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 国立感染症研究所感染症情報センターの報告によると、例年に比べ、インフルエンザによる急性脳症の発生報告が急増しているそうです。インフルエンザ脳症の患者の報告数は、1シーズン当たり40~50例前後なのだそうですが、2009年~2010年シーズンは、まだ終わっていないのにすでに患者数は280例以上になり、例年の6~7倍になるのだそうです。

(参考) 我が子の命を守るために親として「インフルエンザ脳症」を知る。

 2009年7月6日から2010年1月22日までに報告された脳症の症例のうち、新型インフルエンザウイルスによる脳症と確認され、経過の報告された120例(新型によるインフルエンザ脳症は240例)ほどの80%強が治癒・軽快したのですが、7%弱が死亡し、12%ほどが後遺症を残したようです。インフルエンザ脳症になりやすい年齢層は、5~9歳で、特に多いのは7歳で、患者数全体の14%ほどなのだそうです。



 埼玉県の過去3年の経験によれば、2007年~2008年シーズンと同じような経過を辿れば、インフルエンザの流行はあと2か月ほどかけて終息していきますが、2006年~2007年シーズンと2008年~2009年シーズンと同じ経過を辿れば、流行の第2のピークを迎えることになります。この流行は季節要因によるものも関係すると思われますから、油断はできないわけです。

 インフルエンザウイルス感染で死亡する原因には、脳症、肺炎、心筋炎などがあります。気管や気管支上皮細胞に、傷害を起こす傾向の強い新型インフルエンザウイルスは、上気道に常在する細菌の肺への重度な感染を生起する可能性があります。細菌性肺炎を防止するための肺炎球菌ワクチンも高齢者には接種を奨励する必要があるようです。肺炎は、インフルエンザウイルスによる肺炎と細菌感染による細菌性肺炎に分けられますが、後者の方が頻度が高い。

 山口県の新型インフルエンザワクチンの優先接種の対象とする基礎疾患のない50歳代の男性が「重症肺炎(新型インフルエンザ肺炎)」で亡くなりました。山口県では4例目の死亡事例であり、新型インフルエンザ感染者の死亡の192例目になります。新型インフルエンザワクチン、季節性インフルエンザワクチンともに、接種をしていないと報告されています。

・発症初日(1月25日)…発熱のために診察を受ける。インフルエンザ迅速診断キットによる検査が実施されるが、A型B型ともに陰性。
・発症2日め(1月26日)…発熱が続くために病院をかえて診察を受ける。重症肺炎のために、他の病院に緊急搬送され、入院する。この際にもインフルエンザ迅速診断キットによる検査は、A型B型ともに陰性。
・発症10日め(2月3日め)…1週間近く症状が改善しないため、PCR法による病原体の遺伝子検出検査を実施した結果、A型陽性、新型H1陽性となり、新型インフルエンザの感染が確認された。
・発症10~12日め(2月3日~2月5日)…人工呼吸器を装着のため、抗インフルエンザウイルス薬「ラピアクタ」を点滴により投与する。
・発症14日め(2月7日)…20時40分、死去。

(参考) インフルエンザA型判定の「簡易検査」の信頼性は低いのか。

 2010年1月27日に、塩野義製薬(大阪市)は、抗インフルエンザウイルス剤「ラピアクタ点滴用バッグ300mg」(薬価:5,792円)、「ラピアクタ点滴用バイアル150mg」(薬価:3,117円)を発売しました。中外製薬の「タミフル」(経口薬)、グラクソ・スミスクラインの「リレンザ」(点鼻薬)に続く第3のインフルエンザ治療薬となります。タミフルやリレンザと同じノイラミニターゼ阻害薬ですが、短回投与(1回の投与)で十分な効果が臨床試験で示されているといいます。

 ペラミビル(製品名:ラピアクタ)は、塩野義製薬がアメリカのBioCryst社(バイオクリスト社)から導入し、国内で開発したといいます。厚生労働省から優先審査品目に指定され、2009年10月末の申請から約2か月半後の2010年1月13日にスピード承認されました。1月22日には保険適用となっています。通常は、300mgを15分以上かけて点滴で静脈に注入します。これは成人の場合で、年齢や症状に応じて、量と回数を調整することになります。

 ペラミビルは、2009年10月23日にアメリカにおいて「緊急使用許可、Emergency Use Authorization、EUA)」という処置が行われ、緊急使用が必要な新型インフルエンザ感染の疑われる入院患者で、点滴静注が適切であると考えられる場合に限定して投与されていました。ペラミビル(製品名:RAPIACTA for Intravenous Drip Infusion、ラピアクタ)は、新型インフルエンザに感染して重症化した山口県の患者にも投与されたのですが、間に合わなかったのかその効果を発揮しなかったようです。

 191例めは、千葉県の基礎疾患のない15歳の男性でした。新型インフルエンザウイルスによる急性心筋炎が死亡原因とされます。
1月11日…37.6度の発熱があり、咽頭痛の症状があった。
1月12日…自宅で呼吸停止状態になり、救急搬送される。集中治療室(ICU)で人工呼吸器、体外心肺を装着される。インフルエンザ迅速検査で、A型陽性となりタミフルを投与される。
1月14日…PCR検査で新型インフルエンザ陽性となり、新型インフルエンザ患者と確定される。
2月 8日…ICUに入ってから27日経ったが、10時42分、かわいそうに死去。

(参考) インフルエンザウイルス感染で「ウイルス性心筋炎」になってしまうと

 新型インフルエンザウイルスの感染者は現状では減少傾向にありますが、家族の一員に感染が疑われる時はその様子を注意深く観察し、早めの受診を心がける必要があります。

           (この項 健人のパパ)

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