日中戦争見聞記―1939年のアジア (講談社学術文庫)コリン ロス講談社このアイテムの詳細を見る |
夏休み中に読んだ本。
著者のコリン・ロスはドイツ人ジャーナリスト。
1939(昭和14)年の日本・朝鮮・満州・モンゴル・中国を訪れ、自ら見聞きした極東の姿を書き溜めたもの。
著者は同盟国ドイツの人であり、基本的には親日的なんだろうけど、飛行機での移動中に日本の戦闘機から攻撃を受けたり、重慶において日本軍による爆撃を命からがら避けたりした体験も綴られており、何よりヨーロッパ人の視点で東アジアを見たという点で、相当程度客観性のある文章なのではないかと感じられた。
朝鮮・満州・中国における日本による統治状況を、比較的好意的に書いている部分もあり、いわゆる自虐史観を批判するサイドの人たちに受けのいい内容なのかなという気もするが、それはさておき何より昭和14年という緊張高まりゆく東アジア各地の人々や町の様子を生で知ることのできる貴重な記録であるということだけでも一読の価値はある。
文庫本の割にはちょっと高かったけど。