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預言者伝72

2014年08月15日 | 預言者伝関連
225.カアブ・イブン・マーリクの試練、そして乗り越える(2):
  試練はこれまでのことに留まらず、この3人の男たちの妻のことにも及んでいました。彼らは、妻から離れるようにと命令を受け、それに忠実に従いました。

  そして次に、愛と約束の履行と忍耐と正しさにおけるこの試練の諸段階のなかでももっとも繊細な段階が訪れます。それは、ガッサーンの王が彼と仲の良かったカアブに手紙を送ったときのこと。カアブは、そこへの出席は名誉あることとされ、人々に競争されるガッサーンの会合に出ていました。アラブの詩人たちは長年にわたってこの会合の場で詩を披露していたのです。そんな中、人々の冷たい態度やアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)に背を向けられたことから精神的に参ったカアブのところにガッサーンの王の使いが現れます。使いは携えて来た手紙をカアブに渡しました。その中には次のように書かれていました:『私は、おまえの仲間(アッラーの使徒)がおまえに冷たくしたと知った。アッラーはおまえを屈辱の立場にも軽視される立場にも置き給うたはずはない。だからこそ、われらがおまえをなぐさめよう。』これを呼んだカアブの内面に、嫉妬心がこみ上げてきました。窯にそのまま向かってこの手紙を彼はその中に放り投げて燃やしてしまいました。

  かの3名の信仰者たちの本当の姿がどのようなものであるかの明確化と、クルアーン中に彼らのことが永遠に刻まれたこと、そして信徒たちが今後もずっとそれらから学ぶこと、信仰の強靭さとイスラームの正しさを証明する証拠の確立がアッラーの御望みによって完遂されると、アッラーは彼らを解放し給い、7天の上から彼らの悔悟を受け入れ給いました。

  また、アッラーは、彼らが孤立していると感じることがないよう、彼らだけに悔悟をあてはめ給いませんでした。まず彼らを赦すとの言葉の前に、諸預言者たちの長と戦に出そびれなかったムハージリーンとアンサールに名誉を与え、位を高める目的で、彼らを御赦しなるとはじめにおおせになります:

  「アッラーは確かに預言者と移住者たちと援助者たちの許に顧み戻り給うた。彼らのうちの一部の者の心は逸脱しそうになったが、その後、彼らは苦難の時に彼に従った。そこで彼は彼らの許に顧み戻り給うたのである。まことに彼は、彼らに対し憐れみ深く、慈悲深い御方。また、取り残された三人の許にも(顧み戻り給うた)。大地は広いにもかかわらず、遂には彼らには窮屈となり、彼ら自身も彼らには窮屈で、彼らはアッラーからの逃げ場は彼の御許にしかないと考えた。その後、彼らが悔いて戻るようにと、彼は彼らを顧み戻り給うた。まことにアッラーこそよく顧み戻り給う慈悲深い御方。」(悔悟章117、118節)

(参考文献:①「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P371~372)
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