郵便輸送によってアメリカに航空事業が誕生し、
それが民間の手に渡って発展してきたところで、スミソニアン航空の
航空運輸の歴史、フェイズ2に入ります。
1927年から始まるこの時代とそれまでを分けるのは、
飛行機が運ぶものがものから人へと変わったことです。
飛行機が運ぶものがものから人へと変わったことです。

世界大恐慌にもかかわらず、第二次世界大戦前の1920年代後半から
1930年代にかけて、米国の航空輸送は驚異的な成長と変化を遂げました。
1930年代にかけて、米国の航空輸送は驚異的な成長と変化を遂げました。
技術の進歩に伴い、航空機は第一次世界大戦当時の複葉機から、
洗練された高性能の現代的な旅客機へと進化しました。
政府の指導の下、郵便局と商務省を通じて強固なインフラが整備され、
規制改革により業界の形も変わりました。
旅客サービスは定着し、成長を遂げ、航空路は全国に広がりました。
しかし、航空旅行は非常に高価であったため、
富裕層や出張者だけが利用していました。
加えて、飛行機の快適さは日に日に改善されつつあったとはいえ、
依然として不快さを我慢しなければならない場面が多かったのも事実です。
■ バミューダ?それともカリフォルニア?

1930年代には、飛行機を利用できるのは、
超エリートビジネスマンや、裕福な層の旅行者だけでした。
しかし、彼らの多くでさえ、この新しい旅行形態に不安を抱いていました。
航空会社の広告では、スピード、快適さ、
そして何よりも安全性が強調されていました。
しかし、これらの魅力的な広告は、信用できるものだったのでしょうか。
超エリートビジネスマンや、裕福な層の旅行者だけでした。
しかし、彼らの多くでさえ、この新しい旅行形態に不安を抱いていました。
航空会社の広告では、スピード、快適さ、
そして何よりも安全性が強調されていました。
しかし、これらの魅力的な広告は、信用できるものだったのでしょうか。
今日と同様に、旅行者は、旅行オプションのメリットとデメリットを
吟味し、比較検討する必要がありました。

「広告が信用できなくとも、私を信用してください」(キリッ)
■ 飛行機ですか?汽車にしますか?

あなたが今、シカゴから太陽の光が降り注ぐカリフォルニアまで
旅行したいと考えていたとします。
あなたはこれまで列車での優雅な旅を何度も体験してきました。
しかし、今回、友人たちが飛行機での旅を熱心に勧めてきたので、
この新しい乗り物に興味が出て、検討してみることにしました。
飛行機と列車の広告を見てみましょう。
旅行したいと考えていたとします。
あなたはこれまで列車での優雅な旅を何度も体験してきました。
しかし、今回、友人たちが飛行機での旅を熱心に勧めてきたので、
この新しい乗り物に興味が出て、検討してみることにしました。
飛行機と列車の広告を見てみましょう。
• どちらが速いですか?
• より快適ですか?
• より高価ですか?
【列車】

「酋長はやっぱり酋長」
・・・は?
・・・は?
って感じのコピーですが、この酋長(チーフ)とは、
「チーフ」という名前の長距離客車とかけているのです。

チーフは、イリノイ州シカゴとカリフォルニア州ロサンゼルス間を走っていた
アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道の長距離客車列車です。
サンタフェ鉄道は1926年チーフを始動させ、
サンタフェの標準列車として徐々に増やしていきました。
サンタフェの標準列車として徐々に増やしていきました。

「そして、機関車は今でも輸送手段の王者です。
大きさ、速度、運行の安全性において、機関車に匹敵するものはありません。
大きさ、速度、運行の安全性において、機関車に匹敵するものはありません。
THE CHIEFがアメリカ西部の大平原を颯爽と走り抜ける力は、
サンタフェシステムの選りすぐりのエンジニアたちによって制御されます。
THE CHIEFの乗客の喜び、快適さ、安全性に必要な
完璧なレスポンスを得ることに精通したエンジニアたちです。」
サンタフェシステムの選りすぐりのエンジニアたちによって制御されます。
THE CHIEFの乗客の喜び、快適さ、安全性に必要な
完璧なレスポンスを得ることに精通したエンジニアたちです。」
エンジニアの匠に焦点を当てた広告です。
今日でも即採用されそうなコピーですね。
チーフは完全にリクライニングする座席を備えた豪華な列車であり、
すべての乗客が利用できるラウンジとプレジャードームなど、
すべての設備が整っていて、旅行客に人気でした。
すべての乗客が利用できるラウンジとプレジャードームなど、
すべての設備が整っていて、旅行客に人気でした。
しかし、1960年代半ば、チーフの高級バージョン、
スーパーチーフが高級路線を打ち出し、一部の特別客を優遇し、
一般客を排除する方向に舵を切ったこともあり、その高いコスト、
航空会社との競争、郵便局との契約 の喪失により、
1968 年に廃止されたのでした。
スーパーチーフが高級路線を打ち出し、一部の特別客を優遇し、
一般客を排除する方向に舵を切ったこともあり、その高いコスト、
航空会社との競争、郵便局との契約 の喪失により、
1968 年に廃止されたのでした。

こちらは夜行列車で安く、快適に旅しましょうという広告。
シカゴ&ノースウェスタン・ユニオンパシフィックでは、
「ストリームライナー」という清潔で快適、エアコン完備の夜行、
特別料金39ドル50(40とは絶対に言わない)で、
シカゴからサンフランシスコまで39時間と45分
(四捨五入すると40時間ですが)で行けますよ、と言っています。
料金はおそらく必要な時間と同じになるように設定したのでしょう。
不思議なことに、シカゴからなら、サンフランシスコとLAに
全く同じ時間で行けると宣伝しています。
全く同じ時間で行けると宣伝しています。
日本の鉄道会社じゃないので、おそらく時間はアバウトで、
誤差は何十分単位であったのではないかと想像されます。
誤差は何十分単位であったのではないかと想像されます。
【空路】

こちらはTWA(トランスコンチネンタル&ウェスタンエア)の広告です。
「TWAは、通常の鉄道運賃に比べ最もお得な低運賃を提供いたします」
「TWAは、通常の鉄道運賃に比べ最もお得な低運賃を提供いたします」
飛行機と汽車を比べると、価格的に汽車が安いと思われがちですが、
この広告では、当社の特別航空運賃と、列車の普通の運賃を比べると、
期間限定ではあるけれど、ほとんど同じくらいなら
早くて快適な飛行機がいいでしょう?と宣伝をしています。
コピーの頭に「リンドバーグライン」という言葉を入れるのも忘れません。

今!カリフォルニア州への最速アクセス
途中経由2空港のみ
唯一の乗り越しサービス
唯一の乗り越しサービス
シカゴ発(CT東海岸時間)8:25 P.M.
カンサスシティ着(CT)11:00 P.M.
アルバカーキ着(MT中部時間)3:20 A.M.
ロスアンジェルス到着(PT西海岸時間)7:00 A.M.
TWAダグラスラグジュアリーエアライン
最も快適・・最速・・超静粛性・・空調完備
ニューヨーク路線4本、たった4時間25分!
東西海岸を結ぶ最速最短ルート
とにかく、「速い」ということを全面的に謳っています。
TWAダグラスラグジュアリーエアライン
最も快適・・最速・・超静粛性・・空調完備
ニューヨーク路線4本、たった4時間25分!
東西海岸を結ぶ最速最短ルート
とにかく、「速い」ということを全面的に謳っています。

リンドバーグラインとチーフが手を組んだ姿です。
列車のチーフのトレードマークでもある部族の酋長が、
飛行機にに手を振っていて、この試みが
「スカイチーフ」であるということがポスターに書かれています。
列車のチーフのトレードマークでもある部族の酋長が、
飛行機にに手を振っていて、この試みが
「スカイチーフ」であるということがポスターに書かれています。
スカイチーフは、DC-2で運行されていた路線で、大陸間を定期運行し、
ニューアークからロスアンジェルスまで、17時間39分で移動しました。
途中でシカゴ、カンザスシティ(給油)、アルバカーキ、
そしてロスアンジェルスのグレンデールに到着します。
確実に、静かに、速く
そしてロスアンジェルスのグレンデールに到着します。
確実に、静かに、速く
夜通し、そして毎晩、この空の君主はアメリカを横断します。
TWAの他の豪華スカイライナーは、カリフォルニア、シカゴ、
ニューヨーク間の昼間のフライトを双方向で運航しています。
また、全機が3つの無線受信セットとトランスミッターを装備しており、
4つの周波数(昼用2つ、夜用2つ)で運用されています。
TWAの他の豪華スカイライナーは、カリフォルニア、シカゴ、
ニューヨーク間の昼間のフライトを双方向で運航しています。
また、全機が3つの無線受信セットとトランスミッターを装備しており、
4つの周波数(昼用2つ、夜用2つ)で運用されています。
TWAは、スムーズで安定した飛行を保証する
スペリー・ジャイロパイロットと自動安定装置を完全に装備した
世界で唯一の航空会社です。
ジャイロ・パイロットのおかげで、人間のパイロットは
飛行監視や科学的ナビゲーションに十分な時間を割くことができます。
スペリー・ジャイロパイロットと自動安定装置を完全に装備した
世界で唯一の航空会社です。
ジャイロ・パイロットのおかげで、人間のパイロットは
飛行監視や科学的ナビゲーションに十分な時間を割くことができます。
指向性無線ビームは、パイロットを安全かつ確実に
次の目的地へ導く広いハイウェイを提供します。
さらにTWAは、米国の航空会社の中で
最も完全な天気予報サービスと気象ストールを維持しています。
さらにTWAは、米国の航空会社の中で
最も完全な天気予報サービスと気象ストールを維持しています。
より多くの乗客がTWAを選ぶのも不思議ではありません。
あなたも最高の快適さと信頼性を求めるのであれば、
TWAの各事務所、または一流ホテルや旅行会社でお問い合わせください。
あなたも最高の快適さと信頼性を求めるのであれば、
TWAの各事務所、または一流ホテルや旅行会社でお問い合わせください。
ダグラス・スカイライナー
すべての高さで(ON EVERY HIGHT)
最後の「オン・エブリ・ハイト」はキャッチロゴだと思われます。
最後の「オン・エブリ・ハイト」はキャッチロゴだと思われます。
この広告では、懸念されがちな安全対策をこれでもかと謳っています。
当時TWAが発行した「スカイチーフ横断フライトガイド」には
このようなことが書かれていました。
空港ターミナルでは、活気あふれるざわめきが聞こえ、
制服を着た係員が待機し、手荷物検査が行われ、
電報が送られ、雑誌が購入される。
そして、胸を躍らせる「全員搭乗」のアナウンスが流れる。
2基のエンジンが完璧なタイミングで轟音を立てる。
都市から都市へ、そして海岸から海岸へとメッセージが流れる。
そして、胸を躍らせる「全員搭乗」のアナウンスが流れる。
2基のエンジンが完璧なタイミングで轟音を立てる。
都市から都市へ、そして海岸から海岸へとメッセージが流れる。
「スカイ・チーフは定刻に出発しました」
17人の乗客と1000ポンドの郵便物が空の旅路へと舞い上がる。
巨大な飛行機は高度を上げ、ニューヨークとカリフォルニア間の、
5つの寄港地のうち最初の寄港地に向けて航路を進む。
前方では、2人の熟練したパイロットが並んで座り、
地図を調べ、計器に注意深く目を光らせている。
710馬力のエンジン2基を搭載し、ジャイロパイロットで操縦される機体は、
設定された航路から決して外れない。
「シカゴより、ファースト・スカイ・チーフより。
現在、プリマスの西10マイル、高度8,000フィートを飛行中です。
高度制限なし、視程10マイル。
シカゴには25分で着陸予定です。
風と天候はいかがですか?」
「シカゴより、ファースト・スカイ・チーフより。
こちらは南西の風、時速10マイル。気圧計300。
天候は晴れ、視界制限なし」
雲の上でのディナーは実に魅力的で、食欲をそそります。
上空の清潔で新鮮な空気を吸うだけで、
美味しいフライドチキンでしか満たせない食欲が刺激されます。
前方に街の明かりが見え、ビーコンが点滅。
スカイライナーは別の都市の空港に向けてゆっくりと降下を開始します。
スカイライナーは大量のガソリンを消費します。
510ガロン。給油なしで1,000マイル以上飛行できる量です。
10分後、飛行機は新たなスタートを切ります。
次の目的地はカンザスシティ。大陸の半分を横断しました。
空気は静かで穏やかです。
17人の乗客と1000ポンドの郵便物が空の旅路へと舞い上がる。
巨大な飛行機は高度を上げ、ニューヨークとカリフォルニア間の、
5つの寄港地のうち最初の寄港地に向けて航路を進む。
前方では、2人の熟練したパイロットが並んで座り、
地図を調べ、計器に注意深く目を光らせている。
710馬力のエンジン2基を搭載し、ジャイロパイロットで操縦される機体は、
設定された航路から決して外れない。
「シカゴより、ファースト・スカイ・チーフより。
現在、プリマスの西10マイル、高度8,000フィートを飛行中です。
高度制限なし、視程10マイル。
シカゴには25分で着陸予定です。
風と天候はいかがですか?」
「シカゴより、ファースト・スカイ・チーフより。
こちらは南西の風、時速10マイル。気圧計300。
天候は晴れ、視界制限なし」
雲の上でのディナーは実に魅力的で、食欲をそそります。
上空の清潔で新鮮な空気を吸うだけで、
美味しいフライドチキンでしか満たせない食欲が刺激されます。
前方に街の明かりが見え、ビーコンが点滅。
スカイライナーは別の都市の空港に向けてゆっくりと降下を開始します。
スカイライナーは大量のガソリンを消費します。
510ガロン。給油なしで1,000マイル以上飛行できる量です。
10分後、飛行機は新たなスタートを切ります。
次の目的地はカンザスシティ。大陸の半分を横断しました。
空気は静かで穏やかです。
目立った動きはなく、機内は静まり返っています。
用心深い客室係は、乗客の頷きに気づき、より快適な姿勢を提案し、
椅子の位置を調整し、完璧な寝心地のために、
枕を一つか二つ追加し、カーテンを閉めてまわります。
乗客はいつの間にか眠りに落ち、何百マイルもの旅が過ぎ去っていきます。
機内の別の場所では、ブリッジゲームが行われています。
二つの椅子を逆さまにして、互いに向き合わせています。
旅も終わりに近づくと、リフレッシュしてリラックスし、
新たなエネルギーを得た乗客は、しぶしぶスカイライナーから降ります。
静かで豪華なパーラーキャビン、埃や塵からの解放、
そしてスムーズで迅速なフライトにより、
TWA は他の旅行手段の追随を許さない存在となっています。
開拓者たちは長時間の旅を強いられたものですが、
今日の乗客はエネルギーと時間を節約し、
経済的な航空輸送を楽し無ことができるようになったのです。
これが語り継がれるべき物語。スカイチーフの物語です。
ちなみに冒頭のビューローの男子の後ろには、
「飛行機か船か」という選択もあります。
用心深い客室係は、乗客の頷きに気づき、より快適な姿勢を提案し、
椅子の位置を調整し、完璧な寝心地のために、
枕を一つか二つ追加し、カーテンを閉めてまわります。
乗客はいつの間にか眠りに落ち、何百マイルもの旅が過ぎ去っていきます。
機内の別の場所では、ブリッジゲームが行われています。
二つの椅子を逆さまにして、互いに向き合わせています。
旅も終わりに近づくと、リフレッシュしてリラックスし、
新たなエネルギーを得た乗客は、しぶしぶスカイライナーから降ります。
静かで豪華なパーラーキャビン、埃や塵からの解放、
そしてスムーズで迅速なフライトにより、
TWA は他の旅行手段の追随を許さない存在となっています。
開拓者たちは長時間の旅を強いられたものですが、
今日の乗客はエネルギーと時間を節約し、
経済的な航空輸送を楽し無ことができるようになったのです。
これが語り継がれるべき物語。スカイチーフの物語です。
ちなみに冒頭のビューローの男子の後ろには、
「飛行機か船か」という選択もあります。
船と飛行機を比べても、そもそもいろんな意味で全く違うものなのですが、
当時の旅行者は、各自が、自分の経済力と、時間的余裕と、
安全性に対する信頼度を秤にかけて移動手段を選んでいました。
当時の旅行者は、各自が、自分の経済力と、時間的余裕と、
安全性に対する信頼度を秤にかけて移動手段を選んでいました。
そういう時代だったのです。
続く。
続く。