分かりやすい対立図式(補足)

 『地球特派員2006』で、たしかにいろいろな話が入っているにも関わらず基本的に「白人のフランス人」と「非白人の移民系」が強く敵対する図式がイメージされるのはなぜか考えてみたら、気がつきました。
 これは姜氏が直接言葉を交わす相手の問題でしょう。姜氏がインタビューするのは:

○シテの移民系住民で失業中の人たち(シテに住む元からのフランス人 Francais de souche でなく、また先の暴動で逮捕された人でもなく)
○ジャン・ルノワール高校の、パリ政治学院 Science Po 進学希望者たち(発言したのはアフリカ系の子でしたが(姜氏は「チュニジア出身」と言っていましたが、わたしにはそうは見えませんでした)、さすがにその教室にはアラブ系、アフリカ系、アジア系にFrancais de souche系らしき子もおりましたね)
○ご存知ジャン=マリ・ルペン
○CPE反対のデモ参加者3人(うち一人はたぶんアフリカ系)

の四者です。対立図式に唯一ノイズを入れたのはシアンス=ポ志望者ですが、これは「ごく限られた人」の意見ということで考慮から除外されてしまいましたから(森永、姜両氏とも、シテからシアンス=ポ入学者を募るというのは「ガス抜き」と言ってました)、CPEはまた別の話だとすると、残ったのは

シテの移民系失業者 vs ジャン=マリ・ルペン

なんですね。これじゃあ、そういう印象を受けるのは当たり前ですね。
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Unknown (猫屋)
2006-04-14 23:41:29
これはまったく別の例です。

欧州イスラム社会が専門家のある先生の、ムハマンド風刺画に関する見解になんとなく疑問も持って、どういう形でフィールド・ワークしてるのかなと興味があり図書館で立ち読みしてみたんです。すると毎年学生を連れて欧州内に来てイスラム・コミュニティ住人にインタヴューしてるんですね。するとそこから出てくる欧州観というのは、どうしてもイスラム・コミュニティ内からの視点になる。固定化した他者としての欧州です。結果イスラムvsキリスト教あるいは植民主義という古いシェーマになってしまう。(実際にはもっと豊かな混合社会という一面だってあるんですが)社会学的アプローチの限界性かな、と思いました。



回答は質問の仕方によって限定されるし、それ以前に、誰に質問するかという選択の時点で、すでに質問者の方向性は出来上がっていると思うわけです。難しいですね。
 
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