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70章解説【2】

2014年02月06日 | ジュズ・タバーラカ解説
15.断じて。まことに、それは炎熱(火獄)である、
16.頭皮を剥ぎ取るものである(炎熱である)、
17.それは呼び招く、(真理に)背を向け、背き去った者を、
18.そして、(財産を)集め、溜め込んだ(者を)。
19.まことに、人間は気短に創られた。
20.災厄が彼に触れると、嘆き、
21.また幸福が彼に触れると、物惜しみする(者である)。
22.ただし、礼拝者たちは別である。

アッラーが描写し給う罪は以下になります:
「断じて。まことに、それは炎熱(火獄)である、頭皮を剥ぎ取るものである(炎熱である)、それは呼び招く、(真理に)背を向け、背き去った者を、そして、(財産を)集め、溜め込んだ(者を)。」

「断じて」:罪人が、地球の生き物すべてを償いとして差し出しても、それは決して受け入れられないことを指します。「まことに、それは炎熱(火獄)である」اللظى(Al=ladha)炎熱は、炎を意味する火獄の名称の一つです。不信仰者を燃料にして燃えていることから、この名が付きました。「頭皮を剥ぎ取るものである」الشوى(As=shawa)は、手や足や頭皮など人間の体の各部分を指します。この火はその熱さで不信仰者たちの体の肉や頭の皮を剥がします。「それは呼び招く、(真理に)背を向け、背き去った者を」つまり彼らを火獄に連れて行くことを指します。また、「呼び招く」という意味の他に、「滅ぼす」という意味とも言われます。つまりこの炎は、アッラーへの服従とアッラーの書をおろそかにしたり背いたりする者を滅ぼすということです。「そして、(財産を)集め、溜め込んだ(者を)」つまり、財産を集めて、それを隠して、貯めることです。أوعى(Auaa)という動詞は、ものを器に入れるという意味ですが、財産はその数が膨大でない限り、箱や収納室を必要としないため、この聖句が描写する人間は財産を施さないことが分かります。そしてここには、ケチでお金を出そうとせず、それを集めるのに必死になってその一部を善き道のために使わないで、ザカーもせず、アッラーに課された、貧者や必要とする人たちへ施しに出さない者に対する激しい脅迫が込められます。

つづいてクルアーンは、人間が生来より持っている性質と、人間がどのように善と悪に対面しているかの描写に移ります:

「まことに、人間は気短に創られた。災厄が彼に触れると、嘆き、また幸福が彼に触れると、物惜しみする(者である)。ただし、礼拝者たちは別である。」

「気短」と訳されたアラビア語、الهلع(hal')は、注意、退屈、嘆き、忍耐のなさといった意味を持ちます。そのため人間は、「災厄が彼に触れると、嘆き」つまり貧困や病などが自分を襲うと、ひどく嘆く、つまりそのことに耐えられない、ということです。「また幸福が彼に触れると、物惜しみする」財産が増えて裕福さを得ると、手にあるものを出さず、ひどく吝嗇になるということです。

代わって信仰者はこういった性質から遠くかけ離れています。気短であることはなく、状況が厳しいときも嘆かず、また幸福のときに吝嗇になることもありません。なぜなら自らの主にしっかりとしがみついているからです。信仰者とは、アッラーがこの聖句の中で例外とし給うた、礼拝を捧げる者たちに入ります:「ただし、礼拝者たちは別である」礼拝を介して信仰者は創造主と繋がります。至高なるアッラーと繋がる者は現世の生活の諸試練やそれらの厳しさを容易であると見なせられるようになり、また忍耐することで苦しみが喜びに変わるため、結果的に嘆くことはありません。なぜなら、アッラーにとっては自分から害を取り除くことは可能であると、そして自分に降りかかって来た試練に対して報奨を与えてくださると信じているからです。以上は厳しい状況についてでしたが、恩恵の状態ではどうかというと、創造主と繋がってアッラーが恵んでくださった恩恵や自分に命じ給うた善行をしっかりと思い起こす者は、吝嗇という性格そのものが彼から消えるため、善の道のためにその財産を施します。それはアッラーの御命令に従うことであり、また報奨を願う行為であり、施したものを返還してくださるとの確信なのです。

参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ タバーラカ/アフィーフ・アブドゥ=アル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーンP64~66)
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