ファブリスとサンせヴェリナ

 やっと行ってまいりました。「パルマ-- イタリア美術、もうひとつの都」展(於西洋美術館、8月26日まで)。

 たしかにパルマ画派はフィレンツェやヴェネチア画派とは違った独特の雰囲気を持ってます。
 コレッジオという画家の名前は小さい頃から例の角川の美術全集のおかげで知ってました。レオナルドのような深みのある崇高な表情というより、ある種清純な官能を思わせる顔立ちになんとなく注意を引かれていたかなと思います。彼はたしかにレオナルドやティツィアーノに十分対抗できる天才画家です。パルマ画派創始者の彼も、それから後継者のパルミジアニーノも短命だったのがいかにも惜しまれます。パルマは運がなかったですね・・・

 今回出品されている「幼児キリストを礼拝するマリア」は覚えがありますが、それよりカラッチ兄弟によるコレッジオの模写「聖母の戴冠」が、コレッジオ独特の女性美の表現を日本の人々に印象付けるのではないかと思います。

 ところでスタンダール『パルムの僧院』のファブリスの着想を与えた元の人物はアレッサンドロ・ファルネーゼ、のちの法王パウロ三世(1468-1549)のはずなのですが、同姓同名のアレッサンドロ・ファルネーゼ(1545-1592)という人がいたんですね。この人は武人ですが、この展覧会に出ている肖像画を見ると、なんだかすごくりりしいんですよ。だからマッツォーラの『アレッサンドロ・ファルネーゼを抱擁するパルマ』の絵が、わたしにはファブリスと彼をうっとり見つめるサンせヴェリナみたいに見えてちょっとあれっと思いました。こっちのアレッサンドロがスタンダールにインスピレーションを与えてる可能性はないかな?・・・

 というようなことを考えたときには昔はよく調べに入ったものでしたが、たいていはずれか、あるいはそうかもしれないけど決定的証拠がない、でおしまいになるんですね・・・
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