1964年公開、「駆逐艦雪風」3日目です。

「初戦において痛烈な一撃を米英に与えた我が聯合艦隊は、
ここに短期決戦の機を掴んで、その全兵力を挙げて
敵の要所、ミッドウェイ島攻略に出撃した」


東京日日新聞は毎日新聞東京本社発行の新聞で、毎日の前身です。
ミッドウェイ攻撃の戦果について「アメリカのデマは逆効果」とか、
「敗戦ごとに揚げ足取り」などとセンセーショナルな言葉を使い、
要するに、アメリカが嘘の戦果を垂れ流している!と報じているわけです。
ここに短期決戦の機を掴んで、その全兵力を挙げて
敵の要所、ミッドウェイ島攻略に出撃した」


東京日日新聞は毎日新聞東京本社発行の新聞で、毎日の前身です。
ミッドウェイ攻撃の戦果について「アメリカのデマは逆効果」とか、
「敗戦ごとに揚げ足取り」などとセンセーショナルな言葉を使い、
要するに、アメリカが嘘の戦果を垂れ流している!と報じているわけです。
しかしこれは、大本営が隠したかった開戦以来初めての敗戦でした。

第一次→かろうじて日本の勝利
第二次→アメリカの勝利
第三次→圧倒的にアメリカの勝利
だったソロモン海戦が行われたというところで・・・、


第一次→かろうじて日本の勝利
第二次→アメリカの勝利
第三次→圧倒的にアメリカの勝利
だったソロモン海戦が行われたというところで・・・、

「雪風」乗組員は、ガダルカナルの撤収について噂をしていました。
「今度のガダルカナルは我が艦も年貢の収めどきかもしれんな」
「今度のガダルカナルは我が艦も年貢の収めどきかもしれんな」

何気ない会話の中で「母親に会いたい」と誰かが言ったとたん、
なぜかキレてその場を立ち去る大野。
木田が訳を聞くと、彼は、自分が孤児院育ちであること、
そもそも母親の存在を一切知らなかったと打ち明けます。
なぜかキレてその場を立ち去る大野。
木田が訳を聞くと、彼は、自分が孤児院育ちであること、
そもそも母親の存在を一切知らなかったと打ち明けます。
「そうでなけりゃもう少しマシな人間になってかもしれねえ」

昭和18年2月1日、「雪風」はガダルカナル撤収作戦に参加しました。


ガダルカナルから引き揚げてきた陸軍兵士たちの揚収が始まりました。

「しっかりしろ!」「元気を出せ!」
励ましながら彼らの手を取って艦上に引き上げていきます。

航海長は、揚収に時間をかけすぎると、敵の制空圏内から出られなくなり、
危険であるからそろそろ中止すべきだと艦長に具申しました。
言っている端から敵哨戒艇に発見されたと報せが入ります。


「しっかりしろ!」「元気を出せ!」
励ましながら彼らの手を取って艦上に引き上げていきます。

航海長は、揚収に時間をかけすぎると、敵の制空圏内から出られなくなり、
危険であるからそろそろ中止すべきだと艦長に具申しました。
言っている端から敵哨戒艇に発見されたと報せが入ります。

それはアメリカ海軍のPTボート「2」でした。
第二次世界大戦中は若き日のJFKが艇長として乗っていたことで有名で、
高速かつ重武装であったことから、船団攻撃に従事し、
巡洋艦なども攻撃することができたという魚雷艇です。
この頃在日米軍はまだ旧型のPTボートを所有していたようで、
それを映画のため特別出演させてくれたみたいですね。
高速かつ重武装であったことから、船団攻撃に従事し、
巡洋艦なども攻撃することができたという魚雷艇です。
この頃在日米軍はまだ旧型のPTボートを所有していたようで、
それを映画のため特別出演させてくれたみたいですね。
この強力な魚雷艇の出現に、大野が思わず、
「雪風も年貢の納め時かもしれませんね」
と機関長に言うと、機関長、あっさりと頷いています。

と機関長に言うと、機関長、あっさりと頷いています。

しかしその時移乗作業が終了しました。
次々放たれる魚雷を巧みな操艦でかわしていく「雪風」。
「雪風」が幸運艦となったのは、ただ運が良かったのではなく、
代々腕のいい艦長が指揮を執ったからでもありました。

危機を脱し、揚収した陸軍兵たちに水を配っていた木田は、その中に
石川島の工員時代一緒に「雪風」を手がけた組長がいるのを発見します。
次々放たれる魚雷を巧みな操艦でかわしていく「雪風」。
「雪風」が幸運艦となったのは、ただ運が良かったのではなく、
代々腕のいい艦長が指揮を執ったからでもありました。

危機を脱し、揚収した陸軍兵たちに水を配っていた木田は、その中に
石川島の工員時代一緒に「雪風」を手がけた組長がいるのを発見します。
「自分が手がけた船に命を救われるとは思っていなかったぜ。
しかし、お前が『雪風』に乗っているとはなあ」

しかし、お前が『雪風』に乗っているとはなあ」

「だってわし、『雪風』に乗るって言ったじゃないですか///」

しかし、そんな木田に、
「他の駆逐艦がやられているのにかすり傷ひとつないって、
敵から逃げ回っていたんじゃないのか」
横から揶揄い半分混ぜ返す陸軍兵。
愛する「雪風」を貶められて逆上した木田は掴み掛かり、
かつての上司と今の上司が喧嘩を止めるため割って入る騒ぎに・・。
敵から逃げ回っていたんじゃないのか」
横から揶揄い半分混ぜ返す陸軍兵。
愛する「雪風」を貶められて逆上した木田は掴み掛かり、
かつての上司と今の上司が喧嘩を止めるため割って入る騒ぎに・・。

帰国後休暇をもらった木田が実家に戻ると、母親から
弟の勇二が海軍兵学校に入学したことを聞かされます。
優秀な勇二には医者になって欲しかった木田は不満ですが、母親は
「友達が予科練だなんだと入っているのに、
自分だけのんびり勉強するなんて非国民だと思ったんだろう」
弟の勇二が海軍兵学校に入学したことを聞かされます。
優秀な勇二には医者になって欲しかった木田は不満ですが、母親は
「友達が予科練だなんだと入っているのに、
自分だけのんびり勉強するなんて非国民だと思ったんだろう」
と仕方なさそうに言うのでした。

木田には帰国にあたってどうしても会いたい人がいました。
手島艦長の妹、雪子です。
母親の作った「砂糖がないので味噌餡」の饅頭をお土産に、
手島艦長のうちまでいそいそとやってきた木田は、
雪子の姪に当たる手島の娘、京子から雪子の不在を告げられました。
「横浜のおじいちゃんとこ、今行ってるの」
「・・・横浜へ・・・」
手島艦長の妹、雪子です。
母親の作った「砂糖がないので味噌餡」の饅頭をお土産に、
手島艦長のうちまでいそいそとやってきた木田は、
雪子の姪に当たる手島の娘、京子から雪子の不在を告げられました。
「横浜のおじいちゃんとこ、今行ってるの」
「・・・横浜へ・・・」

雪子に会えずがっかりして艦に戻った木田には、
彼女から不在の詫びと千人針が送られてきました。
彼女から不在の詫びと千人針が送られてきました。

そして、烹炊長には今日あたり子供が産まれると言うめでたい報せが。
ちなみにこの烹炊長を演じる柳谷寛は「ハワイ・マレー沖海戦」で
娑婆では僧侶という設定の索敵機操縦士、谷本予備少尉を演じた人です。
娑婆では僧侶という設定の索敵機操縦士、谷本予備少尉を演じた人です。

ここで烹炊長、甲板に出てポケットから手帳を取り出しました。

そこにやってきたのは加納博司少尉。
(クレジットはフルネームの割に役職が書かれていません)
無線で烹炊長に男の子が生まれたという知らせを持ってきました。
加納少尉の役をしているのは吉田輝雄という俳優ですが、
この名前と顔に覚えがあると思ったら、当ブログで紹介した
「金語楼の海軍大将」で光機関の葛城中尉を演じていた人ではないですか。
当映画出演の菅原文太らと、長身の二枚目スターということで
「ハンサムタワーズ」の一員として売り出されたというあの人ですね。
(『ハンサムタワー』があまりのパワーワードで忘れられない)
そして、秋刀魚が出てこないのに何故か「秋刀魚の味」というタイトルの
小津安二郎の映画で、やはりこの映画にも出演している岩下志麻が
密かに想いを寄せる同僚(婚約者あり)の役が印象的でした。
(ちなみに作中、岩下が失恋するシーンでは、
小津監督はこだわり抜いて100回撮り直しをしたそうです)
木田が水野烹炊長にその嬉しい知らせを伝えようと甲板にでた時です。

米軍の哨戒機が「雪風」上空に飛来しました。

そしてピンポイントで烹炊長を狙い銃弾を放ったのです。
駆けつけた木田が見たのは、すでに絶命して倒れる烹炊長の姿でした。
(クレジットはフルネームの割に役職が書かれていません)
無線で烹炊長に男の子が生まれたという知らせを持ってきました。
加納少尉の役をしているのは吉田輝雄という俳優ですが、
この名前と顔に覚えがあると思ったら、当ブログで紹介した
「金語楼の海軍大将」で光機関の葛城中尉を演じていた人ではないですか。
当映画出演の菅原文太らと、長身の二枚目スターということで
「ハンサムタワーズ」の一員として売り出されたというあの人ですね。
(『ハンサムタワー』があまりのパワーワードで忘れられない)
そして、秋刀魚が出てこないのに何故か「秋刀魚の味」というタイトルの
小津安二郎の映画で、やはりこの映画にも出演している岩下志麻が
密かに想いを寄せる同僚(婚約者あり)の役が印象的でした。
(ちなみに作中、岩下が失恋するシーンでは、
小津監督はこだわり抜いて100回撮り直しをしたそうです)
木田が水野烹炊長にその嬉しい知らせを伝えようと甲板にでた時です。

米軍の哨戒機が「雪風」上空に飛来しました。

そしてピンポイントで烹炊長を狙い銃弾を放ったのです。
駆けつけた木田が見たのは、すでに絶命して倒れる烹炊長の姿でした。

旗が半旗に降ろされ、烹炊場には水野の遺影が飾られました。
烹炊場の乗組員は、子供が生まれたお祝いにと赤飯を供えるのでした。

烹炊長が最後に考えていたのは、生まれてくる子供の名前でした。
男なら忠雄、女なら孝子と書かれた手帳が遺品となります。


烹炊長が最後に考えていたのは、生まれてくる子供の名前でした。
男なら忠雄、女なら孝子と書かれた手帳が遺品となります。

敵は徐々に本土に迫ってきていました。
飛び石作戦により、サイパンへの上陸が行われます。
飛び石作戦により、サイパンへの上陸が行われます。

そして、遂に硫黄島も・・・。
機動部隊はレイテ湾スルワンに殺到してきました。
圧倒的な物量を誇る敵艦隊の前に、戦艦「武蔵」以下24隻を失い
サマール沖において三昼夜にわたる「大和」の奮闘も虚しく、
我が連合艦隊は事実上壊滅の事態に至ったのでした。

圧倒的な物量を誇る敵艦隊の前に、戦艦「武蔵」以下24隻を失い
サマール沖において三昼夜にわたる「大和」の奮闘も虚しく、
我が連合艦隊は事実上壊滅の事態に至ったのでした。

しかしその中にあって「雪風」は健在であり続けました。


昭和20年。
桟橋の横を歩いていく回天の乗組員たちを見ながら、つい、
あの格好が羨ましい、などとこぼす「雪風」の乗組員。

桟橋の横を歩いていく回天の乗組員たちを見ながら、つい、
あの格好が羨ましい、などとこぼす「雪風」の乗組員。

その中に、木田は見てしまったのです。
海軍兵学校を卒業後士官になった弟勇二の姿を。
海軍兵学校を卒業後士官になった弟勇二の姿を。
ここにいるということは、彼は「回天」搭乗員なのです。


その夜、兄弟は久しぶりに一緒の時間を過ごしました。
弟が海兵に入ることすら内緒にしていたのは、言えば反対されるからでした。
「医者になる夢は10年先でしか実現できないんだ。
その10年で日本がどうなるかと思うと呑気に勉強していられない。
俺、医者にならなくてもいい。誰かがなってくれればいい。
その誰かのために、俺、犠牲になることを決心したんだ」
弟が海兵に入ることすら内緒にしていたのは、言えば反対されるからでした。
「医者になる夢は10年先でしか実現できないんだ。
その10年で日本がどうなるかと思うと呑気に勉強していられない。
俺、医者にならなくてもいい。誰かがなってくれればいい。
その誰かのために、俺、犠牲になることを決心したんだ」

「・・・・勇二、いいところに連れてってやろうか」
兄の提案に勇二は首を横に振ります。
「いいよ。女はお袋だけで十分だ。
俺、お袋に抱かれてる夢を見て死にたいんだよ」
兄の提案に勇二は首を横に振ります。
「いいよ。女はお袋だけで十分だ。
俺、お袋に抱かれてる夢を見て死にたいんだよ」

次の面会日、木田を待っていたのは母親と雪子でした。

偶然会って一緒にいるという二人の姿に木田は感激。


偶然会って一緒にいるという二人の姿に木田は感激。

彼は、この面会に勇二も入れた家族全員で会えると思っていました。
上からの通達で勇二がやってくると聞かされていたのです。
上からの通達で勇二がやってくると聞かされていたのです。

ところが彼を迎えに行った木田は、ある部屋に案内されました。


そこに弟がいると信じて、微笑みながら入室した木田を迎えたのは・・

特攻隊で散華した士官たちの遺影だったのです。

そして、その中に弟がいました。
「昨日出撃しました。見事な最後であったと・・。
現地からの報告によりますと、敵空母を轟沈したと」


特攻隊で散華した士官たちの遺影だったのです。

そして、その中に弟がいました。
「昨日出撃しました。見事な最後であったと・・。
現地からの報告によりますと、敵空母を轟沈したと」

悄然として二人の元に戻った木田ですが、どうしても
勇二が亡くなったことを母に告げることができません。
一足違いで転勤になった、と苦し紛れに嘘をいいます。

この母親は何かと楽天的な性格らしく、勇二が海兵に入った時も
多分大丈夫、と言ってみたり、この時も、
「勇二はお前と違って要領がいいから。
お前こそ弾に当たりに行くような男だから気をつけないと」
などと全く疑う様子を見せません。

勇二が亡くなったことを母に告げることができません。
一足違いで転勤になった、と苦し紛れに嘘をいいます。

この母親は何かと楽天的な性格らしく、勇二が海兵に入った時も
多分大丈夫、と言ってみたり、この時も、
「勇二はお前と違って要領がいいから。
お前こそ弾に当たりに行くような男だから気をつけないと」
などと全く疑う様子を見せません。

しかし木田の様子に何かを感じ取った雪子は、
お茶をもらってくると言ってその場を去った木田の後を追ってきます。

そこには涙を流して嗚咽する木田の姿がありました。
「木田さん・・・もしや弟さんは」
「戦死しました・・・回天特攻隊で」

お茶をもらってくると言ってその場を去った木田の後を追ってきます。

そこには涙を流して嗚咽する木田の姿がありました。
「木田さん・・・もしや弟さんは」
「戦死しました・・・回天特攻隊で」

「自分が・・代わりに・・死んでやりたかったです」
木田の背中に声をかけることすらできず、ただ俯く雪子でした。
続く。
木田の背中に声をかけることすらできず、ただ俯く雪子でした。
続く。