素顔のGT


 フランスのネット情報や音楽雑誌などから、やっとGTの才能が世に認められつつある様子がうかがえて、喜ばしい限りです!
 ちょっと彼とのつきあいの始まりを、彼のプライベートをおかさない程度に書いておきたく思います。

 わたしがGTをやたら褒めるのを、知り合いだからひいきが入っていて大げさに言っているだけだと思う方もいるかもしれませんが、そうではないと思います。
 わたしのライ・ページにはいろんなアーチストがメールでコンタクトをとってくるんですけど、まあ普通は「こんどフランスに行く時連絡する」ということでなんとなくおしまいになっちゃいます。別に嫌っているわけではないんですが、わたしフランスは自腹を切って行ってるわけで、当然かねてからの友人、会いたい人、一緒にいたい人を優先しますから、絶対そういう人と会う時間はなくなっちゃうのです。
 でもジェラルド・トトの才能は創る音を聞けば明白で、「この人には会ってみたい!」と思わせてしまう力を持っていたのです。

 GTのスポークスマンを自任しているファブリスっていうサンパsympaな(フランス語でまあ、つき合いやすい、感じのいい、くらいの意味です)奴の仲介で、パリのわたしの定宿のホテルの前で GTと初めて会いました。もうかれこれ6、7年くらいになると思います。ビーズ。わたしと同じくらいの背丈だと思った。

 そこからGTの車でパキスタン・レストランに行きました。なんて名前だったか忘れましたがパリにはパキスタン料理店がずらっと並んだ通りがあるんですよ。さすが本場の(?)カレーは美味しい!(金沢・野々市のルビーナも美味しいですけどね。 (^_-) )

 彼はそんな大スターというわけじゃないけど(でも早くなって欲しいですね)、彼の周囲の人はみな彼の才能に敬意を表している感じでした。こういうところはフランス人のいいところじゃないかと思いますよ。アルジェリア人だともっと自分のプライドにこだわると思う(それも必ずしも悪いことじゃないけど)。

 GTは歌もうまいし、声も官能的で個性的だし、作曲もプロデュースもみんな卓越してるんですけど、詩の才能も見逃せないです。なんとなく昔の名作との連関性を感じさせるところがあるのも興味津々です。

 ファーストアルバムの Les Premiers Jours。日本盤タイトルは『はじまりの日々』となってましたけど、そおじゃない! 雨の季節が終わり、太陽の恵みに満ちたカリブの夏が始まる、その「最初の光」ということなんです。・・・なんだかこれだけでこのアルバムの性格が分かる感じですね。陽光ふりそそぐ浜辺、きらめく水しぶき・・・そんな爽やかさを連想させる音であり、歌詞でもありました。
 あんないいアルバムが廃盤なんて、世の中間違ってるよ。 (`へ´)

 L'Elephant 『象』。ちょっと悲しいけど、いい歌だなあ、この歌。人間のハンターの前に身を守るすべもなく倒されてしまう象さん。サバンナの王、動物界の「記憶」である象さんは王座から追われ、ハイエナ共の嘲笑のまとになる・・・ 
 「ねえジェラルド、この歌ひょっとしてボードレールの『アホウドリ』意識してなかった?」
 「さあ、考えなかったなあ」

 Libellules 『とんぼ』。これも悲しいけどいい歌。愛する二匹のとんぼの片方がクモの巣に捕まりながら、相手の幸せを願う・・・
 「これラフォンテーヌの『二羽の鳩』に似てない? 君のでは破滅する片方が相手を幸せへの旅に送り出すわけだけど・・・」
 「いや、考えなかったなあ」

 そういわれても、なんかあるみたいに思えます。 (^_^)  GT、詩人だなあ。

 新作の Kitchenette (このアルバムは家族との日々の生活という彼にとってよりアンチムな世界を歌っていると思います)では Buisson dormant が好きです。「この娘は乾いている」Cette fille est seche というドキッとさせるフレーズから入って、その娘を「母音」で瑞々しくしていくという、見事な趣向。
 GT独特のエロチスムも印象的ですよ。前作の Bonne nuit とか今度のアルバムの Tes dessous とか。 (^_^)

 新作は3月27日発売ですが、一枚目の Les Premiers Joursも再発売してほしいものです。




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