イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

預言者伝36

2012年06月28日 | 預言者伝関連

120.おまえ達の上から、そして、おまえ達の下から彼らがおまえ達の元にやって来た時:
  ついにクライシュ族がマディーナの前に10000人から成る兵とやって来ました。彼らと共に、仲間を連れたガタファーン族も現れ、彼らもマディーナの前に到着しました。彼らを出迎えたアッラーの使徒(平安と祝福あれ)と信徒たちは3000人で、彼らの間を塹壕(ざんごう:戦いにおいて敵から身を守るために陣地の周りに掘る穴または溝)が隔てていました。
  かつて信徒たちとバニー・クライザ族の間には協定が結ばれていましたが、バニー・ナディール族長であるフヤイ・イブン・アハタブがそれを破らせようとしました。始めは躊躇(ちゅうちょ)していたバニー・クライザ族ですが、最終的には、協定を破ってしまいました。アッラーの使徒(平安と祝福あれ)がその事実を知った時から、様々な災難が起こり、恐怖に襲われました。そして偽信者たちから、偽信仰がはっきりと現れ始めました。そこでアッラーの使徒(平安と祝福あれ)は、ガタファーン族に、マディーナで収穫されるナツメヤシの三分の一を差し出すことで彼らと和解し、戦いを避けようと考えました。こうすることで、アンサールが戦いで負ったダメージを、少しでも軽減できると考えたのです。
  しかし、この考えを後に放棄することになったのは、アッラーの使徒(平安と祝福あれ)が、サアド・イブン・ムアーズとサアド・イブン・ウバーダの強硬な態度と敵に対する厳しさを知ったためです。サアド・イブン・ムアーズは言いました:アッラーの使徒さま!かつて私たちと彼らは、共にアッラーに同位者を配し、多神を崇め、アッラーを崇めることもかれを知ることもありませんでした。彼らは分けてもらうか、買うことでしかマディーナのナツメヤシを口にしたことがないのに、アッラーがわれわれにイスラームという栄誉を与え、導きをお与えくださり、あなたさまとアッラーによって、われわれが強固にされた後になって、彼らにわれわれの富を与えるというのですか?アッラーにかけて、そのような必要などありません!アッラーにかけて、アッラーがわれわれの間を裁いてくださるまで、彼らに与えるべくは剣のみです!アッラーの使徒(平安と祝福あれ)は言われました:あなたの望むことをなさい、私は同意しましょう。

121.イスラームの騎士とジャーヒリーヤの騎士の間で:
  敵がアッラーの使徒(平安と祝福あれ)と信徒たちを囲みました。何と、彼らの間に戦いは起きず、ただ、クライシュの騎士の一人が、馬の走る速度を速めると、塹壕の前で立ち尽くしました。敵たちは塹壕を見て声をそろえて言いました:アッラーにかけて!今までにアラブが考えたことのない戦略ではないか!
  敵たちは、塹壕の中に、自分たちが通ることができる幅の狭い所を探し、騎士らはそこからマディーナに入って行きました。その時にいた騎士に、アムル・イブン・アブドゥ・ウッドがいました。彼は1000人の騎士に相当するほど強いことで有名でした。彼は立ち止まると言いました:誰が私と一騎打ちするか?アリー・イブン・アビー・ターリブがその要求に応え、言いました。:アムルよ!君はかつて、クライシュの人間が二つのことに君を導こうとしたとき、そのうちの一つを採ることをアッラーに誓ったはずだ。
アムル:確かに。
アリー:では、私は君をアッラーとその使徒、イスラームに誘おう。
アムル:私にその必要はない。
アリー:では一騎打ちをしようではないか。
アムル:なぜだ、兄弟?私はそなたを殺めたくはない。
アリー:しかし私は本当に君を倒したいのだ。
  そのように言われたアムルは、アリーの馬の腱を切り、顔を切りつけました。続いてアリーに襲いかかり、両者は戦い合いました。最終的にアリーはアムルを殺害しました。

  (参考文献:「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P252~254など)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿