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預言者伝80

2014年12月19日 | 預言者伝関連
逝去
ヒジュラ暦11年ラビーウ・ル・アッワル
237.啓示の任務の完了と謁見の時の近付き:
  教えがその完成度において頂点に達すると次の御言葉が啓示されました:「今日、われはおまえたちにおまえたちの宗教を完成させ、おまえたちにわれの恩顧を全うし、おまえたちに対して宗教としてイスラームを是認した」(食卓章3節)

  アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は啓示を広め、任務を果たし、アッラーの道において相応しい形で奮闘努力し、預言者の存在なしに預言の重要事とその責任を遂行し、イスラーム宣教のために立ち上がり、改ざんから教えを守る共同体を育て上げました。そして至高なるアッラーは仰せになりました:「おまえたちは人々のために引き出された最良の共同体であった。おまえたちは良識を命じ、悪行を禁じ、アッラーを信仰する。」(イムラーン家章110節)

  またアッラーはこの宗教の柱、信仰と確信の源であるクルアーンが残り、清らかであり続けることを保証し給いました:「まことにわれら、われらこそが訓戒(クルアーン)を下したのであり、まことにわれらこそはその(改竄、散逸からの)護持者である。」(アル=ヒジュル章9節)

  またアッラーは、人が群れとなってこの宗教に入ること、その広まりの徴候が世界中やあらゆる宗教の中で見られ始めたことによって預言者に喜びを与え給いました。
  彼は仰せです:「アッラーの援助と勝利(マッカ征服)が来て、そして群れをなしてアッラーの宗教に入る人々を見た(目視した)なら、しからば、おまえの主の称賛をもって(主を称賛して)讃美し、彼に赦しを乞え。まことに彼はよく顧み戻り給う御方。」(勝利章1~3節)

238.クルアーンの学び合い、ラマダーン中のお籠り期間が倍増:
  かつて預言者(アッラーの祝福と平安あれ)はラマダーンになると10日間のお籠りの行に入っていましたが、亡くなられた年のラマダーンには20日の間、お籠りの行を成されました。

  またラマダーン月にはジブリールが毎夜、彼の許に現れ、クルアーンを教えていましたが、かの年に彼(アッラーの祝福と平安あれ)は次のように言われました:《彼(ジブリール)は二回、私に(クルアーン)を提示した。ならば私の死期が近づいたということだろう。》

  誰よりも求めていたアッラーとの謁見をアッラーはその使徒(アッラーの祝福と平安あれ)に許し給いました。彼がアッラーに会うことを好んだように、アッラーも彼に会うことを好み給いました。

  またアッラーは、アッラーも使徒を彼ら以上に慕う教友たちの心を彼の死の知らせを聞くに耐え、起こるべき別れを忍耐できる状態にし給いました。別れの時期がどんなに延びても、いつか起きます。かつて、ウフドの戦で彼の戦死の知らせに彼らは驚かされましたが、それは悪魔の仕業であったことが判明しました。アッラーはその使徒(アッラーの祝福と平安あれ)が彼らの間で生きているという恩恵をしばし恵まれたのです。しかしこの出来事はいつか起きなければならないのです。アッラーは仰せです:「そしてムハンマドは一人の使徒にすぎず、かつて彼以前にも使徒たちが逝った。それなのに、もし彼が死ぬか、殺されるかしたら、お前たちは踵を返すのか。そして踵を返す者がいたとしても、アッラーをわずかにも害することはない。いずれアッラーは感謝する者たちに報い給う。」(イムラーン家章144節)
  そのためアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)が誠意尽して育て上げた、至高なるアッラーで心が繋がり合った、イスラームを全世界に広く伝えることと、人を崇めるのではなくアッラーおひとりに対する崇拝へと人々を救い出すことに苦心した信徒たちは、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)が彼らに別れを告げる日がいつかやってくることを確信していました。滅びゆくこの世から離れ、主に帰り、十分な報奨がアッラーによって与えられる日が。次の聖句が啓示された時「アッラーの援助と勝利(マッカ征服)が来て」、それが別れの近付きの印であると教友たちは理解しました。任務は遂行されて、アッラーの援助と勝利が来たのです。

  また年長の教友たちは、「今日、われはおまえたちにおまえたちの宗教を完成させ」が啓示された際に、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)の死期の訪れを悟りました。

239.アッラー謁見への渇望と現世への別れ:
  旅支度、主への帰還を思わせることがアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)が別れの巡礼からお戻りになった後に現れました。彼はウフド戦死者に祈りを捧げましたが、まるで近々、教友たちに別れを告げるようでした。彼は次に説教台に上り、次のように言われました:《まこと私はおまえたちの執り成し人であり、おまえたちに対する証人でもある。またおまえたちの約束の場はハウド(ため池)であるが、私はそれをここから眺めているかのようである。私はまことに大地の貯蔵庫の鍵を与えられた。また私は私の亡き後、おまえたちが多神信仰に陥ることを心配しないが、現世で競い合うことで、おまえたち以前の者たちが滅びたようにおまえたちも滅んでしまうことを心配する。》

240.アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)が痛みを訴える:
  ヒジュラ暦11年、サファル月後半の頃から、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は痛みを訴え始めました。その始まりは、『バキーゥ・アル=ガルカド』(マディーナの墓地)に深夜に出かけて、死者のためにアッラーのお赦しを祈り、帰宅してからです。朝になってから痛みが始まりました。

  信徒の母アーイシャ(アッラーの御満悦あれ)がこのことについて言っています:アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はアル=バキーゥから戻られると、私が頭痛を訴えて、ああ、頭が痛い、と言っているのをご覧になって、彼も、私こそ、アーイシャよ、私も頭が痛い、と言われました。その痛みは激しくなり、マイムーナの家に居た彼は妻たちを呼んで、アーイシャの家で看病してもらうことの許可を彼女たちに求めました。彼女たちが許可すると、頭を縛った状態で親族のアル=ファドル・イブン・アッバースとアリー・イブン・アビーターリブに支えられながらアーイシャの家に入っていきました。

  アーイシャ(アッラーの御満悦あれ)は言っています:彼の死の原因だった病の中で彼は言われました:《アーイシャよ!私はハイバルで食べた食べ物の痛み(毒)をまだ感じている。あの毒のせいで私の大動脈が切れる時間が来た。》

(参考文献:①「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P393~396)
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