そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『最新理論を人生に活かす「量子力学的」実践術』 村松大輔

2024-07-21 20:57:00 | Books
勧められて読んだのだが、面白かった。

量子力学を謳っているが、科学の本ではなく、量子力学的なものの見方をベースにした自己啓発、心理カウンセリング、宗教哲学というか、ある意味かなり風変わりな内容。

でもまあ、素粒子レベルから見たら、自分だの相手だの、人間だの物だの、生だの死だのというのもみなこの世を説明するためのフィクションでしかないのは確か。
そう思えば、著者の言ってることもすんなり入ってくる。

一見悪いことだと思えても、「おかげで」と感謝を振りかければ好転する、他人に褒められようとするのではなく、まずは自分自身を認めて自分を褒めよう、というのは全くその通りだと思う。

占い、生まれ変わり、魂、霊など、いわゆるスピリチュアルな世界を一貫した理屈で説明してしまうのも面白い。

#ブクログ



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宮田笙子選手の五輪辞退の件

2024-07-20 11:24:00 | Sports
彼女のことは全く知らなかったのですが、喫煙・飲酒が発覚して、直前での五輪出場辞退、世間は議論百出になっているみたいですね。
タバコくらいで…という意見も気持ちはわかりますし、処罰感情は微塵もありませんが、ルール違反した事実は変えられないので出場できないのは仕方ないでしょうね。

個人的には、五輪に出ることを絶対的に善とする価値観のほうにちょっと違和感を覚えます。
たかがタバコ、の一方で、たかが五輪、ではないかと。
今回の出来事に向き合って、長い人生、五輪に一度出られなかったなんて小さなことだと思えるくらい、よりよい人生を送るためのきっかけにしてくれたらよいなと思います。

発覚したら大きな問題になることくらい彼女も分かっていたと思うし、そもそも喫煙なんてアスリートにとって百害あって一利なし。
それなのにやってしまったというのは、彼女のこれまでの人生にどこか無理があったということなのだと思うのですよね。

気持ちを切り替えて4年後を目指すのもよし、向き合い方を変えて体操を楽しむことにするのもよし、体操をやめて別の人生を歩むのもよし。
彼女が自分自身にとって最善の選択をしてくれることを願います。


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『ザリガニの鳴くところ』 ディーリア・オーエンズ

2024-07-08 23:03:00 | Books
著者ディーリア・オーエンズの本業が動物学者であるということに、まず驚かされる。小説家としてのデビュー作で、こんなにも壮大で奥深く完成度の高い作品を生み出してしまった。終盤は、ページを繰る手を止められなくなる。


その一方で、この小説は、動物学者である彼女だからこそ書くことができのだとも強く思う。


青年の不審死を巡るミステリを縦糸として通しながら、家族に捨てられ天涯孤独となった主人公の少女のサバイバルストーリーが骨太に語られる。


崩壊した家族の悲壮、共同体における理由なき差別の醜悪、救いの手を伸べる善意の尊さ、思春期における異性への押さえきれない欲望の純粋さと残酷…人の世における苦しみと希望が多面的に描かれると同時に、湿地の環境に溶け込んで暮らす主人公は、生き物たちと交流する中で、人智を超えた自然の真理を学び取っていく。その見地からすれば、所詮人間の営みやエゴなど、人の意識が生み出した幻想でしかないと思えてくるのだ。


この崇高さ。

格の違いを感じさせてくれる小説だ。

 #ブクログ



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