ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

2013入間航空祭~ブルーインパルス

2013-11-05 | 自衛隊

この日入間に来る目的がブルーインパルスの演技を見るため、という人は
おそらく去年より増えた人数の6万人はいるのではないか、と思われます。

自衛隊という、日本では決してメディア的に持ち上げられることのない組織ゆえ、
ろくに報道もリポートもされず、そのためブルーのようなかっこいいものがあることすら知らなかった、
そういう層がテレビドラマで興味を持ち、実際にこの目で見てみたいと思った結果、
観客数の大幅増加につながったという面があるようです。

ドラマを放映したTBSというのも最近のネット情報によるとかなり微妙な放送局ですが、
このドラマは好評だったとのことで、やはり日本人に観てもらうには
かっこいい日本人を取り上げた方が結果がよいと改めて認識したのではないでしょうか。



さて、わたしは会場に落ち着く前に昼用のカツサンドと飲み物を買い、
午前の展示が終わって皆が阿鼻叫喚で食べ物を求めるための列を作り始める頃には
フードコーナーには立ち寄らなくても良かったのですが、
ふと気の迷いを起こして荷物を置いたまま物販コーナーに移動してみました。

そしてたちどころに後悔しました。

だって動けないんだもん。
何もなければ一分で通過できる通路が、密着率120%の人間団子のようになっていて、
昨日も書きましたが、センチ刻みの進行しか出来ません。
一所しかない通路に向こうから来る人と向こうへ行く人が順不同で進むのですから、
日本人でなければとっくに喧嘩が起こるか将棋倒しの事故が起きているでしょう。



動けなくて暇だから途中で撮った建物の入り口の写真。

「整備群本部」「検査隊」

つまり、チェッカーズ、じゃなくてフライトチェッカーの部隊ですね。
空自では「群」が「隊」の上にきます。

さて、やっとおしくらまんじゅう状態から逃れたものの、
食料をすでにゲットしているので取り立てて買い物もなし。
何の収穫もなく徒手を空しくして元の場所に帰ろうとしたそのとき・・・・!



大日本帝国海軍大尉発見。

航空士官らしくちゃんと飛行帽着用です。
航空バッグまで当時のものをちゃんとそろえて、完璧です。
中田商店で買いそろえたけど、着る機会がないので
こういうときに思い切って全身成りきってみるのでしょうか。
この日は曇りでしたがそれなりに日差しもあり、この高高度用の毛皮の飛行帽は
地上ではかなり暑かったと思われるがどうか大尉。

これを載せるとおそらく本人特定されてしまうので少し迷いましたが、
顔が写っていないので極小画像にて掲載させていただきました。
世間に公開されるのは望むところではない、ということでしたら、
即刻削除いたしますので、もしご本人、ご覧でしたらですが連絡ください。


さて、ブルーインパルス展示は12時45分にウォークダウンから始まります。
パイロットが乗り込む前のエンジン始動からが本番。

勿論わたしのいるところからは何が起こっているのか全く見ることは出来ません。

ブルーの駐機前とか、ブルー隊員のサインをもらう列とか、
こういうのに並べる人というのはもしかしたら前夜から寝袋持参で来ているのでは・・・。



演技開始。
始まっていきなり大疑問が。

「なぜ4番機がいないの?」

1、2、3番ときて4が飛んで5、6番。
初めて見る人は「4は縁起を担いで欠番なのかな」と勘違いしてしまうでしょうが、
これは不規則編成です。

4番機は後尾機、スロットといって、後方から隊形をチェックする役割の機です。
通常1番機の後ろを飛ぶため、その排気をもろにうけ、隊形によっては操舵次第で
キャノピーが排気の中に入り込む過酷なポジションで、別名

「地獄の後尾機」

とも言われているそうです。

ニュースによるとこの日の4番欠番は機体の故障であったとのこと。
最初からケチがついてしまったってことだったんですね。



横にいた人の話によると、通常は6機の他にナンバーのついていない予備機が
ついて来ているはずなのだが、ということです。

ブルーインパルスは3・11でたまたま7機が芦屋基地に展開しており、残りの2機も
整備に出されていたため一機を除いて難を逃れました。
その後は芦屋基地を拠点として訓練、展示を行って来たのですが、今年の3月に
二年ぶりに松島基地に帰還しました。








4番機がいないと、フォーメーションも左右比対称に・・・。



こうですから。
なんかわずかにいらっとする不均衡ですね。



一機で行うソロ飛行は無問題。
6番機は5番機とともに一機だけ、あるいは両者で行う「デュアル・ソロ」を受け持つパートです。

これはインバーテッド&コンテニュアス・ロールであったかと。



レインフォール(ループ頂点からスモーク開始、
真下を向いたところで一番機以外がブレイク)なのですが、
4番機がいないため、6番機だけが45度ブレイクを行っています。

うーん、やっぱり非対称って、イマイチですね。




サンライズでも、右に60度ブレイクする4番機なしでこの通り。




これ、5番機が凄いですね。
5番機も6番と同じく単独機ですが、こちらは「リード・ソロ」のポジション名です。

この演目は「バック・トゥ・バック」といい、先に5番機がロールし背面飛行に入り、
その後6番機が移動して二機が背中合わせならぬ「お腹合わせ」になります。



これ、どうみても何メートル単位の距離ですね。
真横から見ると、ぴったりと対称形になっています。

お腹ではなく、背中合わせの隊形になるフォーメーションを「カリプソ」と言います。 



これも本来4機で行う「チェンジ・オーバー・ループ」の
スモーク使用前であると思われます。
縦の隊形なら三機でも大丈夫ですね。



これはおそらくフォーシップ・インバートならぬスリーシップ・インバート。
通常1番機から4番機までが4機で行います。

でも、通常は見られないフォーメーションが見られたので、その点良かったかな・・・・



と思っていたのですが、このキューピッドで嫌な予感。

この、曇り空に描かれたハートが全くきれいに浮かび上がらず、
通常ハートの矢になるはずの4番機がいないため、キューピッドではなく、
Tー2時代の演目である「ビッグ・ハート」(ハートを描くだけ。
キューピッドは後からこれを発展させたもの)になってしまいました。

4番機の存在は大きかった・・・・・・・。


わたしの後ろにいた「初ブルー」らしい女の子二人が
もう興奮の極みでほとんど絶叫していました。
ビートルズの公演で叫びすぎて失神する女の子たちの映像を見たことがありますが、
まさにあんな感じです。
あまりの騒ぎぶりに、周りの人たちは振り返って彼女らを見ていましたが、
その視線は決して咎めるようなものではありませんでした。(たぶん)
わたしの横の人が、

「これくらいでキャーキャーいってたら、コークスクリューなんか見たら
あの子たち失神してしまうんじゃないか?」

とマジで言っていました。

が、彼女たちは失神せずにすみました。
コークスクリューは勿論、キューピッド(矢無し)以降の演技は中止になったからです。



彼女らのような初参加組が興奮しているのに対し、従来の観客は
当初から

「あれ?なんか今日は様子違くね?」

といった、「ノリの悪さ」を感じていたのですが、こうして最後の一機が建物の後ろに消え、
音楽とノリノリのDJ(去年も思ったけど、これ誰がやってるんだろう)は鳴り響けど、
その後の演技が全く再開されず、「す」が続き、しまいには
「航空自衛隊に入隊を希望される方は・・・」
みたいなリクルート勧誘アナウンスまでして場つなぎを始めたので、
さすがに33万人の観衆の頭上に「?」が浮かびだしたころ、

「上空に航空機が侵入のため中止いたします」

というアナウンスが。
そのとたん周りの人々がいっせいに

エエエエエェェ(´д`)ェェエエエエエ工工

になりました。
どうも後からニュースを検索するとドクターヘリだったようですね。
ということは緊急救命の要請による実働があったということですか。
それなら仕方ないね。

その後は、どっと人が減ったので、わたしはじわりじわりとエプロンに向かって直進。
一人分が空くとそこに身体を滑り込ませ、最終的には最前列に・・・・・・

・・・・・たどり着いたときにはもう帰投すら終わりかけていたんですが(笑)
次回はブルー初め各外来機の帰投をお送りします。

というか、わたしブルーインパルスよりもこっちを写真に撮りたかったのよね。
だから、こんな状態でも別にがっかりしたりしなかったの。



彼らはドルフィンキーパーズ。
つまりブルーインパルスの整備チームです。
パイロットすなわちドルフィン・ライダーたちが帰投した後は、
松島基地に帰る輸送機に乗って帰るのだそうですよ。



ところで、ニュースでこんな一文を見つけました。

都内から訪れた30代の女性会社員は
「ドラマの『空飛ぶ広報室』を見てから航空自衛隊に興味を持つようになって、
各地の航空祭をハシゴしています。やっぱり、ブルーインパルスはすごいです」
と興奮した様子で話していた。


やっぱりドラマ以降ですか。

テレビの影響力はすごいですね。
(そんなテレビの力で総力を挙げてゴリ押ししてもブームにならないようなものは、
つまり積極的に嫌われているってことなんだと気づこうね、テレビの中の人)


海自と陸自も、これに追随して、何かかっこいいドラマを作ってはどうでしょうか。

海自音楽隊員を主人公とした青春もの「戦う音楽隊」
(テーマソングは三宅三曹の歌う『我は海の子』。
訓練でカッターを漕ぐ音楽隊員のアップからドラマが始まる)とか、

陸自特殊部隊のサバイバルアクション、「風林火山な野郎ども」
(富士山頂の三日三晩行軍のシーンからドラマが始まる)とか、どうかな?(提案)