イスラーム勉強会ブログ

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続)ムスリムの子ども教育-28-番外編

2020年09月29日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-28-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生21」(0:00~12:16)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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これまでの多くの難しい問題を抱えた親子間の質問からわかることは、私たちのウンマ(イスラーム共同体)がまだ「生きている」という事実です。もし、既に死んでいたら、痛みは感じません。これらの多くの痛みを伴う質問が出て来る、ということは、まだ私たちのウンマが健在で、死んでしまっていないことを証拠付けています。もちろん、今の状態がウンマのあるべき最善の状態という訳ではありません。それでも、まだ私たちのウンマは息をしています。多くの問題に対して解決しようともがき苦しんでいます。そのこと自体が、これからのウンマを強くしていく良い兆しとも言えるでしょう。インシャーアッラー、私たちがこれらの問題を解決し、それを後世の人達に伝え、同じ問題が起らないように予防するために役立てることができるでしょう。

 

視聴者からの電話相談:「私の息子は、アメリカに留学に行ってから、タバコやお酒、またドラッグにまで手を染めてしまったことがわかりました。私は、息子をイスラーム的な環境で育てて、彼はイスラームの講義も受けて来ました。私の心は壊れそうです。アッラーに、息子が悔悟をしてくれることをドゥアーしています。

私は、こんな状態の息子に対し、どう接したらいいのかわかりません。真実を知っていることを息子に告げるべきでしょうか?でももし私が知っていることを告げても、息子は白を切るかもしれません。それとも、何も知らないふりをすべきでしょうか?」

 

回答:まず、偉大なる玉座の主アッラーの美名によって、アッラーの偉大な性質によって、アッラーがこの息子さんの心と、すべてのムスリムと子ども達の心をご覧くださり、見事にアッラーの元に帰らせてくださることを祈願します。また、このお母様の心に、安堵とサキーナ(平安)をお与えくださるようアッラーに祈願します。

 

まず、このお母様にお願いしたいことは、息子さんに対し、アッラーの導きをドゥアーすることで心を悩みから解放してください、ということです。彼女は息子さんをイスラーム的な教育の元で育てたのに、どうしたらいいのか、と迷っておられますが、このように、息子さんの悪い事実を知ってしまった時に、ほとんどの場合において、それを知っていることを息子さんに告げるべきではありません。アッラーがまだ隠しておいてくださる残りの事実を暴いて破壊してしまわないために。イマームガザーリー師(アッラーの慈悲あれ)に、こういった場面において有効な言葉があります。ガザーリー師(アッラーの慈悲あれ)はこう言っています。

 

「子どもに、性格的な美点、褒められる行動が現れた時には必ず、それを褒め、彼が喜ぶ物でご褒美を与え、人々の前で彼のことを褒めます。また、その逆の場合には、一回目は気付かないふりをし、アッラーが隠しておいてくださることを暴いてしまったり、彼がわざとそれをしたのだと決めつけたりしないように注意すべきです。特に、本人がそれを隠している場合、一生懸命親にばれないように努力している場合に、それを暴露することで、その間違いを強化し、親にばれてしまったならもう隠すことはない、と子どもがもっと大胆な行動に出ることを奨励してしまうからです。」

 

この息子さんの場合、お酒を飲んでいることをお母様に隠しています。また彼は留学中で、家に一緒にいない状態なので、多くの場合、彼に自分が知っていることを告げない方がいいでしょう。反対に、知らないふりをして、その上で、お母様がおっしゃるように、小さい頃からアッラーのご命令に従うことを植え付けて来た息子さんの根幹を思い出せるような話をしてあげてください。どんなに今は、その根幹が埃をかぶり、アッラーのことを忘れてしまい、悪い友達に悪影響を受けて悪い方向に傾いているとしても、今はちょっと居眠りしてしまっているような状態だと思って、元々のイスラーム的な価値観を思い出させて、目覚めさせてあげてください。アッラーに彼のことをドゥアーすることと合わせて、そういったことを思い出させてあげましょう。

 

しかし、ここで一点、注意すべき点があります。それは、イスラーム的な教育とは何か、という点です。イスラーム教育の目的というのは、ただ、一日に五回の義務の礼拝をすること、や、女の子がヒジャーブをすること、もちろん、これらは義務で必ずしなければならないことですが、ただこれらのことだけに限定されるものではなく、ただ子どもがどれだけクルアーンを暗記したか、そういったことだけに限定されるものではない、という点です。イスラームの義務行為の根幹は、礼拝の根幹につながります。つまり、【本当に礼拝は、(人を)醜行と悪事から遠ざける。】(クルアーン 蜘蛛章45)、アッラーは、私たちに、礼拝には成果があり、その成果は、醜い行いと悪事から遠ざかることだと教えてくださっています。ということは、一日5回の礼拝をしているのに、悪いことを止められない子どもは、本当の礼拝をしていない、ただ習慣になっている礼拝をした、義務をこなしただけだ、ということです。イスラームにおける義務は、ただ一日5回礼拝をすることだけではなく、義務を行うということがどういうことなのか、きちんと理解することが大切です。

 

イスラーム教育の根幹は、良い性格です。小さい頃から、嘘をつくことは、宗教に反することを教えなければなりません。信頼を裏切り、良い性格と正反対の性質であることを教えなければなりません。人に見られたくないと思うようなことをすべきではないことを教え、アッラーが自分のことをいつもご覧になっていることを教えなければなりません。それはイフサーン(善行)と呼ばれるものです。

 

「それは貴方がまじまじとアッラーを見るように彼を敬い崇めることです。

貴方が眼にしていなくとも、アッラーは貴方を見ておられるのですから。」

 

このことは、子どもの心の中に深く根付くように育てて行くことが重要です。なぜならば、これこそが、どんな風が吹いた時にも子ども達を守る抑制機能になるからです。子どもが、間違いを犯したり、悪い環境に影響されて弱くなったりした時でも、これが、子どもをアッラーの元へと引き戻すことになります。

 

このお母様に対してのアドバイスは、ドゥアーをすることに加え、息子さんの心に植え付けて来たものを思い出させるような話をすることです。そして、もうひとつのアドバイスとしては、息子さんと電話で話す時や長期休暇で家に戻った時に、息子さんに、自分が置かれている環境の周りの人達に対して、アッラーの導きを伝えることを思い出させてください。こんなことを言うと驚かれるかもしれません。今は、自分の息子をどうやったら救えるかを考えているのに、息子が他の人達を救うことを考えるのですか?と。どうか息子さんに、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のことを思い出させてあげましょう。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の関心事、ダアワを思い出させてあげてください。息子さんが、その国にイスラームを伝える親善大使であること、その国の人達にとっては、息子さんが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の代理として遣わされたイスラームの使者であることを伝えてあげてください。そして現代のいくつかの逸話を話してあげてください。

 

あるノンムスリムの人が、ムスリムに会い、彼が人の物を盗んだり、嘘をついたり、酒に酔っ払ったりしているのを見ていましたが、ある時、そのムスリムの男と話していて、預言者ムハンマド様(彼の上にアッラーのご満悦あれ)のことを悪く言うと、男が激怒して、

「私たちの預言者のことを悪く言うなんてけしからん!ムハンマド様(彼にアッラーの祝福と平安あれ)は我々人類すべてにとっての真の預言者だ!」と言うと、ノンムスリムの人が、

「彼のことを信じているのですか?」と尋ね、

「もちろんだ!」

「彼が真実の善い教えを伝えたと信じているのですか?」

「もちろんだ!」

「でもその善い教えは、あなたの振舞いのどこに現れているのか?私はそれを、あなたの中に見たことがない。私は、あなた達の預言者のことを、あなた達を通してしか知りません。」

 

こういった話をし、息子さんが犯している間違いを知っていると告げることなく、アッラーのことを、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のことを思い出させてあげてください。

 

また、今、息子さんには、お母様の愛情がとても必要です。もし息子さんが、自分のした悪行を自分であなたに告げることがあれば、それに対しては、しっかり忠告を与えてあげます。その時にも、愛情深く、彼のことが心配なことを伝え、二度としないでほしいと伝えます。しかし、これは最後の段階です。息子さんが隠している限り、知らないふりをして、良い話を伝え続けます。知っていることを告げてからする忠告に対し、もし息子さんが応えなければ、それは、告げる前よりももっと難しい状態になります。ですから、告げるのは急がないでください。

 

息子さんと私たちにアッラーのお導きがありますように。

 

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続)ムスリムの子ども教育-27-番外編

2020年09月12日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-27-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(35:21~最後)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者ライラさんからの電話相談:「同じ家にいながら、父が、私とまったく口をきかないというのはどうなんでしょうか。ただ、私が何かする度に、「そんなことをしているから、お前は地獄に行く。お前は地獄に入れるに決まっている。」と言われます。もう父にはうんざりです。私には何をする自由もありません。」

 

回答:どうか、問題をお父様とあなた双方の関係ではなく、あなたとアッラーとの関係として捉えてください。もちろん、地獄のことを口に出し子どもを脅すことは、小さい子にも、思春期の子に対しても、間違っています。私はそれには、全く満足することはありません。しかし、まず伝えたいことは、お父様があなたのことを愛していて、守りたいと思っていらっしゃるということです。なぜ、お父様はあなたに、してほしくないことと、してほしいことがあるのでしょうか。考えなければならないことは、あなたにとって本当に善いことと、あなたがしたいことは、完全にイコールではない、という点です。よくあることに、私たちがこれをしたい、こうしたい、と思うことが、まったく自分のためにならないケースです。まず自分がしたいと欲したことをすべて行うことが「自由」ではない、ということを理解する必要があります。それは、本来の「自由」ではありません。実は、それは、他のどんな状態よりも全く自由がない最悪の奴隷状態なのです。つまり、「自分の欲の奴隷」になっている状態だからです。

 

友達がしている事を見て、自分もしたいという欲を感じ、その時に、それをすることを邪魔するものは、自分の自由を制限するものだ、、、そうではありません。それは「自由」ではないからです。それは、ただ、自分の欲の奴隷の状態です。

 

そして、あなたのことを心配してくれるお父様がいらっしゃることを、アッラーに感謝しましょう。別の少女が書いて来た手紙には、「私の父も、自分にこれをしてはいけない、と言ってくれるくらい、もっと長生きしてくれればよかったのに。私には、自分を守ってくれる人がいないと感じます。」とありました。今のあなたには、この言葉が理解できないかもしれません。お父様の言動をただうっとうしいと感じているでしょう。しかし、あなたの内面は、必ず自分を守ってくれる人がいる、ということに安心感を抱いているはずです。誰でも、自分を守る人がいないと感じることほど心細いことはありません。自分に価値がなく、この人生に価値がないと感じるでしょう。どうかこれらすべてのことをよく考えてみてください。もちろん、地獄のことを持ち出してきたリ、粗野な言動は許されるものではありません。しかし、自分の中で、行動する前に、立ち止まって考えてみる癖をつけることは大切です。この行動は、アッラーのお怒りをかうものがほんの少しでも含まれていないだろうか、アッラーがご満足するものかどうか、自分の周りの人間関係に、アッラーがお嫌いな性質を少しでも持っている人が含まれていないだろうか、と。お父様が取った行動はふさわしい物ではなく、間違ったものだったかもしれません。しかし、お父様の行動が間違っていることが、自分にとって本当に善い物と悪い物の区別を忘れさせることがあってはなりません。

 

そして、お父様へ。どうか私の言うことを信じてください。女の子の教育にとって、愛情よりも優れた方法は存在しません。もしあなたが娘さんに愛情を与えなければ、それは、彼女にあなた以外の異性を探すことを奨励したことになります。もしあなたが娘さんに愛情を与えれば、彼女はあなたの愛情を裏切る行為をしないよう気を付けるでしょう。

 

 

視聴者からの電話相談:「父は小さい時から私にとても甘く、何でも買ってくれるし、何も強制されたことがなく、私は自分が一番幸せな子どもだと思っていました。しかし、両親の間に問題が起こり、離婚しました。そういった中で、ストレスを感じ、親にえこひいきされている下の妹を叩くことが多くなり、妹の性格形成に大きな影響を与えてしまったと感じます。私は性格的に弱く、人にあたってしまうことがあります。現在は、妹が13歳になり、自分が彼女に与えた害や悪影響を取り除きたいと思いますが、どうしたらいいでしょうか。

PS:私は両親が大好きです。両親が妹をひいきしていても、関係なく、私は両親のことが大好きです。」

 

回答:まず、あなたが性格的に弱い、ということはありません。もしそれが本当だったら、こんな番組にこうして自分の問題を書いて来たりできないでしょう。また、ご両親のえこひいきに関しても許し、両親が大好きだと言える、こんな人は珍しいです。あなたは、決して弱くなんかありません。まずは、そのことに対して、アッラーに感謝しましょう。

 

二つ目は、現在、13歳の妹さんはあなたを必要としています。できる限り妹さんに愛情を注いであげましょう。あなたがご両親に愛情をかけてもらえずさみしい、と感じた時には、いつも両親の代わりに、自分が妹さんに愛情をかけてあげましょう。ご両親にあなたがしてほしかったことを、妹さんにすべてしてあげましょう。もしこうしたことをすれば、必ず、あなたの心が、愛情で満たされます。なぜならば、アッラーは、愛情には愛情で返してくださるからです。もしアッラーのご満足だけを求めて、妹さんに愛情をかけることができたら、アッラーは、必ずあなたに大きな愛情というすばらしい返礼を返してくださいます。そしてアッラーの愛情が心に入った人は、他のどんな愛情も必要がなくなります。

 

 

視聴者からの電話相談:「私には18歳の息子がいますが、夫は子どもの教育にまったく関心がなく、私たちは息子をうまく育てられなかったと感じています。現在、私たちは嘘ばかりつく息子に手を焼いています。どうかアドバイスをください。もし手遅れでないのなら。」

 

回答:手遅れということはありません。次の3つのことを行ってみてください。

  • タウバ(悔悟) :起ってしまったことに対して、反省し、アッラーに悔悟し、息子さんに対して施してしまった間違った教育に関し、イスティグファール(アッラーに赦しを求めること)をする。
  • とにかくたくさんのドゥアーをする。とにかくドゥアーする。
  • ある敬虔な方の言葉:「子どもの教育に関して、ドゥアー以外何も効果がないような時代が来ます。」

また、両親が子どものためにするドゥアーは、ムハンマド様(彼にアッラーの祝福と平安あれ)がウンマ(イスラーム共同体)のためにするドゥアーと同じ、とも言われており、子どもがまっすぐな道に行くことができるよう、両親でドゥアーすることは最重要課題。

  • 何年もかかって間違えて来た道を、1日で直せると思わないこと。長い目で見て、将来的に、すばらしいムスリムになっていることが大切。息子さんにしてほしいことを自分たちもすること。例えば、息子さんに嘘をつくな、と言うのだったら、ご両親が絶対に嘘をつかないように気を付ける。急がず、少しづつ前進することが大切。

 

アッラーが私たちの子ども達をまっすぐな道にお導き下さいますように✨ ✨ ✨

 

 

 

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続)ムスリムの子ども教育-26-番外編

2020年08月18日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-26-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(20:50~35:21)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「父は、私の兄に対してとても厳しく抑圧的で、暴力をふるうこともたびたびでした。兄は30歳近くになりますが、未だに父に聞かないと何も決められないようになり、父は娘の私に対しても、同じように厳しく、また、母に対しても、暴力をふるったり、他人や近所の人の前でも構わず激しく怒鳴ったりします。ところが、弟が産まれた途端、父の態度が豹変しました。弟に対してだけは、愛情あふれ、優しく、弟のことをとても大切に可愛がっています。私たちへの接し方とは完全に違います。私はそのことを父に抗議したことがありますが、父の態度は全く変わりませんでした。」

 

回答:

アッラーが、お父様を改善してくださいますように。イスラームでは、親は、男の子と女の子を差別しないだけでなく、すべての子どもを公平に扱う義務があります。一部の子どもにだけ良くすることは許されません。

アン=ヌウマーン・ブヌ・バシール様(アッラーのご満悦あれ)は言いました。

父が、私に与えた物を見てもらうために、私を連れて、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところに行きました。すると、こう言われました。

≪あなたには、彼以外に、子どもがいますか?≫

「はい。」と言うと、手を組み、このように重ねました。

≪彼らの間を公平にしなさい。≫ナサーイーの伝承

 

同様の意味のハディースが多く残っています。イスラームにおいて、子どもの権利というのは、このように細かく決められています。

 

また一方、父親の権利というのも、イスラームではとても大きなものです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにこうあります。

 

アッラーの御遣い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところにある男がやって来ました。彼は老人と一緒でした。すると、こうおっしゃいました。

≪誰某よ、あなた方の同伴者は誰ですか?≫

彼は言いました。「私の父です。」

彼はおっしゃいました。

≪彼の前を歩かないようにしなさい。彼より先に座らないようにしなさい。彼を名前で呼ばないようにしなさい。≫アッタバラーニー伝承

 

両親と歩くときには注意してください。親の前を歩くことがないように。一緒に歩くときには、常に、親の隣か少し後ろを歩くよう気を配るのが、イスラーム的な親に対する礼儀作法です。また、親が立っているのに、自分だけ先に座ることがないように。そして、親を名前で呼ばないことです。この点は、最近、親を名前で呼ぶことが流行っていて、親子関係を良くするために、と言っている人たちもいますが、イスラームではそうではありません。子どもの悩みを聞いたり、子どもと遊んだり、子どもと信頼関係を築くことは、子どもが、親に対する尊敬の気持ちを持ち、礼儀を保つことと矛盾するものではありません。そして、最低限の礼儀として、親を、「お母さん」「お父さん」と呼ぶことがあります。

 

ただ、親の権利が、何よりも大きく、親は子どもに何をしても許される、ということはありません。イスラームにおいて、親の権利が大きいということは、親の責任が大きい、ということでもあります。常に、権利と責任は一対です。子どもに対する親の責任とは、ただ、子どもの養育費を支払い、食べ物や服を買い、教育を与えることだけではありません。子どもの、内面的な人格を形成するという責任もあります。

 

 

質問「この質問者の方の問題は、親の愛情が不公平に下の弟だけに傾いてしまっていることですが、親が、自分の子ども達の中で、ある子どもに特に愛情を感じてしまうことは、イスラームでは許されないことですか?」

 

回答:

愛情というのは、心の問題なので、一人に対し多くの愛情を持つこと自体は禁じられません。ただ、その愛情が、行動に移ってしまった場合、ある子どもだけに何か特別に与え、別の子どもには与えなかったり、ある子どもだけに優しい言葉をかけて、別の子どもの権利を害していたり、といった行動になってしまうと、それは問題です。しかし、この質問者の方のお父様は、若い頃は子どもに対して厳しく、最後に産まれた弟に、これまで注げなかった愛情を表しているだけかもしれません。ただ、自分の妻に対する暴力は、イスラームでは、本当に禁じられています。もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、このお宅に行って、彼が妻に暴力をふるっていたら、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がどんなにお怒りになられるでしょうか。イスラームにおける女性の権利、妻の権利はとても大きなもので、妻への暴力は、アッラーによって必ず問われます。

 

しかし、私はこの娘さんに伝えたいことがあります。

ひとつは、これが、あなたの父親だ、ということです。こういった欠点もすべて含めて、彼が、アッラーがあなたのためにお選びになってお与えくださった、あなたの父親だ、ということです。アッラーは、あなたに大きなご褒美を与えるために、このお父様をお与えくださって、お父様があなたを害することに対して、あなたが善行で返して行くことができるチャンスをお与えくださいました。まず、アッラーにドゥアーをすることです。アッラーよ、どうか私の父を善くしてください、どうか父に悔悟を御恵みください、こういったドゥアーを沢山します。なぜなら、あなたはお父様のことが好きだからです。どんなに批判しようとも、もし今、お父様が事故に遭ってICUに運ばれた、と聞いたら、どんな気持ちになるでしょうか。今は、なんとも思わない、と言うかもしれませんが、実際に起った時にわかります。

 

もし、来世で、あなたの家族が全員天国に入っている時に、お父様だけが、あなたや家族に対する不正のせいで、地獄の炎で焼かれているのを見たくはないでしょう。もし見たくないと思うのであれば、お父様を許すことです。もちろん、許すことは難しいでしょう。しかし、あなたがお父様を許せば、アッラーがあなたの罪を赦してくださいます。来世で、アッラーにあなたの犯した罪をひとつひとつ見せられる時、アッラーが自分を許してくれたらどんなにいいかと切望する時を思い出してください。もし、今、あなたの心が、お父様を許す、という気持ちを持つことができれば、それは、来世でアッラーの御前に立った時に、アッラーがあなたを許してくださる吉報です。

 

そして、お父様があなたの気持ちを害するたびに、お父様に善いことをしていってください。悪いことをされたら、善いことで返してください。アッラーが、あなたの忍耐と努力によって、お父様の心を愛情深くしてくださるでしょう、インシャーアッラー。

 

 

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続)ムスリムの子ども教育-25-番外編~Q&A

2020年07月18日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-25-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(11:43~20:50)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「小さい時から、父は女の私に対しては高圧的で、男の兄弟ばかりをかわいがりました。いつも兄弟を寛大に優遇し、女の私達にはお金を出し惜しみ、威圧的に命令し、恐怖を感じる存在でした。家では、何をするにも、男が女よりも不平等に優遇されました。

25歳になり子どもも二人いますが、今まで、私の方から父に優しく接しようとする度に、拒否され、今でも普通に話ができません。親への孝行が義務であることはよくわかっているのですが、父に良くしようとして拒否される度に、以前、父のことを必要だった時に拒否され続けた過去がよみがえって来ます。私は、どう親孝行をしていったらいいでしょうか。」

 

回答:まず、このお父様に告げなければならないことは、男の子を女の子よりも優遇することは、ジャーヒリーヤ時代(イスラーム以前の無明時代)の名残であり、その不正によって、地獄で罰を受けなければならないかもしれないという点です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにこうあります。

 

≪預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の元にある男がいましたが、彼の息子がやって来ると、息子にキスをし膝の上に座らせました。そして彼の娘がやって来ると、目の前(の地面)に座らせました。すると、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は言われました。:二人を平等に扱わないのですか。≫アル=バッザール伝承

 

ここでの平等、というのは、息子と娘両方を膝の上に座らせるか、もしくは、二人ともを地面に座らせるかのどちらかです。ここまでの細やかさで、子どもに対し平等に接することを、イスラームは親に教えています。男の子を女の子よりも優遇することは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が嫌悪されたジャーヒリーヤ時代の名残です。

 

しかし、この投稿をしてくださった彼女に対して告げたいことは、お父様から受けた害のことを思い出されたように、お父様から受けた恩恵についても、どうか思い出してみてください、ということです。お父様は、あなたの存在理由となられた方です。お父様がいなければ、あなたはこの世に存在していませんでした。妻にもなれなかったし、母親にもなれませんでした。あなたを食べさせるために、お父様が昼に夜に、疲れて仕事をしていたことを思い出してください。あなたに食べ物を与え、服を着せ、養育を与えるために、お父様がどれだけの苦労をしたのかを思い出してください。あなたが大人になる過程で、またあなたが結婚する時、お父様があなたのことを心配してくれたことを思い出してください。

 

お父様はあなたへの愛情表現が足りなかったかもしれません。あなたを傷つけたかもしれません。しかし、最後には、あなたの父親です。私は、お父様へのこの彼女の不平不満は、好きだからこそ出てくるものだと知っています。もしあなたがお父様のことを好きでなかったなら、不平は出ないでしょう。ただ、不平等で不正を働く者として、お父様を遠ざければ済むことです。しかし、この手紙には、あなたがお父様を好きだからこそ出てくる不平不満が現れています。お父様のことが好きだからこそ、心の中にお父様への嫌悪が入り込むことに我慢できないのです。あなたが今、お父様に対して感じている愛情を、心から吐き出してみてください。どのように吐き出すのか?というと、お父様の恩恵を数えてみることによって、です。

 

私たちは人間です。間違えることもあります。もしあなたに対してお父様が間違いを犯してしまったとしても、他の点では、あなたに対して恩恵を与えているかもしれません。もしあなたのナフス(自我)が、お父様に対して悪いことを考えさせた時は、逆に、お父様の恩恵を挙げてみてください。

 

また、あなたがまだ小さく、お父様の助けなしには生きて行けなかった時、お父様はあなたに庇護を与えてくださいました。今、お父様は年を取り、この先どんどん年老いて行くでしょう。その時になって、あなたがお父様を必要としたように、今度は、お父様があなたを必要とします。お話したように、お父様はあなたに恩恵も与えたし、あなたの必要の一部は満たすことができなかったかもれませんが、お父様があなたを傷つけたように、あなたがお父様を傷つけることのないように。なぜなら、あなたはお父様を通して、アッラーと接しているからです。あなたのお父様への厚遇によって、アッラーのご満足を得られるからです。もし難しく感じたならば、礼拝に立ち、スジュード(跪拝)の時に、この善行を行うことができるよう、アッラーにドゥアーをしてください。アッラーがあなたの心を信仰と畏怖の念の光で洗い流し、あなたに、お父様を大切にすることによるハラーワ(甘美さ)を味わわせてくださいますように!

 

 

司会者「現代でも、この父親のように、男の子を優遇する親は多いように思います。息子と娘だったら、息子には高等教育を受けさせ、娘には受けさせないetc.、女の子を持つことの恩恵を感じない風潮が根強く残っています。こういった場合に必要なのは、イスラームの知識をもっと深く得ることでしょうか、それとも、自分が授かった子どもに対するアッラーへの満足を持つことでしょうか?」

 

先生:男の子と女の子のどちらが自分にとってより良いのかは、まったくわからないことを思い出すことが必要です。親に反抗する息子よりも、親孝行な娘の方がいいでしょう。また、親に反抗する娘よりも、親孝行な息子の方がよいでしょう。どちらが良いかは、性別にはまったく関係ないことです。

 

【アッラーの御許で最も貴い者は、あなたがたの中最も主を畏れる者である。】クルアーン 部屋章49-13

 

より良い人かどうかは、その人のアッラーとの関係、周りの人との関係によるのであって、性別は何の関係もありません。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこう言われました。

 

《誰でも女の子が産まれても、生き埋めにせず、軽蔑せず、彼女よりも息子(男の子)を優遇しなかった者は、アッラーが、彼女によって、彼を天国に入れてくださいます。》イマームアハマド伝承

 

《誰でも三人の娘を養い、彼女たちを満足させ、慈悲をかけ、親切にした者は、彼女たちによって天国に入ります。

ある男が言いました。「アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)よ、二人では?」

すると彼は言いました。「二人でも。」

もし誰かが「一人では?」と言っていたら、「一人でも」、とお答えになられたでしょう。》イマームアハマド伝承

 

これらのハディースが証明するように、男の子を女の子よりも優遇することには何の根拠もなく、ただのイスラーム以前の古い慣習です。

 

しかし、女の子よりも男の子の誕生を喜ぶのは、一概に性差別ではなく、現代の女の子の育て方の難しさもあるかもしれません。男の子が間違いを犯しても、女の子が間違いを犯しても、来世では同じ罰ですが、現世では、女の子の方がより多くの代償を支払うことになってしまうからです。婚外交渉の危険など様々な危険から、子どもを守ることにおいて、特に女の子の方が男の子よりも難しいです。ただ、それは、女の子に対する庇護をより強くするという方向に向くべきであって、女の子を嫌う、という方向に向くべきではありません。女の子が成長するたび、また思春期になっても、いつも父親が自分のことを心配してくれて、話を聞いてくれて、父親の愛情をいっぱい心に受け止めて育った女の子は、それ以外の異性の存在を探す必要がありません。反対に、父親の愛情を欲しても得られずに育った女の子は、思春期になると、異性の興味が自分に向くこと、異性が自分を認めてくれることを必要とするようになってしまいます。

 

アッラーが子ども達をお守くださいますように。

 

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続)ムスリムの子ども教育-24-番外編~Q&A

2020年07月07日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-24-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(最初~11:43)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「子どもが小さい頃に一番最初に何がいいことで何が悪いことかを教えるのは母親で、イスラームのことを一番最初に教えたのも母親で、クルアーンの短いスーラを教えたのも母親です。しかし、私の息子は、母親を母親と思っていません。息子は、私にとても冷たく当たります。

ただ学校で試験がある時や必要な時だけ、ご機嫌を取りに来ることがありますが、すぐにまた元の冷たい態度に戻り、私の方を見ようともしません。息子は、父親にはおこずかいが欲しい時に優しく接していますが、私が息子と話がしたいと思っても、私のことを無視します。私の心は傷つき、血が流れています。どうか息子に向けて、番組からアドバイスをお願いします。」

 

先生からの回答

息子さんへ。あなたにアッラーの祝福がありますように。あなたのためにアッラーが扉を開け、善いことにおいてあなたを助けてくださいますように。あなたが、お母様が傷付いていることを考え、心に痛みを感じられていることを願います。あなたが、お母様がテレビ番組を通してさえ、あなたに話しかけてくれるよう頼む必要があるほど困難な状況に陥っていることを理解できたなら、あなたは、もう二度とこのような対応はされないでしょう。もしあなたが、現世と来世で幸せになりたいと望むのであれば、その鍵は、お母様のあなたへの満足にかかっています。お母様のお話から、あなたにはアッラーへの信仰がきちんとあることがわかります。試験の時にお母様に優しくなるのは、お母様があなたに怒っていたら、アッラーによる成功が見込めないことを恐れているからですよね。お母様のあなたへの怒りが、アッラーとあなたとの間のヒジャーブ(覆い)になることを知っている、これはすばらしいことです。あなたの心に、善いことがある証拠です。

 

どうかよく聞いてください。アッラーは、クルアーンでこうおっしゃっています。

 

【(アッラーは)目つきも、胸に隠すことをも凡て知っておられる。】クルアーン40-19

 

つまり、あなたが、試験の時だけお母様に優しくすることを、アッラーはよくご存知です。お母様の本当の価値は、自分で子どもを持って親となった時に、ようやく理解できるでしょう。あなたは、自分の子どもが、今、あなたがお母様に対してしているのと同じ態度で自分に接してほしいですか?あなたの態度に関わらず、お母様があなたに悪いドゥアーをしないことを知っているのならば、アッラーが、お母様の代わりにあなたに罰を与えるとは思わないのでしょうか。あなたの目から見て、もしお母様が間違いを犯していたとしても、お母様があなたにしてきた善行が帳消しになるわけではありません。あなたは、お母様にお世話をされて大きくなった、この事実は生涯変わることがありません。もしお母様がいなかったら、あなたは本来存在しなかった。もしお母様が10ヶ月間お腹の中で重くなっていくあなたを抱えて忍耐してくれなかったら、お母様が、大きくなったお腹の痛みで目が覚めて眠れない夜を過ごさなかったなら、あなたはこの世に存在することさえなかったのです。お母様のあなたへの善行は、何ものにも替えがたいほど大きなものです。

 

アッラーは、クルアーンの中で、こうおっしゃっています。

【あなたの主は命じられる。かれの外何者をも崇拝してはならない。また両親に孝行しなさい。もし両親かまたそのどちらかが、あなたと一緒にいて老齢に達しても、かれらに「ちえっ」とか荒い言葉を使わず、親切な言葉で話しなさい。

そして敬愛の情を込め、両親に対し謙虚に翼を低く垂れ(優しくし)て、「主よ、幼少の頃、わたしを愛育してくれたように、2人の上に御慈悲を御授け下さい。」と(祈りを)言うがいい。】クルアーン17-23,24

 

アッラーは、最も重要なタウヒード(唯一神信仰)を両親への孝行と結びつけました。親孝行は、両親が、ムスリムではない不信仰者であっても義務です。

 

【われは、両親への態度を人間に指示した。人間の母親は、苦労に窶れてその(子)を胎内で養い、更に離乳まで2年かかる。「われとあなたの父母に感謝しなさい。われに(最後の)帰り所はあるのである。

だがもし、あなたの知らないものを、われに(同等に)配することを、かれら(両親)があなたに強いても、かれらに従ってはならない。だが現世では懇切にかれらに仕え、悔悟してわれの許に帰る者に従え。やがてあなたがたはわれに帰り、われはあなたがたの行ったことを告げ知らせるのである。」】クルアーン31-14,15

 

多神教徒の両親が、自分に多神を拝むように強いた時には従わなくていい、つまり、それ以外の時には、【懇切にかれらに仕え】ることが義務付けられています。

 

親孝行は先払いのようなものです。あなたが今、お母様にする孝行は、必ずあなたが父親になった時に受け取ることになります。また親孝行によって、すべての行いにアッラーによるタウフィーク(成功)が得られます。親孝行によって、この世で直面する様々な困難や災難、病気や不安、悩みごとなどは、すべて来世で確実にそのご褒美を受け取ることになります。アッラーのご満足の鍵は、お母様のご満足です。お母様があなたの態度に、傷つき、お怒りになって過ごされた夜は、あなたが礼拝をいくらしたところで償うことはできません。断食をしたところで償うことはできません。今、これを聞いた後で、立ち上がってお母様の手にキスをし、また、天国がその下にあるお母様の足にキスをし、お母様の頭にキスをし、お母様に赦しを求めることなしには、償えないことです。

 

お母様の権利は、お父様の権利よりも大きなものです。なぜ、お父様に優しく接することができるのでしょうか、お父様がおこずかいをくれるからでしょうか。悪いことをするとあなたに罰を与えるからでしょうか。アッラーの罰の方がずっと大きいものです。

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の有名なハディースがあります。

≪ある男が預言者のところに来て訊ねた。

「預言者よ。人々の中で、私が最も良く付き合うべき人は誰でしょうか?」

 預言者は言った。「あなたの母親です。」

 男は言った。「その次は?」

 「その次はあなたの母親です。」

 「ではその次は?」

 「その次はあなたの母親です。」

 「ではその次は?」

 「あなたの父親です。」≫ブハーリーとムスリムの伝承≫

 

どうか注意してください。あなたの人生のどんなことにおいても、アッラーからのタウフィークは得られません、もしお母様があなたにお怒りであれば。また反対に、どんなことにおいてもアッラーのタウフィークの扉が全開になります、もしお母様があなたに満足していたら。

 

そして、お母様へ。

あなたが息子さんについて心を悩ませておられることは、すべてアッラーがご存知です。そして、息子さんの態度に関わらず、あなたが息子さんに対して寛大に愛情深く接していることについて、アッラーは、天国であなたをもっと上の段階に入れてくださいます。あなたの息子さんは、アルハムドゥリッラー、ムスリムで、礼拝をしたりしているということは、貴女もご存知のように、現代の多くの国の多くのムスリムの子ども達の状態よりもずっと良い状態です。もちろん、だからと言って、息子さんの振舞いを正当化するつもりはありません。ただ、息子さんにはまだ良いところが存在している、ということを認めてあげましょう。

 

そして、もう一つ重要な点があります。あなたの振舞いを振り返ってみてください。息子さんがあなたに対してそういう態度になってしまう原因が、もしかしたらあなたの中にあるのかもしれません。もちろん、そうであったとしても、息子さんの振舞いは正当化されることはありませんが。もしあなたの振舞いに、原因となるようなものが見つけられなかったら、もしかしたら、アッラーは、あなたにこの災難をお与えになられ、あなたが、この災難に関し、アッラーに満足しているか、していないか、あなたの心をご覧になるためかもしれません。

 

もし、息子さんに対して、今と同じような気持ちを持ち続けるのであれば、家族が寝静まった頃、一人で起きて、ウドゥーをし、2ラカートのサラ―トゥルハージャの礼拝(必要を満たす礼拝)をしていてください。そしてスジュード(跪拝)の時にアッラーに心の底からお願いしてみてください。どうか今の涙をアッラーの前で流してください。「アッラーよ、どうか息子を正してください。私に対する態度を優しくしてください。息子の振舞いにバラカ(祝福)をお与えください。正しい道に導いてください。」アッラーに沢山ドゥアーをしてください。

 

なぜなら、あなたの息子さんは今、とても危険な状態にあります。もし今、誰かが、息子さんが外出したら、交通事故に遭うことをあなたに告げたら、どうするでしょうか?もちろん、あなたは、なんとかして息子さんの外出を止めさせようと必死になるでしょう。しかし、現在の状況、あなたに対する今の息子さんの態度は、交通事故よりももっと深刻で、他のどんな病気や災難よりも、息子さんにとってずっと危険な状態にあります。もし今息子さんが亡くなってしまったら、取り返しのつかないことになります。息子さんが眠りについた時、アッラーが彼にお怒りになっている、ということは、恐ろしく危険な状態です。このアッラーのお怒りを、あなたのドゥアーや夜の任意の礼拝で消してください。

 

私たちの子ども達が、親孝行ができますように。親に逆らうことから逃れられますように。

 

多くのご両親が、こういった類の子どもによる試験に遭います。彼らは、子どもの教育を欠いたわけではないにもかかわらず、子どもが親不孝に陥ります。預言者でさえ、子どもの親不孝に苛まれた方もいました。ヌーフ様(平安あれ)の息子は、不信仰に陥り、ヌーフ様(平安あれ)の忠告を拒否して、船に乗らなかったために不信者たちと共におぼれ死んでしまいました。アッラーは、ヌーフ様(平安あれ)の息子についてこうおっしゃっています。

【かれは仰せられた。「ヌーフよ、かれは本当にあなたの家族ではない。かれの行いは正しくない。あなたの知らないことに就いて、われに求めてはならない。われはあなたが無知な者とならないよう戒める。」】クルアーン11-46

 

こういった災難は、両親の天国での段階を上げるためにアッラーが用意された物です。親は、アッラーにすべてを託し、子どものためにドゥアーをし、アッラーが子ども達を導いてくださるようお願いすることだけが求められています。

 

アッラーが私たちの子どもを正しい道にお導き下さいますように!

 

 

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続)ムスリムの子ども教育-23-番外編~Q&A

2020年06月30日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-23-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生18」(20:10~最後)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=7ZIe_KLHIRE   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「私の父親は、イスラーム大学の出身で、イスラームに関する知識が沢山ありますが、家では、イスラームとまったく反対のことをします。家族を大切にしない、母にひどく当たるなど、父の言動はとてもイスラームを学んだ人とは思えません。父がひどい言動をするたびに、父の知識は何の役にも立っていない、と絶望的な気持ちになります。どうしたらいいですか。」

 

回答:まず、あなたのお父様がムスリムとして良い模範ではなかったにも関わらず、こうしてアッラーが、あなたに導きをお与えくださり、善いことと悪いことの判断が正しくできる心をお与えくださったこと、善いことを好むきれいな心をお恵みくださったことに、感謝します。最初にすべてきことは、あなたが間違った道に傾かなかったことに対して、「アルハムドゥリッラー」とアッラーに深く感謝することです。

 

そして、その感謝をアッラーに表すためには、行動が必要です。どんな行動でしょうか。お父様の悪い言動に惑わされず、父親孝行をしていくことです。これが難しく聞こえることはわかっています。でもあなたはお父様のことを嫌悪している訳ではなく、お父様の言動に腹を立てているだけで、それは正しい怒りですが、あなたはお父様を嫌っている訳ではありません。なぜなら、あなたにとって、お父様は、あなたに恵みを与え良くしてくれた方、あなたが今ここに存在する原因となった方だからです。

 

今の状況において、あなたができることは、3つあります。

1.まず、お父様への真摯なドゥアーを毎日続けて行くことです。夜に任意の礼拝をして、スジュード(跪拝)をし、アッラーの前で泣いて懇願してください。

「アッラーよ、どうか父を導いてください!

父を地獄の炎からお救いください!

どうか父の状態を正してください!

父を、あなたへの崇拝行為に使い、あなたがお好きな状態にしてください!

父が学んだ知識を、罰するための証拠とせず、報奨を与えるための証拠としてください!!」

こう言いながら、必ずアッラーが叶えてくださると確信してドゥアーしてください。

 

2.お父様がどんなに悪い言動をしてきても、あなたは、善いことで返しましょう。難しいことはわかります。しかし、不可能ではないことです。お父様に良くしていくことです。善行を惜しまないでください。あなたがお父様に対して、善い言動をしていき、愛情を表してくことは、お父様の心をやわらかくします。お父様の心がやわらかくなったら、あなたのアドバイスを受け入れられるでしょう。アドバイスは直接的ではなく、何度も繰り返し言わないように注意します。

 

3.お母様への気遣いと親孝行。お父様がお母様に優しくできないのなら、あなたが、お母様にもっと優しく親孝行をしていきましょう。

 

この3つを行っていくことで、アッラーの元でのあなたの地位が変化します。あなたにはアッラーからすごい報奨が届きます。また、アッラーが、お父様を改善するために、あなたを使ってくださるようになります。あなたは、それができる方です。アッラーがあなたのお父様と私たちにお導きをお与えくださいますように!

 

 

視聴者からの電話相談:「私の娘は、義務のお祈りをしません。どうしたらいいですか。今、娘と一緒にあなた方のテレビ番組を見ているので、先生から、娘に忠告を与えてください。」

 

回答:娘さんに善いことをお望みになったことに対して、あなたにアッラーの祝福がありますように。これを見ている娘さんへ、どうかお母様があなたのことをテレビで相談されたことに対して怒ったりしないでください。見ている人にはあなた方が誰だかわからないですから安心してください。まず、あなたにお伝えしたいことは、お母様はあなたのことを愛している、ということです。もしあなたのことを愛しておらず、あなたに善いことを望まず、あなたを悪いことから守ろうと必死になっていなければ、こんな風にテレビに電話相談をすることはなかったでしょう。お母様はあなたのことを愛しています。

 

この人生には、様々な目標があり、叶えたいことがあり、またあなたが避けたいと思う災難もあります。生きている限り、人が、様々な心配事から完全に解放されて、心の底から安心できる方法はありません、ただアッラーとのつながりを持つ以外には。アッラーとのつながりを持つことの基本は、礼拝です。礼拝を、ただ、義務でやらなければならない面倒なこと、と捉えないでください。礼拝を、その瞬間は、確実にアッラーとつながることができる特別な瞬間、と捉えてください。アッラーに話しかけてください。アッラーがあなたに話しかけています。アッラーとあなたの間のこの約束の時間はかけがえのない重要なものです。

 

きっとあなたは礼拝したいと思っているでしょう。ただ、周りのお友達や学校のクラスメートに、礼拝への願望がないのかもしません。どうか礼拝している友達を探してみてください。あなたが礼拝を守ることを簡単にしてくれる友達を探してみてください。そして、もしあなたが、うっかりして義務の礼拝を逃してしまった時には、お母様があなたに怒りだすのを待たずに、自分から立ち上がってカダーの礼拝(埋め合わせの礼拝)をしましょう。そして、アッラーにドゥアーをするのです。

 

≪アッラーフンマ アインニー アラー ズィクリカ ワ シュクリカ ワ フスニ イバーダティク≫

 

このドゥアーはそんなに長くないですから、覚えて唱えてみてください。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ムアーズ様(彼の上にアッラーのご満悦あれ)にこうおっしゃいました。

 

≪ムアーズよ、実に私は、アッラーに誓ってあなたのことが好きです。だから、すべての礼拝の後にこう言わずにいてはいけません。:アッラーよ、どうかあなたを思い出すことと、あなたに感謝することと、あなたへの崇拝行為をきちんとできるように、私を助けてください。※≫ アブーダーウード、ニサーイー伝承 

※アラビア語≪アッラーフンマ アインニー アラー ズィクリカ ワ シュクリカ ワ フスニ イバーダティク≫≫

いつもこのドゥアーを唱えてみましょう。アッラーが全力であなたを助けてくださるのを感じることができるでしょう。

 

 

視聴者からの電話相談:「アッラーに対して善い見方をしなければならないことはわかっていますが、時々、シャイターンのささやきが入って来て、アッラーのことを悪く考えるよう自分にささやきかけます。どうしたらいいですか。」

 

回答:シャイターンのささやきは、相手にしないことが一番です。相手にしない、というのは、それを聞き続けたり、議論したりしないことです。ぼんやりしている時に、アッラーに対して悪いささやきが入って来たら、立ち上がってウドゥーをし、礼拝して、ズィクルをします。その考えを追いかけないことです。シャイターンのささやきは、長いロープのような物です。それを引き抜こうと引っ張ると、どこまでも続いて終わりがありません。治療法は、無視すること、そして、それを嫌悪すること、アッラーへのズィクルをして自分を忙しくすることです。

 

 

視聴者からの電話相談:「自分を害する相手に対して、イスラームでは、相手に対して善いドゥアーをするように、とよく聞きますが、自分にはとても難しくてできません。自分に悪いことをする相手に仕返ししてはいけないのですか?」

 

回答:あなたは、自分を害する人に対して、ドゥアーをすることが、とても難しいということですが、アッラーがあなたを祝福しますように。それはもちろん難しいことです、しかし、完全に不可能なことでもありません。まず、それをするためにあなたを助ける初めてのステップがあります。

 

まず一つ目のステップは、相手にドゥアーをすることの方が仕返しをするよりも良いことだ、と認めることです。不可能だ、とか、ドゥアーをすることは良くない、と言わないでください。仕返しよりもレベルが高い対処法は、ドゥアーをすることだ、と認めることが第一歩です。

 

二つ目は、これまでの人生を振り返って、自分も誰かに対して間違えを犯したことがある、と気付くことです。そして、最後の審判の日に、アッラーの御前に立った時に、自分がこれまで犯した数々の過ちを、アッラーが許してくださることを望むことを思い出します。アッラーは、私たちに、相手を許すことを奨励し、あなた達は、私に許されることを望みませんか、とおっしゃっています。

 

【かれらを許し大目に見てやるがいい。アッラーがあなたがたを赦されることを望まないのか。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。】クルアーン 御光章22

 

あなたが自分を害する人を許し、彼のためにドゥアーをすればするほど、アッラーはあなたをお赦しになられ、過去にあなたが害した人達に対して、あなたを許すことに満足する気持ちをお恵みくださいます。あなたが彼を許すことに満足したように。

 

このことを実行に移すのを簡単にするために、どうか、昔の敬虔な方たちのお話を読んでみてください。預言者伝(スィーラ)やサハーバ物語、アッラーに近しい人達がどのように自分を害する人達に接していたのか、読んでみてください。でも彼らは自分とは違う、、、と言わないでください。預言者達(彼らに平安あれ)はアッラーに罪を犯さないよう守られていますが、他の人達はそうではありません。それでも、彼らは人を許し、人を許すことは可能なことです。アッラーが私たちとあなたの心に、人を許す高徳さをお恵みくださいますように。最初は、難しく感じるかもしれませんが、継続していくうちにアッラーがあなたを助けてくださり、簡単にしてくださるでしょう、インシャーアッラー。

もし、彼にドゥアーをしてあげなければ、彼は、あなたに対する害を継続するか、もし止めたとしても、あなた以外の人を害することを止めないかもしれません。しかし、もしあなたが彼に導きをドゥアーしてあげたら、彼は善良な人となって、あなたに対する害も止め、あなた以外の多くの人に対する害も止めるでしょう。そうすれば、あなたが人々への彼の害を止めたことになります。

 

アッラーが私たちの心を正してくださいますように✨ ✨ ✨

 

 

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続)ムスリムの子ども教育-22-番外編~Q&A

2020年06月24日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-22-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生18」(最初~20:10)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=7ZIe_KLHIRE   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの質問:「10代の私は、親に対して感謝するつもりはない。親のせいで私の人生はメチャメチャになった。親はハラームのことをしてお金を稼ぎ、そのハラームのお金を私達子どもに食べさせておきながら、良いムスリムになれ、親を尊敬しろ、と言う。できるわけがない。私の親は、目標でも 見本でもない。」

 

回答:イスラームでは、両親というのは、彼らを通して、アッラーへと近づく存在、親孝行によって、アッラーのご満足を得る存在です。親に対して、疑問に思うことを尋ねたり、話し合ったりする際には、親に対する礼儀があり、親に対しての言葉遣いの礼儀は、それを守ることで、子ども自身がその利益を受け取るものです。しかし、彼女がこういったことを言うのは、彼女自身がとても深く傷ついているからであり、彼女には親の愛情が今とても必要です。もし、これを聞いて、自分の子どももこう思っていると感じた親御さんたちは、どうかお子さんを、愛情を持って抱きしめてあげてください。

 

しかし、彼女がここで言っている内容は、親自身に対する真剣な批判で、ハラームのお金を家に持ち込むことは、親自身が考え直さなければならないことです。彼女は、自分がそのお金で食べていかなければならないことを知り、絶望しています。親御さんたちは、この真剣な訴えに、しっかり耳を貸さなければなりません。

 

また、子ども達に忠告したいことは、どんな親であっても、アッラーがあなたに与えた親に対する恩義があるということです。どんなに沢山罪を犯している親であっても、どんなに自分に対し間違いを繰り返そうとも、無視することができない、忘れてはならないことがあります。それは、彼らは、貴方がこの世に存在する原因となった存在だ、ということです。彼らがいなければ、貴方はこの世に存在していない、という恩です。

 

◇子ども教育以外の質問~番外編

質問:「夫が亡くなり、4歳の娘と2人で暮らしています。夫が残した遺産から生活費を捻出していますが、その遺産に、ザカート(義務の喜捨)はかかりますか?」

 

回答:遺産であっても、額がニサーブ(金85グラムの金額)を超えていたら、一年ごとに2.5%のザカートを支払う義務が発生します。毎年、一年に一度だけ、2.5%のザカートを支払うことで、残りのお金にアッラーがバラカ(祝福)をお与えくださいます。ザカートを支払うことで、生活費の中にアッラーのバラカ(祝福)が現れ、その影響は、それを使うご本人と、娘さんにも現れるでしょう。

 

 

質問:「私は今、ヒジャーブをしていませんが、ずっとヒジャーブは義務だと思っていました。しかし、イスラームをよく知っている友人は、義務ではないと言っています。女性にとって、ヒジャーブをかぶることは義務ですか?それともスンナや、できればやった方がいいことですか?」

 

回答:すべての学者の一致した見解では、ヒジャーブは、女性にとっての義務です。イスラーム学者や、イスラームを少しでも学んだことがある人なら、女性にとって、手と顔を除く全身を覆うことが義務であり、ヒジャーブが義務であることを知っています。これは、すべてのイスラーム学者が一致していることで、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の時代から現代におけるまで、変わることのない義務です。もし誰かが、この点について異なる意見を言ったとしたら、それは、明らかに詐欺であり、宗教を弄んでいるだけでしょう。

 

しかし、現在ヒジャーブをしていないけれど、ヒジャーブが義務であることを知っていて、アッラーに対し恥ずかしさを感じている女性は、ヒジャーブの義務を否定しヒジャーブをしない人達よりも、ずっと優れた状態にあり、アッラーの元でより高い地位にいます。なぜならば、イスラームにおける義務である「ヒジャーブの義務」を否定することは、「ヒジャーブをしないこと」よりもずっと大きく危険な罪だからです。ヒジャーブをしていない人がすべきことは、宗教を弄ぶことではなく、自分の罪を自覚し、アッラーに赦しを乞い、アッラーのお導きと真実へ戻ることができるよう、ドゥアーをしていくことです。

 

また、ヒジャーブをしていない女性に対して、まるで何の価値もないように振る舞ったり、彼女のすべてを否定したり、彼女はイスラームについて何も知らない、と断罪したり、批判したりすることは、イスラームにおいて正しい行いではありません。また反対に、ヒジャーブの女性が悪い振舞いをすると、「あれでは、ヒジャーブの意味がない!」と言うこともおかしなことです。ヒジャーブは女性の義務です。その女性はヒジャーブの義務を遂行している、ただそれだけです。ヒジャーブの女性の中にも、優れた人徳の女性もいれば、間違いを犯す女性もいます。ヒジャーブの女性がすべて、イスラームの先生であるかのように勘違いする人がいますが、ヒジャーブの女性の中にも、嘘をついたり、人を騙したり、悪行を行う人もいます。

 

現在は、特に、ヒジャーブの女性が少ない地域では、ヒジャーブの女性の言動に何か少しでも間違いを見つけると、「見て見て!ヒジャーブの女性が、あんなことをしている!」と言ったりしますが、彼女はヒジャーブの義務を行っているけれど、他の事では間違えてしまった、というだけのことです。その間違いに対してはアッラーが彼女を清算するでしょう、ただそれだけです。また、ヒジャーブをしていない女性であっても、高い人徳を持ち、すばらしい女性も沢山います。その高い人徳のバラカ(祝福)によって、アッラーが、彼女たちにヒジャーブの恩恵をお恵みくださるでしょう、インシャーアッラー。

 

 

質問:「夢で預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を見るために、何をすればいいですか?」

 

回答:この質問をされた方には、アッラーによるタウフィーク(成功)があったということです。アッラーが、彼の心の中に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に対する熱望をお恵みくださったからです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、こうおっしゃいました。

 

≪夢で私を見た者はいずれ目が覚めているときに私を見るであろう。

あるいはあたかも目覚めている状態で私を見るであろう。

なぜならば悪魔は私の姿を真似できないからである。≫ムスリム伝承

 

これは、私達に預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を恋しがらせるためだけにおっしゃったことでしょう。

ご質問は、どうすれば預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を夢で見られるか、ということですが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への熱望が強くなれば、見ることができます。継続して行っていくことで、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の夢をお恵みいただける4つの事柄をご紹介します。

 

1.預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への祝福祈願を沢山行う

 

2.預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を愛すること(シャマーイルやスィーラ等の預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の伝記やお話を常に読んで、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に愛着を覚え、彼への尊敬と愛情で心を満たすこと)

 

3.彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のスンナを賞賛し強化すること。そのご人徳やスンナの行いを自分が模倣することに尽力すること。

 

4.彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のウンマ(イスラーム共同体)に対し尽くすこと。自分の周りのムスリムのウンマに対し、自分に何ができるかを常に考え実行していくこと。このことによって、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に近づくことができる。

 

祝福祈願は心がこもっているかどうかが大きなポイントになります。心のこもった祝福祈願を継続していくこと、です。

 

アッラーが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を現世と来世で拝見できる幸せを、私たちにお恵みくださいますように✨ ✨ ✨

 

 

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続)ムスリムの子ども教育-21-思春期の子ども達とのかかわり方(12)視聴者からの質問5

2020年06月14日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-21-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生17」(46:00~最後)@イエメン

https://www.youtube.com/watch?v=b13M2hUECcU   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(12)視聴者からの質問

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「最近、父が亡くなりました。亡くなった父を、母はとても恨んでいて、父から受けたひどい扱いについていつも話します。最近産まれた自分の子どもに、父の名前を付けようと思っていますが、母からは、絶対に父の名前をつけるな、と反対されています。母の話を聞いて、父への尊敬が揺らいでもいます。どうしたらいいでしょうか。」

 

先生の回答:「あなたの状況はよくわかりました。まず、イスラームにおける父親の権利と母親の権利というところからご説明します。亡くなったお父様に対する権利は、彼のためにドゥアーをすること、お墓を訪問すること、彼の友人や兄弟姉妹に良くすること、です。また、あなたにとっての母親の権利というものもあります。そして母親の権利は、父親の権利よりもより重要です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにあるように、誰に一番尽くすべきか、という質問に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、あなたの母親です、次もあなたの母親です、その次もあなたの母親です、と三回繰り返し、その次は?と四回目に尋ねられて初めて、あなたの父親です、とおっしゃいました。

 

しかし、父親の権利を果たさないことが、母親の権利の一部に含まれることはありません。つまり、母親を満足させるために、父親の権利を果たさない、ということはできません。そこにはバランスがあります。母親の権利が父親の権利よりも大きいからと言って、母親の権利を使って、あなたに、父親の権利を放棄させる、ということはできないのです。亡くなられたお父様の権利を果たすことは、お母様を傷つけることなく行うことができます。両方の権利を大切にするために、お母様を傷つけない方法で、お父様の権利を果たすことだけに集中してください。

 

また、もし、お母様に会うたびに、亡くなったお父様の悪口を聞くことに耐えられないのであれば、お母様が落ち着いている時を見て、お母様に声をかけてみてください。決して、お母様に、「あなたは間違っている」、とか、「亡くなった父の悪口はもうやめてくれ」、などと直接言ったりしないように気を付けましょう。お母様は、あなたが、もう自分の味方ではなくなり、すっかり父親の味方になってしまったと感じてしまうからです。そうではなく、「お母さん、お父さんは間違っていたかもしれない、お母さんを傷つけてしまったし、苦しめた。僕にはお母さんの苦しみを全部わかってあげることはできない。でも、お父さんはもう死んでしまったんだ。もうここにはいない。ただアッラーのご慈悲があるだけだよ。」一度だけ、こう話して、お母様の手を取って、しっかり慰めてあげてください。お母様が、あなたがお母様のことを本当に大事に思っている、と心から感じられるように、側にいてあげてください。もしかしたら、お母様は、お父様が亡くなったことで、あなた達の気持ちがお母様から離れて、お父様の方に関心が行ってしまった、ひどい目にあって来た自分は子ども達に忘れ去られてしまった、と感じ、寂しく感じているのかもしれません。

 

また、お子さんの名前については、問題ありません。お父様の名前を付けることは、お父様に対しての義務ではないし、あなたがお父様に対してできることはもっと他にたくさんあります。お母様を傷つけない形で、お父様の権利を果たせばよいことです。他の良い名前を付けて、お母様を満足させてあげてください。」

 

司会者「彼の問題は、一般的によくあることです。子どもが、父親と母親に意見の相違がある場合、どちらの側に付くべきか?とても悩みます。また、子どもが父親に対して嫌悪感を抱く一番の理由は、父親が母親に対してひどいことを言った、母親に暴力を振るった、母親を大切に扱わない、こういったことで、そこから、父親を嫌悪するようになることがよくあります。しかし、子どもには、親の喧嘩の原因をすべて理解できる訳ではありません。子どもは、父親の側につくか母親の側か、どうやって選んだらいいのでしょうか。」

 

先生の回答:「この問題の核心は、どちらに付くかという点ではありません。根本は、子どもの見ている目の前で、親が互いの意見の相違を見せてしまい、喧嘩をすること、それ自体です。もし父親と母親の間に問題が生じたのなら、二人で部屋に入り、子ども達のいないところで、それを解決すべきです。子どもから遠く離れたところで、自分たちだけで問題解決をすべきです。子どもの目の前で、両親が言い争っているということが決してあってはなりません。子どもが思春期を過ぎて、親の問題を一緒に解決できる年齢になっており、教育的に問題を子どもに提示するのであれば別ですが、そうでなければ、決して子どもの前で夫婦の意見の食い違いを話し合うべきではありません。

 

まして、父親が母親に怒鳴っている、暴力を振るっている、母親が父親に向かって叫んでいる、、、こんな姿を子どもに決して見せるべきではありません。もし相手が急にそういったことをしてきても、子どもの前でそれが起きるのを避けるため、トイレでもお風呂場でも行って、その場を離れましょう。両親のそんな姿を見てしまった子どもは、精神的にとても不安定になります。子どもの心が破壊されます。親のそんな状態を見せておきながら、自分の両親を尊敬しなければならない、と言われる、子どもは訳が分かりません、これは、とてもとても大きな問題です。これは、子どもの問題ではなく、親の問題です。

 

しかし、もしも自分の親がこういった状態で、親の夫婦喧嘩を見てしまった場合、アッラーは、あなたにこういったことを、家庭を持った時には決してしないように、という教訓を与えてくださっているのだ、と理解しましょう。それはアッラーの英知です。あなたは、親の喧嘩を見てしまった、それがどんなに子どもにとって辛い経験か、よくわかっています。あなたにはそれが理解できます。あなたの子どもに、この苦しみを決して味あわせないようにしよう、と決意してください。

 

また、注意しなければならないのは、あなたがどんなに親の欠点を見たとしても、それを、親への礼儀を欠く言い訳にすることはできない、という点です。あんな親は、親孝行される資格がない、、、そんなことはありません。どんな親であっても、親の欠点が、あなたに対する親の権利を無効にするわけではありません。父親が、どんなにひどい人であっても、あなたは、父親に対して礼儀正しく接するべきであり、母親がどんなにひどい人であっても、あなたは、母親に対する礼儀を欠くことは許されません。なぜなら、アッラーが、私たちにそう命じているからです。親がムスリムであっても、ノンムスリムであっても同じです。

 

親孝行は、アッラーが私たちに義務付けていることです。親孝行は、崇拝行為です。欧米でも日本でも、親にどう接するかは、ただ家族の問題、社会的な問題だと思われていますが、イスラームは、そうではありません。このことは、最近のアラブ圏の若者達にも、しっかり時間を取って説明しなければならなくなってきていますが。イスラームでは、親に対する振舞いは、もっと重要な問題です。私と父の関係は、それによってアッラーへと近づく崇拝行為です。母との関係は、それによってアッラーを崇拝することができる、とても大切なものです。また、両親にとっても、子どもとの関係は、それによってアッラーを崇拝することができる、崇拝行為です。この点が理解できていれば、親が自分に何もしてくれなかった、親にひどいことをされた、という狭い枠から解放され、違う視点を持つことができます。」

 

アッラーが私たちに親孝行をお恵みくださいますように✨ ✨ ✨

 

 

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続)ムスリムの子ども教育-20-思春期の子ども達とのかかわり方(11)視聴者からの質問4

2020年06月09日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-20-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生17」(34:44~46:00)

https://www.youtube.com/watch?v=b13M2hUECcU   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(11)視聴者からの質問4

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「前回の父親を憎んでいるA君からの手紙を聞いて電話しています。僕も、父のことが大嫌いでした。昔から両親の喧嘩が絶えず、父と母が争っているのを見て、ある日、母に同情するあまり、父に反抗的な態度を取ってしまいました。

父はまもなくして、交通事故で急死しました・・・。父の生前、自分は父にとって、反抗的で親不孝な息子だった。特に、あの日、父に対してとったひどい言動を思い出すと、悔やんでも悔やみきれない後悔の念に苛まれます。父が亡くなってしまった今、もう父が、自分の罪を許してくれる方法はないのでしょうか。」

 

先生の回答:あなたのその「後悔」の念が、すべてを可能にするでしょう。誠実な悔悟には、後悔の念が伴います。あなたが、自分の行いを反省し、アッラーに悔悟し、赦しを乞うことが、お父様への償いの第一歩であり、自分の罪が赦されないかもしれない、という不安を拭い去ります。お父様がすでに亡くなっていても、です。

 

まず、お父様が亡くなった後、あなたの前には、たくさんの親孝行の扉が開いています。お父様の墓を訪問すること、お父様のためにドゥアーすること、クルアーンを詠み、その報償をお父様に贈ること、お父様への報奨となるように、というニーヤ(意思)でサダカをすること、ハッジやウムラ巡礼を、自分の義務を遂行した後、お父様の代わりに行うこと、お父様のご親戚や血縁関係のある人達と良いつながりを持つこと、彼らを訪ね、近況を聞き、彼らに孝行すること、お父様のご友人や同僚達に良くすること、こういったお父様への親孝行は、お父様のところに届き、お父様がそれらを感じます。お父様の墓の前に立ってサラームを言い挨拶したら、お父様はあなたにサラームを返し返事をし、あなたのことを感じます。お父様の魂は、あなたの気持ちを感じます。

 

前回の父親を抹殺してほしいというA君の手紙の後、こうして同年代の彼から、父親を亡くした体験が寄せられたことには意味があります。どんなに親を憎んでいても、親は親であり、親の本当の価値は、亡くなって初めて気付くものだ、ということを、彼の体験は伝えてくれています。親の権利は、とても大きいものです。もし、今、A君がこのテレビを見ていたら、もしくは、この社会に存在する、A君と同じ気持ちを持っている大勢のA君達がこれを見ていたら、伝えたいことがあります。

 

もちろん、あなたのお父様は間違いを犯しました。あなたをこんな気持ちにさせるほど、とても大きな間違いを。しかし、あなたは、お父様と関わり合うのではなく、アッラーと関わり合っています。アッラーと関わり合う以上、親には、それがどんな親であっても、自分を害する親であっても、間違いを犯している親であっても、親というものには権利がある、ということを知っているでしょう。もちろん、親に間違いを犯す権利がある訳ではないので、親があなたにしたことは、アッラーがすべて清算してくださいます。ただ、そういう親であっても、あなたにとって、親というものは権利を有している、ということです。

 

あなたは実はお父様のことが好きなのです。静かに自分の内面を見直してみるとわかるでしょう。あなたは、決してお父様を嫌っていない。もしお父様が亡くなったら、最初に涙を流すでしょう。あの手紙は、あなたがいかにお父様を愛していて、それゆえお父様の言動によって深く傷つけられていることが表現されていました。繰り返されるお父様の言動により、大嫌いだ、と叫ばざるを得なくなった、しかし、それは本心ではありません。お父様が嫌い、というその幻想から抜け出してみることです。そこでわかる事は次の3つのことです。

1.自分がお父様のことを愛していること

2.お父様はあなたの権利を侵害し、間違いを犯したこと

3.その間違いは、修繕可能なこと

 

お父様に静かに話しかけてみたことはあるでしょうか。「お父さん、お父さんのことが好きだから、嫌いたくない。でもお父さんから○○や△△と沢山聞かされて、疲れてしまった。もちろん自分は間違いを犯すから、どうか忠告してほしい。でもその時、お父さんは、僕を破壊するために言ってるんじゃなくて、僕のためを思って言っているんだってわかるようにしてほしい・・・」こういう話し合いを、ぜひお父様としてください。もしそれでもお父様が頑固で、あなたのことを受け入れなかったら、お父様の間違いによって築かれてしまった壁を、お父様の感情に訴える「愛情」によって打ち壊していってください。その「愛情」の道具は、お父様に対して誠実であること、優しくすること、気に掛けること、尽くすこと、愛情表現をたくさんしていくこと、あなたはお父様から愛情に基ずく誠実な関係以外何も求めていないのだ、とお父様が確信するまで、それを続けてください。

 

司会者「彼が父親のことを愛していて、もし死んだら一番に泣くのは彼だというのは同感です。それに加えて、父親の方も息子のことをとても愛しているはず、ただ、自分の息子が一番になってほしい、と思っているはずで、、もし息子が死んでしまったら、一番に泣くのは父親でしょう。」

 

先生「あなたの言葉によって、ひとつの問題が浮かび上がります。私たちはどちらか一方の死を待たなければ、愛情を表現できないのだろうか、という問題です。なぜ普段から、父親が息子に、「大好きだ」と伝え、息子が父親に、「大好きだ」と伝えられないのでしょう。どちらかが死ぬまで、自分の愛情を秘めておかなければならないというのはどういうことでしょうか。いつも母親が娘に「大好き」と言い、息子が母親に「大好き」と言う、簡単なことを、なぜ災難が来るまでせず、愛情表現に「ケチ」になってしまうのでしょう。父親が事故に遭い、息子に事故にあって亡くなるまで、お互いの愛情を表さないのでしょうか。いつも親に対し、子どもに対し、愛情を表しているべきです。

 

何度もご紹介した通り、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ご自分の子どもにも親戚の子どもにも全ての子どもに、常に大きな大きな愛情を惜しみなく注ぎ、それを伝えていました。男たるもの感情的になるべきではない、などということはまったくありません。誰が自分の子どもに対する愛情を秘めておくことが男らしさの象徴だと言ったのでしょう?!感情的になって愛情を伝えることを女々しいという価値観はどこから来たのでしょうか?!預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、大人にも子どもにも感情豊かに愛情を伝えていました。愛情表現に関し「ケチ」になることはありませんでした。

 

司会者「もし親が息子にひどい言動をしたとしても、息子が親孝行の徳を知り、その大きな報償を知って親孝行をしたならば、彼にはアッラーからのすばらしい報奨がありますよね。」

 

先生「そうですね、あなたの言葉は、先ほどのA君への言葉です。

A君、そして、この社会に存在する大勢のA君達、あなた方の前には2つの選択肢があります。ひとつは、親に対する怒りを持ち続けるという道、そしてもうひとつは、この問題を解決する道です。

 

もし怒りを継続する道を選んだとしたら、あなたはそれによって疲弊し、苦しめられ、親との最悪の関係を続け、親子関係を破壊します。もうひとつの道は、これを解決すると決意する道。さぁ、どうやって解決するのでしょうか。まず最初の解決策は、自分に対し誠実になることです。自分自身に話しかけます。あなたはアッラーのしもべです。あなたにはあなたの主がいます。親と自分という双方向の関係だけではなく、3つ目の存在があり、その存在との関係性があります。親子関係を包括する3つ目の存在があり、アッラーとの関係があります。

 

あなたはアッラーとの関係を築いていて、アッラーが自分に満足してくださることを求めています。アッラーはあなたに対して試験を与えました。アッラーのご満足を、あなたの親があなたに満足することに結びつけたのです。そして、親不孝は、シルク(アッラーと並べて何かを崇拝すること、偶像崇拝)に続く大罪となさいました。

 

【17-23.あなたの主は命じられる。かれの外何者をも崇拝してはならない。また両親に孝行しなさい。】

 

このことは、アッラーがあなたに運命づけた物です。あなたが、あなたの親を選んだわけではありません。アッラーがそれをお決めになりました。この言葉は、多くの子どもにとって耳が痛く苦しい言葉だと言うことはわかっています。しかしこれは事実で、私たちはこのことを知っておく必要があります。そして、驚くかもしれませんが、これはあなた達にとって必ず善いことです。アッラーがあなた達に運命づけたことは、必ずあなた達にとって善いことだからです。なぜなら、この関係によって、あなた自身の自我の形成が促進され、自分自身の成長につながります。例え父親が間違いを犯しても、その間違いが耐えられないほど甚大な被害をあなたに与えたとしても、その関係をあなたが作り直す必要があります。自分の中の自我に打ち勝たなければなりません。どうやって自我に打ち勝つのでしょうか。

 

あなたを破壊した父親に対して、アッラーに対する振舞いをしていくこと、アッラーを目的にして行動して行くことです。アッラーを目的にして行動する以上、父親からの反応はまったく期待しません。あなたが父親に親孝行をしたにもかかわらず、父親がそれに対しまったく良い反応をせず、ひどい言動を続けたとしても、それはあなたに何の関係もありません。父親が目的ではないからです。アッラーのご満足が目的だからです。アッラーを目的にしている限り、アッラーは必ず、自分にひどいことをする親に対し行った親孝行に対して、報奨を下さるという確信があります。

 

どうか「あなたのお父様があなたにした仕打ち」という狭い円の中から抜け出てください。今、あなたは、父親が自分にひどいことをした、というそれだけの事実を感じ続けるという狭い円の中に閉じこもっています。そこにいても何もいいことはありません。そこから出てください。どうやって出るのでしょうか。ただ、「今日からは、父親に対する振舞いは、父親を目的にするのではなく、アッラーのご満足を目的にする」、と決意することです。どうやってアッラーのご満足を獲得しますか?アッラーは、私にどんな親であっても、親に対する親孝行を義務付けた、いいでしょう、私は今日から親孝行をします、どんなに親が自分に悪いことをしても、そう決意します。

 

もしどうしても怒りで自分が見えなくなった時には、ウドゥーをして、怒りを収め、2ラカートの礼拝をして、両手を挙げてアッラーにドゥアーします。

『アッラーよ、あなたが私にこの親を選びました。どうか彼を善良にしてください。もし私が親の権利を害していることがあったら、私を許してくださることを願います。アッラーよ、私と親の心の距離を縮め近づけてください。』

 

どうか親に対する不満を、すべてアッラーに預けてください。その不満を解決するために、アッラーにすべてを預けて、自分自身をアッラーに投げ出してください。アッラーのご満足だけを求めて、親孝行を決意する、それさえすれば、あなたは、必ずアッラーが、あなたを使って父親を善良にする過程を見ることになります。アッラーにすべてを預けてください。」

 

 

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続)ムスリムの子ども教育-19-思春期の子ども達とのかかわり方(10)視聴者からの質問3

2020年03月07日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-19-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生17」(24:45~34:44)

https://www.youtube.com/watch?v=b13M2hUECcU   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(10)視聴者からの質問3

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「両親は、自分たちが若い頃の常識で、私の振舞いの良し悪しを決めます。そのせいで問題が起こるのです。自分たちの若い頃と今の時代が違うことをどうしてわかってくれないのか。」

 

先生の回答:まず最初に、この質問者の方に伝えたいことは、親の時代の価値観のすべてが、今の時代において間違っている訳ではない、ということです。価値観の中には、時代と共に変わることもあれば、時代が変わっても変わらないこともあります。また、この子の親に伝えたいことは、自分の若い頃に良かったことが、すべて今の時代でも良いこととは限らない、ということです。時代と共に価値が変わるものもあれば、変わらないものもある、双方が知っておくべきことは、時代が変わっても変わらぬ価値があるものと、時代と共に変わるものの「基準」です。どのように変わらぬ価値観を共有して行き、また、時代と共に変わって行くものをどのように受け入れるのか、その「基準」を持つことが大切です。

 

また、この質問から浮かび上がってくるのは、私達、親が、自分の子ども達と一緒に過ごす時間の少なさ、子どもと十分に話をする時間をきちんと持っていなかったという親の怠慢です。そのせいで、子ども達に、親たちの考え方は自分たちの考え方とは全く違っていて、理解できない、という大きな誤解を抱かせてしまいました。この問題は、子ども達と過ごす時間、話をする時間を多くとればとるほど、解決できる問題です。

 

親御さんたちに伝えたいのは、どうか、子ども達に、あなた方が子ども達の価値観を理解できることを証明してあげてください。子どもに対して、ただ、一方的に命令を出して終わり、という関係ではなく、子どもと対話してください。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

《子どもが自分に親孝行できるよう、子どもを助ける親に、アッラーが慈悲をお与えくださいますように。》イブンハッバーン伝承

 

自分に親孝行するように勧めること、親孝行の子どもに育てることが、親が、アッラーのご満足を得ることにつながります。子ども達の不満は、親たちがこのハディースで言われている親子関係の基本を行っていないことに起因しています。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「親を抹殺してほしい。なぜ私の人生にケチをつける権利があるのか?ただ、「私が、お前を産んだのだ」というだけで。親から、「お前は失敗作だ」と100万回以上聞かされた。もう限界だ。礼拝していても、お前は地獄行きだ、と言われる。いつも親の言葉に傷つけられてきた。親は、自分に一ミリも敬意を示すことはない。早く親を処刑してほしい。」

 

先生の回答:この質問者の方に深く同情します。この手紙は、彼の心の痛みを表現しています。彼の心の奥底からの叫びです。もちろん、彼の要求が間違っていることは言うまでもありませんが、それ以前に、彼が親からの言動によって、どんなに傷つけられているか、を考える必要があります。絶対に、彼の親には、大きな問題があります。息子がどんなに親に不服従であっても、どんなに反抗的であっても、息子が、親の信頼を失わせるような行動ばかり取っていたとしても、です。問題は、親にあります。息子に対して、「お前は失敗作だ。」という言葉を聞かせること自体が、その息子の中に、「失敗」を植え付けます。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、子どもに対して、そんな言葉を使うことは一度もありませんでした。もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、彼の家を訪問し、彼が父親にこう言っているのをご覧になったら、息子に注意する前に、まず、父親を責めるでしょう。息子の父親に対する言葉は、もちろん許されないものですが、それを治すためには、まず、父親の間違いを先に正さなければなりません。息子にここまで言わせてしまう父親の責任は大きいです。

 

また3つ目の問題は、父親と息子以外の問題、彼らを取り巻く現代の社会の問題です。親子関係に対して、間違った考え方が広まっています。それを正さなければ、こういった不幸な親子関係が産まれてしまいます。しかし、このすべての問題の鍵は、父親が握っています。お父さん、どうか預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のスィーラ(伝記)を読んでください。子どもの間違いに対して、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はどのように接しておられたでしょうか。前回お話したように、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の子ども達への接し方は、現代の親が学ぶべきものです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の元に、若者がやって来て、婚外交渉をすることを許可しろ、という、とんでもない暴言を吐いた時も、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の最初の言葉は、《彼を近くに来させなさい。》、でした。自分に対して、途方もなく失礼な命令をした若者に対し、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の第一声は、「あっちへ行け!」でも、「何とひどいことを言うのだ!」でも、「お前は罪人だ!」、でもありませんでした。

 

《彼を近くに来させなさい。》と預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。そして、次に、《あなたは、それを自分の娘に望みますか?》と、順番に尋ねて行きました。つまり、子どもの問題を解決する方法の第一歩は、近くに呼ぶこと、そして、とことん話し合うこと、対話です。

 

お父さん達にどうしても言っておかなければならないことがあります。それは、「仕事が忙しくて、子どもの話を聞く暇なんかない。」、「外での仕事で疲れて帰って来るのに、家で子どもの相手なんかしてられない。」、こういった言い訳は、まったく通じない、ということです。自分の仕事が忙しいこと、仕事で疲れて帰宅すること、それらは、まったく子どもの罪ではありません。それらは、あなた方ご自身の問題であって、子どもには何の責任もないことです。仕事で疲れて帰宅して、子どもについ当たってしまうようなことがあったら、自分自身だけでなく、子どもも破壊してしまいます。どうかそのことをよく理解し、親の責任を軽く考えないでください。

 

ムスリムの親御さんたちに、アッラーのご援助がありますように。

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