「音楽」自体が弱体化したかも


 すでに『ミュージックマガジン』の2012年年間ベストも出てしまいました。
 ワールドミュージック部門の第一位はハッサン・ハクムーンですか。まあ順当です。
 けど、わたしにはあんまりしっくり来ません。なぜかっていうと・・・

 ・・・いろいろ理由はありますが、ひとつには「音楽」そのものがなんだか時流にのらないものになってしまったような感じがする、ということがあります。
 時代に密着し、時代を表現し、時代をリードするものとしてずっと輝いてきた「音楽」そのものが、ずいぶん弱くなっちゃったような気がするのです。

 文学が世界に何かをなすことをあきらめてしまってからずいぶん時代が経ちました。
 音楽もまた時代の牽引役を降りるんでしょうか。

 ダウンロードという伝播法が一般化したせいか、記録音楽がどんどん「安っぽい」ものになっていきます。どんな有名アーチストでも、その新アルバムのリリースは昔ほど「大事件、大イベント」ではなくなっているのは明らかです。
 生演奏、生身の肉体をさらすスペクタクル、コンサートの場で作るCDなどなど、「現実での触れ合い」を重要視した活動を志向する向きが多くなったと思いますが、こっちの方はどうしても固定ファンたちの閉じたコミュニティ相手の活動、ということになってしまう危険をつねにはらんでいるような気がします。

 ・・・というようなことは、Jeune Afrique 誌の音楽欄、音楽関係記事が明らかに減ったな、と感じたことから、なんとなく思いました。


 で、今年のわたしのベストアルバムですが・・・
 アルジェのコンセルヴァトワールで共に音楽を勉強していたアラブとユダヤのアーチストたちが50年の歳月を経て再び集うという感動的な物語から生まれた映像と音の記録、El Gustoにしようと前から思っていました。シャアビの演奏としてたいへん見事なものです。

 でもね、年末の土壇場にきて、やっぱり違うか、という気になりました。
 粕谷さんはノスタルジーには耽らないひとなので。

 それじゃ今年のベストは何かというと・・・  

 ・・・その前に先週末のことをブログに書いておきます。久しぶりに余裕がありますので。

 
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