ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

棒倒し始まる〜平成29年度防衛大学校開校記念祭

2017-11-30 | 自衛隊

さて、わたしが今回防大の開校記念祭に行こうと思ったのは、久しぶりに
棒倒しを撮ってみたいと思ったからでした。

午前中の観閲行進が終わったとき、偶然知り合いの方(息子さんが自衛官)
を見つけ、ちょっと立ち話をしたところ、棒倒しなら、今ガラガラのグラウンドの
向こう側の一番高いところを取れば後ろに座っている人がいないので
気兼ねなく撮れますよ、と教えていただきました。

なので早速真ん中に近いここに席を取りました。
上はもう同じことを考える人がシートで席を抑えていて、
ここしかなかったのです。
目の前の配電盤が邪魔ですが、この際仕方ありません。

場所取りをしてまだ棒倒しが始まるまで3時間もあるので、構内を歩きに行きました。

必見3大隊 恋の片道切符 あなたの心に捧げ銃

心に捧げ銃をしても一方通行、そういう状況しか見えないのだが。

プログラムによると、講堂で音楽演奏があるということだったので
暖をとるのも兼ねていってみることにしました。

途中の校舎の窓にこんなお知らせがありましたが、
迷彩服を着せてもらえて、訓練メイク体験・・・

これも「インスタバエ」狙いでしょうか。

さらに歩いて行くと、今日献花されたばかりらしい顕彰碑がありました。
花輪には防大校長と防大同窓会長の名前があります。

裏に回ってみると、防大出身者で殉職された方を顕彰する石碑であることがわかりました。

同じ一角に小さな「勇魂」と書かれたこれも慰霊碑があります。
第5期生の第一大隊岩崎正章学生は昭和33年1月26日、ラグビーの試合中
亡くなったということが書かれています。

第12中隊の学生長でありラグビー部でも主将だったということですから、おそらく
優秀で勇猛果敢な学生だったのでしょう。

講堂に入ると、ギター部が演奏中でした。
それにしても防大の講堂でかすぎ(笑)

演奏していた曲はパッヘルベルの「カノン」とか「第3の男」とか・・。

聞けば全員防大に入ってからギターを始めたということです。
校友会活動は文化部を選択するものは運動部と掛け持ちしなければならず、
しかも忙しい防大の学生生活で練習する時間もままならないと思うのですが、
こうして、これだけたくさんの学生がとにかく何曲かを人前で演奏しているのです。

そんな健気な彼らの演奏に対し、あれこれ音楽的に論うことは厳に慎みたいと思います。
うん、みんなよく頑張ったよ!聴いてて楽しかったです。

実はわたしはこれを聴きに来たの。
ピアノサークルの発表。

期待通りというか、迷彩服がピアノをステージに運んで来て、そのまま
ベートーヴェンの悲愴の二楽章を弾いた記憶があります。

最初はちゃんと弾いていたのですが、なんか色々と曲を省略したり
違うところに行ったりして、独自のアレンジをしていました。

クラシックピアノの先生からは叱られそうですが、彼は随分余裕があるというか、
わかってやってる感ありありで、実はかなりのやり手とお見受けしました。

もしかしたらジャズなんかも弾けるタイプかもしれません。
わたしは、へー、防大生にもこんな人材がいるのね、と感心しながら聴いていました。

しかし防大生はこの人だけだったので、しばらく聴いて講堂を後にしました。

一度だけ学生舎にも入ってみました。

ここは第三大隊の建物なので、緑の法被を着てます。

さて、そんなこんなで時間が潰れ、グラウンドに戻ってみることにしました。
この時には気づかなかったのですが、写真にはしっかり
宮嶋茂樹氏と愛用の白レンズが写っていました。

やっぱり防衛大学校の写真集をお出しになるんでしょうね。
この日棒倒しに出た人は写真集に載る可能性大だ。

グラウンドの端には怪我人を即救急輸送できる態勢で救急車も待機。

誰もいないグラウンドをその辺の人の視線を一身に受けて歩いていた医療関係者。

さて、いよいよ棒倒しの始まりです。
まず隊長と大隊旗が入場してきました。

旗の色はそのまま大隊のカラーとなります。
シンボルは第1=龍、第2=獅子、第4=鷲。

第2大隊の旗には同大隊の職員一同からの寄贈とあります。
第3大隊の旗にはシンボルがありませんが、自分の過去ログによると、
それはペガサスだそうです。

昨年優勝した第2大隊による優勝旗返還の儀式。
優勝旗を預かるのはいつのまにか迷彩服にお色直ししてきた国文校長です。

試合は単純に勝ち抜き戦で勝敗を決めます。
まず、第一試合を行う第1大隊が入場してきました。

ソイヤ、ソイヤ、という感じの掛け声とともに入場してくる一団。
最初に棒倒しを観る人はここでもう圧倒されてしまうくらいの迫力です。

第1試合は第1大隊(赤)対オレンジの第4大隊。

試合前にそれぞれのチームがエールで気合を示します。

時間が経って詳細は忘れてしまいましたが、基本挑発していくスタイル。

皆、気合い入ってるかー!うぇーい!

みたいな?

こちらは「いただきます」と「相手を食う」スタイル。
前にも同じのを聴いたことがありますが、大隊ごとに決まったのがあるのかも。

こちら顔に日よけペインティングしてただでさえ凄みのある集団がさらにすごいことに。
応援部はこの日自分の所属する大隊を応援することになっているようです。

試合準備が始まりました。
向こうに攻める色シャツ軍団、自陣の棒を守る白シャツ防衛軍。

えーと、応援団の方達は一体何を・・・。

棒の上には「上乗り」。
その周りをサークルの肩に乗って守るのが「四天王」(多分)。

攻撃の方法なども各大隊で作戦を練って訓練を積みこの日に臨むそうです。

始まりを待つ一瞬、上に乗っている人はきっとドキドキしてしまうんだろうなあ。

開始の合図と同時に敵陣に駆け込んでいくオフェンス。

こちらには敵の攻撃隊が襲いかかりました。
右側で相手に向かっていっているのがおそらく「キラー」。

敵の武闘系運動部員をサークルに寄せ付けないように
複数人で襲いかかる役目のことをキラーといいます。

もちろんサークルの後ろから回り込んでくる敵もいるわけで・・・。

オレンジの手を伸ばしている人はおそらく「突攻」という役目でしょう。
「スクラム」がサークルの手前で組んだスクラムを駆け上り、
サークルの上に攻めていこうとしております。

サークルの周りを固める人たちは皆左手に赤いバンドを巻き、
それを体に付けて反対の手を高々とあげています。

どこからともなく襲ってくる敵に対し、防御する姿勢になるのでしょうか。
もしかしたらベルトはスクラムを組むために他の人と繋いである?

右側でサークルに寄せ付けまいとするディフェンスとオフェンスが戦い、
地面では早速一対一の取っ組み合いが始まっています。

上乗りの生徒は「猿」と言われるくらい身軽で、登ってくる敵を
上からけり落とすのが仕事。

ディフェンスのスクラムに割って入ろうとするオフェンス、
それを引き戻そうと後ろから羽交い締めにするディフェンス。

どうしてこの状況で一対一になるのかわからないのですが・・・。

一旦タイマンになってしまうと、ずっともみ合ってしまうことになるようです。
もしかしたら日頃気にいらんやつ、とか思い合っていたりして?

まあ元祖の海軍兵学校では棒倒しが下級生にとって日頃の恨みを晴らす
いいチャンスだったという話も残っていることですし。

ああ、こちらでも取っ組み合い続出。
一方棒の周りにはついにオレンジが迫る事態に。

オフェンスの役割に土竜(モグラ)というのがあります。
敵の円陣の足から下を潜り込んで崩すというものなのですが、
大抵は踏み付けられて全滅してしまうそうです。

オレンジ、いいところまで何度も迫っているのですが・・・。

場外乱闘も佳境に入っております。

ああ、上に乗っている人が足を踏み外した!?
十分棒は倒れているような気がしますが、まだ人がいるので判定にならないのでしょう。

上の人落ちちゃったよー。

上も下も大変なことに。
オレンジが上の人のシャツを掴んで引き摺り落としています。

ちょっと右端で取っ組み合いしている人たちに注目してみましょう。

棒が倒されるかどうかの瀬戸際にこんなところでなにをやっているのか、
という気もしますが、彼らは真剣です。

ごんずい玉みたいになってますが、よく見ると皆一対一で戦ってます。

棒を抱えている人「せいやあ〜〜〜!」

その時判定の笛が鳴りました。
まあ、これだけ傾けばオレンジが倒したといってもいいんじゃないでしょうか。

皆で手を挙げているのでなぜ負けた方が?と思ったのですが、どうもこれは
試合が終了してもう何もしてませんよ、ということをアピールするためと思われます。

でも、端っこではオレンジが喜んでいる様子がわかりますね。

どうもこれは試合終了後の決まりで、左にいる審判団が
全員の手が上がって凶器を持っていないか(多分)チェックしているのでは。

第1大隊の攻撃隊が帰ってきました。
ちょっと意気消沈している様子。

かたや決勝戦に進む第3大隊は退場の時も拳を振り上げ、ガッツポーズです。

さて、続いては第2大隊対第3大隊の予選が行われます。

 

続く。


儀仗隊ファンシードリル〜平成29年度防衛大学校開校記念祭

2017-11-29 | 自衛隊

音楽まつりのご報告が終わったので、中断していた
防衛大学校開校記念祭の続きに戻りたいと思います。

観閲行進が始まるまでの間、朝ごはんを食べがてら校内散策をしました。
観覧席後ろにある体育館の中では校友活動の展示が行われています。
1日目に来ればパラシュート部と第一空挺団の降下が見られたんですけどね。

ところで、体育館にかかっていたこの巨大なスクリーン風バナーには驚きました。
わざわざ開校記念祭のために製作したらしいのですが、なんと!

たくさんの防大生活のスナップ写真でできているのです。
こういうのをフォトモザイクというのですが、どうも今はカメラロールにある
たくさんの写真から一枚の写真を作ってくれるアプリなんていうのがあるらしいですね。

しかしこの作品の凄いのは、それを実際にプリントアウトした写真で
再現した(つまり写真を並べて貼り付ける作業を行なった)ということです。
さすがは防大、人海戦術はお手のもの?

えーと、レンジャー部?(多分違う)

ヨットが風を帆にはらんで展示されておる。

将棋部の机では、ちびっこ棋士と真剣に対戦する防大生の姿あり。

なんと防大に自動車部がありました。
部車で軽自動車の耐久レースなどに出場しているそうです。
ちなみに部車には「National Defence Academy」のロゴあり。

今まで特に考えたこともなかったのですが、防衛大学校の英語名称は
「国際防衛アカデミー」だったんですね。
このナショナルはやっぱり留学生を受け入れているから?

日本国自衛隊の幹部養成学校なのに「JAPAN」が付かないのは何故なんだろう。

耐久レース参加時熱で溶けてしまった(!)エンジンの展示あり。
レース使用車はやっぱりというか萌え自衛官のイラスト入りだ!

舎前の模擬店は留学生グループが着々と売り上げているこの時間にも
まだ全然オープンの気配なし。

「程田さん家のケバブ」?

これが程田さんのようです。

通りがかりの人に「インスタ映えにいかがっすかー」と声をかけて
写真を撮らせていた謎の集団の訓練士。

女性二人、インスタ映えという言葉に見事籠絡され写真を撮る羽目に。
いやー、今最強の言葉だね。「インスタ映え」(笑)

防大生もインスタ映え狙い?

最初に開校記念祭に来た時にもこの怪しげ()な集団はいましたが、
その頃にはまだインスタグラムなるツールは存在していませんでした。

ツィッターといいインスタといい、ほんの数年前にはなかったことが
登場し市民権を得てその中毒性が何かと非難対象になるまでがワンセット。

例えば5年後に開校記念祭に来たら?

おそらくこの集団は中の人を変えてそのまま存在すると思いますが、
彼らの姿はその時どんなツールで捉えられ拡散されているのでしょうか。

さて、儀仗隊がミニドリルを行うこともあるこの広場を通りかかると、
隊員が観閲行進前に家族知人と交流をしていました。

もう一度くらいは通しのリハが終わっているのでしょうか。

校舎の反対側には専用のテントも設営してありました。
時間がなくて立ち寄りませんでしたが、広報ブースと思われます。

というわけで、観閲行進が終わり、儀仗隊のファンシードリル、開始です。

音楽まつりよりも人数が多いような気がします。
今数えて見たら音楽まつりは隊長を入れて25名でした。

音楽まつりは「選抜隊」だったということですか。

最初は正面に向かって(来賓席に向かって)敬礼を行います。

「ファンシードリル」と云う名称には、

Fancy=趣味的な意匠を凝らした Drill=訓練

と云う直接の意味があります。
たまたま見つけたタイ海軍の儀仗隊の人のブログによると、どの国かはわかりませんが、
平時の軍隊において兵士たちが自由時間に銃を回したりして遊んだことから
自分自身と他のものが楽しむためにそれを組織しだしたのが始まりだそうです。

今では軍のみならず国際プロトコルに欠かせない儀仗隊ですが、
ファンシードリルはさらにその団体の統制と技術、研鑽の成果を
わかりやすく人々に伝えることのできる手段となっています。

音楽まつりと同じく、隊長は唐川航輝学生が務めます。

HPによると唐川学生第62期隊長ですので、防大儀仗隊の歴史は今年で63年目、
1955年(昭和30年)に始まったということになります。
防大開校が大きなフォトモザイクにもあったように今年で65周年ですから、

開校して3年目、儀仗隊が開設されてそれ以来の歴史があるということです。

つまり初代儀仗隊のメンバーはもう80歳台になっておられるんですね。

ちなみに儀仗隊の歴史について何かわかることはないかとHPを見たら、
儀仗隊の歴史コーナーは鋭意(たぶん)工事中でした。

一旦グラウンド中央で指揮刀を掲げたのち、来賓席に向かって進んできます。

来賓に向けて、捧げ〜〜〜〜〜〜

銃(つつ)!

捧げ銃は「銃の敬礼」、隊長が行なっているのは指揮刀の敬礼です。

礼式が終わると元の場所に戻っていよいよドリルの開始です。

全体で大きな十字フォーメーションを作っての演技。
タイ海軍の人によると、これを「サークル」と呼んでいるとか。

ちなみに手前のモヤモヤしたものは、前に座っている人の帽子の飾りです(笑)

ドリルの間、ずっとリズムを刻んでいるパーカッション隊。
華やかな演技を支える重要な役割ですが、正式になんというのかは知りません。

午前中はグラウンド反対側の芝生にはそれほど人がいっぱいではありません。
棒倒しの時間には立ち見も含めて大変な人になります。

儀仗隊HPの自己紹介のページによると、なぜ儀仗隊員になったかという理由で
圧倒的に多かったのが「かっこよかったから」そして「防大ならではのことをしたかった」。
中には同室の上級生の勧誘がすごくて(断れなかった?)という理由もありました。

二列縦隊になって対面通行しながらのドリル。

銃を地面に立てたまま歩いていき、次の人が倒れる前に拾うという趣向ですね。
銃の置き方にも注意が必要です。

これは広いグラウンドならではのフォーメーションですね。
全員で一列になってそのまま中央を芯に回転していくサークルです。
今数えたところ本日のフォーメーションは30名で行なっていることがわかりました。

真横に来たときにちゃんと列をまっすぐに保っているかがわかります。
うっ、向こう端の一番外側3名、もしかしたら少し遅れてますかー?

こちら側はほぼ一線です。すごい。

地面に写る影を見てもまっすぐかどうかわかってしまうという・・・。

 

順番に銃を空中で一回転させていくドリル。

銃が空中にある間手は拳にして下が基本です。

ギリギリになって落ちてくる銃を迎えにいって掴みます。

さて、いよいよ最後のフォーメーションに入りました。

二列で隊長の通る「通路」を作りました。
そう、正式には何というのか知らないのですが、わたしが勝手に
「銃潜り」と呼んでいるフォーメーションが始まるのです。

しかし、残念ながらこの日の観覧場所からはいまいち何が起こっているわかりません。
角度のせいで銃の交換も隊長の姿も人の壁に阻まれて見えなかったのは残念です。

ただ、この写真で銃を投げる前には右脚を振り上げる動作をすることがわかりました。

銃潜りはやはり音楽まつりで上から見るのが最高ですね。

全ての演技が終わり、整列してもう一度観閲台前に行進してきます。

演技の最後は「敬礼」。
ただし、隊長以外は敬礼しながら片手で銃を回し続けるスタイル。

 

今年も開校記念祭に続き音楽まつりで活躍した防大儀仗隊。
音楽まつり最終日には公式アカウントでこんなツィートをしてます。

いよいよ、自衛隊音楽まつり最終日となりました!
最終公演まで全力で走り抜けたいと思います"<( ̄^ ̄)
(←かわE)

ちなみに隊長もそうであるところの62期隊員は、音楽まつり最終日をもって
引退し、後進に道を譲ることになっているようです。

みなさん今までお疲れ様でした。

 

その凛々しさ、爽やかさ、キビキビした動きとひたむきな表情で
いつも見るもの全てを魅了する防衛大学校儀仗隊のファンシードリル。

あなたたちとまた来年再会するのを心から楽しみにしています。

 

開校記念祭シリーズ、続く。

 

 


世界に一つだけの花〜平成29年度自衛隊音楽まつり

2017-11-28 | 音楽

平成29年度自衛隊音楽まつり、続いて第3章を迎えました。

ところで超余談ですが、音楽まつり会場前に出ていた地本ブースにいた
とうちくんの「中の人」が誰かが今日わかってしまいました。

「わたしが入っておりました」

と伺ったその人は、「将」のつくえらーい人だったのです。
さすがは指揮官先頭の日本国自衛隊。
まあ毎日ではなく最終日だけだったそうですが。
自衛官はついとうちくんに敬礼してしまったりして(着帽だし)

(参考画像)

「脚が黄色かったらそれはわたしです」

そ、そりゃとうちくんだから・・・。

会場のアナウンスでも音楽まつりの「目玉」と紹介されていた自衛太鼓です。
今年のテーマは「一致団結」。

確かにこれだけの数の太鼓が一堂に集結するのを聴く機会は他にないかもしれません。
最初に音楽まつりに来た人が一様に声を揃えていうのが、自衛太鼓の衝撃です。

今回、 TOは音楽まつり初体験だったのですが、彼もまた、感想を問うと、
もっとも印象的だったのは自衛太鼓だった、と言下に答えたものです。

一斉に掛け声をかけつつ決める動作のキレも只者ではありません。

女性奏者が一般における女性自衛官の割合(10パーセント)くらいいます。
彼ら、彼女ら全員が自衛官であることにこのパフォーマンスの

素晴らしさの意味があるとわたしはいつも思っています。

ちなみに海外でこのyoutubeがアップされると柔道着の袖を切ったようなユニフォームに対し、

「ストリートファイターのリュウがたくさんいる!」

とコメントがあがるようです(笑い)

今年の参加部隊は全部で12チーム。
クラブ活動のように練習をおこなっている自衛太鼓ですが、全国には
陸自駐屯地を中心にたくさんのチームがあり、北海自衛太鼓、入間修武太鼓、
朝霞振武太鼓などの
常連以外は交代で出ているらしいことを知りました。

ちなみに海上自衛隊にはその勤務形態の関係上か太鼓チームはありません。

全員演奏の後は会場右と左で交互に行われる部隊ごとの演奏です。

アルプス太鼓は長野県松本駐屯地所属です。

皆上腕三頭筋の発達具合がやばい。

空自の太鼓チーム入間修武太鼓のノリは鐘と太鼓で軽やか。

朝霞駐屯地の自衛隊イベントでもおなじみ朝霞振武太鼓。
昔朝霞にあった陸軍予科士官学校は「振武台」と呼ばれていました。

滋賀十戦太鼓はその名の通り、滋賀にある第10戦車大隊に所属する太鼓です。
てっきりヒトマル式戦車の部隊かと思ったのですが、74式が主体だそうです。

自衛太鼓チームの扱いは他と同じく部活動というものですが、HPによると
その活動は大変熱心でそれこそ同部隊の「目玉」であるように思えました。

ところで今回撮った写真に写っていた太鼓のカバーに、地元小企業の名前が
さりげなく入っていたりするのを発見しました。

自衛官が手弁当で行うのが基本の部活動ですが、地元の寄付もあるようです。
自衛太鼓が地域に古くから
溶け込んでいることの証左と言えましょう。

第3章、続いて防衛大学校儀仗隊のファンシードリルです。

24名の儀仗隊は6×4の列ごとに時差で行うドリルから演技開始。

一糸乱れず行われるファンシードリルに出演できるのは4年生だけだろうか、
とふと思って彼らの制服の袖を拡大して調べたところ、さすがに星なし(1年)
はいませんでしたが、2年生から4年までが混在しているようです。

この後フォーメーションは十字型、横2列と変化し、十字型の大回転を経て
横一列のフォーメーションで行われるドリルに移行します。

順番に投げ上げ、銃を回転させるなどを左から右、右から左に行い・・、

一番左の隊員が銃を回し続けながら敬礼を行うと会場はどっと湧きます。

左から右へと床に銃を付いていき、右端の隊員はジャーンプ!

そしてお待ちかね、銃潜り。
二列になった隊員が互いに銃を投げ交わす中を、隊長が進んでいく、
わたしの一番好きなフォーメーションです。

今回は上階からのこの角度が一番よく撮れていました。
この写真を見ると、本当にギリギリであることがわかりますね。

受け取った銃は背中で、しかも縦にまっすぐ支えています。

銃は練習の段階で落として壊すこともないわけでないようです。

ここまで軽々とドリルをおこなっているその陰には、何度も銃を落とし、
上級生に叱責されながら訓練を積んだ日々があるのでしょう。

武道館の本番、彼らはやっぱりたくさんの観衆の前で緊張するのでしょうか。

儀仗隊長の正帽には一佐以上相当の縁飾りがあることに今気がつきました。

皆が中央に目を奪われているとき、ステージの隅で銃を手に立っていた二人。
万が一のアクシデントに備えて銃を渡す係でしょうか。

そして一番最後、全員で敬礼しながら銃の片手回し。

頭(かしら)中で全く視線を手元にやらずに片手回しをしています。

肘の高さも全く変えずに、手首のスナップだけで回転させていますね。
当然のように全くミスをすることなく終わった儀仗隊のファンシードリルです。

わたしは何度か彼らのドリルを実際に見ていますが、今まで銃を落とす者がいたのは
防大開校祭でのただ一回だけで、音楽まつりではもちろん全ての演技が完璧でした。

音楽まつりの恒例、最終ステージの前に音楽まつりの設営部隊、
陸上自衛隊第32普通科連隊と隊長の一等陸曹が紹介されます。

「タタタン、タタタン、タタタタータタン」

と手拍子を打ちながら自衛太鼓、防大儀仗隊、カラーガードなどが出てきました。
いよいよフィナーレです。

みんな楽しそうー!

空自のカラーガードのお嬢さんたち。

最終公演ではこの時に泣いてしまう人もいるそうです。

自衛太鼓の凛々しい女性たち。

そこにまず陸海空それぞれの音楽隊が位置につき、外国バンドを迎え入れます。

みんなで片っ端からハイファイブ。

米陸軍と陸自は、今年の9月に15年ぶりに総火演でおなじみ

東富士演習場などで合同訓練を行ったというニュースがありました。

タイ空軍音楽隊と中央音楽隊。

全員が入場後、儀仗隊に続き参加国の国旗が入場してきました。
音楽はエルガーの「威風堂々」、今日は1番ではなく4番の第二主題できました。

(有名な『威風堂々』は実は5曲ある同名の1番であることをご存知でしょうか。
ちなみにわたし個人はあえて無名の5番推しです)

こののち陸海空3人の歌手が登場して中島みゆきの「糸」を歌いました。
海自、陸自は専属歌手である三宅由佳莉三等海曹、松永美智子陸士長
そして空自からはモリタ・サキ二等空士

専属歌手を持たず、音楽まつりには歌の上手い人を選抜していた空自ですが、
昨年度の募集要項に「ボーカル兼ピアノ」という応募があったということなので、
もしかしたら彼女がその応募で採用された初の声楽枠隊員かもしれません。

彼女の声の素晴らしい伸びの良さは聴いていただければお分かりかと思います。

「ラーラララーラララーラララーラー」で国旗と第302保安警務中隊が退場。
最初のセレモニーでは真っ白だった儀仗隊の制服が、最後には合服の
上着紺、ズボン白になっていたことに気づいた方はおられるでしょうか。

小さな緑のポンポンを振っている人発見。

手を振って出演部隊が退場していきます。
音楽隊、自衛太鼓、防大儀仗隊、そして舞台設営を行なった部隊の隊員も。

米陸軍の皆さん、キャンプ座間のマークに富士山を使ってくれてありがとう。

会場に残った3人の歌手は、ピアノの伴奏で「世界に一つだけの花」を
それぞれワンフレーズずつ歌い・・・、

手話で残りを静かに歌い終えました。

フィナーレ指揮は陸自中央音楽隊隊長、樋口孝博一等陸佐でした。

長々と語ってきた音楽まつりシリーズ、
今回の参加に手厚いご配慮いただきました皆さまに対する感謝の気持ちを
厚い御礼に代えさせていただき、報告を終わりたいと思います。

ありがとうございました。

 

 


We Are The World 〜平成29年度自衛隊音楽まつり

2017-11-26 | 音楽

音楽まつり、第2章は「想いをひとつに」。

「平和と安定の未来に向け、互いを信頼し力を尽くす」

というサブタイトルがつけられたこのステージでは
外国招待バンドが出演します。

まず米海兵隊第3海兵機動展開部隊音楽隊。
日本に在留している海兵隊の正式名称はこのドラムにもあるように

第3海兵遠征軍(3rd Marine Expeditionary Force: 3MEF)

というのですが、遠征軍という響きが物々しいと考えたのか、
日本では「機動展開部隊」と訳しているようです。

第1曲めは音楽まつりでは頻繁に登場するホルストの「惑星」より
「火星」が選ばれました。

これも滅多に紹介されたことはありませんが、「火星」の原題には
「Mars, the Bringer of War」というサブタイトルがあります。
つまり「マルス=戦争をもたらす者」という不穏なものなのですが、
単に「マルス=戦いの神」という翻訳をしている例もあります。

執拗に繰り返される「ダダダ・ダン・ダン・ダダ・ダン」という5拍子のリズムが
すでに戦いが始まっていることへの不安と恐怖を内包し、近未来的で不安定な
(作曲されたのは第一次世界大戦の頃ですが)メロディがそれを一層煽ります。

お約束、5拍子のリズムの盛り上がりとともにカンパニーフロント。

有名なユーフォニアムのメロディをドラムメジャーの向こうで演奏する奏者二人は、
一人が膝をついて座り、もう一人がその膝に脚をかけるという前衛?スタイル。

5拍子のリズムはドラムシーケンスによって引き継がれ、次曲、
映画「スーパーマン」のテーマに引き継がれていきます。

「戦いをもたらす者」から「スーパーマンのテーマ」

うーん、なんてわかりやすい勧善懲悪ストーリーなんだ。

ちょっとわかりにくいですが、海兵隊、最後のフォーメーションは
スーパーマンの胸のマークで決めました。

ちょっと残念だったのは、いつも必ず最後、退場前に演奏する
「海兵隊讃歌」Marines' Hymnが今回は聴けなかったことです。

 

 

続いてタイ王国空軍音楽隊の出場です。

空軍らしい青と白の制服で登場。
演奏中スクリーンにはタイ空軍使用機が次々と映されましたが、
タイ王国空軍、Fー16なども導入しているようです。

ファンファーレに続き、楽しげなタイ情緒あふれる音楽とともに
ダンサーが乱入してきました。
曲名は「カンカーウキンクルアイ」というそうです。

次曲ではこのダンサーたちがタイボクシングのジェスチャーを行うという趣向。

タイボクシングというのはつまり「ムエタイ」のことです。
以前やはりタイ王国からの出演でムエタイを男性二人で見せたことがありました。

それに比べると今回は女性のムエタイ風ダンスといった感じです。

二曲め、専属歌手による日本語の「翼をください」
彼女の歌にダンサーが今度は長いスカートをつけて出てきて踊りで花を添えます。

フォーメーションはハート型。

「今 私の願い事が 叶うな”れ”ば 翼が欲しい」

と3回とも歌詞を間違えて歌っていましたが、まあ意味は間違ってないしいいよね。

テーマをアレンジして転調した「この大空に」の部分とともに全員で
(ダンサーはスカートを広げ、楽器は横一列)カンパニーフロント。

 

今年の招待バンドは二カ国3音楽隊です。
常連の在日米軍軍楽隊の演奏は、去年に続き音楽まつりでおなじみの顔となった
トランペット奏者のセミデイ技術陸曹のギター弾き語りで幕を開けました。 

技術陸曹という階級は自衛隊のものをそのまま転用しました。
アメリカ軍ではシンプルに「スペシャリスト」と称し、「特技兵」と翻訳します。

文字通り特殊技能や資格などを有する者をさし、最初から特殊技能を持っていて
通常の志願兵とは別枠で採用された軍人のことです。

一般に飛行機や船舶に関わる人間は全て技能兵という考え方もあります。

先日お話ししたコードブレイカーなどは典型的であり、法曹資格を持つ者も
アメリカ軍ではスペシャリストとして扱われます。
ちなみに自衛隊の法務官には旧軍とは違い法曹資格の有無は問われないので、
スペシャリストというカテゴリには含まれません。


セミデイ技術陸曹は音楽という分野での『スペシャリスト』なのですが、
それなら軍楽隊全員がそうなのかというとどうも違うようです。

つまり、技術曹の位は「雇用の経緯」を指すのであり、これを有するものは
特殊技能を持っていることで(いきなり)伍長待遇で採用された民間人と考えられます。

そのセミデイ伍長待遇の技術曹が弾き語っているフレーズですが、
本日のプログラム「チルドレン・オブ・サンチェス」のヴァースかとも思われます。

その歌詞は

「夢、希望がなければ人は死んでしまう
体はまだ動いているけど心は墓で眠っているようなものだ
安らぎの地がなければ、人は何かに縛られ安心して眠ることはできない
人は皆威厳を持って生きることができる場所を求めている」

(字幕の間違いは訂正しておきました)

このスパニッシュ風のギター弾き語りが、鳥居や五重塔など、
日本の美しい風景の映像とともに流れます。

そして・・・

「フィール・ソー・グッド」で有名なフリューゲルホーン奏者(元トランペット)、
チャック・マンジョーネ「チルドレン・オブ・サンチェス」の始まりです。
メロディーはもちろんトランペットで。

その間、後ろのスクリーンにはこんな映像が流れていました。
広島の原爆ドームを訪問したバラク・オバマ前大統領が花輪を捧げる姿。

ハワイの真珠湾に永久展示されている軍艦「アリゾナ」で慰霊を行う安倍首相。
その後合同訓練を行う米軍と自衛隊、トランプ大統領と安倍首相といった具合に、
日本側が決してしないであろう(というかできない)アプローチで、日米両国の和解と赦し、
そして未来に向かっての両国の連携を誇らしげに見せてくれたのです。

「チルドレン・オブ・サンチェス」に歌詞があるとは知りませんでした。
調べたところ、同名の映画のために作曲されたそうで映画の最初のタイトル部分を見つけました。

Lupita Ferrer & Anthony Quinn - The Children of Sanchez

これを聞いて、セミデイ技術曹が弾き語っていたのは
この歌詞の最初の部分であることが判明しました。

掛け合いをしていたサックス奏者と客席に手を振るセミデイ技術曹。

隣の同行者が

「今日はこのおじさんに全て食われてしまった感があるなあ」

と言っておりましたが、つまり今年は米陸軍、全面的に彼をフィーチャーする
セミデイ作戦(オペレーション・セミデイ)発動だった
のに違いありません。

さて、第二章のラストは全部隊の合同演奏です。
まず米陸軍軍楽隊がそのままロスオリンピックのファンファーレを演奏しました。
このファンファーレを作曲したのが「スターウォーズ」「スーパーマン」
「ジョーズ」「ハリーポッター」の作曲者、ジョン・ウィリアムスであることを
皆さんは当時ご存知だったでしょうか。(わたしは知りませんでした)

John Williams - Olympic Fanfare and Theme (The Original 1984 Recording)

そうと知って聞けば、ファンファーレに続くテーマにスターウォーズ的な要素が感じられます。

ロス五輪のテーマの間に全部隊が入場し、客席二方向から
東京オリンピックのファンファーレが響き渡りました。

このファンファーレは一般公募作品から選出されたもので、アメリカにおける
ジョン・ウィリアムスのような大物の作品ではありません。

ちなみにその後日本で行われたオリンピックのファンファーレは、
札幌冬季オリンピックでは三善晃、長野冬季では湯浅譲二とそれぞれ

一流作曲家が手がけましたが、だんだん進化?の度を増してゆき、特に長野では

「普通でええんやで」

と言いたくなるくらい超前衛的なファンファーレだった記憶があります。
作曲家としては短いファンファーレに思いっきり色々盛り込んでしまうんでしょう。

東京オリンピックのファンファーレを誰が担当するのか楽しみですね。
坂本か、三枝か、久石か、千住か、それとも・・・?

 ファンファーレの後、軽やかに始まったのは古関裕而作曲「東京オリンピックマーチ」

後ろのスクリーンに74式戦車、海自の観艦式、ブルーインパルスのタキシング、
陸自の行進が流されていましたがそれが案外曲とマッチしています。

今回聴いて、曲の最後に雅楽の「越天楽」があしらわれているのに気がつきました。

終曲は各自衛隊から一人ずつ歌手が登場し、全員の歌で紡ぐ
「We Are The World 」
セミデイ技術陸曹と空自の歌手がデュエットで登場し歌が始まります。

「ウィ・アー・ザ・ワールド」はアフリカ・エイドのキャンペーンに作られた曲で、
ビッグなミュージシャンがワンフレーズずつ参加して話題になりました。
最近(といってももう7年前)にはハイチ地震エイドバージョンも作られています。

わたしたちは地球 わたしたちは神の子供たち

今日より明るい明日を作る者たち

さあ今こそ始めよう

選択肢は 自らのいのちを救うこと 

より良い明日を作ることができる あなたとわたしとで


5人の歌手のハーモニーは溶け合って
武道館に集まった多くの人々の心をより一つに、
暖かい色で染めていくかのように思われました。

さて、いよいよ音楽まつり、最終章です。

 

続く。

 


コークスクリュー〜平成29年度入間航空祭

2017-11-25 | 航空機

さて、色々と間に挟まってしまいましたが、入間航空祭のブルーインパルス演技、
何としても最終回にこぎつけたいと思います。

入間上空にはよく鳥が飛来します。
何年か前のブルーの演技がバードストライクで中止になったことがありましたが、
このときも三機編隊の飛行を目撃し、大丈夫かとちょっと心配になりました。

ちなみに、先日知ったところによると、中国空軍のある飛行基地は、
周辺にその鳥の天敵である猿を放逐して解消にこれ努めているそうです。

入間は対策してなさそうだなあ・・・。

さて、ブルーインパルスの演技、蒼空に見事にハートとそれを射抜く矢が描かれ、
会場の興奮はますます高まって来ました。

1、2、3番機で行うライン・アブレスト・ロール

アブレスト隊形で左から進入してくるフォーメーションです。
アブレスト、あるいはラインアブレストとは、2機以上の機が
横一列に並んだ編隊のことを言います。

フォーメーションというのは日本語で編隊ですが、そもそも編隊の定義とは

2機以上の機が、相互の位置関係を一定に保ったまま飛行すること

となっています。
日本語では編隊を組んで行動する航空部隊自体も「編隊」と称します。

4機以上の編隊を「フライト」といい、ブルーインパルスの隊長を
フライトリーダーと称するのはここから来ています。

ちなみに2機だけだとこれが「エレメント」となるそうです。

このラインアブレストロールや、ファンブレイクなどもそうですが、
エアショーのフライトはフォーメーションを組むとき見栄え重視で
必要以上に機体の間を狭くして密集形になります。

しかし実戦を想定したフライトではこんな飛び方は決してしません。
もし何か起こったとき、回避機動するだけのスペースが最低限必要なためで、
下手すると僚機との間が数マイル離れることも決して珍しくないそうです。

もちろん、こんな密集形で飛ぶ技量があってこその実戦なのですが。

ライン・アブレスト・ロールでは三機がまるでめざし状態、つまり
芯で連なっているように正確に隊形を維持したままバレルロールを行います。

バレルロールとは文字通り「バレル」(たる)の外側をなぞるような動きです。

続いてソロ機である5番機が行う360°&ループ
読んで字のごとく、360度水平飛行と宙返りです。

ちなみにこれは「さんびゃくろくじゅうどアンドループ」ではなく
「スリーハンドレッド・シクスディ・エンド・ループ」と読みます。

ループの後、急降下してもう一度ループ。
ターンとループは同じ位置で開始し、同じ位置で終了。
ターンもループも同じ大きさの円なので、つまり丸くリボンを描く
eをくっつけた状態)ような感じです。

続いては今ソロを行なった5番機以外の全機で行うワイド・トゥー・デルタ・ループ
ワイド、つまり広い状態からデルタの隊形に飛びながら移行していきます。

会場の後方から幅の広いデルタ隊形で進入してきて、ループを行ううちに
だんだんそのデルタを小さくしていくという素人目にも難しそうな技。

会場の正面で宙返りを行いますが、この時点でデルタは最小になっています。
収束されたスモークが彼らの航跡に美しく五線を描きます。

それに5番機が加わって、6機全部で変則デルタ隊形で進入して来ます。

デルタループは6機でデルタ隊形を保ったまま今度は横に回転する技です。

アナウンスによると、そもそもこの隊形を保ち続けること自体が
高い技術がないと行うことができないくらい難しいことみたいですね。

しかもこのデルタループでは、まるで一枚の薄い板のように陣形を崩さず、
きっちりと回転していくというマックスの難度が要求されるのです。

フォーメーションの位置を決定するのは1番機ですが、外側の僚機は
一ミリの狂いもなく難しい機動をそれぞれ駆使しながら1番機についていきます。

ここからクライマックスへと向かっていきます。

ここだけ写真を撮り損ねたのですが、スモークを出しながらた全機が、
スモークを切った瞬間、一斉に回転を行うボントンロールが行われました。

ボントンロールが終わった瞬間。
やっぱり「レディ〜ナウ!」が合図だったんでしょうか。

続いては上向き空中開花です。
会場後方からデルタ隊形で進入した5機は、会場正面で上昇を行います。

全機が上昇し真上を向いたところでいよいよ・・・

ブレイクが始まります。

5機がそれぞれの方向にスモークを描きながら飛び、空中に花を咲かせます。

この「上向き空中開花」という演技名、少し不思議に思われたことはありませんか?
花は普通上を向いて咲くものです。(一部を除く)


かつてブルー演技に「下向き空中開花」というフォーメーションが存在していました。

1982年、浜松基地で行われたエアショーで4番機がこの演技中に墜落、
パイロットが殉職すると共に周辺住民に12名もの負傷者を出す大事故が起き、
それ以来、演目から「下向き空中開花」は削除され実施されることはなくなりました。

現在、「レインフォール」が下向き空中開花の改善形として残されていますが、
明らかに「上向き」とつける必要のないこのフォーメーションを未だにこう呼ぶのは
「下向き空中開花」への鎮魂の意が込められているというのは考えすぎでしょうか。

五方向に散っていった機が遠くでターンして帰って来て、
また再び会場上空に集結し、スモークで星を描きます。

スタークロスです。

ただこれを描くだけならともかく、(それでも十分難しいと思いますが)
上向き空中開花のブレイクの後、遠方から集まって来てこれだけ正確に描けるとは。

5番機、6番機によるタッククロスです。

二機は揃って背面飛行に入り、その姿勢から旋回を開始します

ただいま旋回中。
やや機首をあげて、右か左いっぱいにエルロンを当てて横転する
マニューバ、エルロンロールを行なっています。

そんな近くで旋回したら危ないってば。

という警告の言葉に聞く耳持たず、5番機と6番機はこの後
機体が交差するように内側に切り返すクロスターンを行い、そのまま
左右に分かれて上昇していきます。

上昇が終わると同時にスモークを切り、ループを描いて下降、そして・・・

スモークオンの背面飛行で会場に帰って来て中央でクロス!

1、2、3、4番機によるローリング・コンバット・ピッチ

エシュロンという、右肩上がりの斜め隊形で進入して来た4機が、
上昇横転しながらブレイクします。

その後、4機でスモークによる半円をそれぞれが描いていきます。

1、2、3、4番機にとってはこれが最後の演目となります。
この後は解散し、着陸態勢に入っていきます。

最後のトリとなるのが、コークスクリュー
5番機と6番機のソロ機で行うブルーインパルスだけのオリジナルです。

背面飛行をする5番機の周りを6番機が螺旋を描きながら追いかけ、
まるでコークスクリューのような形を作るものなのですが・・・・。

この演目は、正面から見ていないとちょっとよくわからないことになります。

両機の機動はよくわかるのですが、「コークスクリュー」には見えないというか・・・。

もし今度コークスクリューを撮ることがあれば、飛行機を追いかけず、
スモークを含めた全体を狙うべきであるという教訓を得ました。

コークスクリューが終わった頃には1から4番機までが着陸態勢に入っています。
今滑走路の上にオンしている2番機と、帰ってくるブルーたちの整備のために
エプロンを行進してくるドルフィンキーパーズ。

ドルフィンキーパーは全自衛隊の中でももっとも派手な?
ハレを味わえるメカニック軍団であることは間違いありません。

1番機無事着陸。

続いて2番機。
この時にすぐ会場を離脱していればあれほどの混雑に巻き込まれなかったかも・・。

この日はブルーインパルスは帰投しないというアナウンスが行われました。
告知しないと、帰投シーンを見るために待ち続ける人がいるからに違いありません。

空中であんなに華やかに、激しく機動を繰り返した6機が、
しずしずといった感じで
駐機場に戻っていくのを見るのもいとおかし。

6機が全てエプロンに機首を並べ、キャノピーを開けたところを見届けて、
わたしは会場を離脱しました。

ちなみに、入間市駅付近の駐車場から出た途端激しい渋滞に巻き込まれ、
家に着いたのは夕方6時半でした。
ブルーインパルスの演技が終了したのは2時過ぎです(笑)

ちなみにこの日航空自衛隊からいただいた記念品はフリースのひざ掛けでした。
「IRUMA AIR BASE」と白で刺繍されたそれは、今現在もわたしの膝にあって
この冬のお役立ちとなってくれることと思われます。
音楽まつりの車の中の仮眠にも大変重宝いたしました。

招待券を手配くださった方、航空自衛隊の皆様、ありがとうございました。
また来年もいくぞー!(えっ)

 

入間航空祭シリーズ終わり




カラーガードと呼ばれる日〜平成29年自衛隊音楽まつり

2017-11-24 | 音楽

平成29年度音楽まつり、海自が終わり次は航空自衛隊です。

ドラムメジャーとカラーガードの出待ち?表情。

ファンファーレでまずマーチングするのはそのドラムメジャーとカラーガード隊。
ひたいの真ん中に手先を当てて上を向く、独特の敬礼があっていよいよ開始です。

カラーガードというのはマーチングバンドで視覚的効果を添えるため
フラッグ、ライフル、セイバーなどの小道具を使いマーチングを行う部隊です。

ホーンとフラッグを持つ女性隊が空自おなじみのカラーガードです。

ヘアスタイルを全く同じ長さのポニーテールにしているのですが、
髪の短い人はもしかしたらウィッグをつけて臨んでいるのでしょうか。

いずれもブルーインパルスや「空」をイメージしたブルーと白のコスチューム、
フラッグは航空機が空に描く航跡を表すデザインです。

ファンファーレに続く曲のタイトルは「翼とともに」

次の曲「インフィニティ」の始まりは一転して静かなピアノのメロディです。
そこで一人のカラーガードが現れ、ソロで優雅にフラッグをはためかせ、踊ります。

こちらが最終公演で会場上段から望遠で撮った画像です。
この後四人のカラーガードが二手に分かれて舞いますが、その時、
マーチングのフォーメーションはを描いています。

この「インフィニティ」という曲は最終公演で前に並んでいたおじさんによると
(わたしに向かって喋ってたんじゃありませんが)空自の委嘱作品で、
インフィニティとは先日お話ししたばかりのブルーインパルスの演技、
「レターエイト」の意味もあるのだそうです。

しかも既存のなんとかいう空自の曲に似ている部分(別の言い方で言っていた)
があるんだということをおじさんは力説しておられました。

わたしは「インフィニティ」がそもそもどれかもわからず聴いていたのですが、
もしこのカラーガードが皆でフラッグを振っていた箇所がそうだとすると、
パクるも何も、こういうシチュでよくある感じの曲だと正直思いました。

カラーガード隊の右側に地味に控えている人の姿が見えますね?

これは、空自のステージではもうおなじみ、全員の上を航過する
4機のブルーインパルスのスクリーンを持って走る係。
今回、準備しているのを初めて間近で確認しました。

五人のジャージを着た空自隊員が、棒を持ってかがみこんでいます。

レディー、ナウ!

人と人の間を全く同じ歩幅で棒を持って走る。
開始前の練習風景紹介ビデオでこの走る人たちも出ていましたが、
一瞬のパフォーマンスを成功させるため幾度となく練習を繰り返したのでしょう。

上階からだと、こんな風にブルーが飛んでいくのが綺麗に見えます。

最後は空自、陸海と同じく空自の公式行進曲である
「空の精鋭」でまとめました。

この曲についてはいつも冷淡なわたしですが(笑)「空」のイメージに特化した
クールでスマートな、しかし一般には無名の曲が続いたあとだけに、
ここで手堅くこの曲が出てくると、耳馴染みのあるメロディにホッとしたのも事実です。

空自はカラーガードがいろんな意味で主役になって目を奪ってしまうので、
あえて「空の精鋭」は聴衆の注意を音楽に引き戻すためにもよかったのでは、
と思いました。

ドラムメジャーは田村二朗二等空曹です。
いつも陸空海いずれも同じ人ではないかというくらい体型が似ていますが、
ドラムメジャーの身長はもしかしたら決まっているのかもしれません。

ここで本年度から採用された第302保安警務中隊の新しい制服の紹介がありました。
左から夏服、合服、冬服の三パターンです。
音楽まつりにはOD色制服の陸自中央音楽隊の共演があるせいか、純白の白で臨みました。

制服が変更されるのは実に52年ぶり、デザイン監修はコシノジュンコ氏です。

発表された時には従来の質実剛健がよかった、という声や、
さらにここでもちょっと出ていたように、詰襟のスタイルが
三島由紀夫の結成した「楯の会」を思わせるという声もあり、
写真だけでは賛否両論でしたが、実際に見ると、これがなかなかよろしい。

まず、その詰襟ですが、従来の自衛隊の制服は海自の夏服、
防衛大学校の制服を除き、全てスーツとネクタイのものになっており、
詰襟ファン(というのがいるのかどうかわかりませんが、わたしとか)
にはこの導入は大変歓迎すべきものといえましょう。

さらにどのデザインにもトリミングにあしらわれている赤は、
日の丸と同じ色であるという説明を聞いて、わたしは深く頷いたのです。

上から見ると、その正帽の鍔の紅は、説明せずとも
これが日の丸からとったものであることが一目瞭然です。

というわけで、特にこの白は季節を問わず、例えばオリンピックでも
儀式などには是非是非多用してほしいとわたしは思ったのでした。

ところで、音楽まつりが終わってすぐ、ある方への表敬訪問の機会をえて
わたくしは市ヶ谷にいくことになったのですが、例の儀仗広場を通り抜けると
そこでは迷彩服の第302保安警務中隊のみなさんが儀仗の訓練真っ最中でした。

「写真撮りたい・・・」

思わず呟いたのですが、さすがに防衛省の中でカメラを取り出すことは
理性がかろうじて押しとどめました。
もしあそこでNikon1をバッグから出していたら、たちどころに
警衛の人が飛んできて、取り押さえられていたかもしれません。

 

それにしても任務だから当然とはいえ、音楽まつりの本番直後なのに
あの華やかな姿で見たのと同じ人たちとは思えぬくらい質実な姿で
(って迷彩ですから当然ですが)小隊ごとに、隊長の叱責を受けながら
周りの視線など全くないかのような真剣さで訓練を行う彼らを見て、
これが彼らにとっての日常なのだと改めて感じ入った次第です。

そういえば、開始前のビデオで、第302保安警務中隊の隊員は、
シャツにアイロンをかけるシーン、靴を磨くシーンを紹介されていました。

各国首脳や皇室の方々の前で儀仗を行う特別な部隊ですから、
身だしなみはもちろん日頃の佇まいまで厳しく鍛えられているのです。

迷彩服の男たちが年に一度カラーガードと呼ばれる日。
音楽まつりでの姿は、厳しく地味な日常に支えられたごく一部に過ぎないのです。

陸海空のステージが終わり、全部隊による合同演奏が行われました。
後ろのスクリーンにはゴジラのシルエットが浮かび上がり、
おなじみゴジラのテーマ、続いて映画「シン・ゴジラ」では
列車爆弾が走るシーンに流れ出して思わず気分が高揚してしまった
「ヤシオリ作戦」のテーマが演奏されました。

その二曲が終わると、各部隊から一人ずつのファンファーレトランペットが
歌劇「アイーダ」の凱旋行進曲を演奏します。
ヴェルディのアイーダにはこの部分、原譜にファンファーレトランペットの指示があります。

指示は「エジプト風のトランペット」となっていて、
ファンファーレトランペットといえばあのメロディを思い浮かべるほど
有名であり、そのことからファンファーレトランペットのことを
アイーダトランペットと呼ぶこともあるくらいです。

「シン・ゴジラ」、映画ラストではヤシオリ作戦でゴジラは殲滅したのではなく、
凍結されただけで、いつか何らかの形で蘇る可能性が暗示されているのですが、
この際そういうことはなしで、まずゴジラが出没、ヤシオリ作戦で戦って、
やっつけたので凱旋行進曲、という三段跳びのストーリーで綴った合同演奏でした。


映画における歴代ゴジラと正面で戦ってきたのはいつも自衛隊です。

現に自衛隊では(消防庁や海保もそうだと思いますが)非公式ながら
ゴジラが現れた場合どうやってやっつけるかが議論されることもしばしばなのだとか。

もしゴジラが上陸したら?現役自衛官が真剣に考えてみた


詳しくは読んでいただければわかりますが、この記事で面白かったのが、
もしゴジラが上陸したら?という問いに対し、

海自「うち(海上自衛隊)がいちばん強いに決まっているではないですか?」

空自「対ゴジラ戦ではうち(空自)が1番強いです」

そして陸自のインタビュイーは、

「初段階では海自と空自、そして陸自の精鋭部隊を軸としたオペレーションだが、
もし上陸されたら陸自主体にならざるを得ない」

つまり、初動から展開まで核をエネルギーとするゴジラに対応できるのは
我が陸自化学部隊を置いてない、と言い切っています。

わたしは猛烈に感動しました→(T_T)

仮にゴジラが出現しても、陸海空自衛隊がいる限り我が日本は大丈夫。
もし戦わば、この日の演奏のように、総力戦の暁には勝利の凱旋曲が
必ずや高らかに鳴り響くに違いないと確信したからです(適当)

 

続く。


行進曲「軍艦」〜平成29年度自衛隊音楽まつり

2017-11-23 | 音楽

2017年音楽まつり、続いては陸上自衛隊中部方面音楽隊です。

指揮者のタクトに続き、鶫真衣士長がスポットライトに浮かび上がりました。
ハープの伴奏で歌うのは新世紀エヴァンゲリオンより「魂のルフラン」

この曲は最初に「シングル」(A面B面あり)発売されたというくらい
(20年前)古い曲であることを知りました。

鶫士長ですが、今彼女の名前で検索をかけるともうWikipediaがあり、
それによると、彼女は

「2014年、陸自が最初に採用した声楽要員」

となっています。

歌が終わると全員で華やかなファンファーレ。

ラストノートにかかった時、いきなり警報音が鳴り響きました。
楽器を抱えて右往左往する隊員たち。

いったい何が始まるんです?

暗い中をよく見ると、何人かの隊員が台を運び込みました。

上から見ると「MAB AND」と読めますが、これはマーチングの関係で
Bと Aの間を空けなくてはならなかったのです。

「MA BAND」は中部方面隊、ミドル・アーミーのバンドを意味します。

曲はやはりエヴァンゲリヲンから「DECISIVE BATTLE」
ディサイシブバトル、つまり「決戦」です。

エヴァでは、人類の敵として襲来する使徒を迎え撃つための準備シーンや、
ヤシマ作戦を思い出す人もいるでしょうか。
「ヤシマ」とは日本の古称である「八島の国」から取られています。

かっこいいパートで台の上に乗り、ここぞと吹きまくるトランペット。

その間、後ろのスクリーンには総火演における戦車の咆哮や
ヘリの攻撃などがこれでもかと映し出されてバトル感満点です。

画面が暗くなり静かなトーンで始まった最終曲は「残酷な天使のテーゼ」
横須賀音楽隊で中川麻梨子士長が歌ったのを思い出し、もう一度
鶫士長が登場するのかと思ったのですが、クラリネット4本の演奏でした。

以前も「進撃の巨人」に真面目に?取り組んだ記憶が新しい中部方面音楽隊、
今年の「エヴァンゲリヲン」も、マーチングバンドの本領に忠実に、
高速ステップでのマーチを堪能させてくれました。

緩急のメリハリも効いていて、派手な全員でのテーマに続くサビの部分は
クラリネットとサックスだけで演奏し、その間に全員が
カンパニーフロントの準備を行うといった具合。

そしてこれがラストサウンドの時の隊形。
音楽隊長である柴田昌宣三等陸佐のタクトが高々と天を突いて。

続いては陸上自衛隊中央音楽隊と第302保安警務中隊です。

ドラムメジャーの「前へー、進め!」という命令に続いて始まるのは
陸軍分列行進曲
ドラムメジャーの後ろには第302保安警務中隊、そして音楽隊員が続きます。

第302保安警務中隊。
「だいさんまるにほあんけいむちゅうたい」と読みます。

(”さんまるふた”じゃないんだ・・・)

陸軍分列行進曲に合わせて音楽隊の前に一列に並び、
「捧げ銃」を挟んで銃を持った場合の整列休め状態で静止。

続いてはNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」のオープニングテーマ曲

わたしは一度も観たことがないので、当然初めて聴くわけですが、
ファンファーレに始まるじつに吹奏楽向きの曲だと思いました。
原曲のピアノの早いパッセージはクラリネットが代わりにやっていたようです。

音楽隊とともに、保安警務中隊もマーチングを行います。
緩徐部分で銃を持ち替える時の「がちゃっ」という音が一つに聞こえてきた時には
なぜかわかりませんが、胸がドキドキしました。

しかしすぐにクライマックスへ。
曲がファンファーレ風のメロディとともに早くなると、それに合わせて
音楽隊の間を通り抜けるように前進して行きます。

そして一瞬ファンシードリル的なことを・・・。

第302保安警務中隊は昔方面総監直轄だった時代には名称は「保安中隊」で、
その頃にはファンシードリルも披露していたのだそうですが、改編になり、
保安警務中隊と名称が変わり防衛大臣直轄部隊の警務隊となってからは
その主任務の内容上行われなくなりました。

第304保安中隊として行ってきたファンシードリルは、平成19年、
中部方面音楽まつりの出演を最後に38年の幕を閉じたそうです。

ですから、第302保安警務中隊にとって、この音楽まつりが
ファンシードリル的要素を少しなりとも加えたマーチングをする
唯一の機会でもあるのです。

いつも複雑なマーチングを軽々と行ってくれる陸自中央音楽隊ですが、
今年の四角がひし形になったりそれがそのまま回転したりという
フォーメーションは特に高い技術に支えられていると感じました。

カンパニーフロントは第302警務隊と一緒に。
白とOD色の制服が一列になってクライマックスを迎えます。

保安警務中隊が銃を構えるのが最終形。

中央の二人だけが銃を構えていませんが、これはもしかしたら
来賓席中央に防衛大臣(あるいは防衛副大臣)ら政治家
が来ることに対する配慮でしょうか。

 

陸自中央音楽隊といつも一緒にドリルを行う第302警務保安中隊、
今回の音楽まつりは新制服のお披露目を兼ねたものとなり、
その硬質な華やかさを十分に見せてくれました。

そして海上自衛隊東京音楽隊です。

「この世界、この地球、そう、海はただ一つの海としてそこにあるのです」

という言葉に続いて演奏されたのはその名も「海」
艦隊これくしょんからの楽曲のようです。

指揮は北村善弘一等海尉
私ごとですが、昔呉音楽隊隊長時代に音楽隊練習棟を案内していただきました。

東京音楽隊おなじみのカラーガード。

自衛艦旗を中心に、音楽隊旗、女性隊旗などがバナーとともに入場して来ます。

最初に描く人文字は「SEA」。

オープニングが終わり、「出撃」に曲が変わってテンポが速くなると、
このようなフォーメーションで右から左に移動するのですが・・・・。

これは何を表しているのかお分かりの方おられますか。
ステルス艦橋の新型護衛艦・・・かなあ。

これも東京音楽隊の恒例になっているパーカッション部隊の演奏。
リズムを刻む間に、全員がフォーメーションを変化させて行きます。

隣のドラムを叩くのもいつもと同じ。
最後に全員でさっ!と上を見て敬礼するのですが、シンバルの人は
右手のシンバルだけを胸に当てる動作をしていました。

これがシンバルの敬礼か・・・・。

そしていつもの「錨」フォーメーションへと・・。

敬礼をし終わったドラム隊が再びリズムとともに錨の先の部分を完成させ、
いよいよ行進曲「軍艦」の始まりです。

スクリーンには観艦式の際の艦尾に揚げられた自衛艦旗がなびき、
ドラムのリズムに合わせてスクリーンから登場した三人の男性隊員。

なんと最初のコーラスから「軍艦」を歌で攻めようという考えです。

真ん中は音楽まつりには歌手として登場することの多いホルンの川上良司一曹ですが、
やはり管楽器奏者には歌の上手い人が多い、という定説通り、このお二人も
朗々とした声で・・というか、注意して聴いても三人のピッチが完璧に揃っていて
一人で歌っているようにしか聴こえませんでした。

そしてその間も当たり前のように回転する錨フォーメーション。

ノウハウは昔から伝わっているものをそのまま再現するとはいえ、
カーブの部分を完璧な形を保ったまま回転するのは相当難しそうです。

そして、

「仇なす國を攻めよかし」

というところまできました。
さて、次をどうするのか、とこの曲をなんども聴いてきた者としては
当然のように想像するわけですが、わたしがそうであったように

「三宅三曹が登場し次の部分を歌い出す」

と予想した人は会場におそらく何十人かがいたのではないでしょうか。

ところが違いました。

「海ゆかば 水漬く屍 山ゆかば草生す屍

大君の辺にこそ死なめ 長閑(のど)には死しなじ」
(万葉集では最後の部分は『 能杼尓波不死』

これが中間部のいわゆるトリオの部分です。

この部分を続いて三人が歌い出したときには衝撃を受けました。


軍艦行進曲のトリオ部分で「海ゆかば」という本居宣長の詠
(歌ではない)が君が代のメロディで歌われるということを知っている人は
一般社会にはいそうで実はほとんどいないとわたしは思っております。

しかし、元海軍軍人にとってはそうではないらしいのです。

海軍兵学校の元在校生と軍艦行進曲の話をしたとき、
自称リベラルで兵学校の集まりでも軍歌演習になると
歌うのを嫌がって逃げているような方が、軍艦のことを

「海行かばの部分を歌うとなぜかね、涙が出そうになる時がある」

とおっしゃったのにハッとした経験がわたしにはあります。

音楽的に見てもメロディと歌詞の不調和がどうも解せないこの部分、
しかし「海行かば」のもつ言霊が、元軍人にとっては
特別な感興を呼び起こすらしいことをその言葉から感じたからでした。

そんなことを思い出しながら川上一曹らの朗々とした歌声を聴いていると、
ブリッジの 

「ソドミッミミミ ソドミッミミミ ソドミッレドレッラッソーミ」
(移動ド)

部分で東京音楽隊、なんとカンパニーフロントを・・。
海行かばの歌のあとでそう来るか。この部分で。

理屈はわかりませんが、わたしは今回の音楽まつりを三回聴き、
その三回ともこの部分に来ると涙が溢れて来るので困りました。

しかもパブロフの犬的根源的理由でもあるのか、 アップされた
音楽まつりの動画を見ても、必ずここで鼻の奥がツーンとなるのです。

恐る恐る言わせてもらうと(もしかして少数意見なのかもしれないので)
わたしにとって今回の音楽まつりにおける東京音楽隊のステージは、
昨年の「われは海の子」と並ぶ過去最高のものでした。

続く。 



ブルーインパルス バーティカルキューピッドまで〜平成29年度 入間航空祭

2017-11-22 | 自衛隊

入間航空祭、何度かお話ししているように、この日わたしは招待席にいたため、
周りにいる人たちも招待客で、なんらかの自衛隊との繋がりがある人たちでした。

そんな中わたしの近くに座っていた時計もカフスピンも金づくめのおじさんは、
いきなりわたしに

「どこから来たんですか」

と話しかけてきましたが、それはわたしのことを知りたいからでもなんでもなく、
単に自分の自慢をするためだったと思われます。

観艦式では「くらま」に乗ったの、「はしだて」には3回乗ったの、つまり
自分がかくも大物であるということを赤の他人に聞かせたかったようです。

また、ガラケーで長々と電話をしておられましたが、飛行機の轟音の合間に
(大声なので)政党や政治家の名前が聞こえてくるものですから
なんとなく聞くともなく聞いていると、

「あの何々の党の〇〇ね、あれを代表にすればうまくいくんで」

(うーん、何々の党の〇〇なあ、献金など背後関係で地雷を抱えていそうだし、
どう考えてもうまくいくようには思えないけど・・・)

などと心の中で突っ込みながらも、もし今後本当に〇〇議員があの党の代表になったら、
このおじさんは本物の「フィクサー」だということになるなあと楽しみにしていました。

すると先日、本当に、みんなに人材不足もいいところだと驚き呆れられながらとはいえ、
その〇〇代議士が何々の党の代表になってしまいました。

この入間からの電話によってそれが決まったってことはさすがにないとは思いますが、
一応このおじさんは政界の黒幕界隈の人であったらしいことだけは判明したわけです。


ただこのおじさん、わたしとの会話の中でオスプレイ廃止派らしいことを
さりげなくアピールしていたので、(わたしは聞こえないふりをして返事せず)
黒幕は黒幕でも、「あちら側の黒幕」ではないかとは思います。

自衛隊という組織は政治的思想に与しないのが身上なので、政治家でもなんでも、
政権与党だけを招待するというようなことはせず、関係者でもお世話になったとか、

肩書き上呼ばなければ角が立つとか、相手が怒るとかいうことにならないように
こういう基地祭には各方面に満遍なく声をかけることになっています。

そういえば、入間基地で行われた納涼祭で秘書が運転する車を呼び寄せる際、
空自側の規則どおりの対応に不満を抱き、隊員に「おれをだれだと思っているのか」
と恫喝しうちわで隊員をペンペンした議員は民主党でしたっけ。


野党側のフィクサーや反政府運動をしている団体お抱えのジャーナリストなども、
ご縁があれば普通にご招待するのが自衛隊という組織であり、それは
たとえ日頃自衛隊廃止を声高に叫んで旗を振っている人でも
いざ災害となれば助けるという自衛隊の信条に通じるものがあると思っています。

 


さて、そんな話はどうでもよろしい。
ブルーインパルスの演技、続きです。

ソロがインバーテッド&コンティニアスロールに入ります。

急上昇。この後急降下です。

急降下ののち、ロールしながら右から左に会場をパスしていきます。
連続写真でご覧ください。

続いては1、2、3、4、6番機の5機で行うサンライズ

Δ(デルタ)隊形で上昇していって、背面にひっくり返るループを描きます。

ループ頂点から全機が下向きになる瞬間。

途中でスモーク・オン!

youtubeなどで、無線の通信を傍受してアップしているのを聞くと、
スモークを止めたり出したりはリーダーが合図をしているのがわかります。

スモークを出したまま急降下していき・・・・、

ここから全機が別れて熊手状のスモークに。

はいお見事でした。

今からバーティカルクライムロールをしようとしている5番機。
ぐるんぐるんロールしながら垂直に(バーティカル)クライムしていくわけです。

4機で行うチェンジ・オーバーループ


トレイル隊形で上昇してゆき・・・、

ダイヤモンド隊形のまま垂直に。この後急下降してレターエイトに移ります。

レターエイト、つまり一機だけがみんなと別方向に行ってしまい、
二手に分かれて1対3で描いた二つの円が8の字見えるから、レター8。

最終的にはスモークを出さずに1機がほかの3機に追いついて、ダイヤモンド隊形に戻ります。

3機のコースよりかなり内側をショートカットするので追いつけるんですね。

追いつく方はスモークを出さないで飛びますが、これ見ると少し漏れてます(笑)

そしてダイヤモンド隊形を取るために、先頭の機の出すスモークの「上に」オン。

スモークを潜って下に潜り込みます。
完全に先頭機のスモークを浴びながら飛んでるよねこれ。

これ、前が全く見えていない状態で飛んでいるのでは・・。

と思っていたら、おお!

いつのまにか先頭機はスモークを切り、後ろの機が代わりにスモークを出しています。
きっとこの合図も無線の交信で行われるのだと思われます。

名前のわからないフォーメーションでしたが、すげー!と思ったもの。
一機に後ろからもう一機が音もなく忍び寄ってきて・・・(そんな風に見える)

背後からほとんど重ならんばかりに近付いていき・・、

一瞬重なってから追い越していくというもの。
これこそ互いの間隔が1mくらいしかないように見えます。

しかしこれ、追い越す方より追い越される方がきっと緊張するよね。

後ろからきた5番機は「ソロ機」なので、こういう難易度の高いパートをするようです。

さて、タッククロスです。
これが始まると、写真を撮っているものは緊張マックス。

こちらから進入する機体を追いかけて連写するという去年のやり方でやってみましたが・・

微妙に失敗。

というか、わたしの座っている招待者席はエプロンの端に近いため、
ちょうど中央で行われる
クロスを横から見ることになってしまいます。

クロスといっても、実は結構両機は前後にかなりずれて飛んでいるので、
真正面から見た時だけ、ギリギリですれ違っているように見えるのです。

4機で背面飛行になるフォーシップ・インバーテッド

まず内側の1、4番機、続いて外側の2、3番機と順番に180度回転し、
全機が背面になってそのまま通過します。

次は皆のお待ちかね、バーティカルキューピッド
ハートの割れ目?から始まるその瞬間です。

これまでの演技のスモークがわずかに残っていますが、ハートを描くには絶好の気候です。
風が強いと描き終わるまでに描き始めが崩れてしまうのです。

今年はハートを射抜く矢がやってきた時も、ほぼ完璧なシェイプのまま。

近年で1番綺麗に決まったバーティカルキューピッドだったのではないでしょうか。
観客はこのハートに大喜びです。

 

続く。

 

 


平成29年度自衛隊音楽まつり〜オープニングと陸自北部方面音楽隊

2017-11-21 | 音楽

それでは平成29年度音楽まつり参加報告、あらためて最初から参ります。

音楽まつり当日の武道館です。
その周りには

だーれもいません!

って、こんな非常識な時間から並んでんじゃねーよ、
とまともな人ならきっと思うに違いありませんが、はっきりいって
この日同行したイベント友達はまともな部類ではないのです。
今回も朝10時からの招待公演に誘ったところ、

「私は朝一で並びますから」(きっぱり)

お、おう・・・。まそういうと思ったけどさ。

「じゃわたしは駐車場が開くのを待って車を入れてから並んでもいいですか」

と尋ねると、

「駐車場の開く時間にちょうど会場がオープンするかもしれませんよ?」

はいそうですね。
ちっ、その人に並んでもらってる間に車で寝ようと思ってたのに。

仕方なく当日朝民間の駐車場に入れて現地に来たら、
その人は1番をゲットして先頭で待っておられましたorz

しかし上には上がいて、まだ暗いうちから2時の公演を待っていた人たちがいたのです。
その人たちは自作の「2時公演」と言う看板を作って列を独自に整理していました。

そして、朝公演の人が増えて来たから後ろに行ってください、と言う整理係の自衛官に

「前にそうやって言うことを聞いたら間に人が入ってしまったんです。
こちらは朝暗いうちから並んでいたのに。
今年は正直者が馬鹿を見ることのないようにしてほしいんです!」

と詰め寄り、困った自衛官は上官を呼んでくるという騒ぎになっていました。
確かに暗いうちから並んでいるのに、後から来た人に割り込まれたら腹たつよね。

まあただ空自の自衛官の方々、色々とご苦労様でございました。

ここで待っていると次々と出演部隊がやって来て(ちょうど出入り口)
入って行くのですが、カメラを向けたり顔をジロジロみるのも失礼なので
わたしは目を伏せて皆の足元ばかり見ておりました。

おかげで自衛官の靴がいかにピカピカしているかがよく確認できました。

こちらは別の日の招待公演出入り口です。
この日わたしは幕長招待の赤いチケットを持っていたのですが、

「5番入場口ってどこに並べばいいんですか」

と整理係の自衛官に尋ねると、チケットを見せるように言われ、

「赤は皆ここです」

と3、4番入場の列を指してきっぱりと言い切られました。

なんだか変だなと思ったら、同行者から電話がかかって来て、
間違えて別の入り口に並ばされていたことを知りました。

この日は並んだら前から三番目でしたが、先に入った人が
最前列全部荷物で抑えて確保するという暴挙を働こうとして、自衛官に

「この席はもう(座る人が)決まっています」

と咎められ、席が足りなくなったらしく、わたしたちに
そこをどいてくれないかと頼んで来たのには呆れました。

荷物での席取りは固くお断りしますという放送が聞こえないのかな。

武道館前ではタイ王国の空軍音楽隊がファンサービスで写真撮影に応じていました。
ちゃんと日泰の国旗と音楽隊のマークをあしらったバナーを持って。

なぜか音楽隊の列の中に加わって自分の写真を撮らせている人あり。

地本ブース前ではとうちくんたち地本キャラが大人気。

同行者の執念のおかげで一、二回目とも最前列に席を取ることができたのでした。

二日連続でお見かけした不肖宮嶋茂樹氏。
しかも全公演、朝から晩までおられたようです。

もしかしたらまた自衛隊関係の写真集でも出されるのでしょうか。

最終日の招待公演で、有名人発見。
野田聖子議員はご家族で参加されてました。

上に防大校長がおられますね。

会場のビデオでは、陸自音楽隊が海外で音楽経験ゼロの現地の人たちに
2ヶ月で合奏ができるまで指導するというボランティア活動を紹介していました。

こういう機会にしか自衛隊の活動に生で触れることのない人たちにとっては
大変有益で興味深い内容だったと思います。

本番少し前になると海上自衛隊のハーピスト荒木美佳三曹が調弦を始めました。
ハープという楽器は調律も全て奏者が行うのです。

しかし絵になるなあ、楽器と東京音楽隊の制服の取り合わせ。

オープニングでは台上の小編成バンドを東京音楽隊が務めました。
スタンバイするピアニストの太田二曹。

隣に座っていた人が、今更のように彼女がピアニストとして
世界的にも評価された人材であったかを語ってくれました。

さて、会場には開始15分前から、耳を敧てないと聞こえない音量で
ラベルの「ボレロ」が流れていて、気づかない程度に徐々に大きくなっていきます。
と同時に会場角からスモークが焚かれて会場を煙らせていきます。

このスモークの効果は今ひとつよくわからなかったのですが、
始まりに向けて
会場がうっすらと煙っていくことで、
ボレロの展開とともにテンションが高まっていくとかかな?

「ボレロ」が十分大音量になった頃、合図と同時に2007年を『0』として

防衛省へ移行

という文字が出ます。
この頃には「ボレロ」はクライマックスにさしかかっています。
以下、順番に

2008 中期防衛力整備計画見直し

2009 海賊対処法施行

2010 22年度防衛大綱策定

2011 東日本大震災への対応

2012  防衛省施行5周年

2013 防衛装備移転三原則策定/25防衛大綱策定

2014 防衛整備移転三原則策定

2015 新ガイドライン策定/平和安全法制成立/省改革・防衛装備庁新設

2016  平和安全法制施行/熊本自身への対応

そして「ボレロ」のエンディング、

(うん)パラパ〜〜〜〜 パラパパラパパ!(わかってもらえます?)

と同時に、

今年は防衛省に移行して10年目です。
本年度行われる自衛隊イベントには「防衛省移行10周年」が冠にされており
雨天のため結局行われなかった航空観閲式も、

「防衛省移行10周年記念 航空観閲式」

が正式なタイトルでした。

まずオープニングセレモニー。
陸上自衛隊中央音楽隊、海上自衛隊東京音楽隊、
そして航空自衛隊航空中央音楽隊が入場します。

この三音楽隊が、防衛大臣直轄部隊です。

オープニングに演奏されるにおいてあまりにも違和感のなさすぎるというか
こんな時のためにあるような曲、

R・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」

で音楽まつりは幕を開けました。
続いてはテレビを持っていないわたしでもなぜかよく知っている

The Song of Life 鳥山雄司 世界遺産テーマ曲

あらためてツボを得たいい曲だと思いました。
特に自衛隊各隊のかっこいい映像を見ながら聴くと最高です。

オープニング指揮を務めるのは東京音楽隊隊長樋口好雄二佐。
去年、隊長に就任して最初の音楽まつりでもオープニングを指揮されました。

そして、思わずため息が出るくらい凛々しい第302保安警備中隊登場。
真新しい白の新制服で儀仗を行いました。

国旗入場に続き国歌斉唱が前奏なしで行われました。

国旗国歌の儀式の時、わたしはいつも敬意を払って写真を撮りませんが、
国歌が終了して旗を降ろす寸前、一枚だけ急いで撮影することにしました。

17日招待公演の回、挨拶は小野寺五典防衛大臣でした。

小野寺さんの四人隣に前防衛大臣の姿発見!
二列上には若宮前防衛副大臣もおられるようです。

さて、こちらの写真は別の日の招待公演で、挨拶されたのは山本防衛副大臣。
大臣の横は公明党の議員(なつおではない)、一番左はもしかして女王殿下?

山本大臣は先日防大でも観閲をされましたが、上の方には校長の姿も見えます。

第1章の最初は陸上自衛隊北部方面音楽隊です。

曲はNHK大河ファンタジー「精霊の守り人」からメインテーマ。
まあよくこんなブラス向きのかっこいい曲を探してくるものだと感心します。

精霊の守り人 メインテーマ(吹奏楽セレクション)

曲のどの部分でカンパニー・フロントを行ったかお判りでしょうか。
youtube演奏の1:21からです。

続いて奥のパネルから着物を着た歌手が登場。
彼が出てきた時には、参加した全回、周りの(特に女性)から笑いが起きました。

歌ったのは北海道の生んだ北島サブちゃんの「まつり」。
日本のまつりに躍動する男たちの肉体が織りなす意気と粋を、
一番は豊年まつり、二番は大漁まつりに絡めて歌い上げています。

で、この画像をアップしてみると、羽織とかすごい上物に見えるのよ。
歌唱力もあってちょっとプロっぽい(本物の演歌歌手が無名でも桁外れにうまいのを
わたしは知っているので、”まるでプロ”とはとても言えない)歌手ぶりですが、
開始前の各参加部隊の練習風景に写っていた迷彩服姿は、紛れもなく自衛官でした。

そして北海太鼓のソロ。

陸自の方面隊といえども毎回全部隊の音楽隊が出演できるわけではなく、
去年は本州最南端から陸自西部方面音楽隊が参加していました。

今年は北端も最北端からの北海道からです。

どうしてこんなフォーメーションの写真が撮れたかというと、
最終公演ではここに座ったからです。
初めて「ONE」を人文字で描いていたことを知りました。 

2014年にロシアのハバロフスクで行われた

「アジア太平洋諸国国際軍楽隊」

に方面隊としては史上初の参加を果たしました。

ステージ後方にはスクリーンを兼ねたパネルがあるのですが、
太鼓の響きや演歌の朗々と艶めいた歌声とともにそこに映し出される
雄大な北海道の大地の光景は、今この瞬間も陸上自衛隊北部方面隊が
北の守りの最前線に立っていることを雄弁にもの語っていました。


続く。

 

 

 


平成29年度自衛隊音楽まつり〜『ONE』

2017-11-19 | 音楽

今年も秋の一大イベント、自衛隊音楽まつりに参加してまいりました。

全てが終わった今日、わたしは渋谷のスターバックスでこれを打っています。
今日は息子があの!(っても知らない人も多いかと思いますが)

TED youth カンファレンス

に出場するので、一眼レフ疲れで発生した肩と背の痛みに鞭打って車で送ってやり、
このあと彼の出演を見に行く予定なのです。


さて、今回の音楽まつりでは、初めて写真をRAWで撮ってみました。
ご存知でない方のために説明すると、RAWで撮るとデータが「生」のまま記録されるので
データの量は多くなりますが、その代わり画像で調整が容易になるのです。

朝早くに起き、音楽まつりが終わって帰ってきて、それから初めて
ライトルームを使って
書き出しを行ったため作業は深夜に及んでしまいました。

ただ、仕上げるのにとてつもなく大変だったわりには、ブログ用にすると
元の高画質が明らかに損なわれているので、実のところ愕然としているのですが、
気を取り直して、今日はざっと概要と参ります。

トップバッターは陸上自衛隊北部方面隊の演奏です。
羽織袴姿の演歌歌手(でも自衛官)が北海道の生んだ大演歌歌手、
北島三郎の「まつり」を熱唱しました。

「音楽まつり」ってことでこの選曲でしょうか。

北海自衛太鼓は自衛隊名物自衛太鼓でいつも中心的な役割を演じますが、
この日北部方面隊のソロを飾ったのは太鼓パフォーマンスでした。

続いて陸上自衛隊中部方面隊
最近わかったのですが、空自と海自の地方音楽隊が出ないのに、なぜ陸自だけ
北部、中部方面隊音楽隊から出場できるのかという理由は、この音楽まつりがそもそも
陸自の主催という一面があるからではないでしょうか。

MA(Middle Army)BANDと書かれた台を活用しての演奏です。

以前「進撃の巨人」をテーマにしたことがある中部音楽隊、
今年は「エヴァンゲリヲン」できました。

陸上自衛隊東部方面音楽隊「陸軍分列行進曲」で入場するという鉄壁のパターン。
いつもそうであるように第302保安警務中隊との共演です。

そして海上自衛隊東京音楽隊
カラーガードの女性隊、錨が回転するフォーメーション、
といういつものパフォーマンスでしたが、今年はいい意味で
予想を裏切られました。

去年の「われは海の子」にも涙したわたしですが、今年も実は
感動のあまり胸が熱くなったことを告白します。

その理由はこの三人の男性歌手の歌唱によるものでした。

曲は海自らしく「艦隊これくしょん」より「海」、そして
いつもの「軍艦行進曲」です。 

カラーガードとバトントワラー、いつも華やかなパフォーマンスの
航空自衛隊中央音楽隊。 

光の量が足りないステージの撮影はよく言われるように大変難しく、
特にこの空自の旗振りお嬢さんたちのパフォーマンスを
ブレずに撮ることはわたしの悲願だったのですが、 今年はなんとかなりました。 

ISO感度を上げると画像が荒れてしまっていましたが、
それほどダメージもなくここまで動きを止めることができたのです。

やっぱり一眼レフは伊達ではありません。 

翼とともに」「インフィニティ」「大空への挑戦」「空の精鋭」

空自のモットーを並べたかのようなこの日の演奏曲です。
「インフィニティ」は空自の委嘱作品で、ブルーインパルスの描く「8」を
意味している、と最終公演で前にいたおじさんが話していました。

この日は新しくなった第302保安警務中隊の制服紹介がありました。 

夏、冬、そして合服は旧海軍方式で夏冬の混合方式です。 

陸海空自衛隊音楽隊の合同演奏曲目は「ゴジラ」シリーズ。

ゴジラが現れて ヤシオリ作戦でやっつけ、凱旋するまでを表現です。

改めて伊福部先生は偉大だと思いました。

ちなみに前のファンファーレトランペット軍団は、アイーダの
「凱旋行進曲」で活躍です。

第二章は外国招待バンドによる演奏が行われました。
トップは米海兵隊第3海兵機動展開部隊音楽隊

曲は音楽まつりの「常連曲」でもあるホルストの「惑星」より火星
そして映画「スーパーマン」のテーマ。 

親日国タイ王国から、今回はタイ空軍音楽隊が参加しました。

歌手が日本語で「翼をください」を歌い、聴衆は大喜び。

このタイボクシングの型を披露した女性たちも軍人なんでしょうか。

散々「マケイン」呼ばわりしたトランペット奏者のギター弾き語りで
幕を開けたのはおなじみ米国陸軍軍楽隊

曲はチャック・マンジョーネの「チルドレン・オブ・サンチェス」
当然ながらトランペットが大活躍です。

今回はこのセミデイさん(名札に書いてあった)が大活躍。
彼の階級についても面白いことがわかりました。 

第二部の終わりにはいつも全員での合同演奏が行われます。
東京オリンピックのファンファーレが三階席から演奏され・・・、

全出演部隊によるロス五輪のテーマ、そして東京オリンピックマーチ

楽しさ最高潮。
全部隊の歌手が皆で歌い上げる

「We Are The World」

海兵隊からは生真面目そうな青年が参加です。
あっ、三宅さんと腕を組んでるー。 

ここでもセミデイが圧倒的なうまさと卓越したパフォーマンスを発揮。

自衛隊音楽まつりの名物となった自衛太鼓、今年は
そのテーマも「一致団結」です。 

いつ聴いても、何回聴いても、その音の力には圧倒されます。

写真撮影のことを言うと、いつもはバチの動きを止めるのも大変なのに、
今年は難なくこんな写真が撮れました。

自衛太鼓とともに人気の防衛大学校儀仗隊のファンシードリル。

今回も当たり前のようにノーミスで終わった儀仗隊でした。
J( 'ー`)し たかし、頑張ったわね(去年のネタ)

フィナーレは全出演部隊が一堂に会して盛り上がります。
いかにも最後らしい楽しげな入場は陸自中央音楽隊。 

先に日本側が入場し、後から来た外国バンドとはハイファイブで挨拶。

全部隊で演奏したのは中島みゆきの「糸」でした。

陸海空の三人の歌姫たちが歌い上げます。

演奏部隊の周りでは自衛太鼓出演者、防大儀仗隊が合唱を行います。

国旗が退場し、第302保安警務中隊が最初に退場。
あとは皆が手を振りつつ会場から去っていきました。 

最後の歌は三人の歌姫による「世界に一つだけの花」
手話で静かに「歌唱」を終え、音楽まつりは終焉します。


以上が概要ですが、各ステージについては続いて詳しく
お話しさせていただきたいと思います。

続く。 

 


ブルーインパルス ウォークダウンからチェンジオーバーターンまで〜2017年度入間航空祭

2017-11-18 | 自衛隊

というわけで入間航空祭、あっという間に午前のプログラムが終わりました。
招待客は例年格納庫に設置された会場で催される祝賀会に出席することができます。

わたしは

「招待者の方々は祝賀会場にお越しください」

というアナウンスを律儀に待っていたのですが、いつまでたってもお知らせがないので、
会場に入っていきました。

招待客だけが中で飲食できる祝賀会場は、ハンガーの扉をひとところだけ開けて、
招待客の印であるリボンをつけているかどうか自衛官が確認する仕組みです。

会場に入ると、そこはもう人でいっぱい。

前にも言ったように、わたしは空自協力企業のCEOの代理として参加しているので、
この日の祝賀会における割り当てのテーブルは限りなく前方に近い上席です。
もう挨拶が始まろうとしているところを、人を縫って前へ前へとじわじわ移動していき、
同じリボンの色の人たちがいるゾーンに着いた途端、乾杯となりました。

しかも会場ではうっかりしていて、外で撮った時のカメラの設定を変えずに
そのまま写してしまい全ての写真がまっくろくろすけに・・・・。

というわけで祝賀会の様子の写真は今回なしです

まあ、祝賀会の料理は去年と寸分変わらぬ同じ内容でしたし、
乾杯の後、テーブルに体をくっつけて他の人を寄せ付けまいとするように
立ちはだかり、黙々と無表情でお膳に向かうように食事を続けている人がいたのも
去年と全く同じでした。(去年とはさすがに違う人でしたが)

わたしは招待者しか入れない一角とはいえ、一眼レフを席に置いていたので、
手っ取り早く空腹を(朝から何も食べていなかった)満たし、アウェイの空自で
唯一の顔見知り?だった宇都隆史先生(こちらは空自がホームグラウンド)
にご挨拶して、
早々に会場を後にしました。


ところで、例年入間航空祭の祝賀会は3〜4000円会費を徴収していましたが、
今年はどういうわけか無料となっていました。

そう、早く席に戻りたかった理由はこれです。

のんびりしているととこういうのを見逃してしまうんですよね。
ブルーインパルスの駐機してあるのは観覧席のはるかかなた、エプロンの向こう端ですが、
今年はD810に望遠レンズという力強い味方がわたしにはいるのだった。

肉眼では細部は見えなかったのですが、何か始まっている雰囲気を察して
とりあえず望遠で写真を撮ってみると、各機の前に点検整備員の
「ドルフィンキーパー」たちが整列し、さらに!

ブルーのパイロットが向こうからウォークダウンしてくる様子がばっちり写っておりました。

1番機の後席にはもうすでに一人が座っています。
そしてウォークダウンで歩いてくる四人のパイロット。
2番機の前でパイロットの一人が服装点検?みたいな動作をもう一人にしています。

3番機のドルフィンキーパーの一人、女性じゃないですか?

こんな詳細に写っていると知っていれば、ウォークダウンが終わるまで撮ったのですが、
D810は撮った画像をファインダーで確認する機能がないので、(ないですよね?)
二枚写しただけで、この後の写真はいきなり全機がタキシングを始めているところです((T_T)

ドルフィンキーパーの皆さんはひとところに固まってタキシングをお見送り。

タキシングが始まってしまえばすでに我々の手からブルーは離れた、
とばかりに整列してどこかに行ってしまうドルフィンキーパーの皆さん。

どこかで待機していて演技が終わったらまた戻って来ます。

地上で今一度スモークの点検を行なっているところ。

本日は1機ずつのテイクオフです。

よせばいいのに流し撮りをしようとして失敗した写真。

初心者は余計なことをせずに大人しくシャッタースピードあげて撮ればいいんだよ!

とどこからともなく叱責する声(誰のだよ)が聞こえてきそうです。

いきなり飛来してエプロンのCー1の前に着陸し、皆の注目を集めていた黒い飛翔体。
これが本当のブラックバードだ。

テイクオフした4機が密集形で会場上空に進入してきました。

ダイアモンドフォーメーションで右前方からやってきて後方にパス。
去年は4機でのフィンガーフォーフィンガーチップとも。
並びが右手の指をまっすぐ伸ばした状態の爪先の部分に似ている事から。
左手の中指が1番機、人差し指が2番機、薬指が3番機、小指が4番機に当たる)
で離陸したものですが、今年は1機ずつです。

ご覧のようにまだ脚を出したままの演技です。
よく見ると着陸灯も点灯していますね。

5番機と6番機が後から離陸を行い、5番機はハーフループを行います。

ループの頂点に達したら、ロールを行いながら降下。

5番機は「リードソロ」、6番機を「オポージングソロ」と言います。

5番機はその後水平飛行に移ります。

ロールを行いますので分解写真でどうぞ。

続いてはファンブレイク
機体と機体の間は1mくらいしかない、と言われていますが・・・、

これをみるとさすがに1mってことはないと思う。(1mって機体の幅くらい)

ブルーインパルスのことを「戦技班」と言いますが、ブルーの動きは
基本戦闘機として戦闘に必要なマニューバを基本としています。

例えば先ほどのフィンガーチップも、目視での周囲警戒に適するため実戦的であり、
特にレーダーの性能が不足した時代の戦闘機編隊に多く見られた陣形であるように。

次に5番機が左手からスローロールでパスします。

ゆっくり低い高度で通り過ぎながら回転、というのは難しいマニューバだと聞いたことがあります。

三半規管がよっぽど丈夫でないと、今自分がどれくらい回転したかわかんないんじゃないかと思ったり。

続いて1、2、3、4、6番機がトレイル隊形で進入してきました。

 

おお、下から2番目の4番機が1番早く翼を左に傾けて・・・?

これはトレイルから隊形をチェンジするための動きです。
マニューバの名前は「チェンジ・オーバーターン」

はい、綺麗なデルタ隊形になりました。
この時にはデルタの形は大きく、一辺が110mあるそうです。

そのまま全機でぐる〜〜〜〜〜〜〜っと旋回。

会場の向こう側をデルタ隊形のまま五線を描いて通過して行ったと思うと・・・

上昇。
デルタの形は徐々に小さくなっています。

旋回中に各機の感覚をだんだん詰めてデルタを小さくしていくのが
このフォーメーションの特徴であり見どころなのです。

見よこの最終的な密集形を。


ところで、過去の自分のブルーインパルスの写真を見ると、画質において
一眼レフとの差は歴然としてるのに愕然としました。
機体のブレのなさもさることながら、何と言ってもスモークの質感が繊細です。

いやー、重くてイベントに参加するのがさらに大変になったけど、
それもこんな写真が撮れるのなら報われているって気がします。

一眼レフを買うと人生が変わると聞いたことがあって、そりゃ大げさでしょう、
と思っていたのですが、少なくとも楽しみの点ではその通りだと思っています。

続く。

 

 

 

 


陸自第一空挺団降下〜平成29年 入間航空祭

2017-11-17 | 自衛隊

 

イベントがたくさんあって行きつ戻りつしますがご容赦ください。
11月3日に入間で行われた空自の航空祭の続きです。

本来なら救難ヘリでの展示が行われていたはずの午前中のプログラムは、
事故を受けて中止され、次はC−1の飛行と空挺降下です。

朝一でC-1に乗り込んでいく空挺隊員の雄姿をもう一度。
空自のC-1は物資輸送の他には第一空挺団の戦術訓練・支援が主任務なのです。

第一空挺団の皆さんは、早い時間に乗り込んでずっと待たされていたことになりますが、
おそらくその間落下傘のチェックを入念に行うのでしょう。

テールの観音開きのハッチを開けたままメカニックが集合。
ここは貨物扉なんだそうですが、航空祭で貨物を積み込むことはしていなかったはず。
おそらく、観客に貨物扉の開き方を見せていたのではないかと思われます。

彼の指差す先には何が。

 

搭乗前のクルーとメカニックのひととき。
あくびをしているところを写してしまってすみません。

こういういつも通りの様子を見ることができるのが入間航空祭の楽しみです。

搭乗前、おそらく全機のクルーとメカニックが集合を始めました。
今更ブリーフィングでもないだろうし・・・。

記念写真撮影でした(笑)

最初のプログラム、チヌークの水撒きが始まっています。

そして前の展示が行われている間にもタキシングが始まりました。
C-1全機が編隊を組んで帰って来るためには、遠く海上にまで出ないといけないのかも。

次々と C-1が離陸していく様子はそれだけで大迫力です。

輸送機ながら駆動性が機敏なのが自慢のC-1。
荷物の輸送と空挺団の支援が主任務です。

基本人員を運ぶことを想定していないので(第一空挺団は人ではないのか?)
乗客としての乗り心地は騒音的にも振動的にも全く配慮がされておらず、
たまに基地間を高級将官を乗せて飛ぶこともあるようですが、
よっぽどの場合(それしかなかったとか)に限られるのではないでしょうか。

前にも書きましたが、 C-1計画時、航続距離の長い輸送機導入は

覇権主義の復活だ

と国会で野党が大騒ぎしたため、政府がこれをかわす目的で
C-1の航続距離を
極端に短くしたということがありました。

結局C-1は沖縄や硫黄島にも増槽なしでは行けないということがわかり、
それを補うためにCH-130Hを購入するなどという無駄なことをしていたのです。

しかし、航続距離の長さ=覇権主義という考え方って、そのまんま
その時の野党=社会党の残党がオスプレイに反対しているのと同じ理屈ですね。


あ、そういえば今年はCH-130Hハーキュリーさんの展示もなかったぞ。
なんか今年は全体的にスカスカした感じだと思ったら、随分展示自粛していたようです。

さて、アナウンスがあり、6機編隊のC-1が入間上空に進入してきました。

これだけ大きな輸送機が編隊飛行をすること自体、珍しいことのような気がします。
もちろん入間航空祭以外では見たことがありません。

傘型の編隊飛行なので、後ろから見るとこうなります。

続いてはいつもC-1と展示を行うことになっている YS-11。
中型輸送機にカテゴライズされるので一緒に紹介するんでしょうか。

2機のC-2とYS-11が一緒に飛ぶ、アナウンスによると
『難易度の高い編隊飛行』は
今年はなぜか行われませんでした。

昔は海自もこの輸送機としてYS-11を運用していたそうですが、今では全て退役、
空自のYS-11も一機また一機と退役していって、今ではこの機体が見られるのは
ここ入間基地だけだそうです。

尾翼付け根のところと前部の前脚にライトが点灯しています。

先ほど編隊飛行をしていたC-1が戻ってきました。

先ほどから1機減って、5機編隊で入間基地上空をパスします。

航空自衛隊は今後輸送機をC-2に順次置き換えていく予定です。

リンク先を見ていただければわかりますが、明らかにシェイプは
このC-1をベースにしているものの、薄いブルーのスマートな印象の機体は
まるでC-1の綺麗な娘さん、
といった風情(ただし父より大柄)です。

C-2の航続距離はC-1の、なんと4倍になりました。
札幌の丘珠空港から那覇まで行けちゃう感じですか。
装備が近代化されているのはもちろん、搭載重量もC-1の3倍と飛躍的に多くなります。

C-2は平成28年度に開発完了し、その後は美保基地に配備されるのを始めとして、
今後、2個飛行隊に配備される予定ということですが、入間には来るのでしょうか。

このC-1のシェイプに親しみを覚えるものの一人として、 C-2が先代の面影を
色濃く受け継いでいるのは嬉しい限りです。


さて、編隊飛行に加わらなかった一機が単機飛来しました。
ドアが開き、いわゆる「お試し降下員」が降下します。

上空の状況が落下傘降下をしても支障がないかとりあえず飛ぶ係なのですが、
それにしてもこれって、

「もし何かあってこの人がピーーーーも最悪一人だから」

「少なくもピーーーは一人ですむ」

という考えのもとに行われてるわけですよね・・。
まあそれだけ熟練の隊員が飛ぶんでしょうけど。

そのピーーーの可能性を試される一人が今飛び降りました。
一人で乗って一人で飛び降りる孤独で危険な任務。

メンタル的にも強靭で、フリーフォールの資格も持っているような
ベテランが務める役だとみた。

時速300キロの速度で飛ぶ飛行機から飛び降りる気分や如何に。

飛行機のドアからテープのようなものがなびいていますが、これは
彼が飛び降りる時に機体の飛び降り口上部のバーにカラビナをかけ、
飛び降りることによって体重に引っ張られて自動的に傘が開いたあと、
機体に残ったテープです。


この方式は「空の神兵」の昔から変わっていません。

ここでもお話ししたことのあるアニメ「海の神兵」(海軍落下傘部隊)
でも、環をかけている様子が描写されていました。

瞬間には、人の重みで傘は一瞬縦に開きますが・・・、

この日は上空に風があったらしく、真横に傘が引っ張られました。

人体も傘に引っ張られて地面と平行に飛んでいきます。

お試し降下員は無事に降りてきましたが、風で随分向こうの方に流されてしまいました。

フリーフォールの降下に使われる傘とは違い、こちらの696MI・通称12式落下傘は
自分が降りたいところにピンポイントで降りるということができないのです。

確かこの後、単機で結構いちびって飛んでいったと記憶します。
人が乗っていないのでやりたい放題、って感じ。
体がごついくせに不気味なくらい身が軽いんですよねこいつら。

朝方黙々と列を作って飛行機に乗り込んでいった空挺団のみなさんが、
なんと一気に大空にばら撒かれるという事態になりました。

「降下降下降下!」

というおなじみの号令が聞こえたら、等間隔に人が連なって降りてきます。

一人でもためらったり、どこかに引っかかったりすれば、
あの、絵に描いたような傘が一列に並ぶ降下は成功したことになりません。

飛び降りることそのものより、自分のタイミングを外して、あとで正座させられ、
全員が連帯責任で叱られる方が彼らにとって恐ろしいのではないでしょうか。

想像ですけど。

写真を拡大してみて、向こう側からも降りていることに気づきました。

向こうとこちらで飛び降りるタイミングは同時のようです。
あの一列に並ぶ傘は、計算しつくされたタイミングの賜物なんですね。

飛び降りた次の瞬間、皆同じように傘に引っ張られ横向き状態。

空挺降下はC-1を使用する場合陸空の共同訓練となりますが、
固定翼機で訓練を行う場合、習志野から入間に移動するのは大変なので、
海上自衛隊の下総基地を借りて行うという話をどこかで読みました。

これが本当の三自衛隊共同訓練です。

脚は閉じて飛ぶことになっているようですが、態勢によっては開いてしまう模様。

そうやって飛行機が一航過したあとはこの通り。
上空で傘がほとんど一列にきれいに並んで降りてきます。
この日は雲がほとんどなかったので、目をみはるほどの美しさでした。

しかし不思議なことに、高度が下がるとこんなに降りてくる速さに違いができてきます。
やっぱりあれ?体重の重い人は早いとか?

でも、最初の写真を見ていただくと、皆ほとんど同じ体型なんですが・・。

ピンポイントでは降りられませんが、とりあえず柵の向こうに落ちないように
調整するくらいはできるようです。

まあ、習志野ではたまーに隣のグラウンドに降りちゃったりするんですけどね。

傘が重なった瞬間を狙ってみました。

地面に降りる頃の傘の速度は時速20mくらいにはなっているそうなので、
彼らは着地の際地面に転がって衝撃を緩和します。

滑走路やエプロンでなく、草地に降りているのも衝撃緩和のためでしょう。
鍛えている彼らもさすがにコンクリートの上に落ちるのは怖いのではないでしょうか。

着地したらすぐさまパラシュートの索を引いて傘を纏めていますが、
本来の彼らの任務はここから戦闘を行うことです。

降ろすものをおろして身軽になったC-1がまたもや不気味な身軽さで
変態飛行を行って皆に愛嬌を?振りまいていました。

 

続く。


平成29年度防衛大学校開校記念祭〜「アウフヘーベン≒昇華?」

2017-11-15 | 自衛隊

平成29年度の防大開校記念祭の様子をお話ししています。
観閲行進で第四大隊までの入場が完了し終わりました。

続いて防衛大学校旗が入場してきます。

この写真では自衛隊の旗に対する敬礼、

指揮刀を持っている者・・刀を下げ持って敬礼

旗を持っている者・・・・旗竿を地面と平行に、旗の敬礼

銃を持っている者・・・・銃口を持ち銃床をついて頭中(敬礼対象に顔を向ける

が全て見ることができます。

士官の「抜刀礼」は、帝国陸軍で行われていた形がそのまま継承されています。

刀を振り上げているのはただいまから来賓が入場してくるので
それを迎えるために取る動作です。

指揮刀を体に沿わせて号令一下。

刀の柄を両手で持ち、刀を斜めに捧げ持って「整列休め」の姿勢。
その他の者は両手を後ろに組んで脚を開き立ちます。

その時、観閲台の後ろで待機していた陸海空の自衛官たちが駆け足!
来賓をお迎えするたびにこれを繰り返していました。

本日の主賓、防衛副大臣の山本朋広氏、防大校長、防大同窓会長などが壇上に上がります。

そして主賓に向かって学生部隊は敬礼、ないし「頭中」。

佩刀していない学生は「捧げ銃」を行なっています。
捧げ銃とは「銃の敬礼」で、武装していない時に行う敬礼の代わりに、
左手で銃の中央部を持ちながら上に引き上げて体の中央で構え、
右手で銃の下部を持つやり方です。

この姿勢に至る前に顔の中央に刀を立て、その状態から下に払います。
個人的には旧陸軍の儀礼でわたしがもっとも美しいと感じる形です。

「国旗が入場いたしますのでご来場の皆様はご起立ください」

とアナウンスがありました。
わたしの周りの人は全員が(足腰のおぼつかないおばあちゃまも)
立ち上がり国旗に敬意を評しましたが、向こうに座っている人たちは座ったままの人が多いようです。

この写真を見て、銃床は地面に着くのではなく宙に浮かせていたことに気がつきました。
これって結構重そうだし姿勢を保つのも大変なのでは・・・・。

「こちらにどうぞ!」

を絵に描いたようなポーズで、巡閲者たる副大臣を車に案内する指揮官。
この姿勢の美しさには惚れ惚れしますね。

ちょっと余談です。

幹部学校の卒業式、防衛大学校の巡閲には防衛副大臣や政務官が
いずれも防衛大臣の代理ということで出席するのですが、今、
歴代防衛副大臣の名前を見ていて、民主政権時代にはこの職に
安住淳と小川勝也議員が就任していたことを知りました。

このどちらかに観閲や卒業式の立会いをされた自衛官も存在するんですね。
敢えてお気の毒とか残念でしたとかは言いませんが。

ちなみに「巡閲の譜」の流れる中、近くの中年男性は
自衛隊とその儀式についてまっっっっったくご存知ないらしく、

「これ何してるの」

と奥さんに聞いたりして(もちろん奥さんも知らない)いたので、

「昔でいう『閲兵』ですよ。隊を点検してるんです」

と囁くと、

「えっぺい・・・点検・・・?」

と驚いたようにまた奥さんに言っていたのがおかしかったです。
このご夫婦の席は、防大の生徒がシートを敷いて確保していたもので、
子供が防大生なのに何も知らない親御さんってのもいるんだなあ、
とむしろこちらが驚きました。

副大臣の祝辞、國分校長の訓話などが終わって学生隊は全員が退場します。
この訓話で國分校長は、

「小池百合子都知事の『アウフヘーベン』が流行語大賞の候補になっている。
アウフヘーベンというのはヘーゲルの弁証法の概念で、止揚と日本語に訳されているが、
その意味(Aがあってそれに相対するBがあり、それらを統合して高い段階で生かす、
という説明あり)を考えると「止揚」より、今年の開校祭のテーマ

『昇華』

の方が本来のアウフヘーベンの意味としてふさわしいのではないか」

てなことをおっしゃいました。
はっきり言って、防大の訓話に相応しい話題とは思えませんでしたが、
わたしにとっては今まで聞いた校長の訓示の中で一番面白い意見でした(笑)

AとBというのは「テーゼとアンチテーゼ」のことをわかりやすくおっしゃったのでしょう。
ちなみに「両者を統合し新たに高い次元で行われる問題解決」を

「ジンテーゼ」

と称します。

いや、確かに一見そうかなと思わせる内容ですが、わたしはあえて

「それは違うだろーっ!」

と同じ流行語大賞候補で反論させていただきたいと思います。
これが本当のアンチテーゼってやつですか。

「Auf」「 heben」というドイツ語には「上」「持ち上げる」という意味しかなく、
Aufhebenそのものの意味は「廃止」「キャンセル」でしかありません。

ヘーゲルが「アウフヘーベン」という一般語に哲学的定義を施した通りにいうと、
「止めて」「揚げる」と「昇って」「花(華)」を咲かせる、

止揚と昇華とは全く違う行為じゃないかってことなのです。

止揚は「破棄した上で別の要素を含め高い次元の結論を得ようとする」行為。
昇華は「そのものの中から純度の高いものを抽出させる」行為。

ね?違くない?
最終的に得られる結果が同じでも、今は過程を定義しているのですから。

校長の言いたかったことはなんとなくわからんでもないし、
何より学者である校長の口から「ヘーゲルの弁証法」とか言われると、
下々の者は「はえ〜」と思って納得してしまうじゃないですか。

しかしそもそも、校長、政治学者だけど哲学は素人でいらっしゃいますよね?

その素人が、雰囲気で適当なことをこんな公の場で言わんでいただきたい、
とわたしはここでだけ厳しく(ご本人は読まないから)いっておきます。

銃を右手に持ったまま退場していく人あり。
何をしているのかわからなかったので、とりあえず顔をマスクしました。

自衛官が持っているのは防衛副大臣旗です。

退場が終わると、祝賀飛行が行われました。
上空を飛来する航空機の指揮官には防大出身者が選ばれ、名前がコールされます。

まず陸上自衛隊のAH-1コブラが3機。

同じく陸自の輸送へりCH47Jチヌークは1機です。

海自のSH60Jが3機も。

ヘリなのでとりあえずシャッタースピードを落として写しました。
今回の写真はほとんどがD810で撮ったものです。

次は哨戒機P-3Cかな、と思ったら、なんとP−1でした。
祝賀飛行でP-1を見るのは観艦式以来です。

全体的にツルツルした質感の機体で、薄いブルーがかかっており、
綺麗な飛行機だなと思いました。

運用開始になって4年目で、現在は14機が稼働しています。
Pー3Cは順次これに置き換えていく予定で、生産予定数は70機。

Pー1は国産ですが、これには

「たった70機のためにゼロから開発するのか」

と随分開発反対派から(石破とか石破とか石破とか)
文句が出たとか・・。
こんなものでなく、Pー3Cを延命させて使う方がずっといい、という意見もあるようです。

航空自衛隊からはつい最近見たばかりのCー1が・・・。 

戦闘機はFー15が三機、編隊飛行にて通過。

今まで一度もちゃんと撮れたことのないFー15(難しいんですよね)
を撮るのを楽しみにしていただけに観閲式が中止になったのは残念でしたが、
防大でお目にかかれるとは思っていませんでした。

防大屋上の洗濯物干し場?上空を通過していくFー15。

今度は改めて主賓席に対して行われる「観閲行進」です。
ブラスバンドがまず観閲台の前を通り過ぎます。

防大では校友会活動として運動部に入ることが必須で、文化部をやりたいものは
運動部を決めた上で両立させないといけないという決まりがあるそうですが、

ブラバンだけは掛け持ちを免除されているとか。

そういえばブラバンという部活は、全国どこでも「体育会扱い」です。
これを「日本のブラバンの発祥は軍楽隊だから」とわたしは定義づけています。

ドラムメジャーは長身の男性が務めると決まっている模様。

観閲式の様子を脚立の上に立って撮っていた学生。

観閲行進は先ほどより小規模で行われます。

再び国旗入場。

「国旗が前に来た時にはご起立ください」

というアナウンスがありましたが、みんな立ったり立たなかったり。
立った人には後ろから「立つな!」という怒号が飛んで殺伐とした雰囲気でした。

こういうのって・・・日本国民としてどうなの?

観閲台に向かって敬礼しながら通過するだけなので、先ほどより短時間で済みました。

近くからは息子が参加しているらしい人たちの

「どこ?」

「あそこ。5列目の右から5番目」

などという会話が聞こえて来ました。

しかし、自分の娘息子がこんなにきりりとした表情で行進していたら、
親としては感無量なんだろうなあと、わたしとしては少し羨ましく思いました。

 

続く。

 


平成29年度防衛大学校 開校記念祭〜観閲行進

2017-11-14 | 自衛隊

久しぶりに防大の開校記念祭に行ってきました。

最近招待イベントが多く、前日まで迷うところではあったのですが、
棒倒しを新しいカメラで撮ってみたいという欲求には勝てず、
当日の朝起きられたら行こう、とゆるく決めていたところ、第一目覚まし
(曲:坂本龍一 Mizuno nakano bagatelle )と第二目覚まし
(曲:ヴィターリのシャコンヌ ハイフェッツ演奏)の間に目を覚ましてしまい、
(ちなみに第三目覚ましの曲はエリオット・ヤミンの"Wait for you")
粛々と用意をして暗いうちに家を出ました。

 

記念開校祭の開場は9時。
しかも本日行われる観閲行進、招待者以外は
グラウンド周囲の芝生に座り、ピクニック気分で見るものなので、
少し早めにいけば座る場所はいくらでもあるのですが、問題は車。

以前防大周辺駅近に車を停めようとしたらパーキングが軒並み満車で、
タクシー乗り場から離れたところに停めざるを得なかったからです。

車を無事狙っていた駐車場に停め、タクシーで校門前に到着すると、
一かたまりの人が待っていましたが、すぐに開門になり、

簡単な手荷物検査の後入場できました。

なぜかこんな状況でも一目散に走り出す人がいて、ちょっと驚きました。

何も走らなくとも、この時間なら好きな席を取り放題なんですが。
わたしは観閲台の後方、芝生のスロープに場所を決めました。

その後、ちょっと構内を見学かたがた朝ごはんを食べに出ました。

プールは50mの大変立派なものがあります。
つい最近読んだ「あおざくら」でカナヅチの近藤生徒が

岡上さんに水泳の特訓されたエピソードを思い出してしまいました。

第一から第四までの舎前の通りもまだ人はまばらです。
制帽をかぶったアメリカ海軍の軍人さん発見。

物販も始まっているらしく、朝の9時から綿菓子を食べる少女あり。

防大のシンボル、給水塔兼時計台。
時計の針は9時1分前を指しています。 

神奈川地本渾身の自衛官勧誘ブース。
特に海自をプッシュしているようです。

グラウンドの南側通路は、国際色豊かな留学生のお店が並びます。

この時間はまだ一生懸命仕込み中。

ところで、防大女子のスカートの制服姿を初めて見たのですが、
詰襟にスカート、男子と同じ帽子・・。

ちょっとバランス的にどうなのという気がしないでもありません。
ただ、スカートの時にはパンプスを履けるようですね。 

学生の手によるものとはいえ、本場の味が楽しめるので、
これを楽しみに来場する人も多いのではないでしょうか。

「すみません ちょっと待ってください」

「できますよ。。。」

という看板の文句がいかにも外国の人で微笑ましい。
ココナッツ春巻きの「ダダルグルーン」。
鶏肉春巻き「リソーレス」、牛肉「ソーシスソーロ」。

インドネシア留学生の屋台は聞いたことのない食べ物ばかり。 

フィリピン屋台は飾り付けがものすごく凝ってます。

イートインスペースには写真でフィリピンを紹介するコーナー。
ああ、「パラワン島」ってフィリピンだったんだ・・。 

仲良しの日本人の防大生にお店の解説している留学生。 

「ようこそ ベトナムへ!」

確かに間違ってはいないんだけど・・的な、簾に書いた文言。
ベトナム料理大好きなわたしとしては、期待したいところです。 

まだ開店直後なので、彼らも一生懸命客引き中。
じきに大量のお客さんが詰めかけて長蛇の列ができる運命です。 

ベトナム料理といえばフォー。
わたしはこの300円のフォーを朝ごはんに食べることにしました。

メニューの端っこにさりげなく書かれた

※写真はイメージです

というのにふふってなりました。

確かに「写真はイメージ」であり実物とはかなり違います。

でも、このフォー、薄味でなかなかいけました。
近くで食べていた防大生女子が、知り合いらしい留学生に

「おいしい!これ本当に美味しいよ」

と声をかけ、留学生が嬉しそうにしている光景もあり。

右側はカンボジア留学生屋台で購入したかぼちゃのデザートです。
やっぱりかぼちゃの語源、

カンボジア→かんぼちあ→かぼちゃ\(^o^)/

だけのことはあって、かぼちゃを丸々使った贅沢なデザート。

数量限定なのですぐ無くなってしまうから、ぜひどうぞ、
というような感じのことを言いつつ一生懸命セールスしていたので、
彼の熱心さに免じて買ってあげました。

しかもなんとなく「これなんですか」と聞いただけなのに、

「かぼちゃをくり抜き、中に卵と砂糖を混ぜて〜」

と丁寧に作り方まで教えてくれた留学生くんありがとう。
また食べてみたいくらい本当に美味しかったです。 

留学生ブースでは、隅っこで、上級生が下級生に

「どうもありがとうございました またお越しください」

「いらっしゃいませ いかがですか」

などの日本語を指導している防大生らしい姿もありました。

また、インドネシアだったかカンボジアだったか、
女性の留学生が商品を渡してくれたので、

「女性で防大に留学しておられるんですか」

と思わず聞いたらそうだとのこと。

「がんばってくださいね」

と月並みな言葉ですが激励させていただきました。 

朝ごはんを食べて帰ってきたら、観閲台の設置が始まっていました。
陸海空の自衛官が協力して作業しています。

観閲台に紅白の幕を巻き、赤いフェルトのカーペットを敷いて椅子を並べ完成。

小原台の先住民である鳶が空を縦横無尽に飛び回っていました。
時々カラスとの抗争が起きて上空で騒ぎが起こり、
主にカラスの騒ぐ声で皆が上を見上げるということも。

自分の領空を守るために鳥ですら身を呈して戦うというのに(略)


鳶といえば以前来た時、グランドの照明灯上部に巣があるのを発見しましたが、
今年同じところを確認するともうありませんでした。

防衛大学校は防衛省施設等機関なので、無断に設置された巣は
国家権力により強制撤去の措置を受けたようです。

さて、観閲行進開始の時刻が近づきました。
グラウンドの正門側の入場口にブラスバンドが待機しています。

そして観閲行進開始のアナウンス。
まずブラスバンドが入場して定位置につきました。

自衛隊の隊列行進と同じく、スネアドラムだけで入場行進が行われます。
まずは第一大隊が入場してきます。

ご存知とは思いますが、防大は生徒全体で「学生隊」という部隊を組織しています。
学生隊は4個大隊、さらにその下に4個中隊、30〜40名からなる3個小隊に分かれます。

観閲行進は中隊を最小単位として行われるようです。
大隊の旗のもとに4個中隊がそれぞれの旗を持って歩くわけですね。 

第一大隊が全員入場し終わりました。
たくさんいますが、防大生全員が行進するわけではありません。 

後ろにいる防大卒業生のお母さんらしい人が

「うちの子はついに一回も行進しなかった」

ということを言っていましたが、そういうこともあるんでしょうか。

先頭の一団の中には、必ず女子学生が一人いることに気がつきました。
わたしの隣にいた

「近所に住んでるので暇つぶしに見に来た

というおじさんによると、一学年に今は女子が60人くらいいるそうです。
全体で2000人だそうですから、4学年で約200人として10%強が女子? 

青い旗は第二大隊です。
先頭に立っている指揮官が、行進止まれの号令をかけます。
当たり前ですが、どんな状況下でも号令が全員に聞き取れなくてはいけないので、
お腹の底から声を出せることが指揮官の基本です。

彼らが防大に入校した時から体に叩き込まれてきたことに違いありません。

緑の旗、第三大隊の入場です。

昔の防大は全学年が一個中隊に混在するという「海軍兵学校方式」でしたが、
2005年に改正され、小隊は同学年による集団ということになりました。

ただし、各隊の隊長を4年が務めるというのは兵学校と同じです。

兵学校では上位成績者から順番に分隊長に任命されましたが、
(つまり何分隊の分隊長をしているかで前年度の成績がわかる)
その方式まで一緒なのかどうかはわかりません。

この第三大隊の中隊にも女子生徒がいます。 

オレンジの旗は第四大隊です。
大隊の指揮官の袖には桜が三つあり、これは
彼らが4年であることを表しています。 

この大隊指揮官は学生隊の中でも特に姿勢の良さで目を引きました。
どの写真を見ても目線が全く泳いでいないのは見事です。

彼らの日頃の精励の賜である気概が放つ空気でグラウンドが満たされ、
観ているこちらも姿勢を正したいような気持ちにさせられました。


続く。 

 


横須賀軍港、「はるさめ」ただいま出航〜遠洋練習航海帰国

2017-11-13 | 軍艦

遠洋練習航海帰国行事、航海実習を受けてきた新幹部が帽振れで見送られ、
これで一応終了したことになるのですが、「かしま」ではまだ行事は終わっていません。

真鍋司令、「かしま」艦長とともに新幹部を見送っていた「はるさめ」艦長が「かしま」を降ります。

続いて「かしま」から一団の幹部、海曹、海士が二人に敬礼をして降りてきました。
どうやら「かしま」に乗り組んだうち、練習航海が終わって下艦する乗員のようです。

実習幹部と同じように、ラッタルの上部で艦尾の自衛艦旗に向かって敬礼。
そして降りていきます。
彼らにとっても半年近くの航海を行ってきた艦を去るのは感慨ひとしおでしょう。

岸壁に整列し、「かしま」に別れを告げます。

岸壁に整列した乗員と真鍋司令ら「かしま」乗員との間に帽振れの儀式が行われました。

「帽〜振れ!」

練習艦隊司令官として最後の帽振れを行う真鍋海将補。

艦橋ウィングの航海科の乗員も帽振れ。
帽振れが終わった後、岸壁の乗員たちは「かしま」とその乗員たちに向かって
一斉に礼をしました。(冒頭写真)

帽振れが終わってもずっとお手製の(ですよね)自衛艦旗を降っていた乗員。

おそらく「はるさめ」にも挨拶をするために行進していきます。
一人民間人の女性が加わっているようですが、どういった方でしょうか。

この乗員は、彼らの背中に向かってずっと旗を振っていました。

これを以って行事は全て終了です。
先ほど帽振れで退艦した幹部と乗員たち、又しても乗艦してます。
今度は正真正銘最後、自分の荷物を下ろすためでしょう。

わたしがここまで一連の行事を見ているうちに、車でやってきた関係者、
式典出席者は全員とっとと帰ってしまったらしく、岸壁の端っこには
わたしの車がポツンと一台だけ残っていました。

そしてわたしの車が残っているせいでこの写真の自衛官は
その場を去るわけにいかず、ずっとここで待っていたようです。

わたし一人のためにお待たせしてその節は申し訳ありませんでした。


さて、この後、横須賀でお昼ご飯を食べるときはいつもここ、
と決めている(というか他に知らない)メルキュールホテルのレストランで、
お高いところから横須賀地方総監部を眺めつつランチをいただくことにしました。

横須賀軍港が一望できるこのレストラン、去年の大晦日に来て以来のお気に入りです。
バッフェはサラダと前菜、その都度作ってもらえるパスタにメインディッシュは
肉か魚を選べるという方式。

バッフェなのにちゃんとしたお皿でメインがいただけるのが嬉しい。

さて、このレストラン、窓際にあるカウンターに座れば、目の前がこんな景色。
さっきまでいた横須賀地方総監部の岸壁が一望できます。

港に出入りする自衛隊の艦船や民間船を見ていると、時間の経つのも忘れてしまいます。
わたしはこの日、望遠レンズを持ってこなかったことを後悔しました。

「かしま」の前には式典が行われたテントなどがまだありますが、
先ほどとはうって変わって人影もまばらです。

拡大して見てみると、「かしま」乗員と「はるさめ」乗員以外は解散になったらしく、
「かしま」から手荷物を降ろし、それぞれの帰途についている様子です。
直接次の赴任地に向かう者、家族と一緒に実家に向かう実習幹部もいるでしょうか。

よくみると乗員とその家族たち、岸壁から追い出されている感じでもあります。

このレストランからは潜水艦基地もよく見えます。
いつもの岸壁に「しお」型二隻。

横須賀の潜水艦基地には第二潜水隊群が配備されており、
その隷下に第二潜水隊と第四潜水隊がいます。

「しお」型は

「おやしお」「うずしお」「たかしお」

「やえしお」「せとしお」

が今年現在配備されているということですのでそのどれかです。

もちろん浮かんでいる潜水艦を見ても艦名まではわかりません。

ちなみに、この左側に12月31日繋留することになった潜水艦は、
自動的にセイルに電飾を施して、年越しと同時に新しい年号に付け替えねばならず、
これがなかなか大変なのだと元潜水艦の自衛官から聞いたことがあります。

艦上のところどころに見えるグリーンのものはカバーで、
これはハッチ(の厚み)を隠しているんでしたっけ?

一番手前の「いかづち」の向こうにいる護衛艦の名前を拡大したところ、
どうやら「あたご」らしいことが判明しました。
舞鶴から遊びに(遊びじゃないか)来ているようです。

護衛艦群はどれも満艦飾を施しています。

見ているとヘリがやって来ました。

ヘリポートに着陸しようとしています。
もうすでに岸壁には人の姿は全くなく、荷物を運ぶコンテナトラックが二台。

ヘリを待っている人影をみると
どうも海幕長とその随伴のようですね。
海幕長、これから市ヶ谷にお帰りになるのかもしれません。

ここからヘリで市ヶ谷だと10分もかからない感じでしょうか。

横須賀軍港めぐりの船が定期的に行きすぎます。
今日の案内アナウンスは練習艦隊の帰国のことを話題にしたのでしょう。

向こうの潜水艦岸壁にタグボートが到着しました。

しばらく見ていると、沖に停泊していた「しお」型潜水艦が帰還して来ました。
艦上には乗員が立ち、タグボートを二隻従えています。

こんな近くで潜水艦の往来をみることができた軍港めぐりの船はラッキーかもしれません。

見ていると、潜水艦は岸壁に直接行かないで、ずずーっと「かしま」に近づいて行きます。

そして「かしま」に平行になるように向きを変え、しかるのち接岸に入りました。
「かしま」に敬意を評して挨拶をしたのかと思ったのですが、どうでしょうか。

潜水艦が帰還して来て着岸するとき、乗員は外に立つことになっているんでしょうか。
「おやしお」型の乗員は全部で70人だそうなので、甲板に出ているのは
そのうち半分もいないわけですが・・・・・。

タグボート二隻で艦体を岸壁の潜水艦と平行に持っていってくっつけるようです。

いつの間にか岸壁の潜水艦の上にも人が出て防舷物を設置し、
もやいもいつのまにか繋がっています。

あー!つまり外に立つのは着岸作業のためだったのね。

それにしてもこの距離でいつのまにもやいの受け渡しをしたんだろう・・。
肉眼では何をしているか全くわからないので見逃してしまいました。

潜水艦のより一回り大きなタグボートが出動したかと思うと、
次に出航するのは「はるさめ」でした。

色々あってサビを艦尾につけたまま帰国行事に出ることになった
「はるさめ」ですが、横須賀に錨を降ろしたのも束の間、
早々に出航していきます。

タグボートは時計回りに「はるさめ」の艦体を押して回しています。

「かしま」はまだこの時には出航する様子はありませんでしたが、
母港は呉、練習艦隊の司令部も呉に置かれていますから、
練習艦隊司令官はこの後「かしま」で呉に帰ったのでしょうか。

「はるさめ」艦首が湾口を向き、自力で航行が可能な状態になりました。
こんな遠くからでもサビがよく見えていますね。

「はるさめ」乗員が登舷礼のために舷側に立っているのが見えます。

どうして「はるさめ」がこんなに急いで行ってしまったんだろうと思い、
今これを作成している時点で念のため現在位置を検索してみたら、
なんと「はるさめ」、南シナ海あたりを航行しておりました。

わたしたちのあずかり知らぬところで、海上自衛隊の艦船は今この瞬間も
国防の任務に当たっているのだということを改めて実感した次第です。

 

練習艦隊帰国シリーズ、続く。