「いい監督の見分け方」「プロスカウトはどこを見ているか」といったことにも触れられていますが、ここでは省略。

正直、そんなに画期的なことが書かれているわけではなく、想定された読者レベルは結構ビギナー寄りかなという気はしますが、こういうふうに端的に切り口をまとめてもらうと、これまでぼんやりとしか意識していなかったポイントが明確になりますね。
個人的には、チームでは「守備は狭く、攻撃は広く」「DFを下がらせながら攻撃できているか」「DFラインの上げ下げの基本」あたり、個々の選手では「背中を取る動き」(FW)、「走っている足元へパスを合わせる(MF)」あたりを今後意識して注目してみたいと思わされました。

サッカーの見方は1日で変えられる
木崎 伸也
東洋経済新報社
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「長期金利は上げるべき」

2010-10-16 14:42:02 | Economics
昨日(10月15日)付け日経新聞朝刊「経済教室」はゼロ金利復活を論じるシリーズの2回目、中前国際経済研究所の中前忠代表と斎藤朋子エコノミストの連名による稿。
ゼロ金利と量的緩和を中心とする日銀の政策パッケージは「百害あって一利なし」と強烈に切り捨てています。

曰く、超金融緩和政策はデフレ不況をむしろ促進させてきた、と。
論拠としては以下の点が挙げられています。

【1】銀行貸出の減少
・超金融緩和により、長期金利のほうが短期金利以上に大きく下がり、銀行の利ザヤが縮小するので、銀行が貸し出しリスクをとりづらくなる。
・銀行の余剰資金は積み上がり、リスクフリーの国債投資に向かうことで、国債利回り(長期金利)の一段の低下(国際価格の上昇)をもたらし、銀行の利ザヤがさらに縮小するという悪循環をもたらす。
・銀行貸し出しの縮小は中小企業に対し大きな打撃を与える。貸出の低迷が雇用の悪化をもたらし、不況・デフレを促進する。

【2】過剰供給力の温存
・銀行は、新規貸し出しは減らしても、本来市場から淘汰されるべき「ゾンビ企業」の倒産は望まない(不良債権を顕在化させるので)。銀行の融資姿勢は、大企業・ゾンビ企業には特に甘くなる。
・その結果、バブル期に積み上がった過剰設備の廃棄が進まず、供給力過多の状況が維持されてしまう。

【3】高齢者世帯の利子所得の減少
・高齢者世帯が退職後に備えて貯め込んだ貯蓄のリターンが超低金利のために消滅してしまった。
・人口が高齢化する中で、年金生活者の所得が予想以上に低下したために消費不況に陥った。

で、結論として、長期金利を下げるのではなく上げることが緊急の課題だと主張されています。
そうすることで、ゾンビ企業を市場から退出させ過剰供給力を解消し、中小企業への銀行貸し出しが増価することで非製造業中心の新たな成長産業が生まれ、高齢者世帯の利子所得が復活して消費も活発になる、と。

いきなり金利が上がったとした時の大混乱(連鎖倒産、株安、住宅ローン破産、etc)を考えると政治的にはかなり無理筋なような気がしますが、超低金利が不況を促進してきた、という指摘は重要なことであるように思います。

それにしても、前日の櫻川教授に続いて、世に喧伝される「常識」論からするとかなり過激に思えるこういった主張が「経済教室」を賑わすあたり、現状の行き詰まり感を象徴している感じですな。
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「日銀は海外資産を買え」

2010-10-14 23:31:13 | Economics
今日の日経新聞朝刊「経済教室」は、先日日銀が打ち出した「ゼロ金利復活」を含む「包括緩和」パッケージに対する評価。
筆者は、櫻川昌哉慶大教授。

実証的に99年以降の過去データからはゼロ金利がデフレ解消につながる効果を見出すことはできず、また、ゼロ金利のときの貨幣の需要行動を予測することは難しく、日銀がそれを把握していない以上、物価をコントロールすることは期待できない、とし、金融政策はまったくの手詰まりである…と断じたうえで、日銀は海外資産を購入せよ、と主張されています。
「包括緩和」の施策には日銀による資産買い取りが含められていますが、国内資産に限定せず、円高で割安になった優良な海外資産を買ったらどうか、しかも5兆円規模なんてけちくさいことを云わず、思い切って100兆円くらい買ってしまえ(為替介入と批判されないように円建てで)、と。

メリットしては以下の点が挙げられています。

・世界経済が不況な折、海外から歓迎される上に、優良資産を割安に買える。
・世界にばらまかれた100兆円が、潜在的な円売り圧力を生み、直接為替介入しなくても円高への歯止めになる。
・円建てで決済することで、円が国際通貨としての実績を積むことになる。

特に強調されているのが3点目で、円が国際通貨になっちゃえば円高だ円安だと気にすることもなくなるじゃん、と。

実現性や正否はともかくとして、なかなか大胆な主張で面白かった。
円高になるとパニック論・悲観論ばかりが噴出しますが、円高をチャンスと捉える発想がもっと出てきてもいいのにな、とは常々思っています。
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「リア家の人々」 橋本 治

2010-10-10 23:29:03 | Books
「巡礼」に続いて、橋本治が、戦後の日本社会が変わりゆくさまを一つの家族の歴史を通じて紡ぎ出した小説。

傑作です。
まるで小津安二郎の映画を観ているかのような味わい深さ。
法事の場面で、長女の一言を契機に場の雰囲気が一変、各々の本音と建前が入り混じった壮絶な会話の応酬が繰り広げられる件りなど絶品。
世の変化をまったく理解できないながらも、その流れに静かに身を委ねていく一家の主・文三は、自分の頭の中では完全に佐分利信の姿で映像化されていました(笠智衆ではない)。
三女・静は、さしあたり司葉子か。

文部官僚であった文三の公職追放から学生運動まで、という切り口で戦後社会史を紐解く視点は、自分のような世代には新鮮であり、また説得力を感じました。
テレビや自動車といった製品が、一般家庭にどのタイミングでどのように入り込んでいったのか、生活史という視点でも興味深い。

リア家の人々
橋本 治
新潮社
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アルゼンチンに勝っちゃった

2010-10-08 22:50:50 | Sports
ザックJ、初陣飾る…岡崎が先制、猛攻もしのぐ(読売新聞) - goo ニュース

いやぁアルゼンチンに勝っちゃいましたね~。

親善試合だし、アルゼンチンの選手たちのコンディションも相当良くなさそうだったので、安易に「歴史的勝利」とか言っちゃうのもどうかと思いますが、でもまあこれまでそういう条件でも惨敗し続けてきた相手なので、快挙なのは間違いないでしょう。

南アフリカ大会以降、原さんが指揮を執った9月の2試合、そして今日と、日本代表のいい流れが続いているのは確かです。
監督は替われど核となるメンバーが変わっていないので一体感が保たれていること、そしてそのメンバーの多くが海外に羽ばたいて国際レベルのサッカーに急速に慣れてきていることが要因でしょうか。
今日の試合観てても、長谷部とか長友とか明らかに進化してるし、本田圭にしてもかつての鈍重さや独りよがりなプレーが減って運動量が目に見えて増えてるもんね。
あと、高い位置の両サイドに選手を置いてピッチをワイドに使うやり方が、かなり有効に機能しているように思えます。
なんでそれまでそうしなかったのか?という話はありますが。

次はアウェーでの韓国戦ですか。
楽しみですな~。
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