スミソニアン航空博物館の「アメリカン・バイ・エア」のコーナー、
今日はユナイテッドエアラインを中心に、当時航空会社が打ち出した
「空の客室」としての機内の様子と供されたサービスについて話します。
■ AT YOUR SERVICE
当時のアメリカン航空のパンフレットにはこうあります。
「空の旅は休息の時間であり、
日常の煩わしさから解放される時間であるべきです」
連邦政府が運賃を規制するようになって以来、航空会社は
さまざまなアメニティを提供することで競争を繰り広げてきました。
「空の旅は休息の時間であり、
日常の煩わしさから解放される時間であるべきです」
連邦政府が運賃を規制するようになって以来、航空会社は
さまざまなアメニティを提供することで競争を繰り広げてきました。

ここに飾ってあるDC-7の断面模型は、博物館が制作したものではなく、
旅行代理店を訪れる潜在的な顧客に、
航空旅行の体験を説明するために使用されたものです。
モデル内の乗客は、飛行機を大きく見せるために、
スケールを少し小さくして作られています。

旅行代理店を訪れる潜在的な顧客に、
航空旅行の体験を説明するために使用されたものです。
モデル内の乗客は、飛行機を大きく見せるために、
スケールを少し小さくして作られています。

模型使用例:
トーマス・クック・アンド・サン旅行代理店は、1940年代後半に
サンフランシスコのシティ・オブ・パリ百貨店内に支店を運営していました。
トーマス・クック・アンド・サン旅行代理店は、1940年代後半に
サンフランシスコのシティ・オブ・パリ百貨店内に支店を運営していました。
写真はその店舗で模型の飛行機を見ている女性たちですが、
彼女らってお客さんではなく従業員ですよね・・・?
彼女らってお客さんではなく従業員ですよね・・・?

このコーナーの中心になっているのは、ダグラスDC-7。
航空会社はユナイテッドエアラインの機体の模型です。
その前方には、CAN YOU FIND...「見つけられますか」という言葉と共に、
ユナイテッドのパンフレットから抜粋したイラストがあります。
「トランプする人」「ラウンジで喫煙する人」「食事する人」
「お子様」「外を眺める人」
これが模型の中に見つけられますか?ってことなのです。
「お子様」「外を眺める人」
これが模型の中に見つけられますか?ってことなのです。
■ トランプする人

トランプで遊ぶカップル2組

小さくてわからないけど多分これ
もうひと組は見つからず

当時の機内ではアメニティとして希望すればトランプがもらえました。
このエアラインカードにもコレクターがいて、ebayなどで取引されています。
ユナイテッドのパンフレットより。
”1分間に6マイル”高速移動しながらラミーを楽しむ
お座席でもラウンジでも、マイル(移動)を楽しむためのゲーム、
または特別なアイテムをご用意しております。
ペンや紙などの書き物セットや最新の定期刊行物は、
スチュワーデスの呼び出しボタンと同じくらい近くにあります。
または特別なアイテムをご用意しております。
ペンや紙などの書き物セットや最新の定期刊行物は、
スチュワーデスの呼び出しボタンと同じくらい近くにあります。
ラミー(Rummy)というのはカードゲームの一種で、
つまり「超高速で飛びながらトランプできます」ってことです。
つまり「超高速で飛びながらトランプできます」ってことです。
■ラウンジと喫煙

ラウンジでくつろぐ人々(喫煙中)
↓
↓

ラウンジは最後尾にあります
「マイル上空からのスカイラウンジの眺め」
「マイル上空からのスカイラウンジの眺め」
魅力的な後部ラウンジは、カードゲームや新たな交友の場であり、
観光の人気スポットでもあります。
ラウンジ席はご自由にご利用ください。
お客様にお楽しみいただくためのものでございます。
観光の人気スポットでもあります。
ラウンジ席はご自由にご利用ください。
お客様にお楽しみいただくためのものでございます。
(ユナイテッドDC-7パンフレットより)

機内で配られていた航空会社名オリジナルマッチ
今では考えられませんが、少し前まで飛行機、新幹線、
在来線の特急では喫煙が許されていました。
在来線の特急では喫煙が許されていました。
「喫煙はご自由に」
ただし、タバコは「禁煙」のサインが消えているときだけにしてください。
禁煙なさっている方は葉巻やパイプで気分を害することがございます。
パイプや葉巻の喫煙は特別な空調設備が完備した
DC-6Bのラウンジでのみ許可されております。
パイプや葉巻の喫煙は特別な空調設備が完備した
DC-6Bのラウンジでのみ許可されております。

双眼鏡かカメラで外を見ている人5名
↓

4番目の女性はカメラを持っているだけかも?
当時はまだまだ飛行機の旅は日常ではなかったので、
機窓から写真を撮ったり双眼鏡で眺める人もいたのでしょう。
今の人は何かあったらすぐに携帯で撮ります。
機窓から写真を撮ったり双眼鏡で眺める人もいたのでしょう。
今の人は何かあったらすぐに携帯で撮ります。
■インフライト・ダイニング

食事中の人
↓

最後尾ラウンジ前の席には食事が配られています

当時のクリーブランド「メインライン」機内食メニューです。
暖かいコンソメ
クラッカー
ビーフテンダーロインチップ
ワインソース
ニューガーデン豆添え
クラッカー
ビーフテンダーロインチップ
ワインソース
ニューガーデン豆添え
バターロール
トスグリーンサラダ
シェフズドレッシング添え
チョコレートカップケーキ
または
チーズとクラッカー
コーヒー 紅茶 ミルク
チーズとクラッカー
コーヒー 紅茶 ミルク
「グルメなお食事」
熱々、新鮮で風味豊かな、最高のデラックスミールサービスです。
ユナイテッド航空専属のコンチネンタルシェフが、
「レッドカーペット」フルコースのお食事をご用意いたします。
そういえば、ユナイテッドのクラブラウンジ、
確か昔は「レッドカーペットクラブ」と言ってましたっけ。
ユナイテッド航空専属のコンチネンタルシェフが、
「レッドカーペット」フルコースのお食事をご用意いたします。
そういえば、ユナイテッドのクラブラウンジ、
確か昔は「レッドカーペットクラブ」と言ってましたっけ。

レッドカーペットサービス
いつのまにか聞かなくなって、「ポラリスラウンジ」ができたなあ、
と改めて調べてみたら、2010年にコンチネンタル航空と合併した時、
「レッドカーペット」はなくなり、今のクラブは
「グローバルファーストラウンジ」という名称になっていました。
「ポラリス」はその中でもビジネス以上の客対象ラウンジです。
いつのまにか聞かなくなって、「ポラリスラウンジ」ができたなあ、
と改めて調べてみたら、2010年にコンチネンタル航空と合併した時、
「レッドカーペット」はなくなり、今のクラブは
「グローバルファーストラウンジ」という名称になっていました。
「ポラリス」はその中でもビジネス以上の客対象ラウンジです。

こちらは飛行機を「空飛ぶカーペット」に喩えたアメリカン航空。
大西洋横断旅行者のお客様のために:
アメリカン・スタンダードのサービスは、
王様と女王様にふさわしい品質です
アメリカン・スタンダードのサービスは、
王様と女王様にふさわしい品質です
王と女王がカーペットに乗って大西洋を横断しています。
■ヤングスター
■ヤングスター

お子様
↓

↓

4人乗っています

キャピタルエアラインのアメニティバッグ。おそらく子供用。
キャピタル航空は1936年から1961年まで存在した航空会社で、
1961年に財務状況の悪化でユナイテッドエアラインに合併されました。
1948年の時点で世界初の機内テレビを導入した会社です。
1961年に財務状況の悪化でユナイテッドエアラインに合併されました。
1948年の時点で世界初の機内テレビを導入した会社です。

キャピタル航空のヴィッカーズバイカウント型ミニチュア。
VISCOUNTをバイカウントと読むのは、ヨーロッパの貴族爵位で
「子爵」を意味するこの言葉はそう読むことになっているからです。
ただ、これを「ヴィスカウント」と発音しても間違いではないそうです。
バイカウントは1953年に就航したイギリスの中距離ターボプロップ旅客機。
1980年代にはまだブリティッシュエアウェイズやVAで使用されていました。

MKがまだ小さいとき、飛行機に乗ると必ず子供用グッズがもらえました。
JALやANAなどの国内線は、バスケットからおもちゃを選ぶことが多く、
ユナイテッドでは確かウィングマークのバッジだったと記憶しますが、
その慣習?はかなり初期から始まっていたようです。
このカードは、デルタエアラインに乗った子供がもらえる
「ジュニアスチュワーデス ウィングス」
これはあなたのDELTA Junior 客室乗務員ウィングスです
すべてのデルタ航空の客室乗務員はゴールデンウィングスを着用しています…
「未来の客室乗務員」として、あなたもウィングスを着用してください。
このウィングスを、私たちの贈り物としてお受け取りください。
デルタ航空

あなたのJR. PILOT ウィングス
「ウェスタン」のパイロットはウィングスを誇りを持って身につけます。
JR. PILOTとして、あなたもこのウィングスを身につけましょう。
ウェスタン航空
そうそう、まさにMKがもらったのはこんなウィングスでいた。
ウェスタン航空のトレードマークは、この頃にも
「チーフ」と言われる酋長の意匠を引き続き使用しています。
JR. PILOTとして、あなたもこのウィングスを身につけましょう。
ウェスタン航空
そうそう、まさにMKがもらったのはこんなウィングスでいた。
ウェスタン航空のトレードマークは、この頃にも
「チーフ」と言われる酋長の意匠を引き続き使用しています。
コンチネンタル航空のパンフにはこう書かれています。
子供たちもGo Travelが大好き!
小さなお客様との旅行も、飛行機なら「朝飯前」です。
コンチネンタルの客室乗務員が、ブランケット、
コミックブック、またはクレヨンと紙をご用意し、
お子様たちが快適に過ごせるようお手伝いします。
そしてお母様も100%満足なさるでしょう。
コンチネンタルの客室乗務員が、ブランケット、
コミックブック、またはクレヨンと紙をご用意し、
お子様たちが快適に過ごせるようお手伝いします。
そしてお母様も100%満足なさるでしょう。
ちなみに「朝飯前」は、「ダックスープ」が原文です。
ダックスープは簡単に達成できる仕事や課題、という意味を持ちますが、
マルクス兄弟(また出たマルクス兄弟)の1933年の映画
「ダック・スープ」(Dack Soup)
1902年のT.A.ドーガンの漫画
が出典であるとされています。
ちなみに、マルクス兄弟の映画の邦題は
「ダック・スープ」(Dack Soup)
1902年のT.A.ドーガンの漫画
が出典であるとされています。
ちなみに、マルクス兄弟の映画の邦題は

「吾輩はカモである」
この邦題を付けた偉大な先人の顔をぜひ見てみたい

博物館が引用したユナイテッドのパンフ

同じくコンチネンタル航空

同じくコンチネンタル航空
この頃の航空客獲得のために、上に挙げたユナイテッド航空の
「レッドカーペットサービス」や、アメリカン航空の
「王様と女王様のようなサービス」など、航空会社の広告は
乗客が手厚いサービスを受けられることを熱心にアピールしました。
続く。