ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

アメリカの親友〜西海岸生活

2023-08-31 | アメリカ

インターネットに向かう時間をこちらに来てから減らしました。

この度起こった出来事によるわたしの精神不調と、
そこから自分を立て直すための対策です。

そして、ここからが事務連絡なのですが、
今後は決して「無理しない」ことを優先してアップしていきます。

個人的な興味の範疇であるごく限られた話題について発信し、
それをネットを通して人々と共有することを趣味として
長い間心から楽しんでやってきたブログ運営ですが、
今回のメンタルダウンで、多少なりとも「義務感」が生じたと感じました。

更新の頻度は多少減るかもしれませんが、さはさりながら、
ブログ運営はわたしにとってひとつの精神安定剤である一面もあり、
当分の間は皆様と共有したい未発表の情報もありますので、
今後もどうか長い目でお付き合いいただけましたら幸いです。



■ 「会えなくなった」アメリカの親友



ゴールデンゲートブリッジ近くの海岸は、
サンフランシスコに立ち寄ることがあったら必ず一度は車を停めます。

以前はこの後ろ側に「ザ・クリフ」というレストランがあって、
そこがお気に入りだったわたしたちは、何度となくここで
美味しい料理とデザートを楽しんだものでしたが、疫病流行後、
レストランは経営できなくなったらしく閉店し、絶好の立地にも関わらず
この跡地に何かできるという噂も今のところありません。

レストランと売店とカジュアルなカフェがあった頃には
この道路沿いに車を停めるのも大変でしたが、今ではガラガラ。

それもそのはず、この付近は夏でも太平洋からの猛烈に強い冷風が吹くので、
週末海岸にいるのはほとんどがサーファーと物好きな観光客くらい。
しかも、寒さに耐えきれずに皆すぐに車に戻ってしまうため、
飲食店がなくなった今となっては誰もこんなところに車を停めません。

わたしたちも3分後には車に戻り、そのまま少し南下したところにある
MKがサンフランシスコ時代に通っていた幼稚園の前を通ることにしました。



MKが在籍していた頃は周りの目隠しはされていませんでした。
金網越しに中の様子は見えていたと記憶します。



建物の向こう側には広い園庭が広がっていて、その端に
さらに別の教室のある建物があります。



今回来てみて、道路沿いの壁の内側が鶏舎になっていたのに驚きました。
わたしたちが近づくと、特にこの鶏が激しく反応し、
高いところに飛び乗って大歓迎してくれました。


この人懐こい鶏さんがDivaであることがわかりました。
右上の鳥(ダチョウ的な)の名前「ダイアナ・ロス」は、
なんとなく羽飾り的な意味で納得のいく命名というか・・・。

園児の情操教育のために始めたのか、それとも父兄の関係者に
鶏を処分したい業者でもいたのかは謎ですが、これによると
餌やりの様子が配信されているようです。



ディーバさんは人懐こくて最後まで友好的でした。

この幼稚園は、コーポラティブ、父兄家族が積極的に保育に参加することで
経営を行う方式で、具体的には在籍時には1ヶ月に一度くらい回ってくる
おやつ当番、それから「ワーク」といって、朝から子供と登園して
主にお遊びの時のワッチを義務付けられています。

自分の子供が日頃幼稚園でどう過ごしているのか、とか、
園児同士の人間関係?親の人となりを垣間観察できる貴重な機会とあって、
わたしは思いの外この当番を楽しんでいました。

あのうちの親は離婚していて、お迎えには父と母が変わるがわる来るとか、
父と母は白人だけれど娘はアフリカ系で養子らしいとか、
だれそれの親の離婚理由は父親がガレージでお薬してたからとか、
まあ、日本では余りない感じの噂話もこういう時に耳にしたものです。

■ アメリカの「親友」

のちに私のアメリカの親友となった彼女と出会ったのも、
この幼稚園の母親同士という(ママ友ですか)縁でした。

彼女はMKの一つ年上の娘の母親で、その時から気が合い、
わたしが帰国後アメリカに滞在する時には必ず一度は会って、
食事をしたり、どこかに遊びに行ったり、長い話をして過ごしたものです。
毎年夏に一度、コロナの時以外はその再会は継続していました。

当ブログにもアメリカ滞在の話題では頻繁に登場しています。

一年に一度会うだけで、その他の時期は特にメールもしなければ
もちろんSNSでのやりとりも全くないのですが、
この何十年かのそんな付き合いの中でわたしは彼女を親友と思っていました。


そんな彼女と、今年、突然連絡が取れなくなりました。

渡米前に今年のスケジュールをメールとテキストで送りましたが、
配信はされたという表示はあるのにも関わらず、返事がないのです。

「〇〇さんと連絡取れなくなった・・・」

と家族に言うと、MKがすぐ「とにかく電話してみたら?」というので、
わたしはその言葉に背中を押されるように、電話をかけてみました。

電話番号は健在でしたが、ワンコールもしないうちに
彼女自身の声でメッセージが流れたので、わたしはとりあえず、
もしこれを聞いたら電話ください、と言って電話を切りました。

しかし、それから何日経っても、2ヶ月経った今現在に至るまで
やはり彼女からの連絡はまったくないままです。


去年、彼女とはサンマテオで会って一緒に食事しました。
その約束を取り合っているとき、彼女が、

「体調を崩していてとてもしんどいので、今整体や鍼に通っている」

と言っていたのが気になっていました。
会った時、TOと一緒に精密検査を勧めたのですが、

「診てもらったんだけど、何も悪いところはないって言われた」

と言う返事。
アメリカの医療制度では日本のように精密ドックを受けることは難しいので、
わたしたちは、

「なんなら旅行も兼ねて、日本に来て、
成田の近くの総合病院が外国人の医療ツァー向けに組んでいる
精密ドックで検査してみたら?」


と、案内をメールで送り、彼女もそれに興味を示していました。


そのときわたしは、「腰が痛い」という彼女のことばから
自覚症状なく進む最悪の病気の可能性を思い、不吉な予感がしたのですが、
一緒に食事をしているときの彼女の様子には何の変わりもなく、
普通に食べ、笑い、顔色も特に悪い様子はありませんでした。

そのとき、いつものように一年後の再会を互いに約束して別れ、
いつものようにそれっきり音沙汰のないまま、一年が経ちました。

そしてなんの疑いもなく、今年も彼女と会えるものだと思っていました。

しかし、何度電話をしてもワンコール鳴らないうちに始まるメッセージ。
あれこれと最悪の結果を考えるうちに、精神状態は落ち込んでいきました。

起きていて手にデバイスを持っている時間のほとんどを、
彼女の行方と状況を知れる手がかりを探すことと、そして
wiki(彼女はあるジャンルでバイオグラフィーが公開されている)に
書き換えられたことがないか確認すること、そして、
彼女の娘がSNSで何か発信していないか探すこと(見つからなかった)、
彼女が罹っているかもしれない病気について情報を漁ることに費やし、
その結果、見事にメンタルダウンし不眠症になってしまったのです。

そうなると今度は、自分の体の状態さえあれこれと気になり出し、
最悪の予想をしては落ち込む、というスパイラルに陥る始末。

そしてある日、一睡もできずに朝を迎えてしまったわたしは、
これではいけないと、自分で自分を立ち直らせることにしました。

まず、友人のことは一旦「忘れる」。

メールも携帯も解約されていないのだから、
何かの都合で忙しいだけで、(最悪でもファミリートラブルとか)
とにかく彼女は元気に「生きている」と信じる。

そして、ネットで病気についての情報を検索しない。

ついでに、ネガティブな内容のニュースも極力見ない。

ネガティブな内容のYouTubeの動画を一切見ない。
見ていいのは動物ものと音楽関係、映画などに限定。

寝る1時間前にはゆっくりお風呂に浸かり、精神を休めるお茶を飲む。
朝起きたらニュースではなく音楽を聴く。

できるだけ家族と楽しい時間を積極的に過ごす。
(一緒に料理することはとても効果的)

昔のアメリカの友人に連絡を取る。
(セントルイスの旧友とは連絡が取れ、今メールで情報交換中)

これだけのことを積極的にやった結果、
かなりリカバリーし、マシになりかけていたのですが、
そんなある日の明け方4時半に、実家からの電話が鳴りました。

その電話で母からおじが亡くなったことを知らされたのです。

どうしてこういうことは続けざまに起こるのでしょうか。
義母と大学の恩師が2週間違いで亡くなった時のことを思い出しました。

しかし、おじはいわば大往生の部類で、母も、葬式に列席不要、
ということを伝えるためだけに電話してきたのであって、
このことは結果として立ち直りにそれほど障害とはなりませんでした。

遠いアメリカの空の下から、記憶に残る、長身でハンサムだった
(現役時代の阪神の江本豊にそっくりだった)おじの冥福を祈った次第です。


そして今、わたしはようやく元のわたしに戻ったようですが、
悲しいことに、西海岸一帯のどこにいっても、どこを訪ねても、
そこには長い期間にわたり、彼女と訪れて過ごした場所があります。

かつて知った場所に行けば、必ずそこで過ごした彼女との思い出が蘇り、
それがわたしをなん度もなん度も打ちのめしそうになるのです。

しかし、その都度、

「またいつか会おうね」

と心の中で彼女に呼びかけてみます。
すると、携帯に残っている彼女からの最後のメッセージと同じ、

「オッケー」

という返事が、記憶に残る彼女の声で脳裏に蘇ります。





サンタクララ生活

2023-08-29 | アメリカ

サンタクララに移動して3週間が経ちました。

■自動洗車体験

冒頭の写真は、長期レンタルで車が限界まで汚れたので、
一度思い切ってこちらの自動洗車にトライしたときのものです。



スタンドのようなところで受付と支払いを済ませたら、
自分で運転して洗車場までGO!



機械に入る前に機械が洗えないところを拭く係。



レールに乗ったらニュートラルにしろ、と言われていたのですが、
ニュートラルにしたつもりがギアをブレーキに入れていました。
ブレーキがかかっていると、レールを自動走行できずに止まってしまいます。

レンタカーなのでニュートラルにすることが咄嗟にできず、まごまごしていたら
横から係りの人が手を突っ込んで直してくれました。
やれやれ、とおもたら、今度はワイパー作動!
ワイパーがオートになっていて、水に激しく反応したのです。

「ああああああ」

とかいっていたら、レールがガクンと止まりました。
わたしだけでなく、洗車中のすべての車がストップです。
もう一度おじさんが窓から手を突っ込んで直してくれました。

こちらでは雨など降らないので、ワイパーがどうなっているかなど
この時まで全く意識していなかったんですよね・・。
入る前から緊張マックスだったのに、いきなりこれだよ。



そして無事に通過を始めました。


今車が何の工程をしているかは横の看板でわかります。
このあと出口まで押し出されたら、係員の合図でレーンを抜けて洗車終了。

あードキドキした。

■ 近所を散歩する




朝、近所を散歩していたら、教会の敷地がオープンになっていたので
木陰の道に沿って入っていきました。



1917年建設された、跣足カルメル会修道女のための修道院でした。



広い庭園を一周したら緑に囲まれたマリア像が・・。



サンタクララには築100年越えの住宅が普通にたくさんありますが、
その中でも特にその大きさで目を引いていたこの建物、
フェリー・モース・シード社の創始者で、世界有数の花と野菜の種子生産者、
そして「アメリカの種子王」として知られる実業家、

チャールズ・コープランド・モース
Charles Copeland Morse(1842-1900)

の住居だそうです。
(作曲家のコープランドか、電信のモースかと思ったのに)



さらに歩いていたら広いところに出てきました。
なんとこれがサンタクララ大学でした。
大学の入りにくさでいうと5段階の4、「非常に難しい」とされ、
各種ランキングでも比較的上位に入る名門大学のひとつです。



イエズス会によって同州で最初に創立された四学期制の私立大学で、
ローマ・カトリック系共学大学として上智大学と学生交換協定を結んでいます。

■ GoogleアプリのCM

今度の家は大画面のモニターが居間、寝室、プレイルームと三つあり、
ゲストもログインせずに見られるMAXやtubi、Netflixで
PCに向かう時間、極力映画を観るようにしています。

MAXではまだ日本で公開されていない、「And Just Like That..」
(Sex and The Cityの続編)のシーズン2も観ましたし、
(シーズン1より見てられないシーンが多かった)
なんとここで紹介したナチスの脅威啓蒙映画、
「49th Parallel」(潜水艦轟沈す)
を、無駄にいい画質の大画面で観ましたし、MKのおすすめ?で
ブラッド・ピットの「ブレット・トレイン」まで観てしまいました。

無料の映画にはときおり広告が入るのですが、
MAXを見ているとしょっちゅう出てくる、
Googleアプリの宣伝が気に入ったので紹介します。



「ハイ、バービー」「ハイ、バービー」と皆とSNSで挨拶するところから
始まるこのアドの主人公はこの女の子。
映画「バービー」に便乗したこのCMで、彼女は
バービーリスペクトのため、全身ピンクに包んでいます。

こちらでもこういう時にはぽっちゃりさんが採用される傾向。
この人は、メグ・スタルターという女優さんらしい。


ここは「バービーランド」。
この世界では、皆あいさつに「ハーイ、バービー」というのがデフォです。

「バービーランドではわからないことはないけど、
ここ現実の世界では、わたしいつも『それって何?』って思うの」



「これって何?」



「ありがたいことに、Google アプリを使用すると、
レンズで検索できちゃうの・・。」




「へー、チャックワラね。わらーっぷ」

チャックワラはイグアナの一種とおもわれます。
ワラップは、What's Upをチャック『ワラ』とかけて発音してます。



「隣に住んでいるカナダ人の恋人、
ジャン-ピエールからのメモを翻訳することもできるの」




(フランス語を翻訳)
「僕の駐車場所を盗むのはやめてくれ!」



「それならわたしの心を盗むのもやめてよね!ボーイ」



プレートナンバーの「KENWHO?」に注目。



「今日やりたいことは・・・そうね、ジャグジーかな?
・・ああああっ!



「なんなのおー!これは!」



「グーグルアプリなら必要な色を見つけることができるわ。
それはわたしの場合、ピンク一択よ!」



「レンズの助けで、何か探したかったら
ただ見るだけで検索できてしまうのよ」



「たとえば『枯れた植木』」



『乾いた、または葉が茶色くなった植物は水に浸けましょう』

「この子たちにはお水が必要なのね!」



「どすこーい!」


(とはもちろん言ってない)



「サンキューグーグル、次は何?」



終わり

アメリカでは映画の合間にもこのCMが放映されるそうですが、
最初に見た人は皆笑うそうです。

New ways to search: Barbie (featuring Meg Stalter)

動画で見たい方のために



車で5分くらいのところに巨大モールがあります。
モールのラーメン店「NAGI」とうどん屋の「丸亀製麺」は、
平日でも1〜2時間の列ができていて、わたしたち日本人には
あの程度のものに並ぶかなあ?という気がするのですが、
そういうわたしたちは、台湾飲茶の鼎泰豊(ディンタイホン)に入るのに
1時間半待ってしまいました。

ここは並ばなくても携帯で呼び出してくれるので、
モールで時間を潰すことができたのですが、
いざ順番が来て頼んでみると、これも待つほどかなあ?という感じ。

台湾で鼎泰豊の社長さんというおじさんを紹介してもらって
(王貞治後援会を通じたコネクションだった気がする)
本場のを食べましたが、それとはずいぶん違うなあと。

凪もそうですが、一風堂も丸亀も、支店がたくさんできて
海外まで進出している時点でもう「別物」になったと考えるべきですね。



鼎泰豊の順番を待つ間Apple Storeに行ったりしたのですが、
なぜかペット連れ込み禁止のモール内に犬の集団が・・・。
皆珍しげに写真を撮っていましたが、これなんだったのか・・。
わんちゃんたちは皆おとなしく床で座っています。



家に帰ったら、同じような光景が(ただし猫)


続く。




お茶とコーヒーの話〜アメリカ西海岸生活

2023-08-27 | アメリカ

■ コーヒーと水の研究所で「ゲイシャ」を飲む



サンノゼの日本スーパー、「ミツワ」のあるモールに、
新しくできたコーヒーショップに行ってみました。
お店の名前が「コーヒー・ウォーター・ラボ」なんて、期待できそうです。



「ミツワ」の敷地内にあるせいか、このお店、
「コーヒーと水の研究所」と日本語のサブタイトル?がついています。

水にもこだわったロースター、ということで、
5ドルのプアオーバーを頼んでみたところ、なかなかよし。
家に帰ったらメールのアカウントに払ったカード経由で
次に来た時の2ドルのチケットが届いていたので、もう一度行って、
一番高くてやめた「ハニー・ゲイシャ」という豆を注文しました。

真ん中がわたしの頼んだ「ゲイシャ」

「ゲイシャ」(Geisha)は、世界で最も高価なコーヒーのひとつです。
「ゲイシャ」というのはエチオピア原産地の地名で、
日本の芸者とはまったく関係がありません。

味は・・・・普通でないというか、とにかく変わっていました。



スーパーマーケットのコーヒー売り場は、どこも品種が多く、
どれにするかいつも迷ってしまうのですが、一つの手がかりとして
「ローカル」と書かれた商品を選ぶのも手です。

サンタクララにある「クロマチックコーヒー」は、
そのパッケージがなかなか美味しそうで注目していたのですが、
一度朝車を飛ばして本店(ここしかありませんが)に行ってみました。



一つのロースターでこのバラエティの多さはさすが有名店。


コーヒー屋とレインボーフラッグの親和性の高さは異常。

カフェは閉鎖していて、中で注文したコーヒーを
外の窓で受け取るという方式でした。

コロナ以降人手を減らしてこの形で営業しているのでしょう。

■ ティーテイスティング

Mサンフランシスコのお気に入りのティーショップ、
SONG TEAの週末イベント、「ティーテイスティング」があると知り、
申し込んで参加しました。
オンラインで予約がオープンになった途端、売り切れてしまう人気です。

もっとも、参加人数は一回のパーティに6人というもの。
参加費は一人50ドルと、決して安いものではありません。



ティスティングは営業開始前の9時から11時まで行われます。
9時に間に合うように車を飛ばして、まだ人気の少ない
週末のサンフランシスコに到着し、店に入れてもらいました。

すでに用意ができています。



時間には6名の参加者全員が集まりました。
2時間の間、茶ソムリエ(とはここでは言いませんが)の話を聞きながら、
5種類の台湾・中国茶を2煎ずついただくという内容です。



中国茶の淹れ方をこんなにまじまじと見たのは初めてです。
5種類を2杯ずつ飲むのは大変に思われますが、
中国式のティーカップは本当に小さいので「味わう」程度の量です。

最初はソムリエだけが喋っていましたが、他の四人の参加者が
(アジア系カップル、アジア系とアフリカ系の男性カップル)
質問をしたりして、話が弾んできました。

わたしたちは日本人特有の引っ込み思案そのものでひっそりと黙って
でも話に相槌を打ちながら参加。

アジア系カップルは自分達の話はしませんでしたが、
アフリカ系の若い男性が、ボストンの大学のビジネススクールを出ていて、
こちらで数学の勉強をしたのだが、アジア系男性と二人で
コーヒーのお店を持ちたい、というようなことまで話していました。

セッションが終了した時、全員で最後に挨拶したのですが、
そのときにわたしがアフリカ系男性に、

「わたしたちもボストンに住んでいたんですよ。
夫があなたと同じ大学にいたので」


といったところ、彼は、わたしが着ていたパーカのMKの大学のロゴを見て、

「じゃその大学には?」

と聞くので、

「これが行っております」

とMKを指差したところ、驚いたことに、彼が数学を勉強したという
こちらの大学とは、MKと同じ大学院でした。

彼とMKはその後しばし大学のカリキュラムの話で盛り上がっていました。
なんでも、MKの取った授業は「難しいので有名」で、
あれは取ってはいけないと言い伝えられているということでした。

なぜそれを取ったMK。

しかし、TOの大学とMKの大学院、同じコースを選んだ人と、
たった六人のティーテイスティングで遭遇するとは縁は異なものです。



合間にいただく果物が用意されていました。

正直最初はお茶を味わうのに50ドルって高くない?と思っていたのですが、
参加した人たちとの触れ合いも含めて、値打ちがあったと思います。



その後、ソムリエが近くにあって美味しいといっていた点心の店、
その名も「ダンプリング・ストーリー」に行ってみました。

芽キャベツを頼みましたが、これほど美味しく料理されているのは初めてです。
こんなならアメリカの子供も芽キャベツ嫌いにならないのに・・・。



小籠包は当店オリジナル、専用おたまに乗せていただきます。
これがまたよくできていて、お玉に乗せて皮を破っても
スープがこぼれ出ることなく、無事に食べることができます。
正直、この後行ったモールのティンタイホンよりかなり上でした。



魔がさしてデザートのエッグタルトを頼んでしまいました。
これは失敗。ちょっと甘すぎました。



■ ホームレスとヴァーブの店長

アメリカ生活もすっかり落ち着いて生活のサイクルができたころのこと。

MKと朝コーヒーを飲みに行く店は、ユニバーシティストリートの
バーブ(Verve)コーヒーと決まっていました。

車が停めやすく、高速の入り口まで近くて、なんといっても
プアオーバーが安定していつも美味しいからです。

一杯一杯を手で入れるプアオーバーは、人によって微妙に味が違いますが、
その微妙な違いも毎日飲んでいるからこそわかってきます。

そして、毎日同じ場所に訪れることでわかってくることも。



どうやらこの辺りでは、このVerve コーヒーが、
住民の間ではいちばん「イケてる」と認識されているらしいこと。

お店の前のこのオープンエアの道向かいは実はスターバックスなのですが、
いつ見てもここほど人は訪れていないように見えます。

ここには、20年前のスターバックスや、少し前の
日本のブルーボトルコーヒーのような、「第一線」のお店が持つ
特有の輝きと、スタッフの気概から生まれてくるらしい高揚感があります。



この日は珍しく朝の8時で曇っていますが、夏の期間、
カリフォルニアには雨は降らず、朝は爽やかな風が吹く晴天です。

お店のカウンターは外に向かってオープンエアで、人々は、
こんな恵まれた気候を当然のように享受しながら、美味しい(そして高い)
コーヒーで1日を始める自分に、心から満足しているかに見えます。

そんなこのコーヒーショップに平日はほとんど毎日訪れているうちに、
わたしは何度か、オープンエアで、明らかにホームレスであろうと思われる、
アフリカ系の若い男性を目にしました。

この辺りにはホームレスもいて、広場の角のベンチを独占し、
そこに一切合切を集めて住んでいたりするのですが、
こんなふうにカフェのスペースに入ってくることは余りありません。

いうてホームレスですから、いくらオープンスペースでも、
堂々と座っていたりすれば、おそらく客から文句も出るし、
お店としても排除せざるを得なくなるので、彼らも配慮しているのでしょう。

しかし、そのホームレスだけは、ひっそりとではありますが、
周りに人がいないとき、ベンチに荷物を置いて、
ここのマークの入ったカップで何かを大事そうに飲んでいたりします。

そして飲み終わったカップをきちんとゴミ箱に捨てて、
彼をホームレスであると窺わせる大量の荷物を持って去りますが、
一連の態度から、彼が、自分が周りに不快感を与えないように
精一杯気を遣ってふるまっているように見えました。

言い方は変ですが、その様子はいつも何やらいじらしく、
胸に詰まるものを感じてMKにもそのように話したものです。

ある朝のことです。

わたしとMKが店内でコーヒーのできるのを待っていると、
カウンターに件のホームレス男性が近づいてきました。

活気のあるカウンター内では、いつも数人の店員が立ち働いていますが、
この日はその中に、ここの店長らしい、いかつい感じの白人店員がいました。

ホームレス男性が黙ってその男性の前に近づき、前に立ったところ、
店長(たぶん)は、これまた何もいわずに、アイス用カップに
たっぷりの水と氷を少々入れて、黙ってカウンターに置いたのです。

ホームレス男性は、もしかしたら一言何か言ったかもしれません。

が、黙ってカップを受け取り、ペーパーナプキンを一枚手に取ると、
他のものに彼の手が触れないように細心の注意を払いながら、
重ねられたカップの蓋を上から一枚取り、もらったカップにはめました。

そして、そのまま静かに店を出て行きました。

その後、店長らしき男性がカウンターにいないときには、
ホームレスも現れないことにわたしは気がつきました。

どういうことがきっかけでこのやりとりが始まったのでしょうか。

ただ一つ、この、おそらく店長の独断で暗黙のうちに与えられる
一杯の清潔なカップに満たされた水が、ホームレスの男性にとって
生きる気力の助けになっているであろうことは容易く想像されます。

帰国までにまた彼を見ることがあったら、そのとき
「これであなたのためにコーヒーを買ってください」
といってお金を渡すことはありだろうか、なしだろうか。

わたしは今、そのことを密かに悩んでいます。



アフタートルピードルーム〜シカゴ科学産業博物艦〜U 505艦内ツァー

2023-08-25 | 軍艦

長らく語ってきたU-505シリーズ、ついに最終回となりました。

艦尾最後の区画は後部魚雷室です。
このコンパートメントには 16 人の乗組員が宿舎を共有していました。



前部トルピードルームの場合と同様に、乗組員は交替で寝台を使用し、
片方のシフトが寝ている間、もう一方のシフトは勤務を行います。

何度も書いているように、現代のアメリカの潜水艦乗組員は
これを「ホットバンキング」と呼んでいます。



後部魚雷発射管は、前部魚雷室にあるものと同様、装填されたままであり、
司令塔の制御装置を使用して艦長の命令に応じて発射されました。

魚雷が発射される順序 (単独またはグループ) と、
深度と針路を決定する発射前のデータは、
個々の魚雷の電気制御によって決定されました。

同時に、電気関係が故障した場合の予防措置として
魚雷室には手動制御装置が設置されていました。

艦長が発射命令を出すと、失敗を防ぐため、
司令塔のボタンと魚雷室のボタンは同時に押されました。

どちらか単独でも発射されますが、リスク軽減のためです。



この部分に続くハッチは取り払われず残されています。

ご覧のように、2 つの魚雷発射管ドアの左右両方に寝台があります。

アメリカ海軍のタスクフォースがU-505を捕獲したとき、
ボーディング・パーティのメンバーは、ここに足を踏み入れながら
ブービートラップが仕掛けられているのではないかと考えたそうです。

その理由は、U-505の捕虜が、ここは浸水したはずと言っていたからでした。



実際は誰もおらず、浸水も起こっていなかったことから、
トラップの類はないと判断したダン・ギャラリー大佐は、
ハッチを開けて通り抜け、アール・トロシーノ司令と一緒に
アフターステアリングホイール(写真の魚雷ハッチの間)、
艦体中央部にハシゴを設置しています。

■魚雷発射

天井部分

魚雷発射の指令が下り、発射ボタンを押すと圧縮空気が放出され、
ピストンに作用して魚雷が管から水中に射出されました。

その後、魚雷の電気モーターが引き継ぎ、
魚雷をターゲットに向かって駆動させていきます。

もし、ピストンを動かした際発生した空気が泡となって水面に浮上すると、
潜水艦の位置が特定されてしまいます。

そうならないために、魚雷が発射されると同時に海水が魚雷発射管に浸入し、
潜水艦の内部空間に流出してくる仕組みでした。

このチューブに再び魚雷を装填すると、水は排出されます。



    ■後部魚雷室の生活


潜水艦の生活とは「狭い」の一言に表されます。

それはどこの国に限らず、任務に従事する人々に特別な問題を引き起こし、
長期にわたる継続的な問題が戦闘の突然のストレスをさらに増大させました。

例えば、潜水艦では他の任務に比べると
軍事的なプロトコルはそう重要視されませんでしたが、
その分各個人の責任はより重くなるのが常です。

U-505 の乗組員は、15〜20 人のクルーと 20〜25 人の技術者、
という 2 つのカテゴリーに分類されました。

乗組員は 3 交替制でそれぞれ 4時間ずつ勤務し、技術者
(無線/音響要員とレーダー要員、機関室および管制室助手など)
は2交替制で6時間勤務とされました。

戦闘以外の時間は、食事、掃除、睡眠、訓練がなければ
読書、カードゲーム、レコードやラジオを聴くことに当てられます。

ただし浮上中に荒波でボートが揺れた場合、睡眠はほぼ不可能でした。
多くの場合、彼らは寝台から床板に叩きつけられたり、
隣人の寝台に放り込まれたりしました。
時には寝台全体が外れてデッキを前後に滑り落ち、
その居住者がマットレスにしがみついていることさえありました。

そして、艦首部分に積み上げられた野菜、パン、ブリキ缶が、
休息を求めている乗組員たちの上に頻繁に落ちてきました。

下の寝台で寝ていて、不運にも、熱湯のコーヒーに浸かることもあります。

このような、ただでさえ不安と緊張の哨戒が続けば、
乗組員が疲れ果てていたのも不思議ではありませんでした。



ここまでご紹介してきて、シャワールームがないことに
気づかれた方はおられるでしょうか。

そう、Uボートには専門の入浴設備がありませんでした。

それでは入浴はどうしていたかというと、機関室で、
温かいディーゼルエンジン冷却液を供給する即席のノズルを使って
時折塩水シャワーを浴びていました。(それって入浴じゃねーし)
海水で洗う際には普通の石鹸は泡立たないので、専用の石鹸を使用しました。

潜水艦が敵海域になく、機会があれば、
外海で泳ぐのは彼らにとって至福の体験となりました。

しかし、大西洋で展開する作戦中、そんな機会は滅多になく、
ブリッジで見張りする当直士官とワッチ当番は絶えず風雨にさらされて、
彼らの髪とひげは、叩きつけられる海水によって耐え難く不潔になり、
ぐちゃぐちゃになり、固まってしまって、どんなに上等の櫛をもってしても、
汚れをほぐそうとすると歯が欠けてしまうほどでした。

そこで、そのうち乗員は諦めて、髪や髭をそのまま放置し、
せめて臭いを中和するために白樺の水を全身にふりかけたりするのですが、
そんなもので何とかなるわけもなく、臭いは人それぞれ違うようでした。

そして頻繁に潜航を余儀なくされる長期のパトロールでは、
特に熱帯海域で活動する場合、ボート内の臭いは凄まじいものになりました。



ディーゼル燃料の煙、体の汗、船酔いの悪臭、
水洗トイレ悪臭と食べ物を調理する匂いが組み合わさって、
生活環境は地獄のような匂いに圧倒されるようになりました。

乗組員たちは不平を言いながらも次第に順応して粛々と作業を続けました。



実際、その生活は異常で特殊ものであるにもかかわらず、
というかだからこそ、U ボートの任務では通常、
特別な形の友情というか人間関係が生まれました。

元U-505機関兵曹のヴェルナー・レーは、次のように証言しています。

私は、クルー全員が経験したことの中で、
一緒に生活する上で影響を受けたことは何もありません。

実際、私がそう認識したように、誰もが自分の義務を果たしました。

当然のことながら、一度も日の目を見ることなく
3ヶ月も海上で過ごすというプレッシャーの中、ある種の軋轢はありました。

険悪になることもあったし厳しい言葉を投げつけ合うこともあった。
私はそれに異議を唱えません。

そして、指揮系統の中で、例えば誰かが義務を果たさなかった場合、
「一週間の便器掃除だ!」
などの懲罰で脅されることがあったことにも異議を唱えません。
私自身がそれを経験したことはありませんが。

しかしこれより悪いことは何もあり得ません。
私たちが統制されたコミュニティではなかった証拠は
少なくとも私はなにも持っていません。



最後に、U-505と同型の潜水艦が
12週間の哨戒に搭載した食料を書き出しておきます。

2,180kg 保存・缶詰食料
1,750kg ジャガイモ
1,555kg その他野菜 
556kg パン生地 
933kg 保存パン
 1,072kg 果物 
789kg 粉ミルク
224kg 新鮮な肉と調理済みの肉
108kg ソーセージ
200kg フルーツジュース 
151kg保存魚
180kg 干し芋 
210kgご飯と麺類
267kg 新鮮な卵
416kg フレッシュレモン
250kg バターとマーガリン
277kg スープの材料
185kg マーマレードとはちみつ 
140kg フレッシュチーズと保存チーズ
70kg コーヒー 
93kg 他の飲み物 
200kg 砂糖
60kg 塩 
45kg チョコレート


注: レモンとライムは1247年にイギリス海軍の士官、ジェームス・リンドが、
ビタミン C 不足による壊血病を防ぐため、最初に導入しました。

リンドは患者を対象に実験を行ってこの仮説を実証しましたが、
イギリス海軍に柑橘類の導入を説得するまでに41年かかりました。

最終的に、イギリスは病気予防に効くレモンやオレンジジュースの代わりに
ライムジュースを提供したため、そののち、船員のことを
「ライミー」と呼ぶ慣習が生まれたということです。




■項末付録;米海軍潜水艦スラング集
【T・U・V・W・Y・Z】

ついでに便乗して掲載してきたアメリカ海軍潜水艦スラングも最終回です。

イルカの鋲打ち
新しく潜水資格を得た者がドルフィンマークの鋲を胸に打ち付ける、
という絶滅寸前の伝統
残念なことに、調子に乗って強く叩きつけて胸に怪我をした者もいる
今日の潜水艦部隊では、イルカにタックすることはタブーである


"潜航!深く!圧力も熱も関係ねー!深度500ft!" 
船を沈めるか、より深い深度に変更するための無許可の詩的なコマンド

"Take her up to broach depth" 
潜水艦のブローチ(船体で海面を割ること)により
探知されやすいと評判のダイビングオフィサーが、
天候や海況が極めて悪くブローチが予想される場合に使用する
無許可のフレーズ

ターゲット 
海面にいるあらゆる船やボートを表現する用語

“Target a city, Aim for the county, Get the state”
(都市を狙い、郡を狙い、州を得る")
核兵器の標的について言及した非公式FTBモットー

TDU it 
 Trash Disposal Unit(ゴミ処理装置)
ゴミ箱に何かを捨てること
水上海軍ではディープシックスと呼ばれる

ハッカーカードの10パンチ穴 
酷い映画をずっと座って観続けた潜水艦乗りのためのもので、
パンチの数は、その映画がどれだけひどいと評価されたかを示している

"バンクに空気、タンクにshit、火災心配なし、浸水で消せる" 
もう一つのワッチ交代時の申し送り(もちろん非公式)

"There ain't no slack in a fast attack" 
(素早い攻撃にゆるみなし)
ファストアタックの乗組員が厳守する厳しい海上時間のスケジュールと、
他の誰よりもうまく仕事をしているという彼らの考え


"3リール目にtitがある" 
映画で女性が胸元を露出しているシーンがあるときの申し送り
ピンポイントで何度も巻き戻されて再生される

The Skinny 
最新のニュースや噂のこと
ホットコックやスカットルバットとも呼ばれる

"このページは意図的に空白にしてあります。" 
マニュアルやログのページで、意図的に空白にされたページに書かれる

スリーフェイズ・フラットコック
エレクトリシャン

T.I. Mast
Telemetry Instrumentation Mast
ミサイル試験時にS.S.B.N.に取り付けられる
T.I.マストは潜水艦が発射深度まで潜った状態でも水面上に突き出ており、
発射や射程の情報を送受信するためのもの

Tits Up 
壊れている、操作できない、死んでいる
(「仰向け」になっていることから)
「タンゴ・ユニフォーム」と呼ばれることもある

TLD
 放射線への被ばくを測定するための熱ルミネッセンス線量計

“Train like you fight, fight like you train”
「戦うように訓練し、訓練するように戦え」

どの訓練棟にもあるポスターに書かれている、最も一般的な潜水艦の言葉

トリム・パーティー 
 新しく資格を取得した潜水士や当直長によく行われるいたずらで、
トリムに影響を与えるために、乗員やその他の重りを前後に移動させる

T.S.T.C. 
Too Short To Care.
(短すぎて気が付かない)

Turn to 
始める


Tweener 
一般にbetweenからきた、中産階級的安定思考の人のこと
弾道ミサイル潜水艦のミサイル技師に対する愛称

ミサイル・コンパートメントは、前部(conorコナー)と
機関部(Nukeヌーク)の「中間」にあるため

Two fisted gagger 
信じられないほどひどい映画

タイプライター修理工

暗号技術者、スプーク、特殊作戦ライダー

Ustafish
 以前所属していた潜水艦の司令部のこと
よく「USTAFISHではそんなことはしない」というように使われ、
たいていはその場にいる他の人たちから激しいツッコミが入る

ヴェントカバー 
仔牛のカツレツにパン粉をつけたもの

ビタミンR 
ラビオリ

ウォータースラッグ(ウミウシ)
最初に魚雷を装填せずに潜水艦の魚雷発射管を撃つこと

新参者の資格なしに対するジョークとして使われることが多い
ウォータースラッグを撃つと、射手は魚雷発射管をきれいに掃除させられる

WESTPACウィドウ
一時的に浮気できる他の海軍軍人を探す潜水艦乗組員の妻
「ブーマー(SSBN)未亡人」と似ている
夫が出撃した夜、ネイビークラブで見かけることが多い

Wheel Book
 6インチ×9インチのスパイラル製本のメモ帳で、
海軍に入隊した初日からメモを取るために使用される

"パトロールから帰ったら99枚の小銭を持って庭に投げ、
100枚見つけるまで帰ってくるなと子供たちに言う" 
潜水艦乗りが、海から帰った後に妻と二人の時間を持つための知恵

White Line Warranty 
係留索を放り出して航行するまでの間、品質が保証されているもの

"君はグリーンカードを持っている。だからそこにいる" 
海軍のIDカードを持っていることをいう、時に最も嫌われるフレーズの一つ

君は海軍の所有物だから、なにか予定があろうがなかろうが、
全く関係なくここにいるんだよ、と言われている

"You're So Vain" 
(あなたはからっぽ)
同名のカーリー・サイモンの曲
訓練で潜水艦がサブ・スキマーに探知されなかったとき、
潜水艦長が水中電話にこれを流したとか流さなかったとか


"あの匂いを嗅いだか?あれはアミンだ。

こんな匂いは世界にない...まるで...運動会だ!" 
潮気ありすぎ老潜水艦乗りが、いかに
自分が海軍に献身的であるかを示すために、非適格者に言う言葉

映画『地獄の黙示録』のカーツ大佐の

“You smell that?
 That’s napalm and there’s no smell like it in the world.
It smells like...victory”.

「この匂い、わかるか?
ナパームだ。こんな匂いは世界にない。
勝利の匂いがするぜ」

というセリフが元ネタ

Zulu 5 Oscar
ズールー5オスカー 
潜水艦で行われるセキュリティテスト
通常、上位機関の指示により、意図的に誰か
(保安検査実地許可証を持たせる)
を無許可で船に乗り込ませて対応をチェックする
標準的な侵入者対応訓練である

この任務をおこなう者は、なかなか面白い体験ができるが、
あとで身分を明かしても、潜水艦の乗員に腹立ち紛れに?
乱暴に扱われて、芋の袋のように桟橋に下ろされることもしばしば



さて、本シリーズ最後に、MSIのお土産ショップの写真を。

わたしはここでU-505の写真集を買いました。

最初は全ページ写真に撮って、本体はどこかで処分するつもりでしたが、
どうしても本を捨てるということができず、最終的に持って帰りました。

今回U-505について書くのに、実際の本をめくりながら見ることができ、
本当に持って帰って良かったと思っています。



CATSTRONAUTは猫用マスク?


U-505 MSIシリーズ終わり



サンタクララに移動〜Airbnbいろいろ

2023-08-23 | アメリカ

今回の滞在における2回目の引越しが完了しました。

最後の宿泊先は、Airbnbで見つけたサンタクララの一軒家です。
これまではMKの大学寮のあるパロアルト近くでしたが、
どういう生活パターンになるのかわからなかったので、
とりあえず最後はインターンシップ先に近いところを選びました。

もう一つの理由として、パロアルトよりサンタクララの方が
部屋代の相場がかなり安めだったということもあります。

しかも、3ベッドルームまるまる一軒貸し、長期契約の際の割引が大きく、
大変なお得物件を見つけ出すことができました。


同じ建築業者による住宅が6軒集まったコートのうちの1軒。
いわゆる日本の建売住宅みたいなものです。



上空から見るとこんな感じ。
家の前には各戸2台ずつ車を停めるスペースがあり、
さらに巨大なガレージも内蔵されています。



ドアを開けてわたしたちは思わず歓声を上げました。
今年の5月からAirbnbとなったこの家は、
素晴らしいセンスで改装された超おしゃれな内装でした。

築年数は2〜30年くらい経っているのかもしれませんが、
壁の塗り替えはもちろん、床もフルリノベーションされていています。

壁に設置されたバスケットゴールは、もちろん飾りですが、
これで遊ぶことができるようにいくつかの軽いボールが用意されていました。

中学生時代はバスケ部のカットインポイントゲッターだったわたし、
つい昔とった杵柄とばかりにトライしてみましたが、
勝手が違いすぎて、今のところまだ一回もゴールできていません。

オーナーはバスケットボールファンで、自分自身もプレイしていた模様。
(YouTubeのアカウントの写真が小学生の大会で優勝した時のものだった)



家の中のフロアに段差があると、広がりを感じます。
リビングルームから先には、キッチンとダイニングルーム。



ダイニングルーム。
窓際の飾り棚にはアナログ式レコードプレイヤーがあります。
ただしかけるべきレコードはない模様。



ダイニングルームには本物の暖炉!
「アメリカ人は今時本物の暖炉など使わない」
と前回言い切ってしまってすみません。

暖炉の上の絵といい、置いてあるものといい、
全体的にトーンが調和しオーナーの卓越したセンスが表れていて、
まるでクレート&バーレルかイーサン・アレンのモデルルームみたいです。

Airbnbに掲載されている写真は概ね実物より良く写るので、
実際が写真のイメージ通りだったことは一度もありませんが、
今回初めて写真より実物の方が良いという例に遭遇しました。

■ 前回Airbnbオーナーの「違和感」



キッチンも広々しています。
手前のカートにはコンプリメンタリーのウィスキー。

そういえば、この前に住んでいた物件のオーナーは、
宿泊者に飲食物は一切提供しないという固い意志を持った人でした。
ハウスルールにはこんな文言があったものです。

「冷蔵庫や棚の食品庫にあるものは全てオーナーのものですから
絶対に手をつけないでください。

ここから5分歩いたところにスーパーマーケットがあります」

ハウスルールの細かい部分はオーナーごとに違いますが、
ほとんどのAirbnbは、短期宿泊者へのサービスとして調味料やコーヒー、
お茶、ソース、冷凍食品や前の利用者が残していった保存食などは、
コンプリメンタリーとして利用してもらうというのがほとんどです。

冷凍庫に大量に残された「手をつけるな」という冷凍品を見て、
違和感を感じたのはわたしだけではなかったらしく、ある利用者が
宿泊後の評価コメントで「unnerving」「a little odd」と書きました。

おそらく、手をつけられたくない「自分たち」の食べ物を、
なぜお金をとって宿泊に貸す部屋に大量に残しておくのか、という
家主のホスピタリティに対するユーザーとしての疑問だったと思います。

ところがオーナーはそのコメントがよっぽど気に入らなかったのか、
とんでもない反論を長文であげており、それが以下の通り。

「多くの国で食糧が不足しているのに、それを捨てることはできません。
子供たちが飢えて死にかけているのはわたしの心を傷つけています。
1分しかかかりませんから、YouTubeで『飢餓』について検索してください。
食べ物を節約したり(実際には我が国のような幾つかの国が原因)
少なくとも極端な貧困について考え、何かできるかもしれません。」

まだまだ続くのですが、なんかものすごく早口で言ってそう。

おっしゃることそのものは確かにごもっともですが、
いかんせん、「odd」の真意を取り違えたため、反論になっていません。
サービス業のAirbnbでそれはどうなのよ、といわれたのに、

「食べ物を決して無駄にしない、このアタクシのどこが悪くって?」

とイキリ立ってしまったという感じ。

ちなみにオーナーは名前から中東系の出身と思われます。

ニューヨークで仕事をしたことがある技術者と自称しており、
MKの大学にも行っていたことがある(何で行ったかはわからず)とかで、
インテリで教育熱心な母(おそらく別居中)でもあるのでしょう。

わたしには、ヨーロッパ旅行中に楽器屋で息子がピアノを弾いている写真を
誇らしげに送ってくれていました。


ちなみにチェックアウト後のわたしへのユーザーとしての評価は、

「部屋を完璧な状態で戻してくれました。
全てのカテゴリで星5つつけさせていただきました。
誰もがこのようなゲストを迎えられればいいと思います」

というものでした。

■ビリヤード台のある家


さて、今住んでいるサンタクララの家。

生活感はありませんが、外にものがでていないだけで何でも揃っています。
ただ、トースターがなかったので聞いたらアマゾンで注文してくれました。

オーナーによると皆オーブンかレンジでトースト焼くそうですが、
わたしは長期滞在なので買ってもらえたようです。

それだけではありません。

8月、何日かここサンタクララでも暑い日が続いたのですが、
オーナーは、わたしがいる間にクーラーをつけることを提案してくれました。

それまでもエアコンはありましたが、クーラー機能のないものでした。

アメリカのクーラーは日本のような室外機方式のものではなく、
ガレージにインストールする巨大な機械が主流です。
それを室内のスイッチで調整することになっていて設置が簡単です。



スイッチはこちらで主流のGoogleの「ネスト」というのが元々ついていて、
新しくなったエアコンと連動して使えます。





キッチンの外はパティオになっていて、
アメリカ人には不可欠のバーベキューグリルも完備。


それでは2階に上がってみます。
リビングルームは吹き抜けで陽がふんだんに降り注ぐ明るい空間です。

二日目から使い捨てシートのモップを買ってきて掃除していますが、
「広すぎて掃除が大変」という言葉を初めて実感しました。


こちらは主寝室。



LGの大型画面はリビングと後述するプレイルーム、
そしてこの主寝室と三箇所にあります。
Netflixで「スーツ」上映中。


主寝室にはジャグジー機能付きのバスタブとシャワー室付き。



2階にはここと、反対側に同じサイズの寝室がもう一つ、
2シンクの洗面バス、そして洗濯室があります。



なんと、ガレージを改装したプレイルームまであります。
バーカウンターとフル設備が揃ったビリヤード台、
大画面とその前のソファーセット。

ここに来てから昔取ったキュー(学生時代一瞬)とばかり、
1日1ラウンドだけプレイすることになりました。



ゴルフクラブもありますが、これはもしかしたら
お借りしてもいいってことでは・・・?
アメリカのゴルフ場は近場にたくさんあるし、
ゴルフ好きな人にとっても最高の部屋ではないかしら。


⬛︎ ねこ付き物件


当ブログで言及している「招き猫体質」のせいかどうかはわかりませんが、
わたしは街角で猫を発見する能力に長けています。

車で街中を走っていて、「あ、猫」「猫いた」とわたしがいい、
皆は「え?どこ?」「あー本当だ。すげー」という感じで、
猫発見センサーの精度にかけては自分でも驚くほどなのですが、
このときもサンフランシスコの繁華街を走っていて、
通り過ぎる建物の2階の窓に猫を発見しました。



TOに写真を撮ってもらいました。



また、今のAirbnbに夜初めて帰ってきた時、真っ暗な車の下でセンサー作動。
車を降りて暗い中にスマホを向けてみると、二匹がいました。



初めてのここでの朝を迎え、気持ちよく窓を開けたら、
そこには昨日の猫らしき二匹が・・。



ハチワレは普通にこちらをみていますが、



黒の方は怖がりさんらしい。
お隣は猫二匹飼ってるんだね、などと話していたのですが、



その次の日、黒は三匹いたことが判明しました。



プラスハチワレで、合計4匹を養っているようです。
今のところ、とくに怖がりの黒さん始め、新しい住人が
どうして自分たちにこんなに興味を持つのか戸惑っている風ですが、
1ヶ月の間に仲良くなってやろうと計画中。



猫といえば、アメリカ始めキリスト教圏では、黒猫は縁起が悪いので
保護猫でも貰い手が少ないと聞いたことがありますが、
3匹と一部引き受けているというのも珍しいかもしれません。

ちなみに、コンドウマリエさんはアメリカのセレブに人気です。
日本風の「整理術」がアメリカ人主婦のハートを鷲掴みにしています。

■ ヴィーガンカフェ



コロナ前はメイフィールドという名前のベーカリーカフェだった、
パロアルトのモール内カフェが、ヴィーガンカフェに代わっていました。

動物性食材を一切食さないヴィーガンのイメージは、
最近のネットを見る限りそのダークな面だけがクローズアップされ、
決していいものとは言えなくなっているのが残念ですが、
アメリカ、特に西海岸ではヴィーガンは一種の「スタイル」にすぎません。

日頃そうでない人も、インド料理や中華料理を選択するのと同様に、
「今日の気分」で選ぶ料理という捉えられ方をしています。

だからヴィーガンでもそうでなくても、美味しくないレストランは
客が来ませんしあっという間に淘汰されてしまいます。

しかし、ここのようにブランチにこれほどたくさんの人たちが押しかけ、
列を作るヴィーガンレストランは、ちょっと他に例を見ません。


それだけここの料理が美味しいということでしょう。

私たちが選んだのはココナッツクリームとアガベシロップを添えた
フラックスシードのパンケーキ、スイカのサラダ、
そしてココナッツチーズ、ヴィーガンパテを使ったバーガー。

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ココナッツミルクを使ったチアシードプディング。

おしゃれなこと、美味しいこと、そして人気があること。
ヴィーガンというと、美味しくなくても健康のため我慢して食べるもの、
という宗教じみたものに忌避感を感じる人もいるかと思いますが、
少なくともここでは全くそんなネガティブイメージはありません。


続く。






U-505の3人の艦長〜シカゴ科学産業博物艦

2023-08-21 | 軍艦

U-505の最後の区画を見学しています。


ディーゼルエンジンルームからエレクトリックモータールームに入り、
電気モーター室を見たところです。

潜航時、推進力となるのは通路の両側に1基ずつ設置された
定格493馬力の二つのダイナモーターです。
床レベルの部分に対である、空気穴のついた半円形の筒に収納されています。

それらに電力を供給する蓄電池は前部と後部の床下にありました。
「シルバーサイズ」で見たように、アメリカ海軍の潜水艦とは
バッテリーの位置が若干違っているように思われます。

「シルバーサイズ」のバッテリーは、士官居室の床下にありましたね。


左舷側にある「パラレル」と書かれた装備のカバー。



エレクトリックモータールーム天井。
かなり長いコードが収納されていて、何かの時は
ここから引っ張り出すのだと思うのですが、
溶接と関係あるのかどうかはわかりません。

ちなみにライトはブルーです。



右舷側のヒューズを意味する「Sichrungen」のプレートの横に、
ライオンの頭が貼り付けられていました。

これは間違いなく初代艦長のアクセル・オーラフ・ロエヴェ大尉に
敬意を表して最初に飾られたものでしょう。



ロエヴェ大尉の経歴について少し触れておきます。

彼は兵学校卒の士官ですが、19歳で水兵として海軍に入隊し、
しばらく勤務してから兵学校を卒業しており、任官したのは30歳のときです。

翌年、1940年11月にUボートの訓練を開始し、1941年4月に終了。
研修中のUボート司令官(Kommandantenschüler)として、
1941年5月8日から30日までU-74の哨戒に参加し、
指揮官としてデビューするためにUボート建造慣熟訓練(Baubelehrung)
に派遣されました。

そして1941年8月26日から新型IXC UボートU-505に就役。

13ヶ月の指揮期間中に大活躍し、3回の哨戒で7隻を撃沈しました。
中でも目覚ましかった2回目の哨戒では、
南大西洋の86日間に4隻を撃沈するという鮮やかな指揮ぶりを見せます。

しかし病気になってしまい、1941年9月5日に
U-505をペーター・ツェッヒ中尉に引き渡すことになります。

ボートを降りたあとは司令部(BdU)の作戦スタッフとして勤務し、
終戦までアルベルト・シュペーアのもとで軍需生産省に配属されていました。

哨戒 3回 海上生活182日

哨戒1. U-505 1942年1月19日 キール 1942年2月3日 ロリアン 16日
哨戒2. U-505 1942年2月11日 ロリアン 1942年5月7日 ロリアン 86日
哨戒3. U-505 1942年6月7日 ロリアン 1942年8月25日 ロリアン 80日

撃沈認定された艦船

日付 船名 トン数 国名 コンボイ

1942/3/5 Benmohr 5,920 br
1942/3/6 Sydhav 7,587 nw
1942/04/03 West Irmo 5,775 am
1942/04/04 Alphacca 5,759 nl
1942/6/28 Sea Thrush 5,447 am
1942/6/29 Thomas McKean 7,191 am
1942/07/22 Urious 153 co

7隻撃沈(37,832トン)


ロエヴェ大尉のときには大変うまく行っていたU-505ですが、
これはロエヴェ大尉が兵学校を出てキャリアを積んだベテランで
歳もそれなりにいっていたからと思われます。


自決したことだけが注目されてしまうツェッヒ中尉ですが、
経歴を改めて見てみましょう。

戦績
沈没1隻、総トン数7,173GRT

1918年10月1日 トルコ、コンスタンチノープル生まれ
1943年10月24日(25歳)北大西洋にて死去


階級
1936年4月3日 士官候補生
1936年9月10日 海軍士官候補生(Seekadett)
1937年7月1日 海軍少尉 (Fähnrich zur See)
1938 年 7 月 1 日 海軍中尉( Oberfähnrich )
1938年10月1日 海軍中尉(Leutnant zur See)
1940年10月1日 海軍中尉(Oberleutnant zur See )
1943年4月1日 艦長(Kapitänleutnant)

叙勲
1939 年 12 月 21 日 鉄十字勲章 2 級
1940年10月19日 駆逐艦戦傷章
1941.12.31 1939年Uボート戦時バッジ
1942年4月12日 鉄十字章1級

Uボート指揮官

U-505 1942年9月6日 1943年10月24日 (+)
7回(118日、*はこのパトロール中に死亡)

ペーター・ツェッヒは1936年にドイツ海軍に入隊し、
オリンピア・クルーの一員となる
1939年7月から1940年4月まで駆逐艦Z 7 「Hermann Schoemann」
その後1940年4月から10月までZ 14「 Friedrich Ihn」で航海士

1940年10月にUボート訓練を開始し、
1941年8月にU-124(Mohr)に航海士として配属される

彼はU-124で、4回の哨戒を成功させ(22隻の沈没と3隻の損傷)
その後第24(訓練)船団で司令官訓練を経て
1942年9月6日にU-505の艦長に就任

ペーター・ツェッヒはUボートの指揮官として素晴らしい素養を身につけ、
大きな期待が寄せられていた。
彼はその期待に応えることができず、多くの証言によれば、
乗組員からあまり好かれていなかった。
哨戒開始時に発見された度重なる妨害工作により、
何度も帰港を余儀なくされたことも、彼の士気に影響を与えた。

ほぼ14ヶ月の指揮期間中、彼は6回の哨戒で96日しか海に出なかった
(そのうち3回は1943年8月に1日で頓挫したものだった)。

69日間の最初の哨戒だけが何事もなく進み、その間
7,173トンの英国商船「オーシャン・ジャスティス」を南米沖で撃沈。

1943年10月24日、U-505はアゾレス諸島の東を航行中、
激しい深度爆雷の攻撃を受けた。
その際ピーター・ツェッヒは、艦内でピストル自決した。
IWOであるOblt. Paul Mayer(26歳)が指揮を執り、
追っ手を逃れて1943年11月7日にボートをロリアンに戻した。

ピーター・ツェッヒのU-505の哨戒記録

Uボートの出発地 到着地
哨戒1. 1942年10月4日 ロリアン 1942年12月12日 ロリアン 
70日
哨戒2.  1943年7月1日 ロリアン 1943年7月13日 ロリアン
 13日
哨戒3.  1943 年 8 月 1 日 ロリアン 1943 年 8 月 2 日 ロリアン 
2 日
哨戒4.  1943 年 8 月 14 日 ロリアン 1943 年 8 月 15 日 ロリアン
 2 日
哨戒5.  1943 年 8 月 21 日 ロリアン 1943 年 8 月 22 日 ロリアン 
2 日
哨戒6.  1943 年 9 月 18 日 ロリアン 1943 年 9 月 30 日 ロリアン
 3 日
哨戒7. 1943年10月9日 ロリアン 1943年11月7日 ロリアン 16日 *
* Peter Zschechは1943年10月24日、この哨戒中に死亡した。


ピーター・ツェッヒの被弾した艦船
日付 Uボート 船名 トン数 国産品 コンボイ
7 1942年11月 U-505 オーシャン・ジャスティス 7,173 br
1 隻撃沈(7,173t)



乗員たちとうまく行かず、戦闘中に自決してしまった
ペーター・ツェッヒ中尉ですが、コメント欄にもご意見があったように
兵学校卒業後、いかに最初の鑑で実績を上げても、若干25歳の中尉でした。
色んな意味で人心を掌握するには経験不足の感が拭えません。

戦時で、しかもロエヴェ大尉が病気というイレギュラーな退任だったため、
戦績を挙げたばかりの若い彼が、自分より年上が多い下士官始め、
経験のある乗員の指揮を執らざるをえなかったのは気の毒でした。



最後のランゲ中尉は、階級こそ中尉ですが、これは
彼が民間の商船出身だったからで、1903年生まれの彼は
U-505の艦長になった時には40歳と艦長としては最高齢でした。

ちなみに、ロエヴェ大尉は1909年でランゲ中尉より6歳年下です。

彼がU-505の艦長に任命されたのは、
前艦長が自殺というただならぬ状況に置かれ、しかも
そのままのメンバーで戦い続けることを余儀なくされた乗組員たちを
包み込むような包容力があると嘱望されたからでもあります。

ランゲ中尉は1943年の10月1日から実は初めてUボート艦長として
民間船からU-180に転勤したところでした。

ご存知のように、ツェッヒ艦長の自殺事件が起こったのは10月10日です。

事件を受けて、ランゲが急遽U-505の艦長に任命されましたが、
そのせいで彼はわずか1ヶ月でU-180艦長を退任しました。

いかにランゲという人の人格が期待されていたかという証拠です。


■ 項末付録:米海軍潜水艦スラング集【S】

Sail she may, shine she must 



古い船乗り用語
真鍮やクロムを磨くのが単調で、海に出ることよりも
掃除して磨くことの方が優先されるように感じたときに使う

セーラープルーフ(Sailorproof)

「ウォータープルーフ」(防水)のセーラー版
つまりセーラーが壊すことができない仕様

残念ながら、これはユニコーンやネス湖の怪物、
ビッグフットのようなもので、発見されたことはない
多くの技術者が船乗りに「強い」ものを作ろうとしたが、
成功はごく限られたというかほとんど成功したことがない

サンドバッギング(Sandbagging)

ゲームで、プレーヤーが(わざと)ベストのプレーをしないこと
通常、実力ですでに優位に立ちすぎている、相手をハッスルさせたい、
あるいは何もない状態でベストを尽くすのが面倒くさいのが理由

ハーツ、スペード、ピノクルなどで多用される

そのため多くのプレイヤーがサンドバッグ・ルールを制定し、
サンドバッグしたプレイヤーがトリックの量を過少に申告した場合
罰則対象となる

S.A.P.F.U. 
Surpassing All Previous Fuck-Ups.

これまでの失敗を超える

S.C.R.A.M. 
Safety Control Reactor Axe Man

安全制御原子炉斧男

Screwed、blue、tattooed 

 旧海軍用語で、水兵が上陸休暇や自由時間に何をしたかを表す意味
Screwedはヤル、Blueは酔う、Tattooedは刺青を入れる

スカッパートラウト 

船外に流される下水固形物や糞、または船外に汲み上げられた海中の浮遊糞
「Cornbacked Gator」またはBrown Trout」とも呼ばれる

Scuttlebutt (スカットルバット)

 ウォータークーラー・噂
(船上で水桶について集まっているときに広まる噂に由来する)
「ホット・コック」や「ザ・スキニー」とも呼ばれる

シー・ダディ

経験豊富な先輩乗組員
非公式に新しい乗組員を自分の下に置いて勝手に指導する

Seaman Schmuckatelli
シーマン・シュムカテリ

セーラーの総称で、「ジョー・ブロー」(路上の男みたいな意味)や
「ジョン・Q・パブリック」(見本に書かれる架空の名 日本の『山田一郎』)
と同様の意味で使われる

例 :タグを付けずに電気系統の作業をしていると、
そんな時に限ってシーマン・シュムカテリが回路に通電するんだ。
たちまちバチーン!ときてイカフライの出来上がりさ」

Sea P●ssy

ヨーマンまたは人事担当者のこと
秘書的な事務仕事なのでこんなふうに言われる
別名 "titless WAVE"(胸のないWAVE)

もちろん現在は死語と思われる

"フィールドデーを厳となせ! 艦内清掃を開始!" 

清潔を最も重んじる団体である米海軍は、厳格な清掃演習の1つとして、
艦全体を2時間清掃する日を「フィールドデー」としています。

一例として、「ジョージ・ワシントン」では、毎週木曜日の午後と金曜日の朝、
すべての部門の乗組員は、鑑と浮上宿泊施設(FAF)のほうき、
モップ、布、ブラシを取り出し、割り当てられたスペースを
できるだけ徹底的に深く掃除するという「訓練」を行います。

海軍では船の清潔さと誇りは間違いなく関連しているという考えで、

「艦が清潔でプロフェッショナルに見えるなら、
そこにいる者も清潔でプロフェッショナルに見える。
それは間違いなくプライドの問題である。

清掃は戦争とは関係がないように見えるかもしれないし、
一部のクルーにとって、掃除は退屈で平凡に思えるかもしれないが、
きれいな船は個人的なプロフェッショナリズムの反映であり、
それは誇りを持って突き詰める必要のある成果である」


とまで言明しています。
尤も、我が自衛隊ではそれが当たり前すぎて、いちいちこんな大袈裟に
プライドと結びつけて語る必要もないように見えますが。

で、冒頭のスラングですが、

 フィールドデーでの清掃が思うようにいかなかったときに言われる

要はやり直し!ってことね。

下水道管水兵 

ディーゼル潜水艦の乗組員
ディーゼルボートに乗っているとそんな匂いになるらしい

シャフトシール(あざらし)

シャフトの管に住む神話上の生き物

シャーウッドの森 

SSBNのミサイル・コンパートメントを表すスラング


USS「サム・レイバーン」のミサイルコンパートメント

シット・オン・ア・ラフト(S●it on a raftいかだ) 


 トーストにかけたグレイビーソースに浸した牛肉のチップス

一桁小人さん(Single digit midget)

 帰港や海軍を退役するまでの日数が10日未満になった人

Shipmate 

 乗組員仲間という意味
また、E-5以下(二等兵曹以下)に対する蔑称として使われる
士官、上級兵曹、一等兵曹は、
「お前ことをあまりよく思っておらず、名前を覚える時間もない」
ことを示すために、わざわざこれを使用する

また、優秀でない乗組員に使う場合は、
shipwreck「難破船」という言葉で代用されることもある

S●it can

ゴミ箱、またはゴミ箱に何かを捨てる行為のこと

S●it house mouse ●ハツカネズミ 

 メスコック(給養)の任務

“S●it in the tanks, air in the banks, I had it you got it”
「●はタンクに空気はバンクに、俺はすんだ、お前の番だ」 


終わったワッチから次のワッチへのよくある省略された無許可の交代劇
チーフ・オブ・ザ・ワッチがよく使う

Shower Tech 

ソナー技術者

スケート

バレないように仕事を回避する船員。
例えば、14人の作業班に配属されながら、発見されずに仕事から抜け出す


Slept out(寝た)

もう眠れないほど眠ったとき
ソナー技師、ラジオマン、航法電子技師には適用されない

スライダー 

メスデッキのチーズバーガー
油脂分が多すぎて消化器官を「滑りそう」なことから


S.L.I.F.F. 
 Silly Little Ignorant Fat F●ck.

愚かでちっぽけで無知で太った野郎

“Smile! At least your wife is getting laid”

「笑って!少なくとも奥さんは”やってる”から」

有資格者が無資格者に使う楽しい言葉
通常、非資格者がファミリー・グラムを受け取らなかった期間が
長ければ長いほど効果的であるとされる

スモーキングランプ 

喫煙が許可されている場所や時間を指定するために使われる言葉
絶滅しつつある

スモークテスト

 何かをフルパワーでテストしたり、
破損した機器の電源を入れたりすることを指す俗語

Smut locker 

まだ視聴途中の人に見られては恥ずかしいビデオを保管するための指定場所
死語

S.N.A.F.U. 

 Situation Normal All F●cked Up
Situation Normal All Fouled Up

スナッチ・イン・ザ・ハッチ 

ハッチから降りてくる女性
通常、潜水艦の乗組員は、その女性が
スカートを履いているかどうか確認するために走り出す

スナッチ・イン・ザ・ハウス(Snatch in the house) 

 潜水艦に乗船している女性

ソナーガールズ 

ソナー技師に対して使われる蔑称

Squat to Pee 
(座って用を足すこと)

 ELT(Engineering Laboratory Technician)の蔑称
女っぽいということらしい

S.S.N.

SSN(高速攻撃型)潜水艦のこと
サタデイ土曜、サンデイ日曜、ナイト夜間とかけている
週7日勤務であることにちなんで

スティールビーチ・ピクニック 

潜水艦の甲板で行われる祝賀会で、
通常はスイムコール(飛び込みさせられる)とバーベキューが行われる

Steely-eyed Stealthy Killers of the Deep 
鋼鉄の目を持つ深海のステルスキラー

潜水艦の乗組員のこと(多分自称)

スティル

蒸発器

サブマリン・シャワー

シャワーを数秒かけてかけて濡らし、シャワーを止めて泡立て、
再びシャワーを数秒かけて洗い流すという潜水艦のシャワーの掟
水を節約するために使われる

Sucking rubber
ゴムを吸う


EABマスクを装着すること

Suffers from dietary indiscretion

直訳すると「食の軽率さに苦しむ人」
太り過ぎの乗組員のこと


S.W.A.G.

Sonar Wild Ass Guess
Some Wild Ass Guess
ソナー員のことだったりそうでなかったり

Sweat pumps(汗かきポンプ)

心配性でいつも全速力で走っているような人
興奮しやすい人、またはユーモラスな状況を深刻に受け止めすぎる人

”They're sweat pumps are in high speed."
(汗のポンプが高速で動いている)

システムヘビー

特定の潜水艦のシステムに関する豊富な知識で知られる潜水艦乗りのこと

(対義語)
システムライト

逆に特定の潜水艦のシステムに関する知識があまりない潜水艦乗りのこと
非正規雇用の人や抜け駆けをしようとしている人がよく利用する


続く。



バーベンハイマーとケイリーグラント〜ベイエリアでの生活

2023-08-19 | アメリカ

■アジア系レストラン

こちらに来てから何度か外食をしましたが、どうしても
アジアン系の味を選んでしまいます。
しかも西海岸は美味しいチャイニーズレストランがたくさん。



パロアルトのユニバーシティストリートの中華で、
MKが頼んでいた肉乗せ麺。
あまりのボリュームに彼ですら食べきれず残していました。


また別の日、スタンフォードモールにある(前にはなかった)
「TARO SAN」といううどん屋さんに行ってみました。

パロアルトの太郎さん。なにか期待できそう。



確かにうどんの麺そのものは良かったです。
麺だけなら下手な日本のまずい店よりよっぽどコシがあって美味しい。


でも、決定的に出汁が何か違う。

解析はできませんが、日本のうどん出汁にはない何かが入っていました。
しかも、つけうどんも肉うどんも鴨うどんも、
同じ出汁一本槍で出てくるので、わたしたちは「うーん・・・」

カウンター内で働いているのは全員がヒスパニック系だったので、
オーナーも日本人ではない可能性は高し。

日本人オーナーならこの出汁は出さないよなあ、と思いました。


わたしはこのとき何故か無性にカキフライが食べたくなって、
(TOもMKも牡蠣は食べない)一人で頼んでしまいました。
これは日本で食べるのと全く同じでした。



これは去年も行ったサンマテオのチャイニーズ。
サンフランシスコの中華街でレストランを経営していた(に違いない)
先代の遺志を継いで、サンマテオのビジネス街にオープンしたチャイニーズは
現地の中国人にも大人気で、いつ行っても店内はまるで中国本土。

MKは迷わずにこの麻婆豆腐を頼みました。
ウィキョウの香りが独特の深みを湛えるピリ辛麻婆です。


ここのネギパンケーキがまた激うまなんだ。
ネギがたっっぷり練り込まれたふわふわの中華パンに、
ピーマンとひき肉炒めをちょっとだけ挟んでいただきます。

■バーミキュラのフライパン


こちらで買い揃えてやったテフロンのフライパンに傷がついていたので、
買い換えた方がいいね、というと、MK、

「バーミキュラのフライパンが欲しい」

でも高いから・・・と遠慮する彼。
そういえば誕生日にもクリスマスにも何もねだらなかったので、
この際買ってやることにしました。

それまで知らなかったのですが、バーミキュラって日本製なんです。
電気ポットをTOが買い込んだけど使いきれず放置されている我が家では
それほどバーミキュラの評価は高くありませんでしたが、
届いたこの名古屋本社の鋳鉄会社の製品、使ってみると優れものでした。


鍋の記念すべき使い初め料理はグラスフェッドのテンダーロイン。
バーミキュラ監修のレシピの最初のページに掲載されていました。


しばらくはバーミキュラでレシピを次々制覇していきました。
珍しくホールフーズにローカルのカモ肉が出ていたので、オレンジソースで。



ビーガンメニューもありました。
これはカリフラワーのステーキ。
丸ごとを厚切りして、レーズンとケッパーを加えたソースでいただきます。


蓋は別売り。
バーミキュラのウリは蓋ごとオーブンに入れられること。
コンロにかける際は、根本のシルバーの部分から先が熱くなります。


次の日は同じ鴨のレッグを買って、シンプルに焼いていただきました。



牛乳や小麦粉を避ける人向けに、アメリカでは早くから
オルタネイティブの食材がどこでも買えましたが、
最近は日本でも米粉やオーツドリンクが買えるようになって嬉しい限りです。

この日は、ココナッツフラワーでカップケーキを作ってみました。

■ 大学寮の”コーテシー ”フード



わたしたちはMKの居心地の良い大学寮が気に入って、
Airbnbよりももっぱらこちらで料理を作り、部屋で食べて、
時間があればわたしは寮に備え付けのピアノを弾いて過ごしました。

この日、MKがリモートワークだったので、わたしたちは
彼の部屋でランチを一緒に食べるために材料を持って行ったのですが、
敷地内にフードトラックがいてたくさん人が並んでいるのに気がつきました。

手前の赤いテントはチュロス、赤いトラックはクラムチャウダー、
緑のトラックはボバ(タピオカドリンク)やかき氷の業者です。

食後、チュロスかかき氷を買うためにトラックに行きました。
まず、チュロスは売り切れで店じまいの途中。

ならかき氷でも、と窓口の中国人のおばちゃんから受け取り、
「いくら?」と何度聞いても、「はあ?」みたいな反応をするので
困っていたら、奥から若い男性が

”It’s free. It's courtesy.”

コーテシーという言葉は、through the courtesy of…=好意によって
というニュアンスで要するに大学寮からのサービスでした。



日本のかき氷のようにふわふわとかではありませんが、
中にはゼリーのようなボバのようなものが入っていました。
こちらでも昼間は猛烈に暑くなってきていたので、
このかき氷のプレゼントはしばしの涼を届けてくれました。

この「大学寮からのコーテシー」はMKによると度々あるそうです。
別の日、わたしたちが部屋にいると、彼がスマホを見ていて

「今から一階でチキンの丸焼き配るらしいけどどうする?」

このように、情報はデバイスで住民にリアルタイムで共有されます。



その日の晩は丸焼きのモモなどをバーミキュラで温めて食べました。
残りのガラと胸肉は、次の日セロリやにんじんと一緒に煮込んで
美味しいスープになりました。

チキンの丸焼きはアメリカのスーパーでは店頭でいつでも買えます。
MKによるとこの日のチキンは「コストコのもの」ということでした。

■ ”バーベンハイマー”事件

今年の夏の話題作は、「バービー」と「オッペンハイマー」。
しかもその2作品がアメリカでは同じ日に公開されるということを
わたしはMKから聞きました。

よりによってこの対極(何の対極かわかりませんが)にあるような作品が、
と、それだけでアメリカでは話題になっていたというわけです。

これに調子に乗ってしまった一部の人々が、
バービーの髪の毛を原子雲にしたり、オッペンハイマーを演じた俳優が
肩にバービーを乗せるなどという両作品の画像コラボに興じ、
バービーの公式がこのミームにうっかり乗っかってしまったのです。

これに対し、主に日本から不快感が表明され、
あっという間にワーナーブラザーズが謝罪をする羽目になりました。

わたしはというと、した方は忘れてもされた方は決して忘れない、
という人類共通の加害者と被害者についての心理について、
鈍感すぎた公式の宣伝担当には、もう少し慎重になるべきだったね、
くらいは思いますが、別に怒りの類の悪感情は持ちません。

我々日本人は「不謹慎」と言われるようなことには殊に敏感で、
地雷原を歩くように、それらを注意深く見つけ、
踏まないようにして世渡りしていくことを習い性のようにしていますが、
それは日本の専売特許ではなく、こと「人類の悲劇」といわれるような
原子爆弾とはじめとする悲惨な事件については、民族国家関係なく、
「世界の常識」というべきマナーでもあります。

ところがアメリカときたら、昨今LCBTQETC関係には死ぬほど敏感で、
それこそ地雷を踏まないように自主言論統制しているような風潮なのに、
どうしてこの件に関しては、ツィッター公式もネット民もやっちまったのか。

BLMに迂闊なことを言うと「人生終わる」とばかりに
固く口を閉ざす人たちが、どうしてこの件では
「日本ヘイト」を半ば嬉々として展開したのか。


この件を報じるアメリカのニュースでのインタビューで、
わたしが個人的に一番気の毒に思ったのが、
映画を見にきて、インタビュアーに例の「バーベンハイマー」から
いくつかのコラ画像を見せられた黒人女性でした。

彼女は画像を見せられるなり、

「いいわね!これ気に入ったわ」

と大笑いしたのですが、次いでインタビュアーから、

「原爆の被害にあった日本の人々はこれに怒っているそうですが」

と聞かされるや、見るも無惨なくらい気まずそうに動揺し、

「まーそれはねー・・日本の人たちとしてもねー」

とモゴモゴと口ごもりながら場を取り繕っていました。

ワーナーでは公式が謝罪した後、関係者(トップではない)が来日し、
「後悔している」とかなんとかいう言葉で謝罪したそうですが、
どう見ても日本公開での売り上げに影響しないようにという火消しであり、
少なくとも肝心のアメリカ国内に対してはノーアクションのまま、
というのがさらに一部の日本人の反感を買う結果になっているようです。

ここアメリカにいると感じるのですが、メディアを挙げてバービーバービー。
どうもこちらではかなりのヒットを見込んでブームを作ろうとしており、
現にそれに乗っかる消費者たちもいるようで・・・。

先週末、わたしとMKが大型モールにいったときのことです。

服もバッグも、人によっては靴も全身をピンクをあしらった、
アジア系の若い女性の集団がにぎやかに歩いていました。

彼女らは別にキャンペーンモデルというわけではなく、(見た目も)一般人。
ピンクがテーマのパーティに行く人たちかな、と思ってみていたら、
その騒がしい目立つ一団は、モールの映画館に向かっていきます。

「あ・・・・もしかして、バービー観に行くのかな」

「そうなんじゃない?」

気がつけばその日は公開初めての週末でした。
このように、ノリで楽しんじゃいましょう、という女子を生み出すほどには
こちらではそこそこのブームになっているということです。

もちろん、バーベンハイマーが「不謹慎」などという意見は
ほとんどのアメリカ人にとって耳にも届いていなさそうです。



映画館に向かいながら盛んに自撮りしたり仲間と撮ったり、
実に楽しそうな彼女らを観て、角を曲がった瞬間、
バスボム(一回分の入浴剤)専門店のショーウィンドウに、便乗商品を発見。

バービーはおそらくオッペンハイマーなんかより「ドル箱」なので、
ワーナーも日本向けには謝ってみせても、国内に向けては
人気に水を刺すような辛気臭い?抗議などなかったことにしたいようです。


ちなみに、検索したところ、このミームは止まるところを知らず、
「バービー✖️オッペンハイマー」「バービーvsオッペンハイマー」
などのYouTube動画が現在でも盛況です。

まあなんだ、911やBLMには許されない不謹慎も、
相手が「悪かったあの日本」なら仕方ないよとか思ってるんだろうな。

日本は怒らないし、たとえ怒っても怖くないし。

そう思ってたら日本いきなりキレて真珠湾攻撃、
ということが実際にあったわけですが、原爆投下は2度と日本が
「キレないように」という躾だったと思ってる人もいそう。



サンフランシスコのプレシドに近い商店街にあった映画館では
「ミッションインポッシブル=バービー」の組み合わせ。

こちらならどんなにコラボしても問題にならなかったのに・・。


ところでこちらをご覧ください。

アメリカにはいまだに商店街の「小さな街の映画館」が残っていて、
数は少ないですが、ヒット作品というよりは、
昔の映画を特集でリバイバル上演しています。

ピッツバーグのAirbnbの近くにもそんな映画館があって、
黒澤作品を上映していたのに驚かされたものです。

ここユニバーシティアベニューの映画館では、この週、
ケイリー・グラント映画特集と銘打って、
古き良き幾つかの作品を上映しておりました。

このシリーズ地元民には好評のようで、この日も
かつてこの映画をデートで観たかもしれない年齢の方々を中心に、
若い人たちもたくさん集まっていました。

ピンクの集団が目にも騒がしかったであろうバービー上映の映画館とは、
次元を別にする世界とも思えて、わたしは実に興味深く眺めていました。

古い白黒映画をレトロな大画面で鑑賞することができる小さな街の映画館。
その暗くて古い映画館のシートに身を埋め、ポップコーンを手に、
懐かしのスタアが演じる、もう何度も見たであろうシーンに観入る。

これもまたアメリカにいまだに残る、映画という娯楽のひとつの楽しみ方です。

続く。




エレクトリックモータールームの溶接装備〜シカゴ科学産業博物艦 U-505艦内ツァー

2023-08-17 | 軍艦

MSIのU-505艦内ツァー、続きです。

冒頭写真は、ディーゼルエンジンルームを抜けて
エレクトリック・モーター室に入ったところです。
画面の通路奥が、今通ってきたディーゼルエンジンルームです。

前方から入艦してきたので、この向きに立つと
左が左舷、右が右舷側となります。



これは左舷側の装備(昔の写真)です。

左舷側にはダイナモーターの制御盤があります。
ここでモーターとバッテリーの間の電気接続を切り替えて
さまざまな機能を実行するためにコントロールされました。



右側は電圧計ですね。
Lüfterと書かれているのは送風機のスイッチと思われます。
Batt Selbstschalterはバッテリーセルフスイッチ。


ダイナモーターとは電動発電機の一種で、
用途や部分構造は、発電動機と殆ど同じだそうです。

発電動機より構造がやや複雑で大型でありますが、
高効率で出力電圧安定度が高いとのことです。


これもそのパネルの一部ですが、どうやら展示のために
外側パネルを外して中が見えるようにしてあるようです。

機器製造者は

Siemens-Schuckert ジーメンス・シュッケルト

現在では普通にアメリカで「シーメンス」として展開していますが、
爆撃機やエンジンなど多くの設計を手がけたドイツの企業です。

横向きには

Schweißbetieb 溶接
(スイッチ位置I)
Normalstellung 通常位置
(スイッチ位置II)

とペイントされています。
電気アーク溶接に十分な電力を生成するための発電機です。

電気アーク溶接とは、「アーク放電」という電気的現象、
気体の放電現象の一種で、空気中に発生する電流を利用します。

空間的に離れた2つの電極に電圧をかけていくと、
やがて空気の絶縁が破壊されて2つの電極の間に電流が発生し、
同時に強い光と高い熱を発生しますが、
このとき発生する弧(Arc)状の光を「アーク」といい、
アークの熱を熱源として利用する溶接方法が「アーク溶接」です。

アーク溶接では、電極(溶接棒またはワイヤ)にプラス、
母材にマイナスの電圧をかけます。
すると、母材から電極へのアークが発生します。
母材と電極は、高温になり溶け込んで接合されます。

このほかUボートにはアセチレンの溶接装置も搭載されていました。

溶接がなぜここまで重要かについては、
潜水艦が鉄の塊であることを考えていただければいいでしょう。

木造の船ならダメコンの際木材を破損場所に突っ込みますが、
鉄の船は溶接がイコールプライマリー・ダメージコントロールとなります。



こちらも内部を見せるためパネルをとってアクリルで中を見せています。
やはり製造会社はジーメンスで、下のハンドルの上には

Tiefer← SPannung→Hoher
「低い←電圧→高い」

とあります。
これは、電気モーターをスクリューに接続するクラッチだと思われます。


右舷側にはコンプレッサーがあり、電気モーターを動力源としています。


補助パネル

このコンプレッサーは、艦内に設置されたさまざまなボトルに
圧縮空気を充填し、バラストタンクから水を吹き出して浮上させたり、
魚雷を発射したり、ディーゼルを始動したりするのに使用されます。

U-505が拿捕されたとき、彼女は半分水没した状態で
電気モーターによって航行していました。

そのとき、電気モーターによる前進運動だけで潜水艦は浮いていたのです。

このときボートを水面でトリム状態にして、
ディーゼルエンジンを作動させるためには、
バラスト水を全てブローアウトする必要があったでしょう。

しかしバッテリーはほとんど消耗してしまっており、
もし残っている電流を使って水を排出していたら、
エンジンが回転し始める前にボートは沈没していたかもしれません。

かといって、バッテリーにわずかに残った電力でモーターを使い
航行し続けても、結局同じ結末を迎えることになったでしょう。

もちろんこれは、すで総員退艦していたUボート乗員の問題ではなく、
これを沈ませずなんとか持って帰りたいアメリカ側の問題です。

結論として、U-505を牽引することで問題は解決しました。

「ガダルカナル」が一旦曳航し、ボートが水面に浮かぶのに
十分な速度を出たところで、乗艦者がディーゼルエンジンを動かし、
電気モーターがオフになります。

ついで艦隊曳船の「アブナキ」が合流してU-505の曳航を引き継いだところ、
スクリューを回転させるのに十分な速さで U-505 を牽引することができ、
潜水艦のダイナモーターが発電機として機能できるようになりました。

エアコンプレッサーを作動させるためにバッテリーが十分に充電されると、
バラスト水が排出され、ボートが水面トリムに達した状態で
ディーゼルが遮断され、潜水艦が再び単独で作動できるようになりました。

ある意味、曳航船の曳力が、Uボートのディーゼルを
ジャンプスタートさせるため、
バッテリーに電力を供給するのに成功したといえます。

要するに、U-505の攻撃から始まって、それに搭乗し、艦内に入って
爆破と浸水を食い止めたところまでは、U-505を
無傷で連れ戻すための危険な計画の最初のステップに過ぎなかったのです。

潜水艦が実際にディーゼルエンジンによる自力走行する状態までは、
常に沈没の危険に晒されたままでした。

もし、その瞬間内部に誰かが乗っていたら、
彼女は容赦無く、彼らを道連れにして沈んで行ったことでしょう。

しかも、最初にボーティングパーティとして組織され、
潜水艦に乗り込んだメンバーのうち、それまで
潜水艦に乗ったことがあったのはたった一人で、しかも
その経験は極々限られたものだったことを考えると、
この捕獲劇が成功裡に終わったことの幸運には改めて驚かされます。




■ 項末付録:米潜水艦スラング集【N・O・P・R】

No Fu●k, Vag●na
バージニア州ノーフォークのこと

ノンスキッド
潜水艦の上面歩行面のグリップのために使用される粗いエポキシコーティング

ノーシッター
ほとんどが(完全にではない)フィクションであり、検証不可能な海の話:
 使用例:
「おい、これはNo-Shitterだが、俺はかつてなんとかかんとか」
「おい、これはNo-Shitterだが、うんたらかんたら言っていたやつがいて」

N.Q.P. 
Non-Qual Puke. 
潜水艦でまだ見張りができない、あるいは資格のない乗組員のこと

N.U.B.
NonUsefulBodyor'NutherUselessBody
(使えない体、あるいはあほで使えない体の意)
潜水艦戦の資格(ドルフィン)をまだ取得していない乗組員

Nut to Butt 
(お尻にナッツ?)
間を詰めて並ぶことを表現するスラング

Occifer 「オシファー」
(Officerではない)
将校全般に対する蔑称、特に初級士官のこと
これを言った人が舌足らずだった場合はこの限りではない


オキシパニック 
EABホース(訓練で使う酸素吸入マスクのホース)に
全てを頼り切っていた乗組員が、
酸素を警告なしに切断されたときの恐怖の表情

パッケージ・チェック(Package Check)
挨拶の一種で、ある男性が他の男性の股間を叩くというもの

これは、挨拶を受ける側の「度胸」を試すためだけでなく、
仲間意識の表れとして行われる
しかし、ここ数年、ヘイジング(いじり)がますます不人気になって以来、
この挨拶はあまり行われなくなった
潜水艦では、航行中の放電が不可能なため、より一般的である

ペーパー アスホール
3リングバインダーのページ穴をガムで補強したもの

P.A.P.E.R.C.L.I.P. (ペーパークリップ)
People Against People Ever Reenlisting Civilian Life Is Preferable.
(民間人を再入隊させる人々に反対する人々の生活が望ましい)
特に潜水艦乗りの仲間で、入隊への不満や結束を示すために使われる言葉
水兵の不満のレベルを示すために、
目立つペーパークリップを制服につけることによってアピールする

パトロールシューズ 
海軍支給品以外の靴で、航行中のみ着用するもの
例えば、テニスシューズ、ボーリングシューズ、カウボーイブーツなど

パトロールソックスまたはクルーズソックス 
配備の初期に犠牲になるソックスで、自慰行為の後始末に使用する
通常、マットレスの下や寝袋の中に入れておく

P.E.B.K.A.C. 
 Problem Exists Between Keyboard And Chair
=キーボードと椅子の間に存在する問題
 (無線やソナーでよく使われる)
解釈の甘さ、オペレーターのミス

ペッカーチェッカー(Pecker Checker) 
海軍の医師や軍医のこと

Pencil whip(鉛筆鞭) 
 ほとんど架空のデータをあることないことフォームに記入すること
通常、面倒臭いからとか遅れたときに行う

ペリスコープ・リバティ
ペリスコープで外界を見ること
海での経験が長ければ長いほど、その効果は絶大

最高のペリスコープ・リバティーとは、たいてい人の多いビーチや、
プレジャーボートに乗ったトップレスの女性をながめること
水中でクジラを見ることもある

P.F.M. 
Pure F●cking Magic
(ピュア・フ●ッキング・マジック)
通常、何かが「それ自体で解決」したように思えたり、
論理を使わずに答えが得られたりしたときに使われる

Ping Jockey(ピン ジョッキー)
ソナー技術者を表す言葉

パイピング・タブ 
すべての潜水艦システム(空気、水力、配管、電気など)のマニュアル

P.M.F.L. - Pure Mother F●cking Luck
ピュア・マザー・ファ🙆キング・ラック
通常、スキルがうまくいかなかったときに使われる

Poking holes in the ocean
(海に穴を開ける) 
 潜水艦で航行中のこと

P.O.N.T.I.A.C. (ポンティアック)
 Poor Ol' Nub Thinks It's A Career.
(気の毒な古い海軍野郎はそれをキャリアだと思っている)

プーピー(Poopy)スーツ 
海上に展開する際に着用する青いオーバーオール

ポータブル・エアー・サンプル 
「新人」に課される「スナイプ・ハント」の一種

スナイプ・ハントとは、アメリカのカルチャーでは
たとえばボーイスカウトのキャンプファイヤーなどで行われる、

「何も知らない者に架空の鳥を捕獲せよなどと命じてその行動を皆で楽しむ」

と言う一種の「ひっかけ」です。

潜水艦の業務の一つに、空気サンプルを採取する、というものがありますが、
通常、これは高度な資格を持つクルーが操作する
手動デバイスによって定期的に採取されるものです。

しかし、この「スナイプハント」では、引っかける側が
プラスチックのゴミ袋を風船のように膨らませて密閉し、
時には外側に「公式」書類を貼り付けて、新人を呼びつけ、

「この重要な大気サンプルを副長に持って行くように」

と言いつけられます。
このとき持って行く相手は決してスキッパー(艦長)ではありません。

これをどう副長が扱うかが、腕の見せ所といったところでしょうか。
もしこのイタズラを知っている新人なら、もしかしたら

面白いカウンターで皆をギャフンと(死語)言わせるかもしれません。

プレーリーチキン (草原のチキン)
ウサギ

“Prepare to ventilate the boat!”
ボート換気準備!

ボートに新鮮な空気を入れるためのフレーズだが、
誰かがwindを放った後のフレーズとして使われることの方が多い
"Pressure in the boat "や "Crack the hatch "と併せて使われる

圧力テスト
使用するもの;
万力、グリースガン、資格取得前の新米乗組員

新人がある空間に入ると、クルーがベンチバイスに指をかけ、
周りの人が数字を数えている

何事かと尋ねると、

「万力で最も指を押す回数が多い人が賞金を獲得できる」

と告げられる
新人は参加させられ、万力で十分に締め付けられる→動けなくなる

その後、ズボンを下ろされ、お尻に油を塗られ、
そのまま放置されて、最後に士官に発見される


Puckered mouth bass 



=butthole

Puka プカ
 セーラー語で、小さな収納場所や穴

パージO2ジェネレーター
1MC(艦内)アナウンス 

 "酸素ジェネレーターをパージしている間、
機械室1の喫煙ランプが出ています”


P●ssy patch 
船酔い用の経皮吸収型スコポラミンパッチ

ラック 
ベッド

ラックバーン(Rack Burn)
ラックで寝ていた水兵の顔にできる赤っぽい跡
ラックにいるはずもないのにこれが顔にあると軽蔑される



続く。


ゴールデンゲートブリッジの「飛び込み防止策(柵)」〜サンフランシスコ滞在

2023-08-14 | アメリカ

毎年のようにアメリカに来ていますが、来るたびに、
いわゆるLGBTQいろいろの配慮がすごくなっているのを感じます。

広告を見ていても、今時白人の家族だけが出てくるものは稀で、
ほとんどが黒人、たまにヒスパニック系、まれにアジア系。
アメリカにはアフリカ系しかいないのかと思えるほどです。



バンドエイドの世界すらこんな配慮をしていました。
肌の黒い人って、バンドエイドの色が気になるものなのか?

それとも、このあたりに配慮していると言う企業のアピール?



人種や肌の色はもちろん、最近はエイジズムとかルッキズムとか、
一昔前は誰も使わなかった言葉にも市民権が与えられているわけですが、
スーパーの洋服売り場は、年齢はもちろんいかなる体型も差別許すまじ、
ということなのか、大きなサイズの売り場が年々拡張しています。

品揃えもアメリカ人の標準体型がボリュームゾーンとなるので、
彼女らに比べるとスリムな日本人女性の選択肢はますます狭まるばかり。



昔は細身の健康的なモデルさんを使っていた(に違いない)店内ポスターも、
太った人、アフリカ系太った人、痩せた人が各人種取り揃えて
みんなでにっこりと仲良さそうに並んでいる写真が主流となっています。

ほとんどのアメリカ人はそのうちのどれかに自分が当てはまるので、
企業がこうやって肯定してくれれば、太り過ぎや年齢を恥じることなく、
安心して商品を買うだろうと言う戦略なんだと思います。


しかしそれにしても、このモデルさんのカテゴリは何だろう。
・・・これって白斑ですよね?

これも「個性」と捉えてのことなのか?

■ フォートポイント



一度ゴールデンゲートブリッジの袂から、アルカトラズを眺める海岸線、
クリッシーフィールドに歩きに行きました。


ここに来るのは一年ぶりですが、前にはなかった看板があります。

砦を守る 

1850 年代、アメリカ陸軍は、この露出し、風が強く、
波に洗われる地点を、サンフランシスコ湾を守る主要な要塞として
理想的な場所としてランク付けしていました。

南北戦争時代、要塞は敵の砲火にさらされることはありませんでしたが、
現在は海面の上昇とより大きな嵐の波による攻撃にさらされています。

地球の温度上昇は、主に化石燃料の燃焼など人間の行為によって引き起こされ、
氷河を溶かし、海水を膨張させ、嵐の強度を増大させています。
海面上昇に直面しているわたしたちは、海岸を守るという軍の伝統を
どのようにして受け継いでいったらいいでしょうか?


なんと、エコ啓発でしたか。

そして、あなたの今立っているところは、海面上昇によって
嵐が来たらそのときは飲み込まれてしまうでしょう、とあります。

具体的に陸軍の時代より海面が上昇したという数字が全くなく、
単に「海面上昇したらここは無くなってしまうかも」という、
まあいうたら脅かしのためだけに設置された看板のようです。



■ ゴールデンゲートブリッジの「自殺防止対策」

昔、「橋から飛ぶ人々」とかいう題で、当ブログでも
なぜか多くの自殺志願者を惹きつけてやまない?
自殺の名所ゴールデンゲートブリッジについてお話ししたことがあります。



今回訪ねてみたら、ブリッジは対策工事の真っ最中でした。


現地にあった説明によると。

”物理的な”自殺抑止システム

橋の西側と東側に自殺抑止システムが設置されています。
命を救うためのシステムは、ゴールデンゲートブリッジ構造に接続された、
スチールストラットで支えられた水平ステンレス鋼ネットです。

ネットは歩道の約20フィート下、橋から約20フィート水平に伸びています。
サウスアプローチ高架橋、フォートポイントアーチ、吊り橋、
ノースアプローチ高架橋には、この保護バリアが取り付けられます。

橋の北端にあるコンクリート橋の手すりの上に設置された
高さ12フィートのピケットフェンスによって、さらなる保護を試みます。



こうやって物理的に阻止されたとしても、その意思さえあれば、
柵の端に行けば簡単に目的は達せられるんだがなあ・・・。



まあ、ボランティアがパトロールして、それらしい人を見たら声をかけ、
話を聞くという活動だけでも、少なくない人が思いとどまるらしいので、
この柵によって出鼻をくじくことにも一定の効果があるのかもしれません。


工事は現在も継続中です。



■ 陸軍飛行場時代のクリッシーフィールド



これはその途中にある休憩所兼お土産店の内部の写真ですが、
今回来てみたら内部が改装されていました。



そして天井側の壁には、ここが軍使用されていた頃の写真が、
ちょっとした説明と共に展示されていました。

太平洋への玄関口

サンフランシスコのプレシディオは、スペインによって、
1776年に設立されたのが始まりです。

その後、1847年、それはアメリカ陸軍の前哨基地となりました。
第二次世界大戦が始まるとここでの活動はピークに達し、
何千人もの兵士が門を通り抜け、太平洋戦域に向かいました。

かつて飛行機の滑走路だったフィールドは、今草地になっており、
人々の憩いの場所として手付かずの状態で保存されています。

この写真で後ろに写っている建物は全て現存します。



ゴールデンゲートブリッジをバックに、
ここクリッシーフィールドを行進する女性部隊の写真。



WACS(陸軍女性部隊)のステップアップ

男性兵士の不足は、1942年に女性陸軍部隊の創設につながりました。
1944年にプレシディオに最初に配属されたWACは、
医療技術者、メカニック、ドライバーなどの任務についていました。
1978年、WAC部隊は正規軍に統合されました。




当ブログで何度か取り扱った黒人だけの部隊、
「バッファローソルジャーズ」です。



バッファロー・ソルジャーズ

1900年代初頭、黒人ばかりの部隊、第24歩兵連隊と第9騎兵隊の有名な
「バッファロー兵士」がプレシディオに駐屯していました。

夏の間、彼らはシエラネバダの国立公園を保護し、
私たちの国の最初のパークレンジャーの一部として機能していました。





フィールドに整列した自動車部隊。



説明はありませんでしたが、ここには
日系人からなる諜報部隊がありました。

写真のデイブ・オオクボ陸軍上等兵(そんな名前だと思う)もその一人です。

■ フォートポイント



ゴールデンゲートブリッジがまだなかった時代に、
フォートポイント基地はここにあり、ここから海上に向けて
ずらりと並んだ砲口が海からの敵を迎え撃つ用意をしていました。

バーベットティアの歩哨

ちなみにフォートポイントの屋根は
Barbette Tier「バーベット・ティア(層)」
と呼ばれていました。

バーベットという言葉に聞き覚えがあると思ったら、
軍艦搭載用の砲台構造のことを指す用語でしたよね。

具体的には上甲板に突き出した円筒形の装甲部のことで、
その頂部に火砲が設置されるようになっています。

当時、陸または海からの攻撃から守るために、
ここに取り付けられた21の大砲に兵が配置されるようになっていました。

これらのキャノンマウント「En barbette」
厚さ7フィートの外壁を打ち破るだけの破壊力を持っており、
木造船ならゴールデンゲートに入る前に撃沈することができました。

「かつてここを敵の船が通過できたことはなかった」

ここにはそう書かれています。


折に触れてご紹介しているように、この一帯には、
ゴールデンゲートから敵を侵入させないためのフォートがいくつもあり、
海上に向けた砲台でハリネズミのように守られています。


前回訪れた時には目にしなかった新しい説明板がありました。

昨日、ハワイ諸島のエマ女王御一行が港の要塞を訪れました。
訪問者は埠頭に着陸し、徹底的に検査されたフォートポイントまで歩きました。

第2砲兵隊の素晴らしいバンドは絶妙な音楽を奏でていました。

視察の後、御一行はバーベットバッテリーから演習を観覧しました。
ターゲットはライムポイントの根本です。

発射は絶妙で、すべてラインショットであり、
ターゲットの東端で1つの砲弾が爆発しました。

アルタ・カリフォルニア

1866年10月4日

エマ女王(Queen Emma of Hawaii、1836- 1885)は、
ハワイ王国の国王カメハメハ4世の妻で、王妃です。


こちら側の窓は太平洋側に向いていませんが、それでも
一つ一つの窓に銃が設置できるような作りになっています。


経年劣化で元々の金網が破れてしまったので、
侵入禁止のため外側も新たに金網で覆っています。



この日はフォートの内部に入ることができました。
散歩の途中でしたがちょっと立ち寄ってみることに。

前にもここで紹介したことがあるかと思いますが、
入り口を入ってすぐのところに、旧監房の窓があります。

オールド・ジェイル(旧監房)

ここには3部屋の監房があり、ここでの勤務中、
軍規に違反した(主に反逆)兵士を収監するためのものでした。

写真に写っているのはそのうちの独房です。
この地域の寒さは半端ないので、暖房なしの個室に入れられただけでも
かなり肉体的に辛い「懲罰」となったことでしょう。



フォートの中庭を囲む周りには武器が展示されています。
ちょうどこのとき、星条旗の飾ってあるベンチの置かれたところで、
説明が始まるというアナウンスがありました。

一瞬心が動いたのですが、それを押し留めたのがあまりの寒さ。

ご存知のようにここは海流が冷たい空気を運んできて
夏でも強風と霧で震え上がるほどの寒さになります。

ただ海岸沿いを歩くだけと思ってパーカーしか着ていなかったので、
諦めてフォートを後にしました。


フォートポイント横のブリッジ真下を望む場所は立ち入り禁止。
金網にいつしか出現した両手のシルエット(犬用も下にある)を、
わたしは今回まで「折り返しにタッチしてねというお茶目なサイン」
だと思っていたのですが、これが全く違いました。

このサインは「ホッパーの手」と名付けられており、
橋梁の鉄工であり、自殺者救助のボランティアであった
故・ケン・ホッパーの手のシルエットをかたどっています。

自殺者救助のボランティアに参加した鉄工職人、ケン・ホッパーは、
行き止まりのこの場所でジョギングやウォーキングをする人たちが、
フェンスに触れてから引き返すのを発見した後、橋の看板塗装工に
2つの手の指紋のシルエットが描かれた看板を作るよう依頼したのです。

この手には、その後亡くなったホッパーの遺志が込められているのだとか。


しかしながら、その同じ金網には、
死者に捧げる花束や花を活けるための小さな瓶、
そして「ジャンプ」した誰かの写真までが「お供え」されているのでした。

これってどうなんだろう。

うまく言えませんが、ここを自殺者の追悼の場として聖地化することは
おそらく一人でもそういった人を救うために奔走していた
ホッパー氏の遺志には微妙に添っていないのではないかという気もします。


続く。


ディーゼルエンジンルームの計器類〜シカゴ科学産業博物艦 U-505艦内ツァー

2023-08-12 | 軍艦

MSIのU-505艦内ツァー、そろそろ終わりに近づいてまいりました。



前回、10番のディーゼルエンジン部分についてお話ししましたが、
今日はもう少しディーゼルエンジンについて触れます。


最後のコンパートメントに移る隔壁境ですが、
ごらんのようにここは現在普通の通路が増設されていて、
見学者がまっすぐ歩いていけるようになっています。

ここもまたもともとは水密ドアがあった場所で、
それも見学のために取り払われています。

頭上には、背の高い人が頭を強打しないためのクッションまで・・。



最後尾にいるわたしがエレクトリックルームから振り返ってみると、
そこにはディーゼルエンジンルームがこのように見えます。



艦の両側にあるディーゼルには、独自の制御セット、
エンジン次数電報、シャフト回転数インジケーターが備わっています。

捕獲の後はテストのため運び出されていたエンジンですが、
ボートがMSIに運ばれてから、最終的には完全な状態に戻されました。

【ディーゼルエンジンの稼働メカニズム】

ディーゼルエンジンの作動には空気が不可欠です。

ディーゼル用の空気は、潜水艦が浮上しているとき、
司令塔の側面にあるポートまたは開口部から取り入れられました。

取り入れられた空気は、ダクトを通ってエンジンルームに流れ込み、
そこからスーパーチャージャーによって吸い込まれ、供給されます。

このようにして、空気の流れとともに吸い込まれた水は
ビルジに拡散し、そこからポンプで排出されます。

エンジンからの排気ガスは艦体をめぐる配管を通って、
艦尾の上部構造の下で放出されました。

潜水手順の最重要事項は、まず吸気バルブと排気バルブの両方を閉じて、
エンジンルームやエンジンに水が流入しないようにすることでした。

オイルは艦体に備わった各所の燃料貯蔵庫から、
エンジン上のタンクにポンプで送られ、シリンダーに供給されます。

ちなみにディーゼルエンジンは燃焼のための点火プラグは必要ありません。

燃料と空気の混合物は圧縮されることによって点火されます。
各ディーゼルエンジンには、マシナリー・メイトが
動作の維持に必要なデータがわかる制御装置と計器が付属していました。


左舷側エンジンの計器

その中には、クランクシャフトの回転速度を示す
エンジンのクランクシャフトタコメーターもありました。
(おそらく画像左上の計器)

ボートを真っ直ぐに航行させるために、通常は
両方のクランクシャフトが同じ速度で回転するわけですが、
混雑した場所での旋回では、左舷と右舷のクランクシャフトの速度を
変えることで効果を得ることができました。

各シリンダーの温度は、垂直の計器の列に表示されます。
(画像右側の縦二列に並ぶ計器、白い札には番号が打ってある)

その隣には艦内に多数設置されているエンジンオーダーテレグラフがあり、
司令塔から艦長によって指令された速度を知らせていました。
(画像の右がわにある赤い枠の計器)


これは右舷側の計器です。
こちらのエンジンオーダーテレグラフはブルーです。
あとは見比べても面白いくらい左右対称。


大型の換気ファンとそのダクトはディーゼル制御エリアの両側にあり、
ボート全体に空気を循環させていました。

画像だとダクトは両舷ともに床レベルに走っているのが確認されます。

乗組員の呼吸により空気が二酸化炭素で汚れると、
化学物質が二酸化炭素を吸収して空気を浄化しました。

乗組員が使用する酸素の代わりにボトルから酸素を放出することもでき、
乗組員が個別の酸素マスクを使用することもありました。
(以前ここで取り上げた『タウホレッター』ですね)

潜水艦乗組員にとってもう一つの問題は、
ディーゼルエンジン稼働時に生まれる水分の量により、
艦内の湿度が不快指数100%レベルに上昇し、
乗組員の作業効率まで悪影響を及ぼすことでした。

また、湿気は複雑な電気システムにショートを引き起こす危険性もあります。

空気供給に関連するもう 1 つの深刻な問題は、ガスの危険性でした。

バッテリー充電中、無色無臭で非常に爆発性の高い水素ガスが放出されるので、
これによる爆発を防ぐために予防措置を講じる必要がありました。

さらに、塩水がバッテリー内の酸と混ざると、致死性の塩素ガスが発生し、
ボート内に刺激臭が発生します。
これは比較的少量でも生命に危険を及ぼす可能性がありました。

乗組員は、コンパートメントが汚染されていることに気付いた場合、
汚染されたコンパートメントから速やかに離れ、水密ハッチを閉めて密閉し、
同時にその区画への空気ラインを遮断することになっていました。


■電気モーター室とマニューバリングルーム




さて、次のコンパートメントに進みます。

電気モーターとマニューバリング(操船)室には
ボートの電気モーター類が収納されています。 



この図の11番です。

マニューバリングルームでまるで教壇のようなところから説明する説明員

U-505 は、水没時には、客室内の通路の両側に 1 つずつ、
それぞれ定格 493 馬力の 2 つのダイナモーターによって推進されました。



U-505 は、潜航時、エレクトリック・モータールームの左舷前方にある
これらの装備から制御されました。



ここでの機器には、各ダイナモーターの制御盤、エンジン順序電信機、
シャフト回転数計、この写真に見える舵角計器が含まれます。

各モーターは 1基の3枚羽根プロペラを駆動しました。

潜航時のボートの最大速度はデータ上7.5ノットでしたが、
バッテリーが短時間で消耗してしまうため、
この速度はほとんど使用されることはありませんでした。



これらのモーターに電力を供給する蓄電池は、
デッキレベルの下の前方と後方の特別なコンパートメントに配置されており、
(多分この写真の下側のその向こう?)
この部屋にある45トンの電気モーターの動力を提供します。 

エレクトリック・モータールームとマニューバリングルームには
ボートの電気モーターが収納されています。

U-505の潜航時には、客室内の通路の両側に 1 つずつある、
それぞれ定格493馬力の2つのダイナモーターによって推進されました。


■ 項末付録:米海軍潜水艦スラング集 
【 I・J・K・L・M】

"I can not confirm nor deny the presence of nuclear weapons
 aboard any Navy vessel" 

「海軍艦艇に核兵器が搭載されているかという問いには
そうともそうでないともお答えできかねます」

一般市民に、潜水艦に核ミサイルが搭載されているかどうか、
尋ねられたときの海軍軍人としての標準的な回答



"I could tell you, but then I'd have to kill you" 
「それを答えることはできますが、わたしは
聞いてしまったあなたを殺さなくてはならなくなります」


潜水艦の乗組員が特定の任務について質問されたときのもう一つの定番回答

"俺はお前が海軍で過ごした時間より、試験深度でゴムを吸いながら
シッターに座って配管タブを読んでいた時間の方が長いんだよ、
ya non-qual dink puke.(このノンケ(非資格)のチ〇〇ス野郎が)"

これの多くのバリエーションが存在するが、
非適格者(潜水艦乗組員の適応資格)を追い込むために使われる
バリエーションとしては、


"俺はお前が航海したよりもたくさんの塩水を靴下から絞ったぞコブ野郎!"

"俺のベルトバックルの方がお前よりもずっと長く船の上で暮らしてる”


“I had it, you got it. Any questions, I'll be in my rack”
「終わりました、次ワッチです。なにか質問があったら自分のラックまで」

一般的な、省略された、ワッチ終了者から次のワッチへの非公式の交代劇
通常、交代する監視員が非常に疲れているとこんなふうになる


“If it don’t move, paint it”
「動かないものは塗れ」

海軍の執拗なまでのペンキ塗りへの執着を揶揄して

"If it is f●cked - unf●ck it" 

なにか壊れているならそうでない状態にしろや!という意味

 “If it was up your ass eating a ham sandwich you'd know” 
「もし君のお尻がハムサンドを食べてたら、君はそれに気づくよね?」

非適格者に資格について質問をして、彼が
「わからない」と返してきたときの『気の利いた』返事

“If you are looking for sympathy,
you can find it in the dictionary between s●it and syphilis”

「同情という言葉は、辞書の”s●it”と”syphilis(梅毒)”の間に載っている」

自分は決して何かに同情などしないことをこういう

I'm so short, when I look in the mirror, I'm not there!”
"俺は背が低いから、鏡を見ても写ってないんだ!"


離任日やその他の重要なイベントが近づいたときに使うフレーズ

"ファンルームでは、誰もお前の叫び声なんか聞いちゃいねえぞ!" 

 やる気のない非資格者に対しての「脅し」

"I was never there, not aware,
and have no knowledge of any particular operation"

"その場にいなかったし、知らなかったし、特定の作戦についての知識もない"


特殊作戦についての質問に対する標準的な答え

"I would rather have sister in a whorehouse
 than a brother on a skimmer"
「兄がスキマーに乗っているくらいなら、妹が売春宿にいる方がまし」

スキマーは水上の油除去装置のこと
転じて:水上艦は最低だ

ジョー・ネイビー(Joe Navy) 
海軍以外での生活がない生活者の別称

L.B.F.M. 
Little Brown F●ck Machine

アジアのセクシーな女の子、売春婦やBガールに対する蔑称(愛称)。
L.B.F.M.P.B.R.Little Brown F●ck Machine Powered By Riceとも

おそらく今はポリコレでこれ関係は全滅のはず

Lieu-fucking-tenant
(大尉)

悪口を別の言葉の内側に入れるという海軍の慣習を示す言葉
Abso-f●cking-lutley(もちろんさ)というのも皆大好き


「SATC」で「あなたはほんとの恋をしたことあるの」
というキャリーの質問に、ミスター・ビッグがこう答えてましたね。

Lifer(ライファー)

海軍をこよなく愛し、20年以上の勤務を希望する
将校と下士官の両方に付けられた名前
一般には特定の分野またや組織、特に軍隊で全キャリアを過ごした人のこと

Lifers は、他の人に再入隊するよう説得しようとしがち
また、「セーラーが必要としているもので、
彼のシーバッグにないものは何もない」などと言う
 セーラーは配偶者や子供に会う必要はないらしい

L.I.F.E.R. 

上のLiferの「別の意味」として
 Lazy Incompetent F●cker Escaping Reality
現実逃避する怠惰で無能な人
Lazy Incompetent Fucker Expecting Retirement
引退を待つだけの怠惰で無能な人

Lifer cup

「THEカップ」とも呼ばれる
磁器製の白いコーヒーカップに青いストライプが入ったもので、
繰り返し使ううちに茶色く汚れていくのが常である
不満のある後輩がいたずらで使う以外は、決して洗われることがない

Lower-than-whale-spunk-non-qual-dink-puke
(クジラより肝っ玉の小さい非資格野郎)

ドルフィンマークを持っている潜水艦員が、資格のない水兵につける愛称

メール・ブイ

船への郵便物を置いておくための架空のブイ
通常、新米乗組員はメールブイを配られるが、
これは経験豊富なセイラーたちのエンターテイメントともいえる

Make a hole!or make a hole, working Navy!
 
誰か邪魔になっている人に「穴を開けろ」とか
「ギャングウェイ!」と叫んで道を空けさせる野蛮な海軍の作法

Mandatory fun (必須の楽しみ)

ピクニックやパーティーなど、参加することが義務付けられている楽しみ

まあ仕事だよね。

M.A.R.F. 
Make a Round Fu●ker. 

巡回警備のワッチ担当がミサイル・コンパートメントを通過するとき
ミサイル担当が彼らに投げつける言葉

何かワッチ担当に恨みでもあるのだろうか。

ミート・ゲイザー(Meat Gazer)

=肉を見ている人?
乗組員が尿を採取するのを一日中見ていなければならない上級下士官

Men Working in the Sail

1MC(艦内)アナウンス

「セイルの中で作業している人がいます。
マストやアンテナを上げたり、下げたり、回転させたり、
放射したりしないでください。
セイルの中で作業している人がいます」


メートル・フ●ック・トン(Metric f●ck ton)

何かの重量が大きいときに使われる、高度に専門的な測定用語
「butt ton」「shit ton」「that's f●cking heavy」とも

マインド・ユア・バブル(Mind Your Bubble) 

=泡に気をつけろ
 船の前後左右の角度を示すこと

ダイビング・オフィサー・オブ・ザ・ウォッチ
(DOOW 「ダイブ」と発音)は様々な手段で船の角度をコントロールする
角度が大きくなりすぎると、"Mind your bubble "と命じられる

海面付近の荒れた天候では、ボートの角度を維持することは非常に困難
もし船の角度をコントロールできなくなったとき、
彼は "Lost the Bubble "(泡に迷った)と言われる

マウス・ハウス

弾道ミサイル潜水艦の俗語で、ミサイル担当が通常使用するエリアのこと
また、MCC(ミサイル・コントロール・センター)の説明にも使われる

"Mr.(違反将校の名前をここに挿入)は、
指示が靴のかかとに書かれていても、
ブーツから小便を出すことができないほどクソバカだ" 


 下士官が、若くてバカで、『サル』な将校を表すのに使う

Mung ムング 

スカッパーの中や上にある、鼻水のような粘性を持つ
濃い緑色や茶色の植物の残留物。(主にエンジニアリングスペースで)

マッシュルームクラブ 

一部のクルーが所属している架空のクラブ
「奴らは俺らにSh●itを食べさせ、暗闇に閉じ込めて育てている」

"My mood has a slight down bubble"
=「気分が少し落ち込んでいる」

 潜水艦の言葉で、「今日は嫌なことがあった」という意味
ダウン・バブルという言葉の選択が潜水艦流

Mystery Shitter(ミステリー・シッター)

 酔って陸から戻り、安全にトイレ(ヘッド)に辿り着けず、
自分のラックに登って眠る前に、ランダムな場所で排泄する人

また、こっそり帰ってきてトイレを使い、
流さずに便器に残したままにしておく人にも使われる

朝になって、犯人探しが始まるんですねわかります。


続く。




ディーゼルエンジンルーム〜シカゴ科学産業博物館 U-505艦内ツァー

2023-08-10 | 軍艦

MSIのU-505艦内ツァー、司令塔下の制御室までを見てきました。



こうはその後ろにあるユーボートならではの部分、
ディーゼルエンジンルームを通過します。


制御室、コントロールルームのバルブと機器だらけのところを
次のコンパートメントまで移動します。



見事なまでに左右対称に機械がセッティングされているところに
見学者用にMSIが取り付けた通路を進んでいきます。

通路右側の赤い枠の計器はこの場所にあるテレグラフレピータです。
この針のステイタスを見て、現場の人間は
現在の艦長の命令によりボートがどの状態に向かっているかを知ります。

通路両側の縦長の大きな機器には、どちらにも
「Voraus」(先に)と書かれています。


この「Voraus」は、ここから始まる
ディーゼルエンジンのM.A.Nの端部分です。



ちょっと待って、M.A.N.ってなんか聞き覚えというか、
見覚えがあるんですけど。

通路を挟んで据え付けられているM.A.Nは、
9気筒過給式4サイクルディーゼルエンジン、海水冷却式。

それぞれが適切なクラッチを介して
ダイナモーターとシャフトに結合されています。

MAN Diesel SE

は、ドイツの船舶推進システム用大口径ディーゼルエンジンのメーカーです。
2010年にMANターボと合併、現在MAN Diesel & Turboとなっています。

社名は「エム・アー・エヌ」が正式です。
バイエルン モトーレン ヴェルケの頭文字を社名にしたBMW
「ベー・エム・ヴェー」であるような感じで、こちらは

マシーネンファブリーク・アウクスブルク・ニュルンベルク
Maschinenfabrik Augsburg-Nürnberg)


の頭文字をとっていますが、口語では「マン エス イー」と呼ばれています。

創業が1758年という超老舗で、教科書にも出ていた重工業の町、
ルール地方で製鉄所として設立されました。
第一次世界大戦で大きく飛躍し、この頃ロコモーション、推進力、
鉄鋼を主要な構成要素としていたため、巨大産業となります。

ところでちょっと余談ですが、ディーゼルエンジンの「ディーゼル」が、
ルドルフ・ディーゼルというドイツ人の名前であることをご存知でしょうか。


ルドルフ・ディーゼル(1858-1913)

ディーゼルエンジン全てが彼の発明かというと、微妙なところもありますが、
初期のアイデアが彼から生まれたことには間違いありません。

1893年以来、ディーゼルは、最初のディーゼルエンジンが完成して
完全に機能するまでの4年間、アウグスブルクの研究室で、
未来のMANエンジニアたちと難問に取り組んでいたそうです。


ルドルフ・ディーゼルの最初のエンジン

第一次世界大戦時から、MAN社は、戦車、潜水艦のディーゼルエンジン、
投射砲や大砲のシリンダーなどを製造しました。

Uボート用のディーゼルエンジンを生産していたのは
アウグスブルクのMAN工場でしたが、パンター戦車の40%を製造していた
ニュルンベルクの工場とともに、第二次世界大戦中は
しばしば連合軍の大規模爆撃の標的になっています。


MANディーゼルエンジンポスター

1930年以降、ドイツでは条約の制約下で軍艦の生産が再び開始されました。
しかし、それも長くは続きませんでした。

ドイツの造船業が復活することができたのは、ヒトラーが
クリーグス マリーン(海軍)を生み出してから以降のことです。

新しいUボート艦隊の起源は、第一次世界大戦で得た経験を基に、
ハーグのドイツ人技術者が1920年代に設計した潜水艇にありますが、
これらの推進力は1930年代初めには完成していました。

この「新興海軍」のためのディーゼルエンジンを製造したのは

1 , クルップ・ゲルマニアヴェルフト/キール
2 , M.A.N. /アウグスブルグ
3, MWM(Motoren Werke Mannheim)/マンハイム
4, ダイムラー・ベンツAG /
シュトゥットガルト

の4つの会社で、この順番通りの生産量でした。
ダイムラー・ベンツAGはディーゼルエンジンを担当し、
次第に潜水艇への搭載量を増やしていきます。

M.A.N.エンジンは、さまざまな軍艦に搭載されることになります。
同社で製造された1,000台のうち、330台がポケット戦艦、
軽巡洋艦、雷撃船、魚雷艇、潜水艦支援船に搭載されました。

また、1933年、戦艦並みの火力を持つ3隻の大型重巡洋艦のネームシップ
「ドイッチュラント」(後の「リュツォウ」)には
8基の7,100馬力のM.A.N.ディーゼルエンジンが搭載されています。

Uボートに搭載されたディーゼルエンジンは、MANの他に
GWとMWMによって製造が行われていました。

1935年以降に進水したUボートに搭載されたディーゼルエンジンは、
4ストロークエンジンで、そのほとんどが
ボッシュBosch製の機械式噴射装置
を備えていました。

参考画像:ボッシュの食器洗い機@うち

機械式噴射装置が何かはさっぱりわかりませんが、
平時では食器洗い機の製造につながりそうではありますね。

これらディーゼルエンジンの出力軸は、クラッチと電気モーター
(発電機としても機能)のシステムを介して
プロペラシャフトに直接結合されていました。


■U-505搭載 M.A.N.M9V40/46型

MANのあとのM9という型番は、気筒シリンダーの数を表します。
M6Vと比べると、470rpmで2,200馬力のM9V40/46は、
同じだがシリンダーが3つ増えていることがわかります。

9気筒のパワーは、当初Uボート「タイプIX」のために設計され、
のちに新型の「タイプXXI」に搭載されるようになります。


右側にコンプレッサーを搭載したM.A.N.エンジンM9V40/46

この新設計は同時代のクルップGWの
9気筒のF46(Krupp-GW社製)よりもはるかに性能が良く、
特に深さ方向の荷重によるショックの影響に対して優れていました。

一方、M.A.N.が新しく開発した2段式ターボチャージャーは、
第1段を機械的に駆動してコンプレッサーに供給する仕組みで、
この結果、470rpmで3,000hpの出力が得られることになりましたが、
なぜかドイツ海軍はこのシステムに対して関心を持たず、
プロジェクトは棚上げされることになってしまいました。

ターボチャージャーと荒波の相性が悪く、事故が起こったため、
1941年、回転式機構を遠心式機構に変更することで問題は解決しました。


変更された右側の遠心式コンプレッサー
M.A.N.M9V40/46エンジン

1938年5月にブレーメンのAG Wesser造船所で進水した「U-37」に、
M9V40/46エンジンの最初のセットが搭載されました。

しかし、オリジナルのターボチャージ型エンジンが、
50隻以上のIXa型、IXb型、そして一部のIXc型には搭載されたままでした。

MSIのU-505はそのうちの貴重な一つです。



■項末付録:アメリカ海軍潜水艦スラング【G・H】

Gilly

ギリー - 違法な純穀物酒
別名「魚雷ジュース」とも呼ばれる

ゴートロッカー 


 チーフの宿舎を指す言葉
年老いたヤギが住んでいる場所という意味

CPO、先任下士官、チーフがなぜ「ヤギ」と呼ばれるのか。
これについては、以前も考察を試みたことがありますが、
ヤギという動物のイメージからなのか、やはりよくわかりません。

頑固で手強くて強情、というヤギの性格が、
確かにこの階級の海千山千に通じるものがあるのも納得ですが、
今回新たに引っ掛かってきたその由来とは次のようなものです。

ヤギはほとんどすべての種類のゴミを食べ、ミルク出すため、
帆船時代から船内で飼われるようになった。
またヤギはほとんど何でも食べるので、
「リサイクル」を必要とするゴミがある船では非常に役立つ。

木造帆船時代に下士官という階級が設けられ、
曹長という階級ができたとき、上級下士官用の寝台が別にある船はなく、
新任の曹長たちは、船のヤギと同じ宿舎を喜んで受け入れた。

通常の下士官の宿舎がどれほどひどいものであったかが窺い知れます。

つまり、上級下士官はヤギと一緒に住んでいたから、
彼らの部屋は自動的に「ゴートロッカー」
だったと。

ちなみに、現代、ゴートロッカーは海軍でも尊重されており、
伝統的にすべての者は、士官や指揮官であっても
ゴート・ロッカーに無許可で入ってはなりません。


ゴートロープまたはゴート●ァック

「FUBAR」=Fu●ked Up Beyond All Recognition.

である全ての状況のこと
あえて訳すなら「わけわからんふざけた状態」

ゴートロープはカオスな状態(ヤギをロープで捕まえようとしている)

Gorilla sn●t

コンパートメントの隔壁の詰め物のチューブのシーラー

なぜゴリラかはわからず。

グレープ・シグネチャー

適正でなかったにもかかわらず、
システム専門家がその資格にとにかくサインをすることを指す

グリーンボード 

バラストコントロールパネルのステータスが、
すべての船体開口部が閉鎖され(緑のスラッシュ
潜水艦が潜水可能であることを示しているとき
「ストレートボード」とも呼ばれる

Grotopotamus

グロトポタマス
コネチカット州グロトン周辺に放牧されている巨大な女性
ブレマートン周辺に生息する「ブレマーローズ」に酷似

Grottweiler

グロットワイラー 
 グロトポタマスと同義

Growler

グラウラー 

旧式の潜水艦に搭載されている音波式電話機

あの、これってもしかして、潜水艦の外から撃たれた艦長が
自分を見捨ててハッチを閉め、潜航するようにと
「テイクハーダウン!」言ったあの「グラウラー」から来てる?

だとすればずいぶんブラックなスラングだなあ・・

G.U.A.M. 

 Give Up And Masturbate

Gun decking the logs

 フォームやログに、ほとんど想像上のデータを記入すること
たいていはめんどくさいから、あるいは遅れたから

ハーフウェイナイト

 配備の中間地点にさしかかったときに行われるイベント
通常、ハーフウェイナイトは特別なディナー、
クルーによるエンターテイメントなどがおこなわれる
カジノナイトと一緒に行われることも多い

Hall balls

ホールボール
全速前進または非常に早く進むこと

Hawaiian Bark Spiders

ハワイアンバークスパイダー
放屁

“He/She made Chief when Noah was a cabin boy” 

「あの人はノアがキャビンボーイだったころチーフになった」 
 非常に年配のチーフのことをこんなふうにいう

“He's/She’s dumber than a box of rocks!”

"岩の箱より馬鹿!" 
説明不要の間抜けな人を言い表す普遍的なフレーズ

"He's/She's so full of crap the birds won't land on him!" 

”あいつ、くだらなすぎて鳥も止まんねえ!”
これも説明不要、無駄にいつも強気な人に使う

"Hey Messcrank another Gedunk" -

 潜水艦の黄金時代によく使われたフレーズで、
(潜水艦種の)資格を得た乗組員が、食堂当番をしている非資格者に
嫌がらせをするときに使う。(クランクは非資格者の隠語)

“Crank, more potatoes” (クランク、もっとポテトくれ)
“Crank what the fuck is taking you so long?”
クランク、なにもたもたしてんだ?)

など、多くのバリエーションが存在する

「ゲダンク」は、当の海軍さんにも語源のわからない、
海軍艦船内に設られたアイスクリームなどを配るバーのことですが、
単に非資格者の「クランク」と韻を踏んでいるだけかと思われます。


"Hit her in the shitter." 

通常、映画の中でセクシーな女性が登場したときに誰かが叫ぶ

このフレーズは、ポリティカル・コレクトネスによって
絶滅してしまったため、現在使うと
日本における「昭和のオヤジ」呼ばわりされること必至

H.M.F.I.C. 

Head Mother F●cker In Charge
Head in charge=担当責任者
誰が責任者かを確認するために使われるフレーズ

Hockey pucks

ホッケーパック

スウェーデンのミートボール

IKEAにある的な?

Hogans Alley

ホーガンズ・アレイ
ディーゼルボートのアフターバッテリーにある、
交通のない停泊区画のこと
行き止まりの通りのように、出入り口が1つしかない


これが、FBIの街を模倣した訓練施設から来ているのか、
それともアメリカの昔の漫画「ホーガン横丁」から来ているのかはわからず。

FBIの方によると、漫画「ホーガン横丁」の路地は荒れた地域にあったので、
犯罪が多発するこの町にふさわしい名前だと思って、
この名前を拝借したということを公式に表明しています。

Holidays

ホリデー

 配備中は決して存在しない1年のうちの神話のような日

ハリウッド・シャワー

長時間、しかも通常許可されていないシャワーを、
犯人が望むだけの水量で思いっきり浴びること
通常、この犯行に及ぶのは、ソナー技師や放射線技師

馬のコック

昼食や中食に出される、ボローニアや焼きすぎたカルパスの大きな丸太

ホットコック

最新のニュースや噂のこと
the skinny "や "scuttlebutt "(噂・ウォータークーラー)とも

Hot Racking or Hot Bunking 

ホットバンク(ベッド共用)から派生した「ラック共用」がホットラッキング
 3人の男性が2つのラックを共有する

"奥さんと子供たちはどうしてる?" 

通常、対立クルーであるブーマーセーラー(SSBNの乗員)が、
原潜の乗組員に悪意なく(多分)する質問
時には残酷な現実を問われた側に突きつけることもある

要するに相手がそれを「聞かれたくない」とわかっているときに聞くのかな。
いやいや、明日は我が身ですぞ。


続く。





オークランドの「座頭市」〜ベイエリア滞在

2023-08-08 | アメリカ

家族が揃って滞在している間に、サンフランシスコに行くことにしました。
今住んでいるパロアルトからサンフランシスコまでは、
平日の通勤時であっても1時間かかることはありません。

今回はコーヒーとお茶に凝るMKの強い希望により、
オークランドにある有名なロースターを「聖地訪問」し、
その後、去年も行ったサンフランシスコのティーショップを訪ねます。

10時にMKを寮まで迎えに行って、11時までに到着したら、
オークランドで美味しいコーヒーとブランチを楽しむという計画を立て、
いざ車を出発させようとドアを開けた瞬間です。

■レンタカー トラブル発生!



ただ事ではない事態を告げる禍々しいping音が鳴り響き、
エンジンがかからない状態に・・・。

パネルに次々と警告が流れるのですが、
どうやらエンジンが不調なので点検を受けろということらしい。

とりあえず、レンタカー会社にロードサービスを頼もうとしたのですが、
まずイマージェンシーサービスの電話に誰も出ない。

やっと出たと思ったらそれはとてつもなくやる気のない人で(TO談)
しかも、なんかいきなり電話が通じなくなって切れてしまいました。

あーこれは1日潰れたな、と内心覚悟したのですが、
エンジンを切った状態で放置しておいたら、電源が完全に切れたので、
(車に乗ると同時にパネルが点灯し自動的に電源が入ってしまう)
えいやっとスタートボタンを押してみたら、なんと始動!

「かかった!」

「いえーい」


一応これでドナドナを1日待つ必要はなくなりました。
しかし、エンジンマークが点灯していたので、そのままMKを拾い、
レンタカーセンターまで持っていって車を交換することにしました。

ところが、問題はここからだったのです。

まず、車の返却場所で手続きをしていた男性がやらかしてくれました。
ステータスを「交換」ではなく「返却」にしてしまったのです。


そういえば、返却確認係の男性(白人)は、妙に日本語の上手い人で、
手続きのとき、ほとんど日本語を喋っていたので、最後に
日本語上手いですね、と褒めてあげたのにかかわらず、なんか変な反応。

あ・・・まあ・・・みたいな感じで、これは今にして思えば、
自分がミスをしてしまったことに気づいて絶賛動揺中だったのでしょう。

日本語なんか喋れなくていいから、せめてとんでもないミスはしないでほしい。

この日はさらに運の悪いことに、日曜日の昼前で、
レンタカーセンターはメンバーシップ保持者のブースすら長蛇の列。

しかも、やっと順番が来たと思ったら、
そこで初めて返却係のミスを知らされました。

「契約がクローズしてしまっていますが、わたしには復帰させられません。
向こうの一般カウンターにいるマネージャーのところに行って」


とカウンターのタメラと名札をつけた黒人女性に言われてまず愕然。
がっかりしながら一般カウンターに行ったら、さらに呆然。

そこは待っている人100人に対し、開いているカウンターは5つあるかないか、
みたいな世界で、今度こそこれで1日潰れることを覚悟したものです。

ところがそこで意外な救世主?が現れました。

先ほど同じメンバー専用デスクで、わたしたちと同じよう目に遭いながら
散々待たされたうえ、こちらにたらい回しされてきた白人男性が、
盛大にキレまくってくれたのです。

「何のためのプライオリティメンバーなんだ!?
わたしはここで30分も待たされている!子供も待たされているんだ!
しかもその理由は、あなた方の不手際じゃないか!」

と大声で注目を集めつつ文句を言ったせいで、マネージャーが出てきたのです。

もしかしてこの後ろに並んで待てばいいんじゃね?と、わたしたち、
3人でプス・イン・ザ・ブーツみたいな顔をしてオーラを送りまくったところ、
マネージャーが首を伸ばして何があったのか聞いてくれ、
その次の次に書類を書き換えて配車まで済ませてくれました。

彼が作業をしながら日本のどこからきたの?と聞くので答えたら、

「わたし入隊で佐世保にいたことがありますよ。3年だけでしたけどね」

おおなんという海軍的ご縁(?)。
サセボバーガーを知る人がこんなところに。

しかも佐世保マネ、「いつもはやらないんですが」
といいながら、料金をごっそり値下げしてくれるではないですか。

というわけで、1日かかるかと思われた手続きも昼には終わり、
新しくゲットした車に乗ってわたしたちは諸々の幸運を喜び合いながら
オークランドに向かってベイブリッジを渡りました。

(ただし、このレンタカーの話には続きがあります。)

■オークランドのレジェンドロースター


要らんことに時間を奪われたものの、昼過ぎに
オークランドのロースター「マザータング」に到着。

日曜日でしたが人はあまり入っていない状態です。


全体的にピンクがかった色をしているのは、ガラスがピンクだから。



テーマカラーがこれなので、店内もピンクです。



わたしはいつものプアオーバーブラック、真ん中はMKのラテ、
右側はTOのオーツラテ。



ブランチのつもりが時間が押したせいでこれがランチになってしまいました。
豆腐とサーモンのオープンサンド、チーズとオリーブの盛り合わせ。

意外なことに?豆腐のサンドが激うまでした。



食事が済むとMKがいきなり「ドーナツが食べてみたい」と言い出したので、
米粉のポンデケージョとチョコスプリンクルがテーブルに並びました。
3人ともドーナツは何年振り(わたしは何十年振り)というレベルです。

一口だけでしたが、その危険な味わいに思わずゾクゾクしました。


吹き抜けの高い天井の壁には映像が投影されていました。
驚いたことに、これが勝新太郎の「座頭市」シリーズだったのです。

同シリーズはあまりにもたくさんあって、そのうちどれなのかわかりませんが、
音声なしで映像を見ているだけでも「お約束展開」なので
完全に話の筋がわかって最後まで楽しんでしまいました。



帰りにおすすめのコーヒー豆を選んでもらい購入して車に戻ると、
「ウマミ マート」という日本酒専門店を発見。

日本の酒以外にも、凝った日本の食品などを扱っているおしゃれなお店で、
店内を見ていると、アメリカ人男性が入ってきて、
お店の人に酒を選ぶのを手伝ってもらって買い物をして行きました。

ちなみにサントリーの「響」が110ドルでしたが、
これは日本で買うより安いかもしれないとのことでした。

■ サンフランシスコでインド系アメリカ人と日本語で会話する



オークランドからベイブリッジを逆に渡り、
去年も訪ねたお茶の専門店、「ソング・ティー」に到着しました。
前回は街全体が賑わっていて車を止めるのが大変でしたが、
この日は街角のカフェも営業していないし、人影まばら。

サンフランシスコの日曜日の午後って、こんなじゃなかったのに・・。


ここは抹茶(手前の箱)もあれば、台湾のお茶も豊富で、
オーナー(白人女性)のお茶に対する情熱とこだわりが反映された店です。

ティールームではなく、葉を売っているだけなのに、
試飲会などのイベントの参加チケットは瞬時に売り切れるのだとか。

この日店に入ると、可愛らしい声の中国系の店員さんが、
「今日のお茶」の試飲を勧めてくれたので、
それを味わいながらお茶の葉っぱの匂いを嗅いだり、
オーナーに質問したりして過ごします。


店内では主に中国系作家の茶器を展示販売しています。



つい買ってしまいそうになった木彫の犬のカードホルダー。
これも売り物です。

わたしたちがいる間、ほとんど人の出入りはありませんでしたが、
男性二人が試飲しながらすこし過ごして出て行ったあと、
インド系の若い男性がひとりで入ってきて、わたしたちに
流暢な日本語で「もしかして日本の方ですか」と話しかけてきました。

彼は店の外からわたしたちを日本人だと見当をつけて、
日本語で話すために店に入ってきたらしいのです。

TOとMKがお茶を探している間、ずっとわたしが話し相手をして、
彼のことを聞いたりしていましたが、それによると、彼はオレゴン生まれ、
高校生の時に日本語を学校で習ったといいます。

しかし、驚いたのは、彼の日本語がほぼ完璧だったことです。

今時の日本の若者が使わないような言い回しすらあったので、
日本に行ったことがあるのか聞いたところ、彼はミネソタ州立大学に進み、
そこで化学を専攻したのですが、就職の段階で住んでいた
コネチカットにMiyoshiという化学薬品系の日本企業があったことから、
そこでの仕事の期間日本(千葉?)に滞在したこともあったとか。

そして今は別の会社でリモート中心の仕事をしており、
ソングティーから歩いて10分くらいの場所に住んでいるとのことでした。

今の仕事に日本語は全く必要なくなってしまったので、
彼はこのように暇そうな?日本人を見つけては話しかけ、
会話のスキルを維持しようとしていたのかもしれません。

「仕事をする上でアメリカ人に生まれてよかったと思う?」

と何となく聞いてみたら、

「日本やアメリカなどに生まれたら仕事の選択肢が多いのがメリットだけど、
逆に選択肢が多すぎて、僕は高校生の時は何も選べませんでした。
医者とか弁護士とかなりたい職業がはっきりしているならともかく、
その歳で自分が何になりたいかなんてわかる人の方が少ないかもしれない」


だからその行く道を岐路に立つたびに選択してきた結果、
今の自分があるわけだけど・・、と彼は答えました。

「それで、今のところは自分の状態に満足してる?」

「まあまあですね。給料もいいし(笑)」

そのとき、二人が近づいてきて「買い物すんだよ〜」と言ったので、
じゃあ行きますね、グッドラック、といって手を握りました。

最後に名前を教えてください、というので全員が名乗り、
彼は自分を「アパチャ」だと名乗りました。

来年もしこの地域を訪ねたら、そこにまだアパチャくんはいるでしょうか。


■ 再び車を交換

せっかく佐世保在日米軍出身のマネージャーが配車してくれた代車ですが、
わたしは猛烈に不満でした。

一応同じ車種と言いつつ、最初の車が最新型だったのに対し、
こちらは4年落ち。タッチパネルなし。インテリジェントキーなし。
おまけにテネシーナンバーだったりして、乗れば乗るほど不愉快になります。

こちらの都合ではなく整備不良で交換を余儀なくされたのに、
この凋落?ぶりに、次の日にはもう我慢できなくなって
わたしはもう一度車を取り替えてもらいに空港に行くことにしました。

そして、車を返すと、プライオリティメンバーのデスクに行く前に
前回と同じ最新型の別の車が返却されているのを確かめました。

並んでいると、チェック係?が何で並んでるのか聞くので、
これこれこうなのでこの車に変えてほしいというと、その黒人女性は、

「この車が気に入らないとかタッチパネルがないから嫌とか、
そんなのいちいち対処していたらこちらもキリがありませんよ。
そんなのこちらとしても担保できません

と意地悪く諦めさせようとしてきます。

「いやでも、最初の理由は車の故障だったですよね?
その代わりの車があまりにひどいからきたんです」

「故障でも気に入らないでも交換は3回までよ!」


と何が何でもここで諦めさせようとします。
でももう車返しちゃったもんねー。

「じゃあまだ2回目なんで大丈夫ってことですよね?」

「じゃやるだけやってみれば?無理だと思うけど」


厳密にはこんなやり取りではもちろんありませんでしたが、
わたしはそのように聞こえました。

そして順番を待ち、呼ばれたデスクに行くと、なんとまあ、
そこに座っているのは昨日と同じ、タメラさんではありませんか。

「あー、あなたね。覚えてますよ、あなたのことは。
また何かあったんですか」


おお覚えてくれてましたか。それなら話は早い。
今すぐこの写真の新車に取り替えてくれ。気に入らないから。

「そんな理由では無理だと思いますよー?
しかもそこにあるの貸せとか、無理ー」


しかし、そういうことを決定する権限は彼女にないらしく、
マネージャーに聞いてきます、と、書類を持って奥に行きました。

しばらくして出てきた彼女は、

「OKが出たのでおっしゃる車に交換できることになりました」

おそらく、佐世保マネージャーも昨日の今日でわたしを覚えていたらしい。
書類を完成させた彼女に、わたしは、

「タメラさん!本当に助かりました!ありがとう!」

と盛大にお礼を言うと、名前を呼ばれて悪い気はしなかったらしく、
最後に彼女はにっこりと笑ってくれました。

まあ、彼女ははっきり言ってこの件についてお礼を言うようなことは
何もしてくれなかったわけですが、少なくとも窓口でピシャッと断らず、
マネージャーに繋いでくれたことには感謝すべきでしょう。



そして2台目として乗ることになった車は、これまでのベストでした。

アメリカでは決して遠慮したり諦めてはいけない。
(教訓)


■ オークランド再び

週末、マザータングの近くにあった良さげなエスニック料理を試したくて、
わたしたちはもう一度オークランドまで車を飛ばしました。



このお店のカクテルメニューに注目。

Spirited Away(千と千尋の神隠し)
KIKI's Delivery(魔女の宅急便)
Firebender(アバターの技)
The Moving Castle(ハウルの動く城)
Hayao Spuritz(駿の魂スピリット)
Ghibli Magic(ジブリの魔法)
Airbender(アバターの技)
Totoro's Gimlet(トトロのギムレット)

バーテンダーはジブリ好き(確信)


ここはビルマ料理店で、ロティとカレーが最高でした。
あと、チキン、ビーフカレー、豆苗のサラダも激うまでした。

食後、マザータングがバー営業していると言うので行ってみました。
MKとTOはコーヒーのカクテルを楽しみました。



相変わらず店内で座頭市がエンドレスで流れており、
今回この作品が「座頭市逆手斬り」であることが判明しました。



なぜマザータングが座頭市一本槍なのかは謎のままです。


続く。




映画「FBI vs ナチス」〜彼らはアメリカを破壊しにやって来た

2023-08-05 | 映画

実際に起こった未遂のスパイ事件、「パストリウス作戦」をベースにした
アメリカ制作の戦時啓蒙映画、「奴らはアメリカを破壊にやってきた」
邦題「FBI vsナチス」後半です。

レジスタンス活動がバレてダッハウ送りになろうとしていた女性、ヘルガを
エルンスト・ライターに成り済ました主人公、
カール・スティールマンが救出したところで前半が終わりました。

ヘルガを護送していた2人は、車ごと、工作員養成学校の授業で使った
ピッチ爆弾で爆破されてしまったという状況なので、
養成学校の学生でありヘルガと接近していたライターが疑われる流れか?
と思いきや、ナチス海軍情報部は全くこの件について動きません。

ここで彼が疑われる流れになると、後半のオチに持っていけないからですが、
こういう雑さが如何にも急拵えの二流作品感を免れません。

ゲシュタポってそこまで抜け作揃いじゃないと思うぞ。

さて、カールが死んだエルンスト・ライターの身分を名乗り、
FBIの工作員としてここに来ていることは、彼自身と
FBIのチーフ、クレイグしか知らないことのはずですが、
ここでエルンスト・ライターを知っている人物が出現してしまいました。


エルンスト・ライターの妻です。
彼女は諜報部にいるはずの夫に凸してきました。

いきなりで逃げられないと覚悟したカールは、妻に向かって
自分が訳あって彼の名を騙っている身であると告白します。

まさか彼がアメリカの警察に撃たれて死んだとは言えないので
とにかくこの場を乗り切るため、24時間待ってくれと時間稼ぎします。


その上で、彼はゲシュタポの本部長に、



「妻が精神を病んで、ヒトラー閣下その他高官を罵っています。
わたしのことを夫ではないと言い出しています。
彼女の奇行はもはや国家を脅かすレベルなので・・」

とあることないこと言って彼女を収容所送りにさせようとします。

ドイツ人二人爆破で吹っ飛ばして好きな女性を収容所送りから救った次の瞬間、
次は何の罪もない女性を陥れて収容所にブチ込めですかそうですか。

レジスタンスなら助けられるべき、親ナチの男の妻なら死んでもOK、ってか?
この考えのどこに正義があるのか?と製作者に聞いてみたい。




ところで、この写真の女性をご覧ください。
映画のフラウ(ドイツ語で夫人)ライターの洋服や髪型、ターバンは、
実際のパストリウス事件の裁判に出廷するドイツ人被告の妻のものとそっくりです。



誰の妻かはわかりませんが、美人の彼女は周りを囲まれ、
持っているバッグで顔を隠すも、追い回されてカメラで執拗に撮られ、
ニヤニヤ笑う男たちが付き纏っています。

国家的大罪に対する懲罰という大義名分に乗じた男たちからは、
フランス革命時に、目の覚めるほど美しい貴族の女性を
なぶり殺して陰湿な快感を得ていた連中と同じ匂いがします。

そして、現在の世の中ではこれがネットという媒体を通じて、毎日毎日、
それこそ対象を変え事件が起こるたびに行われているわけですね。

匿名という仮面を得て、マスとなった「正義の民衆」によって。



ゲシュタポの部長にフラウ・ライターを収容所送りにする確約を取り付け、
ほっとして部屋を出ると、入れ違いに夫人がやってきました。



慌てて身を隠すスティールマン。
おそらく夫人は夫を名乗る自分のことを直訴するつもりでしょう。



夫人は、自分の夫を名乗る男をスパイに違いないと訴えます。

しかし、前もってスティールマンから刷り込みされている大佐は
頭から女性の方がおかしいと決めてかかって聞く耳を持ちません。

ここでまともな思考を持つ人間であれば、先ほど出て行ったところの
ライターを名乗る人物を呼び返して二人を対峙させるなり、
仮にも諜報部ならライターの調査資料を取り寄せたりするはずですが、
もちろんこの三文国策映画ではそんな展開にもなりません。

ねえ、ゲシュタポってそんなアホの子の集団だったと本気で思ってる?



とにかくあまりの話の通じなさにライター夫人激怒して、
この無能なゲシュタポの部長を激しく罵ってしまいました。

このときの女性の演説?と手振りは、明らかに
ヒトラー総統の調子を彷彿とさせるものになっており、
この辺りにも作り手の浅薄さが垣間見えてうんざりします。

とにかく、大佐はこれでキレてしまい、夫人を反逆罪で逮捕することに。
さすがに収容所ではなく矯正施設ということですが・・・。



激昂した夫人がカップを投げたりする大立ち回りの末、
連行されて行った後、大佐はため息をついて

「かわいそうなライター・・同情するよ」

と呟きますが、これ、なにかタチの悪いコメディでも見ている気分です。
本作上映時にここで笑いを取ろうとしていたのだとしたら、
つくづく下劣な製作者だと胸糞が悪くなりました。



さて、こちらアメリカにあるカール・スティールマンの実家。
カールが出奔して以降、寝込んでしまった父親ユリウスのもとに、
カールの友人と名乗る人物が訪ねてきます。

FBIのチーフ、クレイグでした。

用は何かと訝るユリウスに、クレイグは病気であなたが寝込んでいるのは
息子を心配してのことだと思って来たといいます。

なぜそんなことを知っているのかな?
やっぱりFBIの情報網ってすごいってことかしら。

そして、驚くことにクレイグはユリウスに、
カールはFBIのために任務を行なっているので心配するなと言うのです。

「この訪問は例外的であり個人的なものです。
わたしは息子さんとの約束があるから。

あなたたちについて面倒を見るとね」

いやいやいやいや、にしてもそれはダメだろうFBIチーフ。
驚き、次に狂喜して彼の母には告げなくては、というユリウスに、

「女性には絶対に言わないでください。
奥様であってもいけませんよ。彼の命はあなたの手にある」


クレイグは父親を信用させるために、胸ポケットから
FBIのバッジを取り出して見せることまでするのですが、
いやだから、なぜFBIの人間がこんな口が軽いんですか。



しかし、効果はテキメン、父親は喜びのあまりすっかり元気になって、
ベッドから降りて葉巻を探し始めるではありませんか。


「ヘンリエッタ!葉巻だ!」

要するに病は気からってことだったのね。


お手伝いの黒人のおばちゃん、テレサも心配してます。


そこに主治医のドクトル・ホルガーがやって来ました。
二人でユリウスの様子にびっくりです。



そして、父親は、嬉しさのあまり、ホルガー医師に
誰にも言うなといわれた秘密を打ち明けてしまうのでした。

「カールはナチスと戦うアメリカのために働いているんだ」

なに、あのFBIの男は「女性には言わないで」と言ったが、
ホルガー先生は女性じゃないから大丈夫、ってか?

あーもう、お馬鹿さんなんだからー(イライラ)

案の定、ホルガー医師はそそくさと帰っていきました。



さて、工作員学校で目論見通り最優秀学生となり、
エルンスト・ライターことカールは、作戦のリーダーとして
いよいよアメリカに送られることになりました。

実際にそうであったように、Uボートでロングアイランドまで運ばれ、
別働隊はフロリダに上陸すると言う手筈です。


そして、カールらが乗り込むUボートの出航日となりました。


この写真からはわかりませんが、実際に工作員チームが運ばれたのは
U-584だったとされますので、タイプはVIICとなります。
映画ではU159と言っています。


Uボートは航行を始めました。
艦内では途端にドイツ語が飛びかいます。



艦長がライターに潜望鏡を覗かせると、そこには
連合国の輸送大船団と護衛艦隊の姿がありました。

逸る様子で「前の艦の下に潜り込んだら1隻はやれる」という彼に、
ライターは視線を落ち着きなく動かしながら、

「いや、それは上の許可が・・・」

「わかってますよ。
あなた方を無事に送り届けるのが我々の使命ですから。
しかし惜しい!」

「いや実に惜しいですねー」(棒)



ちょうどその頃、ゲシュタポのティーガー大佐は
カール・スティールマンという人物がFBIのスパイとしてドイツに入国している、
という情報を受けて、心底のけぞっていました。

やっぱりホルガー医師、ナチスと内通していた模様。

そして、アーネスト・ライターこそスティールマンかもしれないと推測し、
夫がすり替わったと訴えていた夫人のもとに駆けつけました。



大佐がライター夫人にスティールマンについて問いただすと、
本当の夫の口から彼のことを聞いたことを思い出します。

「カール・スティールマン・・・親独協会の一員だったわ」

大佐がそれを聞いて息を呑むと、この激しい女性は居丈高に
大佐のミスと自分を収監したことを責め立てます。



「このことが知れ渡ったらあなたはクビね!
すぐに釈放して!」

彼女は知りませんでした。
ティーガー大佐が決して間違いを認めないこと。
愚鈍なくせにプライドだけは人一倍強い人物であること。

「わたしは慈悲深いの。愚かな人物には特にね」

窮鼠猫を噛むではありませんが、徹底的に追い詰めれば
相手は何をするかわからないということを。

「精神異常者の措置は知っているか?総統の指示を守れ」



大佐が去った独房からは、女性の叫びと続いて銃声が聞こえて来ました。
独房でなんの前触れもなく女性を銃殺って、これにはヒトラーもびっくりだ。


今や正体がバレたカールを乗せたUボートは、アメリカ公海に侵入しました。



そのとき、上空に米軍機が襲来しました。
ロッキードハドソンと思われます。


すぐさまUボートは潜航。
この「水平航行」の部分はドイツ語の合間にここだけ英語で
「レベル・オフ」と言っているのが聞こえます。



目標深度は70と言ってますが、これはメートルだよね?



3機は爆弾を落としてくるのですが、これはあきらかにさっきと違う飛行機、
マーティンのPBMマリナー。(水上機だお)
しかも今調べたら、PBMには爆弾を落とすボムベイは搭載されていません。

深度を110(メートル?)まで下げてなんとか逃れました。



もうすぐアメリカ本土上陸というときになって、
スティールマンは一人で何やらごそごそしています。



これは確か、ピッチ爆弾・・。
自分を無事に連れて来てくれたUボートに何をするつもり?
タイマーを聞いたばかりの上陸予定時間より少し後に合わせています。

そして隙を見計らって、(そんなことが可能かどうかは謎ですが)、
その辺の魚雷の窓をねじ回しで開け、中に爆弾を放り込みました。

こいつ、つくづく鬼畜だよなあ。



同時刻、ティーガー大佐はUボート艦長に宛てて、
エルンスト・ライターの処刑命令を打電していました。

ちなみにセリフで言っている実際のU-159はIXC型で、
23隻もの商船を撃沈した殊勲艦でしたが、
5回目の哨戒でこのPBMに爆撃を受けて戦没しました。


ボートからエルンスト・ライターら工作部隊が下艦したそのときです。



Uボートの無線士が本国からの通信を受け取りました。



ウルリッヒ・ハウザー艦長は電報を見るなり、
なにやらドイツ語でいっています。
(シュバインとか聞こえているから豚め!的罵詈だと思う)

そして、上陸前にライターを捕まえるべく、
浮上を命じますが、ちょっとまって?
たしかUボートには時限爆弾が・・・。


どかーん(擬音)

時間通りに爆音が・・・って、水中とはいえ沿岸で
こんな派手な爆音がしたら、気づかれてしまいませんかね?

しかし、爆音を聴いたのはスティールマンただ一人。
同行の同志誰一人気づいていません。んなあほな。


どうした?じゃないっつーの。

そこにやってきた沿岸警備のジョン・カレンという人物も
爆音は全く聞こえなかったようです。

ボートから降りて来た一団を見咎めたカレンは、実際にも誰何し、
ドイツ人たちが口止めに渡したお金を受け取りました。



カレンは買収されたと思わせておいて、それを報告しています。
300ドル要求したのに260しかよこさなかった、と言ってますが、
実際のカレンも260ドルを受け取っています。


実在のジョン・カレン。
彼はこのときの迅速な行動が犯人検挙につながったとして、
のちに叙勲されています。


映画では(尺の関係で)急展開、次の瞬間ライターは逮捕されました。


そしてドイツから入国した工作員グループは一網打尽に・・。



しかし、スティールマンだけは、こっそりFBI本部に連れてこられました。

「危なかったな。
君の暗殺命令が出ていたそうだ。
誰かが君を密告したと思われる」

その上で、エルンスト・ライターという工作員の立場で
法廷に立って欲しい、といいます。

「刑の執行まであっという間に進めたい」



そして、実際の被告たちが法廷に引き立てられるフィルムが・・。



彼らは二人を除いて全員死刑判決を受け、
電気椅子による処刑の後、ワシントンの草地に葬られました。

Operation Pastorius - Hitler's Dream to See New York in Flames



さて、映画はあの後味の悪い密告の落とし前をつけねばなりません。
スティールマン家にあのホルガー医師がやってきました。

父ユリウスは上機嫌で迎えます。
息子のカールが無事に帰って来て夫婦で喜びをかみしめているところでした。



「ドイツにいたんだって?
聞かせてくれ、恋人はできたかい?(小指を立てて)
フューラー・・じゃなくって、ヒトラーは見たかね?」

つい地金?を出してしまうナチス党員の医師。

「遠くからちらっと見ましたよ。
そうそう、いいニュースがあります。
僕は工作員の名簿を持って帰国したんですがね」

「本当か?よくやったな」



「先生、あなたはリストのナンバー8でしたよ」



「・・・・というわけさ」

チーフ・クレイグは部下にスティールマンの無実の訳を説明し終わりました。

「スティールマンは今どこに?」

「一般市民として忙しくやってる」

なぜか腑に落ちない表情の彼の頬をポンポンと叩き、
ウィンクして見せるクレイグ、というところで映画は終わります。


事件のセンセーショナルな雰囲気にただ流されて、
構成が雑ならプロットの穴も全く綻びっぱなしの前のめりな映画。

なぜカールがFBIに見込まれたのか、なぜ彼がその依頼を受けたのか、
ドイツのヘルガはどうなったのか、そして何より、
Uボートが大西洋を一瞬で横断できたのはなぜか。

深く考えればキリがないほど溢れ出る疑問の数々。
この部下の全く納得いかない表情に、心から共感してしまったわたしでした。

まあ、なんだかんだ言って面白かったですけどね。


終わり。



映画「FBI vs ナチス」〜They Came To Blow Up America

2023-08-02 | 映画

シカゴのMSIでU-505の分厚い写真本を買って帰りました。

あまりに重いので、どこかで置いていくために全ページ写真に撮り、
あとで資料に引用するときにはデータを見ようと思っていたのですが、
どうしても本を捨てるという行為ができず、持って帰りました。

しかし、U-505のシリーズを掲載していたとき、
本のページをめくって記事を何度も確認しながら、
つくづく、アナログ本の便利さを思い知り、
無理して持ち帰ってよかった、と思ったものです。

さて、この本は、U-505の艦歴からタスクフォースに拿捕されるまで、
タスクフォースの作戦、捕虜について、艦体が博物館に展示されるまで、
そこで行われた同窓会やその後の米独双方の軍人たちの足跡、
巻末には潜水艦の歴史までを網羅した盛り沢山な内容ですが、
(にもかかわらず定価19.95ドル)合間には関連する歴史コラムもあり、
そこで紹介されていた第二次世界大戦中のあるスパイ事件を知りました。


■オペレーション・パストリウス

なぜこのUボート本にドイツ人スパイの事件が載っていたかというと、
それは第二次世界大戦中、ドイツがUボートを使って
アメリカ本土に8名のドイツ人をスパイとして送り込んだからです。

作戦名はドイツ連邦軍長官ヴィルヘルム・カナリス提督によって、
アメリカにおけるドイツ人の最初の組織的入植の主催者である
フランシス・ダニエル・パストリウスにちなんだ命名をされました。

わたしはこの事件について興味深く記事を読みながらも、
U-505そのものにはあまり関係がないように思われたので、
シリーズではこの事件について紹介しないまま終わりました。

ところが、U-505シリーズの作成が終わって映画ログに取り掛かったら、
とたんに引っかかってきた1943年のアメリカ映画。

これが「オペレーション・パストリウス」を題材にした作品だったのです。



映画はいきなり字幕から始まります。

「これからご覧いただく映画は、ナチス破壊工作員 8 人の事件に関する
公式記録から文書化されたものではない。
この事件の記録は機密であり、戦争中は
最高司令官によって封印するよう命じられている。
本作品は、アメリカ人に直面している危険を示すために作成された。」

背景では、模型丸出しの軍事施設が爆破される様子が描かれています。



「奴らはアメリカを破壊にやってきた」

という直裁なタイトルですが、本日タイトル画は、
事件を報じるニューヨークタイムズのヘッドラインから
タイトルの「To Blow Up」をお借りしました。

見出しは、

「FBI 軍事施設を爆破するために、ここニューヨークと
フロリダにボートで上陸した八人の破壊工作員を逮捕」

とあり、写真の上のサブタイトルには

「フロリダビーチにナチスの破壊工作員は爆発物を隠した」

と書かれています。

事件の概要は、ドイツからスパイが密入国を果たすも、
破壊活動を行う前に、うち2人がFBIに自首したため一網打尽となり、
裁判の結果、自首した二人以外全員死刑になった、というものです。

にしても、この邦題、『FBI vsナチス』、
いつものことながら他になんとかならんかったんかというダサさですが、
かといって原題の「They came to blow up America」もイマイチです。

名は体を表すという言葉もあることですし、タイトルがこれではと、
この映画の作品としての価値にはあまり期待せずに観ることにしました。




映画はFBIのオフィスから始まります。
FBIのチーフ、クレイグは、スパイ8人の裁判の判決を伝えます。

「6人が死刑、2人が終身刑と30年だ」



若い職員は、全員処刑すべきだと息巻きますが、
クレイグはその1人、スティールマンについて何かを知っている様子。

そして彼についてのストーリーが語られるのです。



事件では、実際にも、8人のうち2人が処刑を免れました。

これがその時のメンバーの写真ですが、処刑にならなかったのは
上段のゲオルク・ジョン・ダッシュとエルンスト・ペーター・バーガー2人。

ダッシュとバーガーは上陸後すぐにFBIに駆け込んで自首し、
仲間の居所も密告したため、作戦は発動前に阻止される結果となりました。

なんでも、ダッシュは反ナチズムで、最初から任務を遂行するつもりはなく、
FBIに密告することをバーガーに打ち明け、行動を共にしたということです。

反ナチの人間が、スパイの訓練を受け、しかもリーダーとして
この作戦をオーガナイズしていた、というのがなんとも不可解ですが、
本作は、当時誰もが持ったであろうその疑問の「謎解き」を試み、
ダッシュが実は最初からアメリカのスパイとして活動していたからだ、
という大胆な仮説を立て、それを作品化したものです。



■親独協会



この夜、息子のカールが久しぶりに帰ってくるのを、
老いた両親は待ち侘びていました。

自慢の息子、カールは鉱業会社の顧問弁護士として
3年もの間南米に赴任していたのです。

愛する息子と囲むために腕によりをかけたディナーの席には、
父の友人で医師でもあるドクトル・ヘルマン・ホルガーもいます。



父親のユリアスはかつてハイデルベルグ大学の教授だった人物ですが、
なぜここでは小学校教師にあまんじているのだ、というドクターの問いに、

「明日のアメリカの国を作るために貢献しているのだ」

彼は移民してきたアメリカに忠誠を誓う、根っからの愛国者です。



ゆえに、息子のカールの、鉱山会社はやめて、
今後は親独協会の仕事をする、という言葉に驚愕します。

父親は親独協会が自分たちの嫌いなナチス寄りだと思っており、
いずれは国家によって潰されるという考えです。

息子を諌めようとする両親を振り切るようにカールは家を出ました。


親独協会の会合で、アメリカのヨーロッパ戦線への参加を
なんとしてでも阻止するべきだと演説しているのは、
エルンスト・ライターというドイツ系アメリカ人です。

「アメリカは大西洋と太平洋、広大な城壁に守られているのだから!」

当初アメリカの世論は、欧州の戦争に巻き込まれるべきではない、
という不戦論が、メディアでも優勢だったように記憶しますが、
この時はすでにドイツがアメリカに宣戦布告していましたから、
もはや彼らの言論は「反政府」「打倒政府」と同じです。


ライターは、自分はこれからドイツに帰国して工作員の養成所に入り、
破壊工作に加わるかもしれないとカールに告白します。

ちなみに、英語では破壊工作のことを「サボタージュ」といいます。

日本語の「サボる」などという派生語は、妨害活動のごく一部、
わざとゆっくり作業をしたりすることから生まれましたが、
英語では「破壊工作」が一番先にくる言葉です。

もう一つ余談ですが、「サボ」はオランダの木靴のサボからきており、
これを履くと作業が捗らないからという説や、逆にこれで
機械を破壊することができるからという説などもあるようです。



ちょうどそこに官警の手入れが入りました。

ドイツ人は日系人のように収容所に入れられることはありませんでしたが、
それでも国内のドイツ人の動きは公的機関から常に監視対象でした。



カールはライターと2人で逃げましたが、
後ろにいたライターは射殺されてしまいます。



自宅に逃げ帰ったカールは、両親から自首を勧められますが、もちろん無視。



すると父は、聞き分けのない生徒を叱る時の古式ゆかしい方法発動。
つまり自分のベルトを引き抜いて息子を打ち据えようとするのでした。

とーちゃん、息子はもう叩いて躾ける年齢じゃないんだよ・・。



ニューヨークのホテルに身を潜めたカールの元に誰かがやってきました。
誰か・・・・あれ?この人確かFBIの・・・?



FBIのチーフがどうして死んだエルンスト・ライターの査証を持っている?
しかも、次の瞬間、クレイグは最も簡単に、写真をペラッと剥がして、



カールをエルンスト・ライターに仕立て上げてしまいました。
さすがFBI、やることがエグい。

■工作員養成機関


ここはハンブルグの秘密情報局。
と思ったら、



次の瞬間看板が英語に変わって、「Naval Intelligence」
・・・ってなんでこうなるの?
ここは、

 "Marine Nachrichten Geheimdienst"
(海軍諜報部シークレットサービス)

とせめて看板を一枚にまとめるべき。
というか字幕をつけたつもりだったのかな。



諜報部内に設営された工作員養成コースに、
今やエルンスト・ライターとなったカールがしれっと参加しています。

例によって彼らは全員ドイツなまりの英語で会話しています。
「アハトゥング!」「ヤボール」「ヘア・カピタン」etc.
要所要所がドイツ語というあのパターンね。


アメリカで追っ手から逃れてきたライターを皆で英雄扱いしているこちらに、
講習に使うのか、U-26の模型が置いてあります。



そこに「大佐」と呼ばれるおっさんが入ってきて、
これから発動する破壊活動についての概要を話し出しました。

おそらく、これは実在の国防軍情報部の部長で、作戦の名付け親、
ヴィルヘルム・フランツ・カナリス(Wilhelm Franz Canaris)
をモデルにしていると思われます。


そっくり

余談ですが、この人、三国同盟後に日本の陸軍参謀から派遣された
大越兼二と組んで、「対ソ戦、英米との戦争は日独を滅ぼす」として、
その信念のもと、平和主義を貫くべきと結論づけた反ナチでした。

最終的には反逆者としてヒトラーに処刑されてしまったのですが、
情報部長時代は「スパイマスター」とまで呼ばれていました。

今回のスパイ作戦立案も出所はこの人だったとされます。


■ヘルガとの出会い


同僚と洋品店に買い物にでかけたカール、いやエルンスト・ライター。
そこで俺好みの美女に目を奪われます。



配給の割り当て(ストッキングは2足まで)を使い切ってしまい、
お目当てのシルクのストッキングが買えずに出ていく美女を見て、
チャーンス!とばかり自分の配給分でストッキングを購入。

「君が履くのか?」



揶揄われながら彼女をお茶に誘い、ブツをプレゼント。

「美脚の女性にはシルクのストッキングが相応しい」

エルンスト(英語なのでアーンストと言っている)は、
美女、ヘルガの名前を聞き出すことができました。


しかし直後、エルンストは情報局のティーガー大佐の口から、
ヘルガ・ロレンツがレジスタンスの疑いのある人物だと忠告を受けます。

そして、そこまでやるならついでに親しくなって尻尾を掴め、と
スパイ任務まで任されてしまいました。



養成コースの講義が行われています。
今日のお題はピッチ爆弾について。



ピッチ爆弾は前もって設定した周波数に感応して爆発を起こす装置で、
周波数の設定はダイヤルで行います。
時計をセットして時限爆弾としても使用可能。


教室内で実際に爆発させて音への感応具合を見せてくれました。
車の爆破もこれがあれば簡単です。
習ったことは覚えておこう。あとで役に立つから。


エルンストはヘルガとのデートを重ねます。
彼女の尻尾を掴むという大義名分もありますしね。


彼女の部屋にいると、キルシュナーと名乗る人物が訪問してきました。
彼は停電したので蝋燭を欲しい、と頼んできます。



ヘルガは蝋燭を数本持たせてやりました。
しかし、残りの蝋燭に何気なく火をつけたところ、いきなり炎が消えました。


コーヒーを淹れている彼女の目を盗んで蝋燭の内部を点検すると、
中から情報メモが出てきました。

「ナチスが祖国を破滅に追い込もうとしている!
巨額の財産が党幹部によってスイスとイタリアの銀行に蓄財されている!」



彼はメモを見つけたことを即座に彼女に報告しました。
そして彼女が内偵されていること、自分が探れと言われたことを告白し、
その上で街を離れて逃げることを勧告します。

彼女をすでに愛し始めているようですね。


ところが部屋を出るなり、彼は2人の男に脇を挟まれてしまいます。
彼らは蝋燭のことも知っていました。
彼女の部屋は望遠鏡で監視されていたのです。



問答無用で彼女は捕えられ、ダッハウ収容所に送られることになりました。
エルンストは、彼女との付き合いについて問い詰められ、

「言われた通り親密になって、蝋燭の件も報告しましたが何か?」

と平然と答えます。

まあその通りっちゃその通りなんですが、ヘルガはそれを聞いて
エルンストに裏切られたと思い、絶望の表情を浮かべます。



いつの間にかヘルガを捕らえられたのは
彼が密告したからだということになっていました。

■救出



その夜、エルンスト・ライターは密かに情報部の敷地に忍び込みました。



何をするかって?

授業で習ったことをさっそく実習しようとしているのです。
っていうか、教材とはいえ爆弾をなぜ一学生が持ってるのかって話ですが。

彼はそれをヘルガを護送する車に取り付けます。



車に乗っているのは運転手と護送係。
幸い女性であるせいか、手錠も腰縄もされていません。



しばらくいくと、道を塞ぐ形で車が停められていました。



車をどけようと降りてきたところを、彼は銃で脅して地面に伏せさせ、



ヘルガを乗ってきた車に乗せて全速力で疾走。
どうして、と尋ねる彼女に、こう答えるのでした。

「君を密告したと言わざるを得なかった。
共倒れを避けるためだ」

「いつか他のことも全て終わったら話したい」

そして、ひたすらアクセルを踏み続けます。
かれらの車に75マイル出させるために。



ドイツならこれはキロメーター表示のはずですが、まあいいや。
時速75マイル、つまり120キロですね。
アウトバーンならともかく、クネクネの山道でこの速度は難しい。

75マイルに達すればどうなるのでしょうか。



はいご覧の通り。
携帯電話も写メも車載カメラもない時代なので、
エルンスト・ライターが犯人であることはもはや誰にもわかりません。

それにしても真面目に授業を受けておくものですね。
本人も言ってます。

「先生の言うことを注意深く聞いておいてよかったよ」


彼女をレジスタンスの同士が脱出させるため、
船を用意して待っているところに送り届けた彼は、
再会を期して最後の抱擁を交わすのでした。


エルンスト・ライターにはこれからするべき任務が残されていました。


続く。