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68章解説【5】

2014年09月19日 | ジュズ・タバーラカ解説
48.それゆえおまえは、おまえの主の裁決に忍耐し、打ちのめされて(アッラーに祈り)呼びかけた時の「大魚の友(ユーヌス)」のようになってはならない。
49.もし彼の主からの恩顧が彼に達しなければ、彼は叱責を受け、不毛の地に投げ捨てられたであろう。
50.だが、彼の主は彼を選び、義人たち(の一人)となし給うた。
51.そしてまことに、信仰を拒んだ者たちは訓戒(クルアーン)を聞くと、彼らの目でおまえを射落とさんばかりにし(睨み)、そして「彼は狂人である」と言う。
52.だが、これ(クルアーン)は諸世界への訓戒にほかならない。

以上で、嘘つき呼ばわりする者たちを黙らせることで彼らとの話は終了します。後に残っているのは預言者(アッラーの祝福と平安あれ)の心を強化すること、そしてアッラーへの誘いという任務において忍耐するようにとの彼への呼びかけ、預言者ユーヌスがなしてしまったように自分の民を放置してしまわないことだけです。アッラーは預言者ユーヌスに報いとして、想像できないような困難と恐怖を彼に与え給うたのですが、預言者ムハンマドも彼のように主の許しなしに自分の民を放置すれば、同じ状態に陥ってしまうでしょう。

至高なる御方は仰せです:
「それゆえおまえは、おまえの主の裁決に忍耐し、打ちのめされて(アッラーに祈り)呼びかけた時の「大魚の友(ユーヌス)」のようになってはならない。もし彼の主からの恩顧が彼に達しなければ、彼は叱責を受け、不毛の地に投げ捨てられたであろう。だが、彼の主は彼を選び、義人たち(の一人)となし給うた。」

ムハンマドよ、おまえの主が定め給うたことやおまえのことやあの多神教徒たちに決め給うたことに忍耐し、おまえの主が命じ給うたことへ赴け。述べ伝えるよう命じられたことを広めることについては言うまでもない。そして「大魚の友」つまりユーヌス(彼に平安あれ)の状態になってはならない。つまり彼のように急いだり怒ったりすれば、大魚の腹の中にアッラーが閉じ込めてしまったように、おまえが民を導くことを放棄したことに主がおまえを罰し給うだろうから、そんなことはしてはならない、という意味です。「呼びかけた時」己の罪を認めたユーヌスが大魚の腹の中から助けを主に求めた時。彼は、「打ちのめされて」苦悩に満ちて。「もし彼の主からの恩顧が彼に達しなければ」もし主の恩顧が彼に届いて、主が彼に慈悲をかけ、彼を赦し給わなければ。「彼は叱責を受け、不毛の地に投げ捨てられたであろう」民に対する小さすぎた忍耐と彼らからの逃避という罪に対する叱責と非難を受けながら木の生えていない荒野に投げ捨てられただろうが、彼は悔悟したため叱責され続けなかった。「彼の主は彼を選び、義人たち(の一人)となし給うた」アッラーは彼を選び給い、健全さにおける義人とし、彼を全ての悪から守り給うた。

以上は、ユーヌス(彼に平安あれ)の物語でした。クルアーンは数々の章の中で訓戒を示すためにこの物語を述べています。ここではクルアーン中に登場する物語の要約を読んでみましょう。

ユーヌス(彼に平安あれ)の物語:
ユーヌス(彼に平安あれ)はアッラーの御使いたちの一人で、至高なるアッラーは彼をイラクのモスル近郊にあるナイナワーの民に送りました。偶像を崇め、さまざまな罪を犯していたかの民をユーヌスはアッラーへの信仰と己の罪からの悔悟へと誘いました。しかし、彼らは自分たちのやり方に固執して、ユーヌスの呼びかけに応えようとしませんでした。そんな彼らにユーヌスは、「しばらくすれば罰が下るだろう」ことを彼らに警告しました。ユーヌスは自分が負っていた責任をこれですべて全うし、アッラーに命じられていた任務を果たしたと考えました。そしてユーヌスは、自分に従わず、また不信仰に固執する自分の民に怒りを抱きながら町を後にしました。ユーヌスは、アッラーがこの行為を御咎めになることはないだろうとの考えから、アッラーの許可を得ずに町を放棄したのでした。そしてユーヌスは浜辺に着くまで進み続けました。そこには旅立とうとしている船が一隻。ユーヌスは乗り人たちに頼んで一緒に乗せてもらいました。

船は出発し、広い海へと進んで行きました。しかし風が強くなり、そのため波は大きく波打つので船は沈みそうになりました。恐怖に陥った船に乗った人たちは一斉に言いました:われわれの中に罪人が一人いるぞ、と。人々は話し合って、くじ引きでくじを引いた人を船から海に投げ出すことに決めました。そしてこのくじを引いたのはアッラーの御使いであるユーヌスでした。海に投げ出されたユーヌスに、アッラーは彼を飲み込む大魚を送り給いました。(※クルアーンはユーヌスが送られた土地の名や船に乗ってそこからくじ引きの結果投げ出されたことに言及していない。啓典の民の啓典からの抜粋。)

アッラーはユーヌスが傷つくことを望み給わなかったので、ユーヌスは大魚の腹の中で数日間過ごしました。彼は腹の中にいる間、主に懇願し、自分が間違っていたことを認めながら、主を讃え続けて、暗闇-夜と海と大魚の腹の中の暗闇の中で主に援けを求めながら-中で呼びかけました:「あなたのほかに神はありません。称えあれ、あなたこそ超越者。まことに私は不正なものたち(の一人)でした」(21:87)アッラーは彼の祈りを聞き入れ、彼の悔悟を受け入れ、大魚にユーヌスを荒れた大地に吐き出すよう命じ給いました。

アッラーは、大魚の腹から出て病んでいたユーヌスの近くにカボチャを生やし給いました。その葉で出来た陰はユーヌスを太陽の熱さから守りました。ユーヌスが元気になるまで、しばらくの時間が流れました。アッラーは回復したユーヌスに別れを告げたはずの民のところに戻るよう命じ給いました。ユーヌスが去った後、彼が予告していた罰の前兆が現れ始めたため罰が確実に起こることを人々は思い知りました。そんな彼らの心に悔悟の念をアッラーが投げかけ給うたことにより、人々はアッラーに懇願しました。そしてアッラーはその御慈悲と御優しさによって彼らから罰を取り去りたまいました。戻ってきたユーヌスは、10万人以上の民を信仰へと誘い、アッラーからの命令を全うしました。そして人々は導かれ、アッラーは幸せな生活を彼らに授け給いました。

次に、章の締めくくりに移りましょう。アッラーはムハンマド(アッラーの祝福と平安あれ)に話しかけ給います:
「そしてまことに、信仰を拒んだ者たちは訓戒(クルアーン)を聞くと、彼らの目でおまえを射落とさんばかりにし(睨み)、そして「彼は狂人である」と言う。だが、これ(クルアーン)は諸世界への訓戒にほかならない。」

意味:本当に不信仰者たちはおまえを敵対心と嫌悪感に満ちた目線で睨んで来るが、おまえがアッラーからのメッセージを述べ伝えることでアッラーからおまえに与えられた地位からまるでおまえをずり落そうとしているかのようだ。「訓戒(クルアーン)を聞くと」彼らがクルアーンを聞いたり、彼らにクルアーンが読まれたりすると、彼らは預言者を描写して、「彼は狂人である」と言う。預言者の正体に当惑し、また彼を避けようとしながら。けれども彼らは彼が最も理性を持った人物であることを知っている。

しかしアッラーは、クルアーンがすべての人間のための訓戒であると彼らに答え給います。「だが、これ(クルアーン)は諸世界への訓戒にほかならない」この節は、クルアーンが神の啓示であって、ムハンマドが作ったものではないことを示す最も重要な根拠です。もしそうでないなら、自分たちの信仰のせいで迫害を受け耐えている少人数の信仰者に慕われた能力も権力も持たない人間(ムハンマド)が、その民にクルアーンが人々すべてへの訓戒であると、つまりアラブ人だけのものでないと宣言することはどうでしょうか。これが意味するところは、つまりイスラームは大地を覆うことになり、多くの人がイスラームをもって導かれることになるだろうということです。本当にこの予言は神の啓示でない限り、人間が言いだすようなものではありません。クルアーンの中の予言は預言者(アッラーの祝福と平安あれ)の死後数年で実際に起きました。そしてイスラームの拡大は今日まで続いています。イスラームは東西の都市を包容し、数億人の人間がイスラームに帰依しました。

参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ タバーラカ/アフィーフ・アブドゥ=アル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーンP40~43)
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