イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

71章解説【1】

2013年11月01日 | ジュズ・タバーラカ解説
1.まことに、われらはヌーフを彼の民に遣わした。「おまえの民に、彼らに痛苦の懲罰が襲う前に警告せよ」、と。
2.彼は言った。「私の民よ、まことに私はおまえたちへの明白な警告者である」。
3.「おまえたちアッラーに仕え、彼を畏れ身を守り、私に従え」、と。
4.「彼はおまえたちの罪を赦し、定められた期限までおまえたちを猶予し給う。まことに、アッラーの期限は、それが訪れた時には、猶予されない。もしおまえたちが知っているならば」。

 預言者たちの物語や彼らの民とのやり取りのお話は、クルアーンが重点を置き、イスラーム宣教の反論者との議論においては手段とした重要な好影響を与える要素の一つです。また、アッラーの御満足があるだろうとの吉報や、彼に背いてはいけないとの警告や、イスラームの基幹とのそれらの目的の説明や、不信仰者たちからたくさんの危害を受けた後の預言者(祝福と平安あれ)と彼の追従者たちの心の強化のためにも利用されました。

 この章は、預言者ヌーフ(平安あれ)とその民の物語を展開します。その中から、マッカの不信仰者たちの状態とのつながりが見えてきます。ヌーフの民は偶像を崇めていて、マッカの不信仰者たちも偶像を崇拝していました。クルアーンはこの章の中で、ヌーフの民による背信へのしがみ付きを原因に起こる迎える厳しい結末を解明します。その中には、不信仰にしがみ続け、ムハンマド(祝福と平安あれ)のメッセージに呼応しないとヌーフ(平安あれ)の民が受けたような罰がおまえたちにもおこるぞ、とのマッカの不信仰者たちに対する警告があります。

 アッラーはまず、章の冒頭で次のように仰せになります:
 「まことに、われらはヌーフを彼の民に遣わした。「おまえの民に、彼らに痛苦の懲罰が襲う前に警告せよ」、と。彼は言った。「私の民よ、まことに私はおまえたちへの明白な警告者である」。」

 アッラーはヌーフを、偶像を崇めていた彼の民に送り給いました。そして彼に仰せになりました:おまえの民を警告し、彼らの不信仰は良い結末を呼ばないと怖がらせなさい。アッラーから厳しく痛い罰が彼らを襲う前に。そしてヌーフはその民に言いました:私は、皆さんの背信と背徳を警告するためにアッラーから皆さんに遣わされた者。私は既に明解な警告を皆さんに知らせた。

 ヌーフ(平安あれ)の呼びかけの内容ははっきりしており、そこには人間の幸福が込められていました:

 「「おまえたちアッラーに仕え、彼を畏れ身を守り、私に従え」、と。」

 ヌーフの宣教は3部から成り立っています:

 第一:アッラー御ひとりのみを崇め、偶像崇拝を放棄すること。この崇拝は、人々の心を一つにします。崇拝において人々は皆、ひとりの神に向かいます。崇拝の統一には、列の統一が成されます。そして人々を、偶像崇拝の原因となった迷信や思い込みや伝説から解放し、彼らをまっすぐの道に道いてくれます。アッラー御ひとりこそが、真なる崇められるべき御方なのです。

 第二:アッラーへの恐れの心。それは、アッラーに対する恐れから、魂を守ります。アッラーは諸々の罪を禁じ給いましたが、なぜならそれは人々の健康や道徳心を汚し、社会を軟弱にするためです。

 第三:アッラーの使徒(祝福と平安あれ)に服従すること。それは、アッラーの聖法の追従を含みます。なぜならアッラーの使徒はアッラーから聖法を直接、啓示を介して受け取り、ご自身の民にそれを伝え、それに従うよう命じるからです。

 これら3つの柱は、過去の使徒たちが呼びかけた基幹と重なります。そしてヌーフはその民に、それらを行えばアッラーの赦しを得られ、罰から救われると約束しました:

 「「彼はおまえたちの罪を赦し、定められた期限までおまえたちを猶予し給う。まことに、アッラーの期限は、それが訪れた時には、猶予されない。もしおまえたちが知っているならば」。」

 「おまえたちの罪」は、おまえたちの罪の一部、を意味します。つまり信仰する前に犯した罪です。「定められた期限までおまえたちを猶予し給う」つまり、この現世において、アッラーのみが知る定められた期間までおまえたちに猶予を与え、楽しませ給うということです。アッラーこそはおまえたちの寿命を定め給うた御方であるため、罰でおまえたちを滅ぼすことはない、という意味です。「まことに、アッラーの期限は、それが訪れた時には、猶予されない」つまり、アッラーが被造物に定め給うた寿命は期限があるため、増えることも減ることもない。期限という言葉がアッラーに接続されたのは、彼こそがそれを定め、記し給うたからです。「もしおまえたちが知っているならば」おまえたちがその真実を知っていたなら、急いで主の服従に走っただろうに、という意味です。

参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ タバーラカ/アフィーフ・アブドゥ=アル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーンP78~80)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 預言者伝53 | トップ | 預言者伝54 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ジュズ・タバーラカ解説」カテゴリの最新記事